有価証券報告書-第78期(2025/04/01-2026/03/31)
(2)戦略
当社グループは、人類を「食」の楽しみや喜びで満たすことを通じて社会や地球に貢献する「EARTH FOOD CREATOR」をグループ理念に掲げ、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しております。当社グループが果たすべき責任、取り組むべき社会課題は、食の安全管理体制の構築や環境負荷の低減、ガバナンスの確立など幅広い領域に及んでおります。その中でも、当社グループが特に力を入れて取り組むべき重要な経営課題=マテリアリティを特定しております(「健康と栄養」、「製品の安全・安心」、「気候変動」、「人財開発」、「生物多様性」、「森林破壊」、「持続可能なバリューチェーンマネジメント」)。なお、その他の課題に関しては、主要なESG評価機関からの評価を各部門のKPIとして戦略を策定し、施策を実行しております。
1) 気候変動などへの対応
近年、気候変動をはじめとする地球規模での環境問題が顕在化する中、世界中の人々の食を支えるグローバルカンパニーとして、より高いレベルでの環境対策推進を重要経営課題と位置付け、中長期成長戦略の一つとして環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」を2020年4月に策定しております。
環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」は、地球資源を取り巻く環境の保護及び資源の有効活用に挑戦する「資源有効活用へのチャレンジ (EARTH MATERIAL CHALLENGE)」と、当社グループの事業活動全般におけるCO2排出量削減に挑戦する「気候変動問題へのチャレンジ (GREEN FOOD CHALLENGE)」の2つを柱としております。「EARTH MATERIAL CHALLENGE」では「地球にやさしい調達」、「地球資源の節約」、「ごみの無い地球」の3つを、「GREEN FOOD CHALLENGE」では「グリーンな電力で作る」、「グリーンな食材で作る」、「グリーンな包材で届ける」の3つを活動テーマに据えております。
また、特に気候変動問題を、重要な経営リスクの1つとして位置付けております。原材料価格の高騰や製造工場の被害、消費者の購買活動の変化など、当社グループの事業は、気候変動によってさまざまな影響を受けるためであります。当社グループでは、2019年度に事業活動に気候変動が及ぼす影響を把握するために、プロジェクトチームを立ち上げ、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言を踏まえたシナリオ分析・インパクト評価を実施いたしました。分析には、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の温暖化の進行に関するシナリオ(RCP:代表的濃度経路)(注)と社会経済に関するシナリオ(SSP:共通社会経済経路)を用い、TCFDが求める2℃シナリオを含む複数の異なる条件下で分析いたしました。結果の概要は以下となっております。
(注)RCP2.6(1986~2005年を基準としておおよそ1℃前後の上昇)、RCP6.0(おおよそ2℃前後の上昇)、RCP8.5(おおよそ4℃前後の上昇)の3つのシナリオを活用
主なリスクによる事業への影響度とその対応策
(注) 分析結果の詳細は当社グループのサステナビリティサイトで公開しております。
(https://www.nissin.com/jp/sustainability/)
また、2050年までにCO2排出量と吸収量を“プラスマイナスゼロ”にする「カーボンニュートラル」を2022年11月に宣言しております。
2) 生物多様性(TNFD(注1))への対応
当社グループの事業活動が生物多様性に与える影響を把握するため、当社は2023年に、TNFD(注1)が発表した「TNFD自然関連リスクと機会管理・情報開示フレームワークベータ版v0.3」を参考に、LEAPアプローチ(注2)を用いた自然関連リスク・機会評価をトライアルで実施し、その結果を開示いたしました。2024年には、評価対象とする調達品目 (原材料) の見直しを行ったうえで、「TNFD最終提言 v1.0」の開示推奨項目に基づき、より詳しい自然関連リスク・機会評価を実施いたしました。
(注)1 TNFD (Taskforce on Nature-related Financial Disclosures: 自然関連財務情報開示タスクフォース) は、民間企業や金融機関が自然資本及び生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価、開示するための枠組みを構築する国際的なイニシアチブ
2 TNFDが提唱する自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づき体系的に評価するためのプロセス。分析のスコープを選定した上で、自然との接点を発見する「Locate」、自然への依存とインパクトを診断する「Evaluate」、自然に関する重要なリスクと機会を評価する「Assess」、リスクと機会に対応しステークホルダーに報告する準備を行う「Prepare」の4ステップの順に進めることが特徴
分析は、当社グループが調達する主要原材料9品目(パーム油、大豆、カカオ、米、小麦、木材パルプ、エビ、イカ、すり身魚)を対象に、生物多様性に関する各種指標をもとに総合的に評価し、LEAPアプローチの「Locate」以降の分析対象として、4品目(パーム油・カカオ・小麦・エビ)を選定しました。
分析の結果、パーム油とカカオの生産地においては、プランテーション作物の単一樹種栽培が、基部幹腐病などの感染・蔓延を助長しやすい環境を生み出していることが明らかになりました。小麦については、オーストラリア西部における生産で水不足の懸念があるものの、当該地域では天水(自然降水)が活用され対応できていることがわかりました。また、エビに関しては、過去の研究データに基づき、人為的な活動が漁獲量の減少を引き起こしている可能性があるとの分析結果が示されています。

さらに、自然関連の依存・インパクト、ならびに調達量の観点から事業上の重要性が高いパーム油について、優先地域を対象にシナリオ分析を実施し、リスクと機会を検討しました。
その結果、分析対象地域のマレーシア・サバ州及びインドネシア・リアウ州では、気温上昇や病害の拡大など複数の要因が重なり、将来的に収量が大幅に減少する可能性が示されました。また、病害対策を講じずに植林を拡大した場合、土地利用の転換(森林・泥炭地から農地)を通じて、2070年までに生物多様性が損なわれ、収量が30~40%減少する可能性も明らかになりました。さらに、当該地域では、パーム植林が拡大し始める1992年以前は90%以上の生物多様性が維持されていたものの、パーム植林拡大に伴い、2023年時点ではサバ州で約85%、リアウ州では約65%まで減少していると推察されました。また、サバ州では、病害に強い農地利用を推進するなど、植林内の生物多様性向上を図ることが病害対策及び収量改善に有効と考えられます。一方、リアウ州では、土地の特性を加味すると、植林内の生物多様性向上よりも、新たな森林伐採の抑制が生物多様性保全にとって重要であることが示されました。

当社グループではこれまでも、持続可能な調達方針及びNDPEの考え方に基づき、環境及び人権に配慮したパーム油調達を推進してきました。今後も、認証制度の活用やサプライヤーとのエンゲージメントを通じて、原産地における森林破壊や生物多様性への影響の低減に取り組んでいきます。あわせて、搾油工場単位でのトレーサビリティ管理や衛星モニタリングを活用し、高リスク地域における状況把握と是正対応を強化していきます。
当社グループでは、これらの取り組みを通じて、分析結果で特定されたリスクへの対応を具体化するとともに、サプライヤーと連携しながら自然関連リスクの回避・軽減を進め、持続可能な事業運営につなげていきます。
(注) 分析結果の詳細は当社グループのサステナビリティサイトで公開しております。
(https://www.nissin.com/jp/sustainability/)
3) 非財務価値の定量化
当社グループが重点的に取り組むESG活動が企業価値にどのような効果があるのか、ESGと企業価値との関係性の分析にも取り組んでおります。その一つが、企業価値を表す指標の一つPBRとの関係性の分析であります。ESG活動が何年後のPBRに効果をもたらすかを、学術的に信頼度の高い手法を使い分析しております。2024年に3回目となる本分析を実施した結果、CO2排出量の削減を行うと5年後に1.2%(2年目の分析では9年後に+0.8%)PBRが向上するなど、当社グループが重点的に取り組んでいるESG活動と企業価値向上との間に相関関係があることを定量的に確認することができております。
またESG指標同士の相関性を分析し、各ESGの取組がどのような経路を辿り企業価値の向上に繋がるのか、ストーリーの形で明らかにいたしました。「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」の主要な取組がどのように財務価値につながるのかを可視化いたしました。例えば、エネルギー投入量に対する施策を行うことでCO2排出量は削減され、CO2排出量を削減したことで、自社が保有しているメディアで発信する機会が増加し、メディアで発信する機会を増やしたことで外部からの評価が向上し、地域や社会におけるブランド価値向上につながると考えております。次にブランド価値が上がると消費者の購買が増え売上が伸び、最終的には、当社グループが経営指標として掲げるEPSとPERが成長・拡大しシェアホルダー価値につながってまいります。2025年度は、社会的インパクトの算出や関連するコンソーシアムへ参加しフレームワーク等の検討を行いました。引き続き非財務指標の分析に挑戦し、ESG活動と企業価値の関係性を明らかにしていきたいと考えております。
a. 俯瞰型分析

b. 価値関連性分析

4) コミュニティ投資
当社グループは、日清食品の創業者である安藤百福が創設した「公益財団法人安藤スポーツ・食文化振興財団」の理念「食とスポーツは健康を支える両輪である」に賛同し、子どもたちの健全な心身の育成のためのスポーツ振興事業と食文化の向上に貢献する事業活動をサポートしております。同財団の活動は、全国小学生陸上競技交流大会などのスポーツ支援、自然体験活動の企画コンテストやロングトレイルの普及・振興事業、独創的な基礎研究・食品開発・ベンチャーを対象にした表彰事業などの食文化振興事業、体験型食育ミュージアム「安藤百福発明記念館」運営の4つの事業活動が柱となっております。当社グループは、2021年度より、同財団とともに、食科学の発展に寄与する研究に取り組む大学院生を支援する給付型奨学金「日清食品・安藤百福 Scholarship」を設立し、返済義務のない奨学金の給付をスタートさせております。2025年度は大学院生100名に年100万円の奨学金を給付しております。また、当社グループは、同財団とともに、142か国で共同調査を行い、2023年度に食と主観的ウェルビーイングの関係を世界で初めて明らかにした「Recipes for Wellbeing Report」を、2024年度には、「食」と「ウェルビーイング」の強い関係性を改めて立証する第2回調査研究レポート「Nourishing Wellbeing」を発表いたしました。今後も「ウェルビーイング」の向上につながる「食」のあり方を大学や国際機関などと連携しながら探究してまいります。
5) 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
a. 人財に対する考え方
「企業在人・成業在天」
創業者は以下の言葉も残しております。我々日清食品グループは社員が仕事と職場環境を通じて人間として成長できる機会を提供することを使命と考えております。

b.人的資本開示の方針
2024年3月に人的資本に関する情報開示の国際的なガイドライン「ISO 30414」の認証を、食品企業として世界で初めて取得いたしました。また、認証取得に合わせ、当社グループの人的資本に関する取組をまとめた「Human Capital Report」を発行しております。
また、開示状況や取組内容を評価され、「人的資本調査 2024」(企画・運営:一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム、HR総研、MS&ADインターリスク総研株式会社)で「人的資本リーダーズ 2024」と「人的資本経営品質 ゴールド」に選定されております。
人的資本開示の要請が高まる中、積極的に現状の人的資本情報を開示することで様々なステークホルダーの皆様と対話を実施し、フィードバックをいただくことで、当社グループの人的資本の取組を高度化していきたいと考えております。

(注)「Human Capital Report 2025」は当社グループのウェブサイト(https://media.www.nissin.com/jp/company/sustainability/assets/pdf/HumanCapitalReport2025_ja.pdf)で公開しております。
c. 中期人財戦略(人財育成方針)
創業以来の人財重視の考え方を基盤に、当社グループは、企業戦略との連動性を一層高めるため中期人財戦略を新たに策定しました。経営体制の整備、グローバル及び国内の人財基盤強化並びにこれらを支える組織力の向上を通じて、成長戦略の実現を図ってまいります。

d. 社内環境整備
イ.経営体制の整備
ロ.Global One Nissinの構築
当社グループは、グローバルでの事業展開を支えるため、全球的な人財マネジメントの仕組みづくり=グローバルHQ人事体制の強化を図り、Global One Nissin の構築を目指します。
具体的には、グローバルのHR部門との連携を一層強化し、評価・報酬・次世代人財育成等について、グループ共通の思想や方針を整理し、グローバルに一貫性ある人財マネジメント基盤を整備してまいります。
一方、各国・各地域の事業特性や人財市場、法制度等を踏まえ、それぞれのニーズに応じた人事政策も尊重し、柔軟性ある運営体制を目指します。
グローバル全体最適とローカル最適の両立を図り、グローバル経営を支える人財マネジメント体制の高度化を進めてまいります。
ハ.国内事業組織・人財の更なる強化
当社グループは、国内事業の更なる競争力強化や、グローバル経営を担う次世代人財の継続的な輩出に向け、国内グループの組織力向上、人財育成機能の強化に取り組んでまいります。
社員に対し、自律的なキャリア形成の支援や成長機会を提供することで、一人ひとりの能力や経験を最大限引き出し、働きがい・やりがいに満ちたエンゲージメントの高い組織・人財づくりを通じて、組織パフォーマンスの最大化を目指します。
また、国内グループ横断的に、採用・育成・配置といった人事オペレーションの質や生産性の向上を図っていくことで、より効果・効率的な人財配置や育成を行います。
国内における将来の市場環境の変化を見据えつつ、柔軟で筋肉質な組織・人財づくりを進めてまいります。
ニ.組織力の向上
当社グループでは、常に新しい食の文化を創造し続ける「EARTH FOOD CREATOR(食文化創造集団)」であり続けることをグループのビジョンとしています。
多様な彩りや専門性を持った社員が互いに尊重し合い、グループのミッション・ビジョン・バリューに共感し、グループの一員として仕事を楽しみ、Well-beingで働きがいを感じながら活躍できる状態を目指しています。
どのような事業環境においても、日清ismを継承した多種多様な属性の社員たちが、しなやかに、柔軟に、組織力を高めていけるよう、引き続き様々な取り組みを実施してまいります。

当社グループは、人類を「食」の楽しみや喜びで満たすことを通じて社会や地球に貢献する「EARTH FOOD CREATOR」をグループ理念に掲げ、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しております。当社グループが果たすべき責任、取り組むべき社会課題は、食の安全管理体制の構築や環境負荷の低減、ガバナンスの確立など幅広い領域に及んでおります。その中でも、当社グループが特に力を入れて取り組むべき重要な経営課題=マテリアリティを特定しております(「健康と栄養」、「製品の安全・安心」、「気候変動」、「人財開発」、「生物多様性」、「森林破壊」、「持続可能なバリューチェーンマネジメント」)。なお、その他の課題に関しては、主要なESG評価機関からの評価を各部門のKPIとして戦略を策定し、施策を実行しております。
1) 気候変動などへの対応
近年、気候変動をはじめとする地球規模での環境問題が顕在化する中、世界中の人々の食を支えるグローバルカンパニーとして、より高いレベルでの環境対策推進を重要経営課題と位置付け、中長期成長戦略の一つとして環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」を2020年4月に策定しております。
環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」は、地球資源を取り巻く環境の保護及び資源の有効活用に挑戦する「資源有効活用へのチャレンジ (EARTH MATERIAL CHALLENGE)」と、当社グループの事業活動全般におけるCO2排出量削減に挑戦する「気候変動問題へのチャレンジ (GREEN FOOD CHALLENGE)」の2つを柱としております。「EARTH MATERIAL CHALLENGE」では「地球にやさしい調達」、「地球資源の節約」、「ごみの無い地球」の3つを、「GREEN FOOD CHALLENGE」では「グリーンな電力で作る」、「グリーンな食材で作る」、「グリーンな包材で届ける」の3つを活動テーマに据えております。
また、特に気候変動問題を、重要な経営リスクの1つとして位置付けております。原材料価格の高騰や製造工場の被害、消費者の購買活動の変化など、当社グループの事業は、気候変動によってさまざまな影響を受けるためであります。当社グループでは、2019年度に事業活動に気候変動が及ぼす影響を把握するために、プロジェクトチームを立ち上げ、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言を踏まえたシナリオ分析・インパクト評価を実施いたしました。分析には、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の温暖化の進行に関するシナリオ(RCP:代表的濃度経路)(注)と社会経済に関するシナリオ(SSP:共通社会経済経路)を用い、TCFDが求める2℃シナリオを含む複数の異なる条件下で分析いたしました。結果の概要は以下となっております。
(注)RCP2.6(1986~2005年を基準としておおよそ1℃前後の上昇)、RCP6.0(おおよそ2℃前後の上昇)、RCP8.5(おおよそ4℃前後の上昇)の3つのシナリオを活用
主なリスクによる事業への影響度とその対応策
| 主なリスク | 想定される事業への影響 | 主な対応策 (財務影響軽減策) | |
| 移行 リスク | 炭素税・国境炭素税などの規制 | SBT目標WB2℃(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準)に向け、取り組まなかった場合の影響額は2030年3,747百万円/年、2050年7,323百万円/年となった。SBT目標WB2℃を達成した場合の影響額は2030年2,623百万円/年、2050年1,465百万円/年となる。 | 製造工場への省エネ設備やシステムの導入、再生可能エネルギーの導入拡大、環境に配慮した製品の販売 |
| 物理 リスク | 水リスク | 洪水:リスクが高いと見られる製造拠点は国内4拠点、海外1拠点 | 製造工場などにおける水リスクの多角的な分析調査 |
| 高潮:リスクが高いと見られる製造拠点は国内4拠点 | |||
| 干ばつ:評価時点と比較して、2055年及び2090年までにリスクが増大すると判明した拠点は南米と欧州の拠点 | |||
| 水ストレス:国内で4拠点、海外で7拠点 | 水の再利用などをはじめとした製造工場における効率的な水の使用 | ||
| 原材料調達先の変遷 | 小麦:オーストラリアにおける小麦の2000年比面積単位収穫量はRCP2.6及びRCP6.0で増加、アメリカ、カナダは変化なし | 植物代替肉や培養肉などの開発、植物代替肉や培養肉などを利用した製品の開発、持続可能なパーム油の調達 | |
| 大豆:2000年比面積単位収穫量は、RCP2.6では増加傾向、RCP6.0とRCP8.5では減少傾向 | |||
| エビ・イカ:RCP2.6では大きな変化はなし、RCP8.5では漁獲量が減少 | |||
| パーム油:RCP2.6では収穫量減少の懸念あり、RCP8.5では収穫量減少 |
(注) 分析結果の詳細は当社グループのサステナビリティサイトで公開しております。
(https://www.nissin.com/jp/sustainability/)
また、2050年までにCO2排出量と吸収量を“プラスマイナスゼロ”にする「カーボンニュートラル」を2022年11月に宣言しております。
2) 生物多様性(TNFD(注1))への対応
当社グループの事業活動が生物多様性に与える影響を把握するため、当社は2023年に、TNFD(注1)が発表した「TNFD自然関連リスクと機会管理・情報開示フレームワークベータ版v0.3」を参考に、LEAPアプローチ(注2)を用いた自然関連リスク・機会評価をトライアルで実施し、その結果を開示いたしました。2024年には、評価対象とする調達品目 (原材料) の見直しを行ったうえで、「TNFD最終提言 v1.0」の開示推奨項目に基づき、より詳しい自然関連リスク・機会評価を実施いたしました。
(注)1 TNFD (Taskforce on Nature-related Financial Disclosures: 自然関連財務情報開示タスクフォース) は、民間企業や金融機関が自然資本及び生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価、開示するための枠組みを構築する国際的なイニシアチブ
2 TNFDが提唱する自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づき体系的に評価するためのプロセス。分析のスコープを選定した上で、自然との接点を発見する「Locate」、自然への依存とインパクトを診断する「Evaluate」、自然に関する重要なリスクと機会を評価する「Assess」、リスクと機会に対応しステークホルダーに報告する準備を行う「Prepare」の4ステップの順に進めることが特徴
分析は、当社グループが調達する主要原材料9品目(パーム油、大豆、カカオ、米、小麦、木材パルプ、エビ、イカ、すり身魚)を対象に、生物多様性に関する各種指標をもとに総合的に評価し、LEAPアプローチの「Locate」以降の分析対象として、4品目(パーム油・カカオ・小麦・エビ)を選定しました。
分析の結果、パーム油とカカオの生産地においては、プランテーション作物の単一樹種栽培が、基部幹腐病などの感染・蔓延を助長しやすい環境を生み出していることが明らかになりました。小麦については、オーストラリア西部における生産で水不足の懸念があるものの、当該地域では天水(自然降水)が活用され対応できていることがわかりました。また、エビに関しては、過去の研究データに基づき、人為的な活動が漁獲量の減少を引き起こしている可能性があるとの分析結果が示されています。

さらに、自然関連の依存・インパクト、ならびに調達量の観点から事業上の重要性が高いパーム油について、優先地域を対象にシナリオ分析を実施し、リスクと機会を検討しました。
その結果、分析対象地域のマレーシア・サバ州及びインドネシア・リアウ州では、気温上昇や病害の拡大など複数の要因が重なり、将来的に収量が大幅に減少する可能性が示されました。また、病害対策を講じずに植林を拡大した場合、土地利用の転換(森林・泥炭地から農地)を通じて、2070年までに生物多様性が損なわれ、収量が30~40%減少する可能性も明らかになりました。さらに、当該地域では、パーム植林が拡大し始める1992年以前は90%以上の生物多様性が維持されていたものの、パーム植林拡大に伴い、2023年時点ではサバ州で約85%、リアウ州では約65%まで減少していると推察されました。また、サバ州では、病害に強い農地利用を推進するなど、植林内の生物多様性向上を図ることが病害対策及び収量改善に有効と考えられます。一方、リアウ州では、土地の特性を加味すると、植林内の生物多様性向上よりも、新たな森林伐採の抑制が生物多様性保全にとって重要であることが示されました。

当社グループではこれまでも、持続可能な調達方針及びNDPEの考え方に基づき、環境及び人権に配慮したパーム油調達を推進してきました。今後も、認証制度の活用やサプライヤーとのエンゲージメントを通じて、原産地における森林破壊や生物多様性への影響の低減に取り組んでいきます。あわせて、搾油工場単位でのトレーサビリティ管理や衛星モニタリングを活用し、高リスク地域における状況把握と是正対応を強化していきます。
当社グループでは、これらの取り組みを通じて、分析結果で特定されたリスクへの対応を具体化するとともに、サプライヤーと連携しながら自然関連リスクの回避・軽減を進め、持続可能な事業運営につなげていきます。
(注) 分析結果の詳細は当社グループのサステナビリティサイトで公開しております。
(https://www.nissin.com/jp/sustainability/)
3) 非財務価値の定量化
当社グループが重点的に取り組むESG活動が企業価値にどのような効果があるのか、ESGと企業価値との関係性の分析にも取り組んでおります。その一つが、企業価値を表す指標の一つPBRとの関係性の分析であります。ESG活動が何年後のPBRに効果をもたらすかを、学術的に信頼度の高い手法を使い分析しております。2024年に3回目となる本分析を実施した結果、CO2排出量の削減を行うと5年後に1.2%(2年目の分析では9年後に+0.8%)PBRが向上するなど、当社グループが重点的に取り組んでいるESG活動と企業価値向上との間に相関関係があることを定量的に確認することができております。
またESG指標同士の相関性を分析し、各ESGの取組がどのような経路を辿り企業価値の向上に繋がるのか、ストーリーの形で明らかにいたしました。「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」の主要な取組がどのように財務価値につながるのかを可視化いたしました。例えば、エネルギー投入量に対する施策を行うことでCO2排出量は削減され、CO2排出量を削減したことで、自社が保有しているメディアで発信する機会が増加し、メディアで発信する機会を増やしたことで外部からの評価が向上し、地域や社会におけるブランド価値向上につながると考えております。次にブランド価値が上がると消費者の購買が増え売上が伸び、最終的には、当社グループが経営指標として掲げるEPSとPERが成長・拡大しシェアホルダー価値につながってまいります。2025年度は、社会的インパクトの算出や関連するコンソーシアムへ参加しフレームワーク等の検討を行いました。引き続き非財務指標の分析に挑戦し、ESG活動と企業価値の関係性を明らかにしていきたいと考えております。
a. 俯瞰型分析

b. 価値関連性分析

4) コミュニティ投資
当社グループは、日清食品の創業者である安藤百福が創設した「公益財団法人安藤スポーツ・食文化振興財団」の理念「食とスポーツは健康を支える両輪である」に賛同し、子どもたちの健全な心身の育成のためのスポーツ振興事業と食文化の向上に貢献する事業活動をサポートしております。同財団の活動は、全国小学生陸上競技交流大会などのスポーツ支援、自然体験活動の企画コンテストやロングトレイルの普及・振興事業、独創的な基礎研究・食品開発・ベンチャーを対象にした表彰事業などの食文化振興事業、体験型食育ミュージアム「安藤百福発明記念館」運営の4つの事業活動が柱となっております。当社グループは、2021年度より、同財団とともに、食科学の発展に寄与する研究に取り組む大学院生を支援する給付型奨学金「日清食品・安藤百福 Scholarship」を設立し、返済義務のない奨学金の給付をスタートさせております。2025年度は大学院生100名に年100万円の奨学金を給付しております。また、当社グループは、同財団とともに、142か国で共同調査を行い、2023年度に食と主観的ウェルビーイングの関係を世界で初めて明らかにした「Recipes for Wellbeing Report」を、2024年度には、「食」と「ウェルビーイング」の強い関係性を改めて立証する第2回調査研究レポート「Nourishing Wellbeing」を発表いたしました。今後も「ウェルビーイング」の向上につながる「食」のあり方を大学や国際機関などと連携しながら探究してまいります。
5) 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
a. 人財に対する考え方
「企業在人・成業在天」
![]() | この言葉は、創業者の安藤百福が2007年に社員に向けて年頭のメッセージとして記したものであります。 「企業は人である。人に対する評価がそのまま企業の評価につながる。また成業とは、大衆の声が天に通じたときに、はじめて大きな評価として返ってくるものだ。」という意味が込められております。 この言葉にも象徴されるように、かねてより当社グループは「人財」を企業価値の源泉として捉えてまいりました。 |
創業者は以下の言葉も残しております。我々日清食品グループは社員が仕事と職場環境を通じて人間として成長できる機会を提供することを使命と考えております。

b.人的資本開示の方針
2024年3月に人的資本に関する情報開示の国際的なガイドライン「ISO 30414」の認証を、食品企業として世界で初めて取得いたしました。また、認証取得に合わせ、当社グループの人的資本に関する取組をまとめた「Human Capital Report」を発行しております。
また、開示状況や取組内容を評価され、「人的資本調査 2024」(企画・運営:一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム、HR総研、MS&ADインターリスク総研株式会社)で「人的資本リーダーズ 2024」と「人的資本経営品質 ゴールド」に選定されております。
人的資本開示の要請が高まる中、積極的に現状の人的資本情報を開示することで様々なステークホルダーの皆様と対話を実施し、フィードバックをいただくことで、当社グループの人的資本の取組を高度化していきたいと考えております。

(注)「Human Capital Report 2025」は当社グループのウェブサイト(https://media.www.nissin.com/jp/company/sustainability/assets/pdf/HumanCapitalReport2025_ja.pdf)で公開しております。
c. 中期人財戦略(人財育成方針)
創業以来の人財重視の考え方を基盤に、当社グループは、企業戦略との連動性を一層高めるため中期人財戦略を新たに策定しました。経営体制の整備、グローバル及び国内の人財基盤強化並びにこれらを支える組織力の向上を通じて、成長戦略の実現を図ってまいります。

d. 社内環境整備
イ.経営体制の整備
| 当社グループは、将来のあるべき事業・組織の姿を見据え、持続的な成長を支えるグループ経営体制を構築していきます。特に成長戦略と連動した人財基盤の強化、次世代人財を計画的に育成するメカニズムの策定に取り組みます。 必要なスキル、ビジョン、的確な意思決定能力を備えたリーダーを計画的に発掘・育成するため、グローバル主要ポストを対象としたサクセッションの枠組みを整備し、後継者育成サイクルの高度化を図ります。 また、指名・報酬諮問委員会等を通じて、経営人財の選解任や、報酬に関するガバナンス体制を整備し、意思決定の客観性・透明性を確保することで、経営体制の継続性と健全性の向上に努めてまいります。 | (後継者育成サイクル)![]() |
ロ.Global One Nissinの構築
当社グループは、グローバルでの事業展開を支えるため、全球的な人財マネジメントの仕組みづくり=グローバルHQ人事体制の強化を図り、Global One Nissin の構築を目指します。
具体的には、グローバルのHR部門との連携を一層強化し、評価・報酬・次世代人財育成等について、グループ共通の思想や方針を整理し、グローバルに一貫性ある人財マネジメント基盤を整備してまいります。
一方、各国・各地域の事業特性や人財市場、法制度等を踏まえ、それぞれのニーズに応じた人事政策も尊重し、柔軟性ある運営体制を目指します。
グローバル全体最適とローカル最適の両立を図り、グローバル経営を支える人財マネジメント体制の高度化を進めてまいります。
| (Global HR Meeting) 拡大する海外事業展開を支えるHR機能拡充に向けた基盤づくりのためGlobal HR Meetingを定期開催しています。これにより、HRネットワークの形成・連携強化や、HR部門としての共通認識と求められる役割の理解、日清食品の成り立ちに触れることによるミッション・ビジョン・バリューの体現をねらいとしています。 | ![]() |
| (Future Leader Session) 海外現地法人の次世代リーダー人財を対象に、グローバルビジネスをけん引するリーダーシップの育成を目的とした選抜型の対面研修を実施しました。中長期成長戦略や日清食品グループのビジネスへの理解・共感を深めるとともに、実践を通じてミッション・ビジョン・バリューを体現できるよう支援し、グローバルビジネスの将来を担う人財を育成しています。 | ![]() |
ハ.国内事業組織・人財の更なる強化
当社グループは、国内事業の更なる競争力強化や、グローバル経営を担う次世代人財の継続的な輩出に向け、国内グループの組織力向上、人財育成機能の強化に取り組んでまいります。
社員に対し、自律的なキャリア形成の支援や成長機会を提供することで、一人ひとりの能力や経験を最大限引き出し、働きがい・やりがいに満ちたエンゲージメントの高い組織・人財づくりを通じて、組織パフォーマンスの最大化を目指します。
また、国内グループ横断的に、採用・育成・配置といった人事オペレーションの質や生産性の向上を図っていくことで、より効果・効率的な人財配置や育成を行います。
国内における将来の市場環境の変化を見据えつつ、柔軟で筋肉質な組織・人財づくりを進めてまいります。
| (自律的なキャリア形成の支援) また“意欲ある人が良い仕事をする”という信念のもと、公募制度を活性化させており、多くの社員が自らの意思で希望するキャリアに就いて活躍しております。公募ポストの就任要件と社員のスキル・経験とのマッチ度を表示させており、希望するキャリアへのステップを描きやすくしております。これらの一連の制度や取組を通して、適所適材を実現してまいります。 | ![]() |
| (NISSIN ACADEMYを中心とした人財育成) 2020年、当社グループはスキルやリーダーシップを学ぶ場として企業内大学「NISSIN ACADEMY」を設立しました。専門スキル、ビジネススキル、リーダー育成など多様な講座を展開し、2023年度からはラーニングマネジメントシステムの導入により、いつでもどこでも学べる環境を整備しています。 また、2024年にはデジタルリテラシー向上を目的に「NISSIN DIGITAL ACADEMY」を開講し、「生成AI」「サイバーセキュリティ」など8つの重点領域のカリキュラムをオンラインで受講できるようにしています。 | ![]() |
ニ.組織力の向上
当社グループでは、常に新しい食の文化を創造し続ける「EARTH FOOD CREATOR(食文化創造集団)」であり続けることをグループのビジョンとしています。
多様な彩りや専門性を持った社員が互いに尊重し合い、グループのミッション・ビジョン・バリューに共感し、グループの一員として仕事を楽しみ、Well-beingで働きがいを感じながら活躍できる状態を目指しています。
どのような事業環境においても、日清ismを継承した多種多様な属性の社員たちが、しなやかに、柔軟に、組織力を高めていけるよう、引き続き様々な取り組みを実施してまいります。
| (ミッション・ビジョン・バリューの浸透) ミッション・ビジョン・バリューの浸透に向け、経営トップからのメッセージ発信や企業理念研修を通じて、社員の理解促進を図っています。加えて、企業理念を語るチームセッションやチキンラーメンの対面販売実践など、理念を自分ごととして捉え、行動に結び付ける機会を設けています。さらに、社員の創造性を称える「NISSIN CREATORS AWARD」を実施し、理念の体現を後押ししています。 | ![]() |

| (ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン) ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンの推進に向け、役員が女性管理職候補を個別に育成するスポンサープログラムや、社外取締役・監査役との座談会、女性リーダーシップ開発プログラムを通じて、女性のキャリア形成と意思決定層への登用を後押ししています。2025年度末の女性管理職比率10%目標は達成しており、今後はさらなる比率向上と活躍機会の拡大に取り組んでいきます。あわせて、男性育児休業取得の促進に向けた啓発活動を実施し、多様な人財が働きやすい環境整備を進めています。 | ![]() | |
| (健康経営の推進) 2018年8月には「日清食品グループ健康経営宣言」を策定し、経営会議のもと、CEO及びCHROを健康経営責任者とする推進体制を構築しています。また、人事部門内に健康経営推進室を設置し、健康保険組合や各事業所の人事総務担当、医療職等と連携し、従業員一人ひとりの「Well-beingと高いパフォーマンスの同時達成」を目的とした各種施策に取り組んでおります。こうした推進体制の整備と、各種施策の戦略的な展開の結果、「健康経営銘柄2026」に初めて認定されました。 | ![]() | |








