有価証券報告書-第77期(2024/04/01-2025/03/31)

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2025/06/24 12:01
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173項目
(2)戦略
当社グループは、人類を「食」の楽しみや喜びで満たすことを通じて社会や地球に貢献する「EARTH FOOD CREATOR」をグループ理念に掲げ、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しております。当社グループが果たすべき責任、取り組むべき社会課題は、食の安全管理体制の構築や環境負荷の低減、ガバナンスの確立など幅広い領域に及んでおります。その中でも、当社グループが特に力を入れて取り組むべき重要課題=マテリアリティを特定しております(「健康と栄養」、「製品の安全・安心」、「気候変動」、「人材開発」、「生物多様性」、「森林破壊」、「持続可能なバリューチェーンマネジメント」)。なお、その他の課題に関しては、主要なESG評価機関からの評価を各部門のKPIとして戦略を策定し、施策を実行しております。
1) 気候変動などへの対応
近年、気候変動をはじめとする地球規模での環境問題が顕在化する中、世界中の人々の食を支えるグローバルカンパニーとして、より高いレベルでの環境対策推進を重要経営課題と位置付け、中長期成長戦略の一つとして環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」を2020年4月に策定しております。
環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」は、地球資源を取り巻く環境の保護及び資源の有効活用に挑戦する「資源有効活用へのチャレンジ (EARTH MATERIAL CHALLENGE)」と、当社グループの事業活動全般におけるCO2排出量削減に挑戦する「気候変動問題へのチャレンジ (GREEN FOOD CHALLENGE)」の2つを柱としております。「EARTH MATERIAL CHALLENGE」では「地球にやさしい調達」、「地球資源の節約」、「ごみの無い地球」の3つを、「GREEN FOOD CHALLENGE」では「グリーンな電力で作る」、「グリーンな食材で作る」、「グリーンな包材で届ける」の3つを活動テーマに据えております。
また、特に気候変動問題を、重要な経営リスクの1つとして位置付けております。原材料価格の高騰や製造工場の被害、消費者の購買活動の変化など、当社グループの事業は、気候変動によってさまざまな影響を受けるためであります。当社グループでは、2019年度に事業活動に気候変動が及ぼす影響を把握するために、プロジェクトチームを立ち上げ、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言を踏まえたシナリオ分析・インパクト評価を実施いたしました。分析には、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の温暖化の進行に関するシナリオ(RCP:代表的濃度経路)(注)と社会経済に関するシナリオ(SSP:共通社会経済経路)を用い、TCFDが求める2℃シナリオを含む複数の異なる条件下で分析いたしました。結果の概要は以下となっております。
(注)RCP2.6(1986~2005年を基準としておおよそ1℃前後の上昇)、RCP6.0(おおよそ2℃前後の上昇)、RCP8.5(おおよそ4℃前後の上昇)の3つシナリオを活用
主なリスクによる事業への影響度とその対応策
主なリスク想定される事業への影響主な対応策
(財務影響軽減策)
移行
リスク
炭素税・国境炭素税などの規制SBT目標WB2℃(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準)に向け、取り組まなかった場合の影響額は2030年3,747百万円/年、2050年7,323百万円/年となった。SBT目標WB2℃を達成した場合の影響額は2030年2,623百万円/年、2050年1,465百万円/年となる。製造工場への省エネ設備やシステムの導入、再生可能エネルギーの導入拡大、環境に配慮した製品の販売
物理
リスク
水リスク洪水:リスクが高いと見られる製造拠点は国内4拠点、海外1拠点製造工場などにおける水リスクの多角的な分析調査
高潮:リスクが高いと見られる製造拠点は国内4拠点
干ばつ:評価時点と比較して、2055年及び2090年までにリスクが増大すると判明した拠点は南米と欧州の拠点
水ストレス:国内で4拠点、海外で7拠点水の再利用などをはじめとした製造工場における効率的な水の使用
原材料調達先の変遷小麦:オーストラリアにおける小麦の2000年比面積単位収穫量はRCP2.6及びRCP6.0で増加、アメリカ、カナダは変化なし植物代替肉や培養肉などの開発、植物代替肉や培養肉などを利用した製品の開発、持続可能なパーム油の調達
大豆:2000年比面積単位収穫量は、RCP2.6では増加傾向、RCP6.0とRCP8.5では減少傾向
エビ・イカ:RCP2.6では大きな変化はなし、RCP8.5では漁獲量が減少
パーム油:RCP2.6では収穫量減少の懸念あり、RCP8.5では収穫量減少

(注) 分析結果の詳細は当社グループのサステナビリティサイトで公開しております。
(https://www.nissin.com/jp/sustainability/)
また、2050年までにCO2排出量と吸収量を“プラスマイナスゼロ”にする「カーボンニュートラル」を2022年11月に宣言しております。
2) 生物多様性(TNFD(注1))への対応
a. TNFD提言に基づく取組と情報開示
はじめに
当社グループの事業活動が生物多様性に与える影響を把握するため、当社は2023年に、TNFD(注1)が発表した「TNFD自然関連リスクと機会管理・情報開示フレームワークベータ版v0.3」を参考に、LEAPアプローチ(注2)を用いた自然関連リスク・機会評価をトライアルで実施し、その結果を開示いたしました。2024年には、評価対象とする調達品目 (原材料) の見直しを行ったうえで、「TNFD最終提言 v1.0」の開示推奨項目に基づき、より詳しい自然関連リスク・機会評価を実施いたしました。
(注)1 TNFD (Taskforce on Nature-related Financial Disclosures: 自然関連財務情報開示タスクフォース) は、民間企業や金融機関が自然資本及び生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価、開示するための枠組みを構築する国際的なイニシアチブ
2 TNFDが提唱する自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づき体系的に評価するためのプロセス。分析のスコープを選定した上で、自然との接点を発見する「Locate」、自然への依存とインパクトを診断する「Evaluate」、自然に関する重要なリスクと機会を評価する「Assess」、リスクと機会に対応しステークホルダーに報告する準備を行う「Prepare」の4ステップの順に進めることが特徴
「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)フォーラム」への参画
当社グループは、自然や金融などの専門性を有する企業・団体などが参画し、TNFDによる枠組み構築をサポートするネットワークである「TNFDフォーラム」に参画しております。2023年12月には、TNFDに対応した情報開示を促進する企業として「TNFD Adopter(注)」に登録いたしました。0102010_008.png
(注)TNFD提言に基づく開示を行う意向をTNFDのWebサイトで登録した企業のことで、登録した企業は2024年もしくは2025年会計年度情報に基づく開示が必要とされる

b. TNFDに関するガバナンス
(ガバナンスA/B)
イ. 体制
当社グループでは、代表取締役社長・CEOを委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。事務局は経営企画部、サステナビリティ推進部、広報部が担い、委員会の傘下にはテーマごとにワーキンググループを設け、各グループに関係部署が参画しております。委員会は、自然関連のリスク・機会を含め、サステナビリティに関するさまざまな課題への対応方針や施策の検討を行い、その活動内容を、サステナビリティ委員長及び取締役会へ定期的に報告しております。
また、環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」で定める重要な非財務目標について経営会議で年に1回以上審議・決議し、取締役会へ付議・報告しております。取締役会は、気候変動や生物多様性などの環境課題、栄養不良の二重負荷をはじめとした健康・栄養課題に対する業務の執行を監督し、サステナビリティに関する基本方針や重要事項を審議し、決議を行っております。
(注)サステナビリティガバナンス - 体制の詳細は当社グループのサステナビリティサイトで公開しております。(https://www.nissin.com/jp/company/sustainability/management/governance/#structure)
ロ. サステナビリティ・アドバイザリーボード
「サステナビリティ・アドバイザリーボード」は、サステナビリティに関わるグローバルな動向を把握し、社内の推進体制強化を目的とした取締役会の諮問機関であります。社外有識者の提言を受けながら、当社グループが取り組むべきサステナビリティに関する課題を年に2回議論し、取締役会に対して年に2回以上、諮問や提言を行っております。
2025年1月に開催したアドバイザリーボードでは、社外有識者 (久保田 康裕氏/株式会社シンク・ネイチャー代表取締役CEO、琉球大学教授) を招き、TNFD提言に基づく自然関連リスク・機会評価の結果について当社グループCEOをはじめとする経営層へ報告し、今後の課題及び当社グループが取り組むべき事項について議論いたしました。とりわけ今回の評価結果から、気候変動や生物多様性の損失に伴い2050年にはパーム油収量の低下や病害増加といった自然関連リスクの発生が予測されること、その一方で、再生農業の実践や病気対策の実施を支援することで、パーム油収量の維持と生物多様性保全の双方に配慮した事業活動の実施が可能であることなどが提言されております。なお、本アドバイザリーボードで議論した内容は、取締役会にも報告しております。
(注)サステナビリティガバナンス - 「サステナビリティ・アドバイザリーボード」の設置の詳細は当社グループのサステナビリティサイトで公開しております。
(https://www.nissin.com/jp/company/sustainability/management/governance/#structure)
(ガバナンスC)
イ. 影響を受けるステークホルダーに関わる人権方針
当社グループは、創業者精神の一つである「食為聖職」(食の仕事は聖職であり、人々の健康と世界の平和に貢献していかなければならない)のもと、当社グループの事業活動が影響を及ぼすすべての人の権利を尊重しております。「日清食品グループ人権方針」は、当社グループの事業活動における人権尊重への取組に関するすべての規範に適応され、サプライヤー・あらゆるビジネスパートナーにおいて人権への負の影響が引き起こされている場合には、適用される法・規制すべてを遵守し、国際基準及びベストプラクティスをとるよう努めることを掲げております。
また「日清食品グループ 持続可能な調達方針」では、原材料の調達を通じて影響を受ける可能性のあるステークホルダーに対して、人権の尊重と労働安全衛生への配慮に関する事項を定め、先住民族及び地域住民の権利の尊重に関しては、FPIC (Free, Prior, Informed Consent =自由意志に基づく事前の十分な情報を与えられた上での合意) の尊重を明記しております。
(注)「日清食品グループ 人権方針」の詳細は当社グループのサステナビリティサイトで公開しております。(https://www.nissin.com/jp/company/sustainability/management/policy/human-rights-policy/)
(注)「日清食品グループ 持続可能な調達方針」の詳細は当社グループのサステナビリティサイトで公開しております。(https://www.nissin.com/jp/company/sustainability/management/policy/basic-policy/)
ロ. 影響の低減などに向けた活動
当社グループでは、人権に配慮した事業活動を推進するため、人権デューデリジェンスを実施しております。国連が策定した「ビジネスと人権に関する指導原則」の手順に従い、「人権への負の影響評価及び課題の特定」、「適切な措置の実施」、「モニタリング・追跡評価」、「情報開示」に取り組んでおります。
サプライチェーンの中でも、特にパーム油生産農家 (小規模農園) に関連する人権・環境課題を最優先課題と位置づけ、油脂加工メーカーとのエンゲージメント構築に加え、サプライチェーンの上流に位置する搾油工場 (ミル) やパーム農園に対する包括的な支援の必要性を認識しております。当社グループのサプライチェーン上つながりのあるパーム油小規模農家に対しては、外部の専門家及び現地の小規模農家組合の協力を得ながら、アンケートやダイアログなどを通じた現地調査を順次行い、生産地の環境や労働者の人権に対する影響を定期的にモニタリングしております。
(注)パーム油調達の詳細は当社グループのサステナビリティサイトで公開しております。(https://www.nissin.com/jp/company/sustainability/environment/procurement/#procurement_materials)
c. TNFDに関する戦略
(戦略A)自然関連の依存、インパクト、リスク、機会
イ.評価対象の検討
食品の製造・販売を主要事業とする当社グループの事業活動が、特に原材料の調達活動を通じて自然資源に依存し、生物多様性にさまざまな影響を与えている点を考慮し、当社グループのバリューチェーンのうち原材料の調達を評価対象といたしました。
当社グループが調達する主要原材料9品目 (パーム油、大豆、カカオ、米、小麦、木材パルプ、エビ、イカ、すり身魚) を対象に、生物多様性に関する各種指標を総合的に評価し、LEAPアプローチにおける「Locate」以降の分析を実施する品目を選定いたしました。評価指標の詳細は以下1~4の通りであります。評価結果において、生物多様性の観点 (「生物多様性重要度」及び「生物多様性損失度」) からは「パーム油」、「カカオ」、「エビ」が、土地利用の観点 (「生産に必要な面積」) からは「小麦」が、より重要な課題であると判断いたしました。
1.生物多様性重要度 (BI:Biodiversity Importance)
原材料を生産、捕獲する地域の生物多様性の重要度。生物群ごとの分布と希少性を基に、保全すべき優先地域を順位付けしたもの
2.生産に必要な面積 (Area)
農林産物、漁獲物などの原材料の生産に必要な面積。FAO(注)の地域別の生産面積 (ha) と生産量 (ton) の関係から、収率 (ton/ha) を求め、当社グループの生産量 (ton) とかけあわせて算出
(注) FAO (Food and Agriculture Organization of the United Nations:国際連合食糧農業機関)
3.生物多様性損失度 (MSA:Mean Species Abundance)
原材料を生産、捕獲することによって、原生自然に対して生物多様性が損失する割合。
生物多様性へのインパクト指標
4.生物多様性影響指標 (BIM:Biodiversity Impact Metric) (注)
生物多様性重要度 (BI) × 生産に必要な面積 (Area) × 生物多様性損失度 (MSA)で表される数値。
(注)「BIM」は全ての指標を統合した値であるが、面積に寄った評価となる傾向があるため、例えば「BI やMSAを重視、生産面積やBIMで補足、森林リスク原材料などロジックの重点に置く」など、各種の値に対して複数のロジックを持って評価した。なお、森林リスク原材料とは、世界的に取引される商品及び原材料のうち、それらの生産過程が森林減少や森林劣化に寄与すると考えられるもの。具体的には、パーム油、大豆、カカオ、木材パルプ、牛製品、革製品、天然ゴムなどが含まれる。

対象4品目の優先地域及び自然への依存・インパクトの概要
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ロ.自然関連の依存とインパクトの評価
絞り込んだ対象4品目 (パーム油、カカオ、小麦、エビ) のうち、陸域の原材料3品目 (パーム油、カカオ、小麦) について、ENCORE(注1)と150種以上の自然資本関連のビッグデータ (炭素貯留量データやハチ種数データなど) を組み合わせることで、調達地の地理的特性を加味しつつ、自然への依存・インパクト (依存している生態系サービス(注2)と、インパクトの原因であるインパクトドライバー(注3)) を定性的に評価いたしました。海域の原材料 (エビ) については得られる情報が乏しいため、漁獲量などの推移を事業継続性に係る主要な確認項目としつつ、調達地周辺で懸念される依存とインパクトを関連する論文に基づいて整理いたしました。
なお、パーム油については当社国内グループ会社及びニッシンフーズ(U.S.A.)Co.,Inc.並びにニッシンフーズKft.を対象に、その他3品目(カカオ、小麦、エビ)については国内グループ会社の調達データを対象に分析いたしました。
(注)1 ENCORE (Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure) は、自然資本金融同盟 (Natural Capital Finance Alliance (NCFA)) や国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター (UNEP-WCMC) などが共同開発したツールで、企業活動の自然への影響や依存度の大きさを把握することができる
2 食料や水の供給、気候の安定など人々の生活や産業を支えている、生物多様性を基盤とする生態系から得られる恵みのこと
3 事業活動が自然資本に及ぼすネガティブ又はポジティブな影響の要因であり、生産へのインプットとして使われる天然資源の計測可能な量 (例:建設に使われる砂と砂利の体積)、又はビジネス活動の計測可能な製品以外のアウトプット (例:製造施設から大気中に排出される窒素酸化物の質量) のこと
陸域の原材料3品目 (パーム油、カカオ、小麦) における自然関連のインパクトについては、インパクトの原因であるインパクトドライバーに関する定性評価に加え、インパクトドライバーによる生物多様性への影響を「生物多様性損失度」により定量評価いたしました。このとき、さまざまな地域で調査された63本の論文 (パーム油: 22論文、カカオ: 31論文、小麦: 10論文) のデータを基に、原材料の生産によって生じる各地点の「生物多様性損失度」を抽出し、生物の生息を規定する主要な要因となる降水量との関係を探っております。
表1 対象3品目 (陸域) の優先地域における自然関連の依存とインパクトの評価結果
0102010_010.pngハ.評価結果
(パーム油)
「依存」のカテゴリーでは、とりわけ「Disease control (病気の制御)」が高く、熱帯域の特徴を表しております。また、「インパクト」のカテゴリーでは「Land use (陸上生態系の利用)」と「Soil pollutants (土壌汚染物質)」が高く、熱帯域で実際にパーム農園の開発が進む現状を表しております。
(カカオ)
パーム油と同様、熱帯域を主産地としており、「依存」のカテゴリーでは「Disease control」が高いことが判明いたしました。また、「インパクト」のカテゴリーでは「Land use」と「Soil pollutants」が高く、特にエクアドルでは、「Water pollutants (水質汚染物質)」が高いことが判明いたしました。
(小麦)
土地や水資源を多く利用する大規模灌漑農業であるものの、「インパクト」のカテゴリーの「Water use (水利用)」は地域による差が大きく、オーストラリア西部では低いことが判明いたしました。これは、天水の活用が多いためであると考えられております。
(エビ)
科学的論文を調査した結果、インパクトドライバーについて「Marine Ecosystem use (海洋生態系の利用)」が最も重要である可能性が示されました。「依存」のカテゴリーについては、ENCOREにおける「Fibres and other materials (木材、繊維などに直接使用・加工使用されている植物や動物などから採れる素材)」などの天然資源の直接的な利用が重要である可能性があります。当社グループが原材料としている主要なエビの品種の調達地であるインド南部では、漁獲量の減少が懸念されております。
ニ.定量評価
陸域の原材料3品目 (パーム油、カカオ、小麦) における生物多様性へのインパクトの定量評価は、図2の通りであります。さまざまな変数 (年降水量を含む気候、土地利用、土壌変数、生物種数) と生物多様性へのインパクトとの関係を解析した結果、いずれの原材料についても、年降水量が多い地域ほど、生物多様性へのインパクトが大きいことが判明しました。詳細なメカニズムを断定することはできませんが、降水量が多い地域で森林を伐採し農地にすると、湿潤な森林から乾燥した農地へと環境が大きく変化するため、生物多様性が大きく減少すると考えられております。そのため、調達地を評価する際には年降水量や生物多様性へのインパクトに留意する必要があることが示唆されております。
図2 陸域の原材料3品目における生物多様性へのインパクトの定量評価結果
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ホ.パーム油における自然関連のリスク・機会
自然関連の依存とインパクトの度合いが大きく、かつ事業における重要性も大きいパーム油について、シナリオ分析を通じ、リスクと機会を検討いたしました。シナリオ分析の対象地域は、生物多様性及び調達量の観点から総合的に勘案し、マレーシア・サバ州とインドネシア・リアウ州としております。
分析の結果、自然への依存 (特に「Disease control」) に関連し、将来的にマレーシア・サバ州とインドネシア・リアウ州ともに、気温上昇やパーム植林の病気拡大、その他の要因が複合的に寄与し、収量が大きく減少する可能性があることが判明いたしました (表3)。また、自然へのインパクト (特に「Land use」) に関連し、このまま対策をせずにパーム植林を拡大した場合、土地利用の転換 (森林・泥炭地から農地) を通じて、2070年までに生物多様性が大きく損失する可能性があることが示されました。
表3 パーム油における依存、インパクト、リスク、機会の概要
0102010_012.png(注)移行リスクの内容については、2023年に実施したTNFDトライアル評価の結果をもとに記載しております。TNFD最終提言v1.0に基づく最新 (2024年) の評価では分析の対象外としております。
(すじ植え方式栽培 (Alley Cropping))
・樹木や低木の列を植えて、その間で複数の作物を近接して栽培することで、土壌の健康を改善し、生態系の再生に寄与する農法のこと。例えば、プランテーションのパームの列の間で、パーム以外の農作物を栽培することは、表面水の流出と浸食を減少させ、土壌の健康と肥沃度を改善し、風による浸食を減少させる効果がある。また、プランテーション作物のみの単一樹種栽培地においては病気が蔓延しやすいが、複数の作物栽培によって生物多様性が保たれた森林では根腐れ病などの病気が蔓延しづらい
・パームに加えて植える植物としては、カカオ、黒コショウ、パイナップルなどが挙げられる
・植生環境が多様になることで、昆虫や甲殻類といった陸上節足動物などが多様になる効果が立証されている
・すじ植えを行う植物の種類によって、生物多様性への効果の度合いが異なる (カカオや黒コショウが最も効果があるという報告例あり)
・収量に与える影響については、「変化がない」とする報告と、「減量する」という報告がある (パーム以外のメイン作物の栽培に関する報告も含む)
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(戦略B)自然関連の依存、インパクト、リスクと機会が当社グループの戦略に与えるインパクト
これら自然関連の依存、インパクト、リスクと機会が、当社グループのビジネスモデルやバリューチェーン、戦略、財務計画に与えるインパクト、及び移行計画や分析については、今後検討を進めていく予定であります。自然関連リスク・機会の財務的インパクトの算定に加えて、特定した自然関連リスク・機会への対応策をAR3T(注)などの国際的なフレームワークに沿って体系的に整理し、ネイチャーポジティブを目指した移行計画を策定することなどが、今後必要なステップであると認識しております。
(注)SBTs for Natureの行動枠組で、組織が自然へのネガティブな影響を回避・軽減し、自然の復元・再生に貢献しながら、自然喪失の間接要因に対処する一連のステップを体系的に整理したもの
(戦略C)自然関連のリスク・機会に対するレジリエンス
イ.シナリオ分析の方法
(戦略A/B)にも記載の通り、まず、自然関連の依存・インパクトの度合いや、事業における重要性が大きいパーム油を対象にシナリオ分析を行い、リスク・機会と今後のアクションを検討いたしました。次に、当社グループに関係のある自然へのインパクトドライバー及び依存が、地域の生物多様性や当社の事業継続性にどのような影響を与えるかを把握するために、複数のシナリオにおける生物多様性指標とパーム油収量の時系列変化を調査いたしました。
今回は「2000年代~24年まで」のデータを使って、2030年及び2070年までの推移を予測いたしました。対象地域は、生物多様性及び調達量の観点から総合的に勘案し、マレーシア・サバ州 (100km四方)とインドネシア・リアウ州周辺 (100km四方) の二地域を選定いたしました。評価にあたり、生物多様性指標とパーム油収量の両指標にとって重要な規定要因であり、TCFDにおける気候変動シナリオとも整合する「気候シナリオ (Business As Usual: RCP2.6及びRCP8.5)」と、自然関連の重要なリスク・機会へのアクションの有効性を検討するための「アクションシナリオ (生物多様性に配慮したパーム栽培を実施するシナリオ)」を検討いたしました。
ロ.シナリオ分析の結果
シナリオ分析の結果は表4 (シナリオ分析結果サマリー) 及び図5 (シナリオ分析結果における因果関係図) の通りであります。
表4 シナリオ分析結果サマリー
0102010_015.png(注)RCP2.6は1986年~2005年を基準として1℃前後上昇、RCP8.5は4℃前後上昇する可能性を鑑みたシナリオ
図5 シナリオ分析結果における因果関係図
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図5 (シナリオ分析結果における因果関係図) は、「外的要因」や「当社グループにおける自然への依存・インパクトドライバー」、及びそのインパクトドライバーに起因する「生物多様性への影響」、依存に起因する「事業への影響 (リスク)」、関連する「自然への影響 (機会)」と「アクション」について、それぞれの因果関係を矢印で示し、その因果関係の作用の方向が正か負かを丸で囲んだ矢印で示しております。
図5 (シナリオ分析結果における因果関係図) の各因果関係の詳細 (①~⑧)
①気温上昇がパーム油収量に与える影響
図6 (年平均気温とパーム油収量の関係) 及び図7 (IPCCの気温予測:RCP2.6及びRCP8.5を踏まえたパーム油収量予測) は気温上昇とパーム油収量の関係を表しており、年平均気温27.5℃をピークとして収量が著しく減少することが判明いたしました。この気温と収量の関係に気候変動シナリオを当てはめると、RCP2.6シナリオではサバ州、リアウ州ともに大きな収量減少は想定されない一方で、RCP8.5シナリオではサバ州は2050年においては微減であるものの、2070年には約30%の減少が想定され、リアウ州はRCP比で2050年に約25%の減少、2070年に約40%の減少が想定されております。
図6 年平均気温とパーム油収量の関係
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図7 IPCCの気温予測 (RCP2.6及びRCP8.5) を踏まえたパーム油収量予測
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表8 シナリオ毎の年別想定気温
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②パームの樹齢とパーム油収量の関係
図9 (パームの樹齢とパーム油収量の関係) は、パームの樹齢とパーム油収量の関係を表しており、樹齢9年まではパームの成長とともに直線的に収量が増加する一方、樹齢10年以上で収量は横ばいとなり、樹齢18年以上では収量は減少に転じております。
図9 パームの樹齢とパーム油収量の関係
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図10 (現在のパーム植林の樹齢分布) では、サバ州とリアウ州のパーム植林の樹齢の特徴を表しており、2023年時点でサバ州は樹齢20年以上の老齢林が多く、リアウ州は樹齢10年以下の若齢林が多くなっております。
図10 現在のパーム植林の樹齢分布
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③パームの樹齢と病気罹患率の関係
図11 (パームの樹齢と基部幹腐病罹患率の関係) と図12 (基部幹腐病罹患率の推移 – 地域別) は、パームの樹齢と病気罹患率の関係を表しており、パームの樹齢が上がるにつれて基部幹腐病に罹患する確率が高くなっていることが判明しております。サバ州では、因果関係②で示されるように、樹齢20年以上の老齢林が多いため、将来の基部幹腐病罹患率が指数関数的に上昇する可能性があります。これに対しリアウ州では、新たなパーム植林が拡大し、若齢樹も多いため、病気の罹患率はサバ州と比べると増加率が低いと予測されております。 また、図11に示されるように、パームの植え替えを繰り返し行うことで病気罹患率が上昇することも予測されております。
図11 パームの樹齢と基部幹腐病罹患率の関係
0102010_022.png(注)「パーム第2世代」と「パーム第3世代」は、最初の植栽サイクル (通常25~30年) を終えて植え替えられた新しいパームのことで、それぞれ2回目の植栽サイクル、3回目の植栽サイクルを指す。
図12 基部幹腐病罹患率の推移 – 地域別
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④パームの樹齢及び病気罹患率が収量に与える影響
図13 (樹齢と基部幹腐病罹患率を考慮した時のパーム油収量の推移) は、パームにおける樹齢及び病気罹患率、収量の関係を表しております。サバ州では、病気の拡大を考慮すると、分析対象地域では2015年をピークに収量が減少、さらにその後パーム植林の若齢化に伴い、収量の大幅な減少 (約40%) が推測されます。サバ州と比べ若齢樹が多いリアウ州でも、2030年以降は徐々に収量が減少する可能性が高いとみられております。
図13 樹齢と基部幹腐病罹患率を考慮した時のパーム油収量の推移
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⑤パームの病気罹患率及び気温上昇が収量に与える影響
図14 (基部幹腐病罹患率、気候変動を考慮した時のパーム油収量の推移) は、パームにおける病気罹患率と気温上昇、収量の関係を表しております。サバ州では、パームの植え替えによる収量の激減は避けられないうえ、収量が安定してくる「樹齢10年程度」に成長する2040年以降も、植え替え回数が増加すると連作障害により病気罹患率も高まるため、収量が急激に減少し最盛期の半分程度になると予測されております。リアウ州では2030年前後まで生産規模の拡大が続き、その後は減少局面になるとみられております。RCP2.6シナリオにおける減少勾配は緩やかで、2050年頃までは同水準を維持することが予想されております。
図14 基部幹腐病罹患率、気候変動を考慮した時のパーム油収量の推移
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⑥病気への対策によるパーム油収量改善の効果
図15 (気候変動及び病気への対策を講じた場合の収量の推移) は、病気罹患率上昇によるパーム油収量減少に対するアクションとして、病気への対策の効果を示しております。病気への対策を、パーム植林全体の50%の面積に限定して実施した場合であっても、同90%の面積で実施した場合と近い効果が得られることが判明しております。その効果を地域別に見た場合、サバ州では収量の増加も期待され、リアウ州では収量の低減が抑えられております。
図15 気候変動及び病気への対策を講じた場合の収量の推移 (RCP2.6ベース)
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⑦土地利用の変化による地域の生物多様性への負の影響
図16 (対象地域全体での生物多様性の変動推定) は、土地利用の変化、つまりパーム植林の拡大による生物多様性への負の影響を示しております。推定にあたり、文献などの情報を基に「1992年から2023年にかけて、パーム植林では生物種数が約75%減少、その他の農地では約20%減少、緑の多い市街地では約30%減少、一度破壊された後に自然回復した二次林では約3%減少している」と仮定いたしました。これらの土地利用別の生物種数減少率を、サバ州とリアウ州の対象地域 (200km四方) の土地利用に当てはめることで、対象地域全体の生物多様性がどれくらい減少したのかを推定いたしました。
対象地域では、パーム植林が拡大し始める1992年以前では90%以上の生物多様性が維持されていたにもかかわらず、パーム植林の拡大に伴い、2023年ではサバ州で約85%まで、リアウ州では約65%まで生物多様性が減少していることが推察されております。
図16 対象地域全体での生物多様性の変動推定
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⑧パーム栽培方法の見直しによる生物多様性への正の影響
図17 (パーム栽培方法の見直しによる生物多様性への影響予測) は、パーム植林の拡大による生物多様性への負の影響 (⑦) に対するアクションとして、パームの栽培方法の見直しを実施した場合の生物多様性への正の影響を示しております。今後新たに植栽されるすべてのパーム植林をすじ植え方式で栽培することでパーム植林内の生物多様性が30%増加すると仮定し、今後の生物多様性の変動を予測いたしました。
図17 パーム栽培方法の見直しによる生物多様性への影響予測
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サバ州は、さらなる開発の余地が残っていないほどパーム植林の開発が進んでおり、その急激なパーム植林の増加傾向から、今後一斉に植え替え時期を迎えることによる収量減や病気の拡大が懸念されております。そのためサバ州においては、植え替えの際にすじ植え方式栽培を採用するなど、パーム植林内の生物多様性の向上を目指すことが重要であると考えられております。
リアウ州は現在も森林伐採が増加しており、特に生物多様性が高い沿岸の泥炭地におけるパーム栽培は、海面上昇による高潮被害リスクがあり、病害の発生率も高い地域であります。そのためリアウ州においては、パーム植林内の生物多様性を向上させるよりも、新たな森林伐採、特に違法伐採を拡大させないことが生物多様性の保全上重要であると考えられております。
(戦略D)優先地域
TNFD提言における優先地域とは、マテリアルな地域 (企業にとって重要な自然関連の依存、インパクト、リスク、機会を特定した地域) 又は、要注意地域 (生物多様性にとって重要な地域、生態系の完全性が高い地域などと接する地域) のいずれかの地域であると定義されております。
戦略Aにも記載の通り、評価対象として選定した原材料4品目 (パーム油、カカオ、小麦、エビ) の優先地域の特定にあたっては、マテリアルな地域の主要指標として「当該原材料の調達に必要な生産面積」を、要注意地域の主要指標として「生物多様性重要度(注)」と「生態系の完全性」を採用し、3つの指標を総合的に考慮いたしました。
また、パーム油については、他3品目と異なり、サプライチェーンの上流に位置する搾油工場 (ミル) までのトレーサビリティの確保が進んでいるため、ミルレベル (ミルを中心とした半径50km圏内) での分析も実施いたしました。
(注)原材料を生産、捕獲する地域の生物多様性の重要度。生物群ごとの分布と希少性を基に、保全すべき優先地域を順位付けしたもの
図18 原材料4品目の優先地域 (代表地点)
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イ.ミルレベルでの生物多様性重要度の高い地域の確認
当社グループが調達していると考えられるサプライヤーの名称や所在地 (位置情報) を集約したミルリストをもとに、ミルが所在する周辺50kmの陸域を対象に「生物多様性重要度」を確認いたしました。いずれの地域も高い水準にあることが分かり、ボルネオ島北部のサバ州、マレー半島南部 (マレーシア・ジョホール州など)、スマトラ島が特に高いことが判明いたしました。
図19 マレーシア及びインドネシアにおける生物多様性重要度
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d. TNFDに関するリスクとインパクトの管理
(リスクとインパクトの管理A (ii) )バリューチェーン上流のリスク、機会の特定・評価・優先順位付けプロセス
「リスクとインパクトの管理A」については、「(ⅰ)直接操業」及び「(ⅱ)上流と下流のバリューチェーン」を対象に、「自然関連の依存、インパクト、リスクと機会を特定し、評価し、優先順位付けするための組織のプロセスを説明すること」がTNFDの開示提言となっております。今回当社では、「(ⅱ)上流と下流のバリューチェーン」を分析・評価、及び開示の対象といたしました。
まず、原材料4品目 (パーム油、カカオ、小麦、エビ) における優先地域を特定し、生物多様性への影響を定量的に評価いたしました。また、原材料4品目に対して調達量、社会的関心度の高さ、GHG (温室効果ガス)排出量に占める割合、生態系への負の影響の懸念などを考慮し、シナリオ分析を行う品目と地域を決定いたしました。その結果、パーム油調達地域のうち、マレーシア・サバ州とインドネシア・リアウ州を定量的なシナリオ分析を行う対象地域として選定いたしました。
気候変動シナリオ分析に基づき、2030年~70年の平均気温上昇によるサバ州とリアウ州におけるパーム油収量の長期変化、パーム植林の樹齢増加に伴う病気罹患率リスクの発生時期といった転換点の将来予測を行い、その影響の定量評価と対応策の検討を行っております。
(リスクとインパクトの管理B/C)自然関連のリスク・インパクトの全社マネジメント
自然関連のリスク・インパクトへの対応策は、当社グループの環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」や「カーボンニュートラル」、「ネイチャーポジティブ」の達成に向けたさまざまな戦略と整合性を図りながら、日清食品ホールディングスのサステナビリティ委員会が主管となって今後も検討してまいります。また、自然関連のリスク・インパクトの評価は、当社グループの全体的なリスクマネジメント・プロセスの一環として今後も継続的に実施する予定であります。
また、ガバナンス(A/B)に記載の通り、2025年1月に開催した「サステナビリティ・アドバイザリーボード」では、外部有識者 (久保田 康裕氏/株式会社シンク・ネイチャー代表取締役CEO、琉球大学教授) を招き、TNFD提言に基づく自然関連のリスク、機会の分析結果について当社グループCEOをはじめとする経営層へ報告し、今後の課題及び当社グループが取り組むべき事項について議論いたしました。
(パーム油)
自然関連の依存とインパクトの度合いが大きく、かつ事業における重要性も大きい「パーム油」については、環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」において「持続可能であると判断できるパーム油調達の比率を2030年度までにグループ全体で100%」にすることを目標に掲げており、できる限り早期に達成できるよう取り組んでおります。また、国内即席めん事業については、「持続可能であると判断できるパーム油調達の比率を2025年度までに100%」にすることを目標に掲げております。
さらに、2022年5月にはNDPE(注1)方針を含む「持続可能なパーム油調達コミットメント」の遵守に向けた取り組み指針を策定いたしました。加えて、搾油工場 (ミル) のトレーサビリティ向上を目指し、ミルリストを公開しております。今後は、トレーサビリティ確保の範囲をパーム農園まで拡大するほか、森林・泥炭地破壊のリスクが高い地域を中心とした森林フットプリント(注2)の導入を目指してまいります。
(注)1 No Deforestation, No Peat and No Exploitation (森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ) の略
2 企業のサプライチェーンや金融機関の投融資先の事業が影響を与える森林と泥炭地の総面積
3 持続可能な調達の詳細は当社グループのサステナビリティサイトで公開しております。
(https://www.nissin.com/jp/company/sustainability/environment/procurement/)
e. TNFDに関する測定指標とターゲット
(測定指標とターゲットA)戦略及びリスク管理プロセスに沿って、マテリアルな自然関連リスクと機会を評価し、管理するために使用している測定指標
TNFDの開示提言における、戦略B「自然関連の依存、インパクト、リスクと機会が、当社グループのビジネスモデルやバリューチェーン、戦略、財務計画に与えるインパクト、及び移行計画や分析」については、今後検討する予定であります。
対象とする調達地域をより細かい単位で把握し、それぞれの原材料に合わせた指標で定量評価をする必要があります。
(測定指標とターゲットB)自然に対する依存とインパクトを評価し、管理するために使用している測定指標
戦略Aに記載の通り、「短期・中期・長期にわたって特定した、自然関連の依存、インパクト、リスク、機会」に関して、当社グループが調達する主要原材料9品目 (パーム油、大豆、カカオ、米、小麦、木材パルプ、エビ、イカ、すり身魚) を対象に、各種指標を総合的に評価し、「Locate」以降の分析を行う4品目 (パーム油、カカオ、小麦、エビ) を選定しております。また、分析対象4品目における自然への依存、インパクトについて定性的に評価を実施しております。
パーム油及びカカオに関しては、「依存」のカテゴリーでは「Disease control (病気の制御)」が、「インパクト」のカテゴリーでは「Land use (陸上生態系の利用)」と「Soil pollutants (土壌汚染物質)」が高く出る結果となっております。
エビに関しては、「Marine Ecosystem use (海洋生態系の利用)」による「インパクト」が最も重要である可能性があることが判明いたしました。「依存」のカテゴリーについては、ENCOREにおける「Fibres and other materials (木材、繊維などに直接使用・加工使用されている植物や動物などから採れる素材)」が重要である可能性があります。
(測定指標とターゲットC)自然関連の依存、インパクト、リスクと機会を管理するために使用しているターゲットと目標、パフォーマンス
当社グループは、生物多様性に関連する目標として「持続可能であると判断できるパーム油調達の比率を2030年度までにグループ全体で100%」にすることを掲げており、できる限り早期に達成できるよう取り組んでおります。また、国内即席めん事業については、「持続可能であると判断できるパーム油調達の比率を2025年度までに100%」にすることを目標としております。本目標に関する進捗については、当社グループのウェブサイトの「持続可能な調達(https://www.nissin.com/jp/company/sustainability/environment/procurement/#target)」に詳しく開示しております。
また当社グループは、NDPE方針を含む「持続可能なパーム油調達コミットメント」を遵守するために、油脂加工メーカーとのエンゲージメント構築に加え、サプライチェーンの上流に位置する搾油工場 (ミル) やパーム農園に対する包括的な支援の実施を検討しております。現在、ミルのトレーサビリティ確保や衛星モニタリングツールを活用した森林破壊リスクの分析などを中心に行っており、リスクが高いと判断されたミルについては、購入元の油脂加工メーカーと事実関係を確認し、状況改善に向けた対応策を検討しております。リスクが高いミル周辺のパーム農園に対しては、外部の専門家とともにアンケートやダイアログを通じた現地調査を順次行い、生産地の環境や労働者の人権に対する影響を詳細にモニタリングしております。より詳しい取り組み内容及び進捗については、当社グループのウェブサイトの「持続可能な調達」にて開示しております。
(注)持続可能な調達 - パーム油調達の詳細は当社グループのサステナビリティサイトで公開しております。
(https://www.nissin.com/jp/company/sustainability/environment/procurement/#procurement_materials)
今後、TNFD提言に沿った自然関連の依存、インパクト、リスク、機会 の評価をさらに深めつつ、国際的な動向なども踏まえ、さらなる目標の設定や取組の開示が必要であると認識しており、対応を進めてまいります。
3) 非財務価値の定量化
当社グループが重点的に取り組むESG活動が企業価値にどのような効果があるのか、ESGと企業価値との関係性の分析にも取り組んでおります。その一つが、企業価値を表す指標の一つPBRとの関係性の分析であります。ESG活動が何年後のPBRに効果をもたらすかを、学術的に信頼度の高い手法を使い分析しております。2024年に3回目となる本分析を実施した結果、CO2排出量の削減を行うと5年後に1.2%(2年目の分析では9年後に+0.8%)PBRが向上するなど、当社グループが重点的に取り組んでいるESG活動と企業価値向上との間に相関関係があることを定量的に確認することができております。
またESG指標同士の相関性を分析し、各ESGの取組がどのような経路を辿り企業価値の向上に繋がるのか、ストーリーの形で明らかにいたしました。「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」の主要な取組がどのように財務価値につながるのかを可視化いたしました。例えば、エネルギー投入量に対する施策を行うことでCO2排出量は削減され、CO2排出量を削減したことで、自社が保有しているメディアで発信する機会が増加し、メディアで発信する機会を増やしたことで外部からの評価が向上し、地域や社会におけるブランド価値向上につながると考えております。次にブランド価値が上がると消費者の購買が増え売上が伸び、最終的には、当社グループが経営指標として掲げるEPSとPERが成長・拡大しシェアホルダー価値につながってまいります。引き続き非財務指標の分析に挑戦し、ESG活動と企業価値の関係性を明らかにしていきたいと考えております。
a. 俯瞰型分析
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b. 価値関連性分析
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4) コミュニティ投資
当社グループは、日清食品の創業者である安藤百福が創設した「公益財団法人安藤スポーツ・食文化振興財団」の理念「食とスポーツは健康を支える両輪である」に賛同し、子どもたちの健全な心身の育成のためのスポーツ振興事業と食文化の向上に貢献する事業活動をサポートしております。同財団の活動は、全国小学生陸上競技交流大会などのスポーツ支援、自然体験活動の企画コンテストやロングトレイルの普及・振興事業、独創的な基礎研究・食品開発・ベンチャーを対象にした表彰事業などの食文化振興事業、体験型食育ミュージアム「安藤百福発明記念館」運営の4つの事業活動が柱となっております。当社グループは、2021年度より、同財団とともに、食科学の発展に寄与する研究に取り組む大学院生を支援する給付型奨学金「日清食品・安藤百福 Scholarship」を設立し、返済義務のない奨学金の給付をスタートさせております。2024年度は大学院生100名に年100万円の奨学金を給付しております。また、当社グループは、同財団とともに、142か国で共同調査を行い、2023年度に食と主観的ウェルビーイングの関係を世界で初めて明らかにした「Recipes for Wellbeing Report」を、2024年度には、「食」と「ウェルビーイング」の強い関係性を改めて立証する第2回調査研究レポート「Nourishing Wellbeing」を発表いたしました。今後も「ウェルビーイング」の向上につながる「食」のあり方を大学や国際機関などと連携しながら探究してまいります。
5) 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
a. 人材に対する考え方
「企業在人・成業在天」
0102010_033.pngこの言葉は、創業者の安藤百福が2007年に社員に向けて年頭のメッセージとして記したものであります。
「企業は人である。人に対する評価がそのまま企業の評価につながる。また成業とは、大衆の声が天に通じたときに、はじめて大きな評価として返ってくるものだ。」という意味が込められております。
この言葉にも象徴されるように、かねてより当社グループは「人材」を企業価値の源泉として捉えてまいりました。

創業者は以下の言葉も残しております。我々日清食品グループは社員が仕事と職場環境を通じて人間として成長できる機会を提供することを使命と考えております。
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b.人的資本開示の方針
2024年3月に人的資本に関する情報開示の国際的なガイドライン「ISO 30414」の認証を、食品企業として世界で初めて取得いたしました。また、認証取得に合わせ、当社グループの人的資本に関する取組をまとめた「Human Capital Report」を発行しております。
また、開示状況や取組内容を評価され、「人的資本調査 2024」(企画・運営:一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム、HR総研、MS&ADインターリスク総研株式会社)で「人的資本リーダーズ 2024」と「人的資本経営品質 ゴールド」に選定されております。
人的資本開示の要請が高まる中、積極的に現状の人的資本情報を開示することで様々なステークホルダーの皆様と対話を実施し、フィードバックをいただくことで、当社の人的資本の取組を高度化していきたいと考えております。
0102010_035.png(注)「Human Capital Report 2024」は当社グループのウェブサイト(https://www.nissin.com/jp/)で公開しております。
c. 組織人材ポリシー(人材育成方針)
創業者が世界初の即席めんである「チキンラーメン」、世界初のカップめんである「カップヌードル」を、さらに宇宙でも食べられる世界初の即席めんである「スペース・ラム」を生涯かけて創造したように、当社グループでは常に新しい食の文化を創造しつづける「EARTH FOOD CREATOR(食文化創造集団)」であることをグループのビジョンとしております。
そのためには、多様な彩りや専門性を持った社員が互いに尊重し合い、グループのミッション・ビジョン・バリューに共感し、「EARTH FOOD CREATOR(食文化創造集団)」の一員として仕事を楽しみ、働きがいを感じながら活躍できる状態を目指しております。また自らが希望するキャリアを実現し、仕事を通して生涯成長できるよう様々な機会を提供することで、当社グループの持続的な成長を図ってまいります。
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d. 社内環境整備
イ.ハングリーで自律的なキャリア形成
当社グループは、社員が自らハングリーな気持ちで学び、キャリアを実現することを奨励しております。
社員のチャレンジを後押しするために2020年にはスキルやリーダーシップ等を学ぶ場として企業内大学“NISSIN ACADEMY”を設立いたしました。部門独自の専門的スキルを学ぶ講座、汎用的なビジネススキルを学ぶ講座、リーダーとして必要な資質やスキルを学ぶ講座など多数取り揃えております。
2024年には社員のデジタルリテラシーを向上させるべく、「NISSIN DIGITAL ACADEMY」を開講いたしました。「データ活用」、「アプリ開発」、「生成AI」など7つの重点領域ごとに用意された多彩なカリキュラムを、社員はオンラインで自由に受講することが可能となっております。
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2023年度からはラーニングマネジメントシステムを導入し、学びの情報を集約化・充実化させております。いつでもどこでもアクセスできる環境を整備することで、自律的な学びを支援してまいります。
また、よりチャレンジングな目標を設定し達成した社員に報いるために、2021年には人事制度を改定いたしました。一人ひとりの社員が日々の仕事の中で成長を実感できるように、上司とメンバーとの1on1ミーティングや成長実感会議(半期に一度、部門の管理職が集い、社員一人ひとりの成長度や今後のキャリアを議論する人材レビュー会議)といった仕組みも取り入れております。
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当社グループでは、働き方に対する考え方の多様化に対応するため、管理職を対象とした「日清流Job型」制度を2024年度から導入いたしました。
従来取り入れていた社員の能力と経験に基づき等級を決定する「職能等級制度」に加え、特定のスキルを持つ人材の確保・育成を目的とした「プロフェッショナルコース」や、次世代リーダー候補の早期育成を目的としたコースを取り入れているのが「日清流Job型」の特徴であります。
さらに、職務内容を詳細に記述した「ジョブディスクリプション」や就任要件を社内外に明示することで、社員のキャリアデザインをサポートするとともに、外部からの登用促進にもつなげております。
また“意欲ある人が良い仕事をする”という信念のもと、公募制度を活性化させており、多くの社員が自らの意思で希望するキャリアに就いて活躍しております。公募ポストの就任要件と社員のスキル・経験とのマッチ度を表示させており、希望するキャリアへのステップを描きやすくしております。これらの一連の制度や取組を通して、適所適材を実現してまいります。0102010_040.png

<経営者人材育成>
当社グループが「EARTH FOOD CREATOR(食文化創造集団)」として持続的に成長するために、経営者人材を育成することは最重要課題の一つと捉えております。主要ポストを設定し、当該ポストに必要なスキル・経験を定義づけ、後継者候補一人ひとりに対してジョブローテーションを含む育成計画を策定し、年に一度、CEOと部門長による面談で育成の進捗を確認しております。また、経営者に必要なマインドセットや知識・スキルを習得する研修プログラムを継続的に実施しております。
現状のキーポストの後継者継承準備率(5年以内)は229%となっております。今後は250%以上を目指して計画的な人材育成に取り組んでまいります。
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また、経営者人材の育成には、できるだけ早い時期からマネジメント経験を積むことが重要であると考えております。
これまでも、公募制度を活用し、非管理職の若年層でも自ら手を挙げ、管理職ポストにチャレンジし、活躍している社員も多くおりましたが、早期にマネジメントにチャレンジできるポストを設定し、多くの候補者を抜擢することでマネジメント人材プールを厚くしてまいります。
<グローバル人材育成>中長期成長戦略2030において、海外事業の更なる拡大を目指す中、グローバルで活躍できる人材プールを拡充することが急務となっており、現地法人ごとの人材要員計画と人材プールの見える化を実施しながら、充足のための採用・育成・定着施策を強化しております。
グローバルで活躍する人材プールを充足するために、海外勤務志向を高めるためのグローバル・キャリアパスの提示、若手社員を対象とした海外トレーニー制度の活性化、市場競争力のある処遇とライフイベントとの両立がし易くなるような評価報酬・福利厚生制度の充実、これらを推進するための専任組織の組成などの仕組みづくりを推進しております。
2024年度は経営課題であるグローバルビジネスのさらなる飛躍を実現するための足掛かりとして、Global HR Meetingを開催いたしました。拡大する海外事業展開を支える人事機能拡充に向けた基盤づくりを狙いとしており、「グローバル人材プールの形成」、「グローバル人事インフラの構築」、「グローバルコミュニケーション・企業理念の浸透」を実現するための取組の一つであります。0102010_042.png

ロ.当社グループのバリューへの共感
世界中で活躍する全社員が一体感を持って仕事をするため、また、全ての活動の拠り所として当社グループのミッション・ビジョン・バリューと行動指針である日清10則の浸透に力を入れております。
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年に7、8回開催する朝礼でトップメッセージを発信したり、入社時や周年イベントとして理念研修を実施したり、チーム単位で創業者精神やビジョン等をディスカッションする職場ミーティングを年2回実施したりと、あらゆるタッチポイントで啓発を行っております。また、様々な社内施策では、バリューである“Unique”、“Creative”、“Happy”、“Global”を社員が体感できるように工夫をしております。
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当社グループのミッション・ビジョン・バリューを体現する創造的な仕事を表彰する“NISSIN CREATORS AWARD”を年に1回実施しております。世界各地の事業会社・多様な職種から多数のエントリーがあり、役員による審査とともに従業員投票を実施することで全社員参加型のイベントとしております。表彰候補案件に対し、功績が生み出されたプロセスを動画配信することで、受賞者の行動や想いを伝えて、「EARTH FOOD CREATOR(食文化創造集団)」としてのスピリットを伝承していきたいと考えております。また社員の様々な創造的な仕事を理解し、互いに称え合い高め合う文化を創出しております。
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ハ.多様性の尊重
当社グループは、「EARTH FOOD CREATOR(食文化創造集団)」であり続けるために、多様な強み・専門性を持った人材の採用、起用を積極的に進めております。
さらに「日清食品グループ人権方針」では人種、民族、国籍、宗教、信条、出身地、性別、性的指向、性自認、年齢、障がい等に基づく差別及びハラスメントの禁止を明示しており、多様な属性や価値観を持つ社員を尊重し、活躍できる職場を目指し、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(以下「DE&I」という。)を推進してまいりました。
DE&Iの中でも女性活躍推進を経営の優先課題として捉え、育児と両立しながら働きやすい就業制度や社内の意識改革に力を入れてまいりました。その結果として国内中核企業において「プラチナくるみん(2019年認定)」、「準なでしこ(2019年、2020年認定)」に選定されております。現状は男性社員の育児参加を促すための啓発活動も実施しております。
働きやすさに加え、重要なポジションで女性の活躍を増やしていけるよう、2025年度末の女性管理職比率10%を数値目標として掲げております。また、経団連が推進する「2030年30%へのチャレンジ」に賛同し、女性の人材プールの拡充と育成を推進しております。
目標を達成するため、各部門での数値目標の設定、役員自らが育成にコミットするスポンサープログラムの実施、ダイバーシティ環境下でのマネジメントを学ぶ上司向けプログラムや女性自身のリーダーシップを開発するプログラムの実施、女性同士のネットワーク形成など、多方面で推進施策を行っております。
女性活躍推進施策として、各役員がスポンサーとなり、女性管理職及び候補者(スポンシー)の上位等級への登用を支援する「スポンサープログラム」を継続実施しております。スポンサーとスポンシーが1on1で定期的に面談し、一人ひとり個別の育成課題に沿った年間育成計画をすりあわせております。2024年度にはスポンサーである役員が集い、育成の好事例を紹介し合う勉強会を実施いたしました。スポンサープログラム対象者の管理職(上級含む)登用率は48%と実績が出てきております。
0102010_047.png(注)スポンサープログラム対象者の昇格率:2021年度以降プログラム対象者(当社グループ全体)のうち、係長級以上について上位等級への昇格割合を算出
女性社外取締役・監査役と当社幹部候補管理職による、DE&Iを題材とした座談会を実施いたしました。当社グループにおいてDE&Iを進めるにあたっての課題について、活発なディスカッションを実施し、双方気づきの多い時間となりました。
また、女性のリーダーシップ開発を目的とした「カタリスト研修」を継続実施しており、女性が感じやすいインポスター症候群の解消や、受講者同士のネットワーキングに繋がっております。本研修の前後に受講者の「管理職への昇格意欲」を確認したところ、ポジティブ回答者(7段階中6以上)の割合は研修前28%に対し、研修後は88%と大きく伸びており、施策効果を実感できております。
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中長期成長戦略実現には在籍している社員の育成だけではなく、外部人材の活躍が必要との認識のもと、新卒採用のみならずイノベーションの牽引役となるような専門人材や、グローバル経営人材のキャリア採用も推進しており、即戦力となる人材の採用に努めております。現在は社員の半数以上をキャリア採用社員が占めております。キャリア採用社員が早期に職場適応できるよう、会社全体でのオンボーディングプログラムを充実化させております。
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ニ.健康経営
当社グループは全従業員が常に健康な状態を維持し、能力を最大限に発揮して業務にあたることを重要な経営課題の一つと考えております。2018年8月に「日清食品グループ健康経営宣言」を策定し、健康経営の具体的な推進体制を構築いたしました。
従業員一人ひとりの「Well-Beingと高いパフォーマンスの同時達成」を目的に、「従業員の働きがい」をKPIとして設定し、当社代表取締役社長・CEOの安藤宏基が責任者となり健康経営を推進しております。具体的には、産業保健体制を強化するために、生活習慣病の早期発見、早期治療を目的として、法定健診を上回る項目数で健康診断を実施しているほか、産業医、保健師、看護師による健診結果の分析や保健指導、健康相談を実施しております。
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また、社員の心身の状態や症状を把握するため、プレゼンティーイズム調査やエンゲージメント調査を定期的に実施するとともに、その調査結果を社員にフィードバックすることで、運動促進プログラムや健康に関するオンラインセミナーなど、心身の状態を良好に保つために会社が用意した施策を、社員自身が各自の状態に応じて選択できるようにしております。
ほかにも、生理痛やPMS(月経前症候群)、不妊、妊娠・出産などライフステージによって生じる健康課題の解決につながる施策として、低用量ピル処方の費用補助、妊活やキャリアに関する相談サービスの提供、月経や更年期に関する正しい知識の啓発にも取り組んでいます。
こうした取組が評価され、「健康経営優良法人2025」の大規模法人部門において、特に優良な健康経営を実践している企業の1つとして「ホワイト500」に7年連続で認定されております。当社グループは、社員の生活に寄り添った健康増進活動の支援や、社員が健康に働ける労働環境づくりに向けて、これからも積極的に健康経営を推進してまいります。0102010_051.png

IRBANK 採用情報

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