有価証券報告書-第65期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/22 13:16
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【項目】
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や金融緩和政策の継続により緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、中国をはじめとするアジア新興国経済の減速、英国のEU離脱問題、米国新政権の政策動向への懸念等による海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響等で、依然として先行き不透明な状況が続いております。
コーヒー業界におきましては、業績に大きな影響を及ぼすコーヒー生豆相場は世界最大の生産国であるブラジル生産地の天候不順による生産量減少懸念などにより6月から価格が上昇し、11月には年初より約30%も高値になるなど、年度を通じて上値をうかがう動きとなり、予断を許さない状況で推移しました。
このような状況の下、当社グループはコーヒーの持つ魅力を生活者にお届けし続けるという企業使命を果たすため、「品質第一主義」の経営理念に基づいて、「ブランド強化」、「収益力の強化」及び「グループ連携強化」を3つの柱とし、新たな事業領域の開拓、生活者のニーズにお応えする新商品の開発やお取引先との絆を深める企画提案型の営業活動を継続して行いました。
また、未来に向けたコーヒー産業の発展を支援する世界的な非営利の研究機関「World Coffee Research」(本拠地:米国 テキサス州)の日本初のゴールドメンバーとして、同団体が取り組む高品質なコーヒーの安定供給、生産者の経済的かつ社会的地位の向上などを目的とした「国際品種栽培試験」活動への協力を行っております。
業績につきましては、当社グループの当連結会計年度の売上高は、629億96百万円(前連結会計年度比2.9%減)、営業利益は13億77百万円(同30.7%増)、経常利益は15億59百万円(同13.5%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は11億34百万円(同50.9%増)となりました。
セグメントの営業概況は次のとおりであります。
(コーヒー関連事業)
業務用市場では、「トアルコ トラジャ コーヒー」や「氷温熟成珈琲」、世界各地の選りすぐりのコーヒー農園で生産されたスペシャルティコーヒーなど、差別性のある付加価値の高い商品の拡販活動を推進しました。また、お取引先への支援策として、夏季に「プレミアム ワールドカレーフェア」、秋冬季に「こだわりシチューフェア」を実施するとともに、新商品としては、シュクランジュシリーズに「彩り豊かなフルーツケーキ」や「抹茶きなこの和風ケーキ」などを発売しました。11月には第4回「KEY COFFEE SHOW」を東京で開催し、当社の「コーヒーの探求」への具体的取り組みや、お取引先への提案・支援活動を紹介しました。
家庭用市場では、春夏新商品として「プライムオリジンズ」シリーズのLP(ライブパック)豆製品、簡単にエスプレッソタイプのコーヒーが作れる「PUSH PRESSO(押すプレッソ)」などを発売、秋冬新商品としては、すべての豆の原産地と配合比率を明記した香り高く深みのある味わいの逸品「BLUE MEISTER(ブルーマイスター)」、微粉砕したレギュラーコーヒーを包みこんだインスタントコーヒー「ル・グラン」などを発売しました。主力の「グランドテイスト」シリーズ及び簡易抽出コーヒー「ドリップオン」シリーズは、配荷拠点の拡大と積極的な販促活動が奏効し、両シリーズとも前年を上回る実績となりました。
ギフト商品では、中元期に素材や味わいにこだわった「氷温熟成珈琲アイスコーヒーギフト」など人気の飲料ギフトを中心に全35アイテムをラインアップ、歳暮期には2016年モンドセレクションにおいて金賞を受賞した新デザインの「ドリップオンギフト」や「インスタントコーヒー スティックバラエティギフト」など、多様な飲用シーンに合わせて全26アイテムをラインアップしました。
お取引先へのカフェ開業支援として取り組んでおります、さまざまな立地環境に出店可能なパッケージカフェ「KEY'S CAFÉ」は10店舗出店し、導入店舗数は46店舗になりました。
業績につきましては、売上面では家庭用市場が前年実績を上回り、業務用市場は前年並みの実績、原料用市場は販売数量が伸長したものの、コーヒー相場と連動した取引により前年実績を下回る結果となり、全体では減収となりました。 一方、利益面では家庭用市場の売上伸長や製造コストの低減などにより、前年に比べ増益となりました。
この結果、コーヒー関連事業の売上高は547億22百万円(前連結会計年度比2.2%減)、営業利益は19億75百万円(同19.1%増)となりました。
(飲食関連事業)
株式会社イタリアントマトでは、春季に「トマトクリームとバジルソースの2種のパスタ」、夏季に「コールドパスタフェア」、秋季に「ティラティス スイーツ・ドリンクフェア」、冬季には「ミートソースフェア」などのフェアを実施しました。店舗出店においては、国内で富山市に「カフェジュニア ユウタウン総曲輪(そうがわ)店」、東京駅に「カフェスペリオーレ サウスタワー店」などを出店、新業態店舗として、世田谷区三軒茶屋に当社の自家焙煎支援システムであるSRSを導入した「自家焙煎珈琲 蔵味~Kurami~」、吉祥寺サンロード商店街には、店内で焼成した自家製パンやイタリアンフードに良く合うワイン各種とカクテルなどアルコール類を豊富に取り揃えた「カフェジュニア plus 吉祥寺店」を出店しました。海外では香港に「ファリ・ブゥール イオンコーンヒル店」、台湾に「カフェスペリオーレ 台北統一時代店」など、国内外に11店舗を出店する一方、不採算店の閉鎖を進め、店舗数は254店(直営店57店、FC店197店)となりました。
業績につきましては、株式会社イタリアントマトにおける不採算店の整理などにより、売上面では前年実績を下回り、利益面では効率的な販管費の活用が図れましたが、新業態店舗の開発など売上拡大に向けた先行投資を行ったことにより営業損失となりました。
この結果、当連結会計年度における株式会社アマンドを含めた飲食関連事業の売上高は47億99百万円(前年同期比5.9%減)、営業損失は1億32百万円(前年同期は1億29百万円の営業損失)となりました。
(その他)
ニック食品株式会社は、食品加工部門において製造コストの低減により競争力を高め、既存取引先からの製造受託数量が拡大しました。通販事業を営むhonu加藤珈琲店株式会社では、受注から出荷までのリードタイムの短縮と安定製造を目指し、設備とソフトウエアの両面で効率的なシステムの構築に取り組み、顧客の満足度向上を図りました。
この結果、他の6社を加えた当連結会計年度におけるその他事業の売上高は34億73百万円(前連結会計年度比9.6%減)、営業利益は1億48百万円(同1.5%減)となりました。

(コーヒー相場:ニューヨークコーヒー先物相場)
(2) キャッシュ・フロー
単位:百万円
前連結会計年度
(平成28年3月期)
当連結会計年度
(平成29年3月期)
増減
営業活動によるキャッシュ・フロー△6,4773,3639,841
投資活動によるキャッシュ・フロー5,151△2,186△7,337
財務活動によるキャッシュ・フロー△1,330△2701,060
現金及び現金同等物の増減額△2,6639043,568
現金及び現金同等物の期首残高8,4675,803△2,663
現金及び現金同等物の期末残高5,8036,708904

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益16億36百万円、減価償却費12億37百万円、仕入債務の増加額17億6百万円などを計上する一方、法人税等の支払い8億90百万円などがありました。この結果、33億63百万円の収入となりました。(前連結会計年度は64億77百万円の支出)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出40億円が償還による収入23億円を上回ったことや有形固定資産の取得による支出11億7百万円などにより、21億86百万円の支出となりました。(前連結会計年度は51億51百万円の収入)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い4億円などにより、2億70百万円の支出となりました。(前連結会計年度は13億30百万円の支出)
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は67億8百万円となり、前連結会計年度末より9億4百万円の増加となりました。