有価証券報告書-第127期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/26 9:58
【資料】
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【項目】
172項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、「人間尊重と優良品の生産を基礎として、会社をめぐるすべての関係者との共存共栄をはかる」という創業の精神を変えてはならない経糸(たていと)、社会からの期待に誠意をもって柔軟に応えることを緯糸(よこいと)とし、様々な製品やサービスの提供を通じて時代に求められた社会課題の解決に取り組み、企業価値の持続的向上を目指しております。
(2) 中期的な経営戦略
当社グループは、①新たな価値の創出 ②資本コスト重視の経営 ③企業体質の進化 ④環境に配慮した経営 を基本戦略として2022年度~2024年度の3ヵ年を推進期間とする中期経営計画「VISION 2030 stage1」を推進しております。中期経営計画「VISION 2030 stage1」は、2030年のビジョンと目標を明確化し、バックキャスト方式で現状とのギャップを埋めゴールを目指すという考え方に基づき、その第一段階の経営計画として位置付けています。2030年ビジョンとして「新しい価値を創造し『ここちよさ』を提供することで持続可能な社会の実現に貢献します」を掲げ、「変革と挑戦」をキーワードに、経済的利益と社会的利益を両立させるサステナブル経営を通じて社会貢献と当社グループの持続的成長の実現を目指します。また、各事業セグメントの役割・位置づけを明確にして「VISION 2030 stage1」を推進しております。
(2030年に向けた各事業セグメントの役割・位置づけ)
成長牽引メディカル
利益拡大/貢献プラスチックフィルム
エンジニアリングプラスチックス
コーポレート
ブランド価値向上
アパレル
ライフクリエイト

※GVA(Gunze Value Added)= 税引後営業利益 + 配当金 - 期末投下資本 × WACC(加重平均資本コスト)
(VISION 2030 stage1の基本戦略)
新たな価値の創出・新規事業の創出と既存事業の成長(M&A含む)
・サステナビリティを追求した新商品、新サービスの提供
資本コスト重視の経営・経営資源の戦略的配分
・資本効率の追求によるGVA黒字化
企業体質の進化・多様な人財が活躍する風土づくり
・働き方改革による意識・業務改革の推進
・デジタルの積極活用によるプロセス変革
(生産、販売、開発、物流、間接等すべて)
環境に配慮した経営・事業活動における環境負荷の低減

① 新たな価値の創出
・新規事業の創出と既存事業の成長(M&A含む)
機能性フィルムの開発推進、ベンチャー企業等との提携・M&A推進、新規事業創出の仕組みづくり
プラスチック分野、メディカル分野でのグローバル拡販
エンジニアリングプラスチックス分野での半導体関連製品の拡大
アパレル分野でのDtoCビジネスシフト加速(EC、直営店舗)、レディスインナー・レギンス等強化
・サステナビリティを追求した新商品、新サービスの提供
吸収性製品を中心とした革新的なメディカル新商品の上市
バイオマス、リサイクル原料を活用したプラスチック環境対応新商品の拡販
アパレル事業での気候変動対応型商品、ウエルネス&ヘルス商品の拡充
人と環境に配慮した「つかしんタウンセンター」のリニューアル
② 資本コスト重視の経営
・経営資源の戦略的配分
成長分野、サステナビリティに寄与する事業への重点投資
・資本効率の追求によるGVA(経済的付加価値)黒字化
GVA向上ツリー展開による取り組み強化
③ 企業体質の進化
・D&I、働き方改革とエンゲージメント向上への取り組み
女性活躍推進、次世代支援、シニア活躍推進、職場環境整備、オフィス改革、年休取得率向上、総労働時間削減、
1on1ミーティング推進、心理的安全性醸成、キャリアローテーション/形成支援、人事処遇制度改革、健康経営
・デジタルの積極的活用によるプロセス変革
経営情報の連携(全社/事業部の経営ポータル刷新)
AIを活用した商品・顧客分析とSCM改革
センシング・AIを活用したスマート工場化(自働化・省力化による生産性向上)
RPA等自働化ツール活用による間接業務の省力化
④ 環境に配慮した経営
・事業活動における環境負荷の低減
省エネ・創エネ・再エネ活動の推進(高効率設備・太陽光発電設備の導入等)
資源循環の取り組み
サステナブル調達
(目標とする経営指標)
VISION 2030 stage1最終年度の2024年度経営目標はグループ売上高1,400億円、営業利益100億円、GVA黒字化、株主資本コストを上回るROE6.32%以上としております。中でもROE(自己資本利益率)をグループ重点指標として掲げ、引き続きGVAによる業績管理を事業毎に月度単位で実施するとともに、GVA黒字事業には、投下資本収益率(ROIC)を導入し、事業運営において意識づけを強化してまいります。
上記財務目標に加え、サステナブル経営の視点から2030年度までの非財務目標を以下の通り設定しております。上述の基本戦略に基づき諸施策を強力に推進してまいります。
[非財務目標]
区分目標指標2024年度目標2030年度目標
環境対応CO2排出量 削減率(対2013年度比)28%以上35%以上
エネルギー原単位削減率(対前年)1%/年以上
企業体質の進化女性活躍推進女性管理職比率6%以上20%以上
女性社員比率35%41%
女性総合職採用比率50%50%
子育て支援男性育休取得率50%70%
組織風土づくりエンゲージメントスコア70点想定80点想定
働き方改革年休取得率75%100%
その他生産性向上率(対前年)103%103%


(財務戦略)
強固な財務基盤を維持しつつ、環境関連を含めた設備投資と資本コスト低減を両立させ、GVA向上・フリーキャッシュフローの創出を図ってまいります。株主への利益還元については、ROEが株主資本コストを上回るまで総還元性向100%を維持するとともに、株主資本配当率DOE2.2%以上の安定的な配当を実施してまいります。
(3) 当社グループの対処すべき課題
新型コロナウイルスの感染拡大から3年以上経過しましたが、漸く感染拡大も落ち着きつつあり、社会・経済活動全般について平常に戻る動きとなりつつある一方、ロシアのウクライナへの侵攻の長期化等から原燃料価格の高騰や一部原材料の調達難が続くものと予想され、また、米国の利上げによるリセッションの懸念もあり、経営を取り巻く環境は引き続き不透明な状況にあります。各事業においては自働化等生産性向上の取り組みやグローバル最適生産体制によるコスト競争力の強化、原材料調達網の拡充とともに、市場の様々な変化を捉えた新たな価値創出活動に取り組んでまいります。
なお、2023年度より、現在推進中の中期経営計画「VISION 2030 stage1」における成長牽引の位置づけをより明確にするため、これまで機能ソリューションセグメントに含まれていたメディカル事業を「メディカル」セグメントとして新たに区分いたします。この結果、「機能ソリューション」、「メディカル」、「アパレル」、「ライフクリエイト」を報告セグメントといたします。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表等 注記事項 (重要な後発事象)」をご参照ください。
(セグメント別戦略課題)
機能ソリューション事業では、プラスチックフィルム分野は環境対応型新商品の積極的な投入とともに、サーキュラーファクトリー(資源循環型工場)の本格稼働とサーキュラーメーカーへ変革するための基礎となるリサイクルセンター設置を進めてまいります。また、デジタル技術の横展開により生産革新を進める一方、米国・中国・アセアン等海外拡販を強化してまいります。エンジニアリングプラスチックス分野は、主力のOA市場向け製品のシェア拡大に加え、設備投資を含め健康・医療関連ならびに産業機器向け製品の拡販を図ってまいります。
メディカル事業では、事業基盤強化を目的とした組織再編を通じて、縫合補強材や人工皮膚等の増産体制を整えるとともに、米国・中国の販売強化・継続的な新商品開発により、事業拡大を加速させてまいります。
アパレル事業では、競争力向上を目的とした業種横断型の組織再編を通じて、消費行動変化に伴い伸長しているECチャネルや直営店舗のDtoCルートでの更なる拡販と他社とのコラボレーションを積極的に推進し、ライフスタイル分野への拡大、差異化新商品を通じたレディスインナーの拡販を図ってまいります。生産面ではオートメーション化とグローバル最適生産体制の構築によりコスト競争力の強化を図るとともに、国内主力工場にて再生可能エネルギーを使ったCO2排出量の実質ゼロ化と無人化ライン(一部)からなるネットゼロファクトリー計画を段階的に推進してまいります。
ライフクリエイト事業では、商業施設の収益力向上の推進や投資効率を重視した物件別管理を強化してまいります。グリーン分野では、大阪万博等への緑化需要の取り込みとCO2削減に向け固定量増加に積極的に取り組むとともに、スポーツクラブ分野は、スクール事業の拡大と地域・店舗特性に合わせた特長のあるサービス提供や新業態の開発に取り組んでまいります。