有価証券報告書-第111期(2022/12/01-2023/11/30)

【提出】
2024/02/29 12:44
【資料】
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【項目】
166項目

対処すべき課題

当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、人が生きていくうえで欠かすことのできない食の分野を受け持つ企業グループとして、「おいしさ・やさしさ・ユニークさ」をもって、世界の食と健康に貢献することをめざしています。
事業活動と社会活動をともに推進することで、サラダとタマゴのおいしさと魅力を世界にお届けし、健康的な食生活の実現と豊かな食文化の創出をめざします。また、私たちの活動は自然の恵みによって支えられています。持続可能な社会の実現に貢献するとともに、資源の有効活用と環境保全に真摯に取り組むことで、持続可能な地球環境を次世代につなぎます。
当社グループは、内食・中食・外食に幅広く深く展開しているとともに、赤ちゃんからお年寄りまで、人の一生のさまざまな食の場面に深く関わっています。これからもグループの理念を大切にし、“キユーピーグループならでは”のこだわりある商品とサービスを、心を込めてお届けすることをすべての役員ならびに従業員が常に意識し、実践していきます。
(2) 中長期的な経営戦略、経営環境および対処すべき課題等
当社グループは、「おいしさ・やさしさ・ユニークさ」をもって世界の食と健康に貢献するグループをめざし、長期ビジョン「キユーピーグループ 2030ビジョン」を掲げています。
近年、少子高齢化、共働きや単身世帯の増加などにより世帯構成が変わり、家庭での調理において時短や簡便性などが求められています。また、食品を購入する場面ではECやドラッグストアなどが広がりをみせています。新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は当社グループの業績へ大きな影響を及ぼすとともに、これらの流れをさらに加速させ、新たな生活様式を生みました。買い物の回数・時間の減少による容量や日持ち、食生活、予防や免疫などの衛生・健康面の多様なニーズは今後も続いていくと想定しています。
2021-2024年度 中期経営計画では、お客様や市場の多様化に対応し、「持続的成長を実現する体質への転換」をテーマとし、「利益体質の強化と新たな食生活創造」「社会・地球環境への取り組みを強化」「多様な人材が活躍できる仕組みづくり」の3つの方針に基づいて、事業活動を進めています。これを支える仕組みとして、これまでの事業担当制から市場担当制へ移行することで各市場に求められる対応を迅速に実現していきます。
[経営方針と主な取り組み]
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◇利益体質の強化と新たな食生活創造
海外を成長ドライバーとして中国・東南アジア・北米を中心に拡大を進めています。2025年度の稼働に向け、北米で新工場、タイ・インドネシアでは工場増設を予定しており、成長を加速していきます。また、成長を支えるために人材、商品開発、マーケティング、ガバナンスなどの経営基盤の強化などに経営資源を集中的に投下しています。さらに、従来の店舗での販促活動とデジタルマーケティングの活用を融合することにより、ブランド認知率と商品使用率の向上に取り組んでいます。
国内では、市場担当制へ移行し、モノ(商品)視点から市場を軸としたお客様視点に転換することにより、お客様の食生活における悩みの解決や新たな食シーンの創造につながるような商品やサービスをスピーディーに提案していきます。重点領域として、マヨネーズやドレッシングを中心としたサラダとタマゴに特化していきます。さらに、D2C(Direct to Consumer/消費者直販サイト)の新サービス「Qummy®」を展開し、デジタルを活用しながらお客様とのつながりをさまざまな角度から構築し、新しい可能性を広げています。
市販用においては生活様式が変化している中でも、生活必需品となる商品を育成します。マヨネーズはサラダにかける以外にもさまざまな調理シーンで利用される万能調味料としての使い方を提案してきました。その他の主力商品においても、幅広い調理シーンへの提案を強化することで、マヨネーズのような汎用性のある商品への育成をめざしていきます。また、お客様の課題解決につながる商品をお届けし、ブランドや商品の認知拡大を進めていきます。
業務用においては、グループが持つ販路を活用し、内・中食向け業態へ経営資源を集中させ、事業ポートフォリオの再構築により収益性と効率性を向上させます。おいしさと技術で新たな価値を創出し、顧客ニーズの創造を提案することで、業務用市場の活性化に貢献していきます。
◇社会・地球環境への取り組みを強化
当社グループでは、自然の恵みに感謝し、限りある資源を大切にするという想いで、環境活動に長年取り組んできました。気候変動リスクや食品ロス、海洋プラスチック問題など地球規模での問題が次々に顕在化している中、持続可能な社会の実現への貢献とグループの持続的な成長の実現をめざして、「キユーピーグループ サステナビリティ基本方針」を定めています。あわせて、「持続可能な開発目標(SDGs)」を参考に特定した重点課題への取り組みを進めています。
社会・地球環境に対する企業の責任に向き合い、複雑化する社会課題に対し、バリューチェーン全体で連携し取り組みを進めていくことで、企業価値向上に努めていきます。
なお、サステナビリティ基本方針については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
<サステナビリティ目標>0102010_002.png◇多様な人材が活躍できる仕組みづくり
持続的成長を実現する人材を育成していくために、多様な人材が活躍できる仕組みを構築していきます。
海外展開および市場担当制への移行においては、多様な視点で物事や現象を捉え、それをチャンスに変えることが必要となります。市場で起こる変化点を俯瞰して捉えるためには、市場に精通し、複数の経験やスキルを持った人材の育成が重要です。グループ内での人材の流動性を高めることで、多様なスキルを持つ人材の育成を進めていきます。
また、他部門とのプロジェクトや会議への積極的な参画、社内インターンなどを通じて、多様性を認め合い、関わり合いを持つことができる風土を醸成していきます。
さらに、外部資源を活用しながら学びの場を提供していくことで、新たな経験や知識を習得し、一人ひとりが能力を発揮できる環境を構築していきます。
なお、人材の活躍の重要な指標である女性管理職比率(対象:キユーピー株式会社)は、2024年11月期18%、2030年11月期30%をめざします。
[キャッシュ・フローの配分と経営指標について]
◇キャッシュ・フローの配分
持続的な成長を実現するために、適正な投資の実行や株主還元を行いながら、健全な経営基盤を確立します。
キャッシュ・フローの配分については、4年間の累積営業キャッシュ・フローを1,400億円とし、その範囲内でのコントロールを基本とします。設備投資は約700億円の計画とし、資産や投資の効率性を重視します。内部留保については、自己資本比率60%以上を目安とし、将来の成長のため、新規展開の資金を確保したうえで株主還元を拡充します。
◇経営指標
2024年11月期目標
ROE8%以上
営業利益率7.5%
海外売上高伸長率(現地通貨ベース)(年率)10%以上