有価証券報告書-第127期(2022/04/01-2023/03/31)
③ 戦略
当社の主要事業として「プラスチックフィルム分野」と「アパレル(インナーウエア)分野」をシナリオ分析実施対象事業に選定し、短期~長期におけるリスクの特定とその対応策の検討及び機会の抽出を実施しました。
今回は、1.5℃目標が世界的に主流になっていることを踏まえ、1.5℃目標に対応した分析を実施いたしました。 具体的には、IEA「World Energy Outlook」で示されているNZE2050(※1)などの「脱炭素シナリオ (1.5℃シナリオ)」と、IPCC AR5のRCP8.5シナリオ(※2)などを踏まえた「温暖化進行シナリオ (4℃シナリオ)」を始めとした政府や国際機関が発行した将来予測に関するレポートなどを参考に、2つのシナリオを設定し、脱炭素経済への「移行リスク」及び温暖化進行に伴う「物理リスク」の分析を行っております。
グンゼグループは、今後も継続的にシナリオ分析の内容を見直し、戦略のレベルアップを図ります。
※1 NZE2050:Net Zero by 2050 IEAによる「World Energy Outlook 2020」にて示されたシナリオの1つ。パリ協定の目標を上回る1.5℃シナリオにあたり、2050年までにCO2排出量ゼロをめざすシナリオ。
※2 RCP8.5シナリオ:IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書(AR5)統合報告書(SYR)の政策決定者向け要約 図SPM6の2100年に2.6℃~4.8℃の気温上昇が予想されているシナリオ
※時期: 短期 1~2年、中期3年~5年、長期6~10年※2050年の財務インパクト影響度: 小 1億円未満、中 1〜10億円未満、大 10億円以上
当社の主要事業として「プラスチックフィルム分野」と「アパレル(インナーウエア)分野」をシナリオ分析実施対象事業に選定し、短期~長期におけるリスクの特定とその対応策の検討及び機会の抽出を実施しました。
今回は、1.5℃目標が世界的に主流になっていることを踏まえ、1.5℃目標に対応した分析を実施いたしました。 具体的には、IEA「World Energy Outlook」で示されているNZE2050(※1)などの「脱炭素シナリオ (1.5℃シナリオ)」と、IPCC AR5のRCP8.5シナリオ(※2)などを踏まえた「温暖化進行シナリオ (4℃シナリオ)」を始めとした政府や国際機関が発行した将来予測に関するレポートなどを参考に、2つのシナリオを設定し、脱炭素経済への「移行リスク」及び温暖化進行に伴う「物理リスク」の分析を行っております。
グンゼグループは、今後も継続的にシナリオ分析の内容を見直し、戦略のレベルアップを図ります。
※1 NZE2050:Net Zero by 2050 IEAによる「World Energy Outlook 2020」にて示されたシナリオの1つ。パリ協定の目標を上回る1.5℃シナリオにあたり、2050年までにCO2排出量ゼロをめざすシナリオ。
※2 RCP8.5シナリオ:IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書(AR5)統合報告書(SYR)の政策決定者向け要約 図SPM6の2100年に2.6℃~4.8℃の気温上昇が予想されているシナリオ
リスク項目 | リスク | 時期 | 財務インパクト影響度 | プラスチックフィルム分野 | インナーウエア分野 | リスクへの対応と機会 | |
移行 リスク (1.5℃) | 炭素価格 | 各国で排出権取引や炭素税が導入され、操業コストが上昇 | 中期~長期 | 大 | 〇 | 〇 | <リスク対応>再エネ投資拡大や低炭素エネルギーへの移行により炭素税の財務影響を抑える |
各国のプラスチック規制 | 規制強化によるバイオ素材やリサイクル素材の導入により原材料価格が上昇 | 中期~長期 | 大 | 〇 | 〇 | <リスク対応>廃プラの分解・再利用技術を確立し、顧客ニーズをとらえた製品提供を実施 | |
エネルギーミックスの変化(電力価格) | 電力会社の再生エネ比率が上昇し、電力価格が上昇 | 中期~長期 | 小 | 〇 | 〇 | <リスク対応>消費電力の少ない機器の利用 自家消費型太陽光発電の設置を推進する | |
EV・再エネ普及率 | ― | 中期~長期 | 大 | 〇 | <機会>EV普及に伴うリチウムイオン電池用フィルムや、半導体用フィルム販売を強化 | ||
重要商品の価格増減 | 原油由来の合成繊維の製造コストが上昇 | 中期~長期 | 大 | 〇 | <リスク対応>原油由来から自然由来素材への転換を推進 | ||
顧客行動の変化 | 環境負荷影響度に応じて購買決定する消費者の増加 | 中期~長期 | 中 | 〇 | ⦅リスク対応>エシカル消費に対応した環境配慮型商品の販売を拡大 | ||
物理 リスク (4℃) | 異常気象 | 風水災による事業活動の停止及びサプライチェーンの途絶により売上減少 | 短期~中期 | 中 | 〇 | 〇 | <リスク対応>製造拠点・物流におけるサプライチェーンの防災強化により、事業継続能力を強化 |
気温上昇 (綿花栽培量) | 気温上昇により綿花価格が上昇 | 中期~長期 | 中 | 〇 | <リスク対応>バイオマテリアル、リサイクル素材の開発 | ||
気温上昇 | ― | 中期~長期 | 中 | 〇 | 〇 | <機会>気温上昇に対応した商品 (シュリンクフィルム、肌着)販売強化 |
※時期: 短期 1~2年、中期3年~5年、長期6~10年※2050年の財務インパクト影響度: 小 1億円未満、中 1〜10億円未満、大 10億円以上