訂正有価証券報告書-第121期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2019/01/25 10:00
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対処すべき課題

わが国経済は一部業種で人手不足感が強まり、設備投資拡大等企業の前向きなマインドに底堅さが見られるものの、原材料価格の高騰等の影響による景気の下振れ懸念、不安定な国際情勢や新興国の成長率鈍化等リスク要因もあり、社会保険料の負担増等の将来不安により消費者の節約志向は依然として強く、当社グループを取り巻く経営環境は依然予断を許さない状況が継続すると予想されます。
このような環境のなか、2017年度は中期経営計画『CAN 20(2014年度~2020年度)』の第2フェーズ(2017年度~2020年度)の初年度にあたり、主力商品・主力チャネルの成熟化に対する戦略課題に全構成員の力を結集し、成長回帰に向けた取り組みを本格化してまいります。
『CAN 20』では、ポートフォリオ戦略として、SBU(戦略的ビジネスユニット)分類評価による「選択と集中」を推進しております。また成長戦略の要として、組織横断でのCFA(クロス ファンクショナル アプローチ)プロジェクトにより当社グループの経営資源を組み合わせて効率的に新規事業を創出・育成し、QOL(クオリティ オブ ライフ)の向上に貢献する健康・医療分野などの事業拡大に取り組んでおります。また、成長戦略を支援する経営基盤強化対策として、コア技術力・グローバル対応力・コーポレートブランド価値など無形資産の強化を図っております。
加えて、株主重視の観点からROE(自己資本当期純利益率)をグループ重点指標として掲げ、収益性の向上、資本の効率化並びに自己株式の取得等により、その向上に取り組んでおります。そのために、各事業の投資効率を計る指標としてROA(総資産営業利益率)目標を事業部門・関係会社単位で設定し、売上高利益率・総資産回転率の向上に努めております。
『CAN 20』の第1フェーズでは、電子部品分野が市況悪化と価格下落が想定以上に進み業績が低迷、また収益性の高いエンジニアリングプラスチックス分野がOA市場の低迷を受けて苦戦しました。一方で、成長分野のメディカル分野は目標以上の成果を出しており、また構造改革を進めたアパレル事業も売上減少に歯止めがかかり堅調に推移しましたが、全体では当初業績目標に対して未達となりました。
第2フェーズでは、ポテンシャルを有している技術力を武器に機能ソリューション事業の成長回帰を実現し、回復基調となったアパレル事業との両輪でグループ経営を支えるとともに、QOL関連事業を成長エンジンとして、戦略目標の実現をめざします。
また、3つの基本戦略(①既存事業の再構築 ②新規事業創出 ③経営基盤強化)を加速するとともに、特に新規事業創出については、新しい芽が出やすい仕組みを作ることにより、新しい事業の開花、結実をめざしてまいります。
当社グループは、これらの取り組みを通して、当社グループの特長をいかした「ここちよさ」をお客様に提供するグローバル企業として社会に貢献してまいります。
現在、当社の多くの事業が転換期(「潮目の変化」)に直面しております。成長事業であるメディカル事業や回復基調にあるアパレル事業ともにこの潮目の変化を捉え、成長性に重点を置いた事業展開を図ります。
機能ソリューション事業では、プラスチックフィルム分野は事業環境が大きく変化しているなか、新市場、新商品の開発を推進します。エンジニアリングプラスチックス分野では主力OA商品の成熟化への対策及び半導体関連など繊維技術活用製品の拡大を図ります。また、電子部品分野ではタッチパネル販売を民生用から業務用へ転換するとともに、タッチパネル販売からフィルム販売を主体とした事業構造シフトを加速してまいります。メディカル分野では更なる成長に向けて、新工場建設などへの積極的な経営資源の投入を図り事業拡大に対応した生産・販売体制整備を推進します。
アパレル事業では、インナーウエア分野はオリジナル技術を強みに主力ブランドの更なる拡販を図り成長チャネルである直販ルート、海外販売を強化してまいります。レッグウエア分野では市場トレンドと消費者潜在ニーズを先取りした新市場・新商品の開発などを進めてまいります。
ライフクリエイト事業では、不動産分野での商業施設運営体制を見直し収益力の向上を図ります。スポーツクラブ分野においては、海外を含む積極的な多店舗展開により売上を拡大してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は「会社の支配に関する基本方針」を定めており、その内容は以下の通りであります。
会社の支配に関する基本方針
(1) 基本方針の内容
当社グループは、「品質第一」と「技術立社」を基盤に、創業の精神である「人間尊重」、「優良品の提供」、「共存共栄」を企業理念として顧客起点の事業運営を行っております。この理念の下、企業の社会的責任(CSR)に積極的に取り組むとともに、各事業の商品、サービスを通して「お客さまに“ここちよさ”をお届けしていく」という強い意思をもち、「社会にとって必要とされる企業」「社会とともに持続発展する企業」を目指しております。また、当社グループは、企業価値向上を目指し、株主重視の経営姿勢を堅持していくことを基本に、収益性の向上、資本の効率化に取り組むとともに、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要政策と位置づけ、配当金支払い・自己株式取得等を通じて、中長期的な業績見通しに基づいた、安定的・継続的な利益還元を図っております。
一方、当社の株主のあり方については、当社株式の自由な取引を通じて決定されるものであると考えており、会社の支配権の移転を伴う買収提案がなされた場合に、これに応じるか否かの判断も、最終的には株主の皆様の意思に委ねられるべきものと考えております。
しかしながら、上記のような取り組みを通して、企業価値・株主共同の利益の持続的な向上を図るためには、株主の皆様はもとより、お客様・取引先・従業員・地域社会等のステークホルダーとの適切な関係を維持し、発展させていくことが重要であり、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務及び事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、ステークホルダーの利益にも十分配慮した経営を行うことが可能な者である必要があると考えております。
従って、当社グループの企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益を毀損する恐れのある大量買付行為又はこれに類似する行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような買付行為に対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社グループの企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えております。
(2) 基本方針の実現に資する取り組み
当社は、基本方針の実現に資する取り組みとして以下の施策を実施し、当社グループの企業価値及び株主共同の利益の向上に努めております。
①中期経営計画の推進
当社グループは、中期経営計画(CAN20計画:第119期~第125期)を展開しており、『集中と結集』をキーコンセプトに、「SBU(戦略的ビジネスユニット)戦略による既存事業の選択と集中」、「CFA(クロス ファンクショナル アプローチ)活動による成長・新規事業の育成・創出」、「成長戦略を支援する経営基盤強化」を基本戦略として、企業価値の向上を図っていくこととしております。
また、株主重視の観点からROE(自己資本当期純利益率)をグループ重点指標として掲げ、収益性の向上、資本の効率化並びに自己株式の取得等により、その向上に取り組んでまいります。そのために、各事業の投資効率を計る指標としてROA(総資産営業利益率)目標を事業部門・関係会社単位で設定し、売上高利益率・総資産回転率の向上に努めてまいります。
②コーポレートガバナンスの強化
当社は、意思決定の迅速化、経営監督機能の強化を図るため、第110期(平成17年度)に執行役員制度の導入、取締役員数の削減を行うとともに、取締役の経営責任を明確にし、経営環境の変化に迅速に対応できる経営体制とするため、第111期(平成18年度)に取締役任期を2年から1年に変更し、併せて経営の透明性の確保を図るため社外取締役の選任を行うなど、コーポレートガバナンスの強化に努めております。
なお、平成27年12月18日開催の取締役会において、当社グループのコーポレートガバナンスに関する基本方針として、「グンゼ コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定いたしました。その内容は、以下の当社ホームページに掲載しております。
http://www.gunze.co.jp/ir/policy/governance/index.html
(3) 不適切な支配の防止のための取り組み
当社は、当社株式の大量取得行為を行おうとする者に対しては、大量取得行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、大量取得行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための時間の確保に努めるなど、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。
(4) 上記取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社取締役会は、これらの取り組みが、当社の支配の基本方針に沿うものであり、企業価値・株主共同の利益を損なうものではなく、また取締役の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。