有価証券報告書-第62期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/23 14:09
【資料】
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【項目】
133項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当グループは、企業理念「フジッコの心」において私たちの目指す姿を「自然の恵みに感謝し 美味しさを革新しつづけ 全ての人々を元気で幸せにする 健康創造企業を目指します」としており、全社一丸となってその実現に取り組んでまいります。また、企業理念の下で成長戦略と効率経営の両輪を力強く推進し、企業価値の更なる向上に注力してまいります。
(2)経営環境
当グループは、食品業界における惣菜製品、昆布製品、豆製品、ヨーグルト製品、デザート製品、その他製品の製造・販売を主な事業としております。
食品業界は、生活必需品のため景気変動の影響を受けにくい特性がありますが、少子化に伴う人口減少により国内市場は量的に縮小傾向にあり、競争環境は厳しさを増しております。また、新型コロナウイルス感染症の再拡大の懸念が拭えないなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。
調達・生産面では、原料コストや物流コストが上昇傾向にあり、生産における一層の合理化・効率化が求められております。
開発面では、多様化する消費者ニーズや新しいトレンドへの対応が求められております。
流通面では、コンビニエンスストアやインターネットアプリを利用した宅配サービスの伸長等、消費者の流通チャネルの選択が多様化しており、従来のスーパーマーケット主体の販路に固執することなく、成長チャネルを深耕していくことが必要と考えております。
人事面では、新型コロナウイルスを機に働き方の変化が起こりました。出社かテレワークかの二者択一ではなく、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、より効率的で生産性が高まる柔軟な働き方が求められております。
(3)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
このような環境の中、当グループは2023年3月期を初年度とする中期3か年計画をスタートいたしました。本中期3か年は、「工場運営の改革」・「DX(Digital Transformation)の推進」・「コーポレートガバナンスの強化」を通じて持続可能な成長に向けた“ニュー・フジッコ”の経営改革を急ぐとともに、一方では、SKU(商品アイテム数)削減後の生産性が高く収益力のある「スター商品」の拡販と「新製品開発と現有ブランドの強靭化」を進め、昆布事業、豆事業の収益基盤を強化しながら、おかず事業、ヨーグルト事業、通信販売事業を成長ドライバーとして、それら事業の拡大に注力いたします。
定量目標につきましては、2025年3月期の連結売上高570億円、連結営業利益42.5億円、連結当期純利益31.5億円、ROE5%の達成を目指してまいります。
中期3か年経営戦略のポイントは以下のとおりであります。
① ブランド価値の強靭化
SKU削減後の生産性が高く収益力のある「スター商品」の配荷率アップに注力します。「スター商品」の拡販が業績復元のカギとなり、個々の単品まで物量を高め、味・品質を磨き、収益性の改善を追求する進捗管理を妥協なく進めます。
フジッコのコアビジネスであり、収益源の昆布と豆はシェア拡大を目論みます。一方、市場規模と成長の視点より、おかず事業、ヨーグルト事業、通信販売事業を新・中期3か年の成長ドライバーとします。
また、多様化する「販売チャネル」「顧客」のニーズを的確に捕捉し、時流に適応した新製品の開発に注力いたします。
② 工場運営の改革(生産性向上)
SKU削減がすべての構造改革の出発点と位置づけ、工場運営の改革、人員の適正配置、DXの推進、ロジスティック改革を強力に進めます。
コア品群を生産する7工場を複数品群生産工場と単一品群生産工場に二分し、今まで人手のかかっていた食品製造をイノベーションしていきます。計画生産体制の精度を高め、資材搬入から包装、搬出までを自動化と連続化で繋ぎ、デジタル化運営の設計と実現に取り組み改革計画を完成させ、その実現に向けて歩みだします。
③ DXの推進(働き方改革)
DXの目的は、サステナブル経営の実現です。新・中期3か年ではDXを強く推進するため、社長執行役員を委員長とする「DX推進委員会」を発足し、“ニュー・フジッコ”の経営改革の成果をデジタル・ネットワークで繋ぎ合わせて表現することを急ぎます。また、DXの推進を通じて、場所と時間・定型業務から解放された働き方の柔軟性を追求します。
[主要DX課題]
・取引制度改革
・生産管理システムの高度化
・SCMシステムの導入
・各種システムの統合と連携
・人財データベースの構築
・定型帳票のRPA化
・部門ホームページの作成による情報共有化
④ コーポレートガバナンスの強化
株主の皆さまをはじめ、フジッコグループを取り巻くすべてのステークホルダーからの期待と信頼に応えるため、上場会社の取締役会の責務として、経営の基本方針等の策定、内部統制の統括、経営者に対する監督(指名と報酬)についての透明性と実効性をより一層高め、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図ります。
また、新設のコーポレートガバナンス部は、取締役会事務局としての円滑な運営、取締役(会)のサポート体制の拡充を推進します。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2022年度は全社テーマを「『ニュー・フジッコ』を完遂しよう」とし、以下の6点を重要課題としております。
1スター商品の強靭化生産性と収益性の高いスター商品の品質向上、配荷率向上に取り組みブランド価値の強靭化を図ります。
2工場運営の改革人手のかかっていた食品製造をイノベーションするため、計画生産体制の精度を高め、資材搬入から包装・搬出までを自動化と連続化で繋ぎ、デジタル化運営の設計と実現に取り組んでまいります。
3DXの推進DXを推進する専属組織を立ち上げ、取引制度改革、社内各システムの統合と連携等を進めてまいります。
4総固定費の削減適正な人員配置、ムダの徹底排除を図り、総固定費水準の引き下げを目指してまいります。
5連結子会社の収益性改善不採算取引の解消等の経営改革に果敢に取り組み、成果が出てきております。冷凍惣菜などの新分野へもチャレンジし収益性を高めてまいります。
6次代の成長のための商品開発・研究体制の強化基礎研究からのエビデンスを早期事業化すべく、「イノベーションセンター」を新設し、矢継ぎ早の応用商品の開発を目指してまいります。