有価証券報告書-第124期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 11:31
【資料】
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【項目】
173項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは創業以来、「人間尊重と優良品の生産を基礎として、会社をめぐるすべての関係者との共存共栄をはかる」という創業の精神を変えてはならない経糸(たていと)とし、社会からの期待に誠意をもって柔軟に応えることを緯糸(よこいと)とし、様々な製品やサービスの提供を通じて時代に求められた社会課題の解決に取り組み、それぞれの分野で業界オンリーワンを目指しております。
(2) 中期的な経営戦略
当社グループは、2014年6月に2021年3月期までの中期経営計画「CAN20」を発表しましたが、新型コロナウイルスの世界的感染拡大が、当社グループに大きな影響を及ぼしていることから、2020年度は、その影響を最小限とする取り組みを最優先とし、中期経営計画の最終年度を2022年3月期まで延長することとしました。
中期経営計画「CAN20」では、2014年度~2016年度を第1フェーズ、2017年度~2021年度を第2フェーズとし、3つの基本戦略である①セグメント事業戦略、②新規事業創出、③経営基盤強化の強力推進により、グル-プ経営ビジョンである「グンゼしかできない「ここちよさ」をお客さまに提供するグローバル企業としての社会貢献」の実現に努めております。セグメント事業戦略では、『集中と結集』をキーコンセプトにしたSBU(戦略ビジネスユニット)分類評価により重点事業領域を明確化し、リソースの傾斜配分により既存事業の再成長を実現します。次に新規事業創出では、組織横断でのCFA(クロス ファンクショナル アプローチ)プロジェクトにより当社グル-プの経営資源を組み合わせて効率的に新規事業を創出・育成し、QOL(クオリティ オブ ライフ)の向上に貢献する健康・医療分野などの事業拡大に取組んでおります。また、経営基盤強化では、コア技術力・グローバル対応力・コーポレートブランド価値など無形資産の強化により成長戦略支援を図っております。
(CAN20第2フェーズ3つの基本戦略)
①セグメント事業戦略
・機能ソリューション事業の成長回帰
メディカル事業の継続的成長、セグメントの連携強化による新規領域への挑戦
(フィルム事業の再構築、社内外コラボレーション推進による新規ビジネスの創出)
・アパレル事業の成長加速
新規販路・売場の拡大戦略(国内ECビジネスのシステム再構築など)
差異化技術・商品/ブランド/売場編集力の強化による成長加速(レディース分野の積極拡大など)
・ライフクリエイト事業の安定的拡大
現行ビジネスの強靭化を進めるとともに、安定的な事業拡大を図る
(ショッピングセンター事業の強化)
②新規事業創出
・第1フェーズプロジェクトの事業化促進
健康・医療事業拡大(メディキュア(メディカル衣料)・医療向け高機能ワイヤーの拡大)
新規事業の創造(2つの事業枠組みで新規事業創出戦略を推進(高機能テキスタイル・シート部材))
・M&A活用による事業領域拡大
シナジー性を踏まえたM&A(アパレル小売事業の拡充、メディカル分野の関連領域拡大)
・新規テーマ創出の仕組み構築
第1フェーズの反省を踏まえ、新規事業創出の取り組みを強化
(ストレッチプラン※による事業部門で新規領域への挑戦)
※ストレッチプラン…事業部門において、新規ビジネス創出を促進する新しい取り組み
③経営基盤強化
・生産基盤の強化による競争力の向上
現場力強化による強靭な生産体制の構築
(品種構成変化を先取りした生産対応力の強化、生産難易度に左右されない生産効率の追求)
・経営体質の強化
これからの社会に貢献し続けられる会社に
これからのライフスタイルに対応し続けられる会社に
CSR委員会:解決すべき社会的課題に対し事業活動を通じて解決する戦略的CSRの実践
働き方改革委員会:業務改革による仕事の付加価値向上と労働時間管理の徹底の定着
女性活躍等のダイバーシティ推進や就労ニーズに対応した柔軟で創造的な働き方への改革

(3) 目標とする経営指標
CAN20第2フェーズ最終年度の2021年度経営目標はグループ売上高1,500億円、営業利益80億円、親会社株主に帰属する当期純利益56億円、ROE(自己資本利益率)5%以上としております。
中でもROEをグループ重点指標として掲げ、その向上に取組んでおり、昨年度から、資本コスト経営として、①投下資本、②投下資本収益率(ROIC)、③加重平均資本コスト(WACC)の視点を経営管理に加え、業績についても投下資本に対する資本コストを踏まえた経済的付加価値指標「GVA(GVA=Gunze Value Added)」による評価を導入し、全社的なマインドチェンジに取り組んでおります。
今後も急速に変化する状況に応じて必要な対策を実施し、組織のバインド力(結束力)を高め、全構成員が一丸となり目標達成を目指してまいります。
(4) 当社グループの対処すべき課題
(資本コスト経営)
当社グループでは資本コスト経営として、ROEの改善を重視した取り組みを行っております。当社グループのROE水準は改善の傾向にあるものの、依然として低位で推移しており、事業ポートフォリオの見直しや経営資源の配分、政策保有株式への対応、また事業部門別WACCによる事業特性別投資判断基準の明確化等対策を講じています。次期中期経営計画での全事業部門のGVA黒字化、株主資本コストを上回るROEの達成に向けて取り組んでまいります。
(セグメント別戦略課題)
機能ソリューション事業では、プラスチック分野では、海洋プラスチック問題や、食品ロスの削減に寄与する環境対応型新商品を開発し市場への投入を目指します。また、今期より稼働を開始したベトナム新工場の垂直立上げを実現し、早期経営貢献を目指すとともに、国内では守山でのサーキュラーファクトリー(資源循環型工場)実現に向けたプロジェクトをスタートします。エンジニアリングプラスチックス分野では、主力のOA市場向け製品に加え、産業機器向け製品の拡販を目指します。メディカル分野では、昨年度子会社化した株式会社メディカルユーアンドエイとのシナジーをさらに推進するとともに中国他海外市場での拡販、次期大型新商品の承認取得を目指します。
アパレル事業では、新型コロナウイルス感染拡大による影響により、店頭での販売不振が懸念される中、ECチャネルでの商品訴求力を強化します。インナーウエア分野は、消費者ニーズの天然素材回帰、カジュアル化に即した新素材・新商品をYG、BODYWILDブランドで投入します。レッグウエア分野は、消費者ニーズの変化に基づく市場対応力を強化し、若年層ターゲットにしたサブリナの新商品、カジュアルトレンドに対応したTucheのフルリニューアル等積極的に投入します。
ライフクリエイト事業では、商業施設の収益力向上の推進や投資効率を重視した物件別管理を強化してまいります。また、スポーツクラブ分野については、新型コロナウイルス感染拡大による影響が継続すると想定されますが、会員の皆様とスタッフの健康と安全を第一に考え、取り組んでまいります。
(CSR重要課題)
当社グループは持続的な成長を図り、企業価値を高めるため、SDGs・CSV経営を見据え、以下の課題に取り組んでまいります。
①QOLの向上への貢献(健康・福祉への貢献)
②緑豊かな環境づくりと環境問題対応
③職場環境改善・働き方改革
④より良いコミュニティ・社会づくり
⑤プラスチック資源循環戦略の推進
特に「⑤プラスチック資源循環戦略の推進」については、昨今の海洋プラスチック問題に対する国際的意識の高まりから、使い捨てプラスチックに対する規制強化の流れが加速しており、当社としてもプラスチック資源循環基本方針※を策定し、社会の要請に対する方針を明確化しました。
当社グループはプラスチック包装材料等を製造販売、またアパレル製品にプラスチック材料を使用しており、事業を通じてプラスチックの3R+Renewableを推進し、CSV経営により社会的責任を果たしてまいります。
資源循環基本方針
われわれは、プラスチックの3R+Renewable※を積極的に推進し、廃棄量を削減することで、プラスチック資源が循環する社会の実現に貢献する。
(1)プラスチックの減量化・再利用を推進する。
(2)分別・リサイクルし易い製品設計と再生原料の積極的使用により、効果的・効率的な
プラスチック資源循環に貢献する。
(3)植物由来原料による製品開発を行い、石油化学原料の使用量削減に貢献する。
(4)廃棄物の適切な管理と環境負荷を低減する生産活動により、つくる責任を果たす。
※3R+Renewable:
3Rは、Reduce(リデュース=製品をつくる時に使う資源の量を少なくすることや廃棄物の発生を少なくすること)、Reuse(リユース=使用済製品やその部品等を繰り返し使用すること)、Recycle(リサイクル=廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用すること)の頭文字Rを指し、これにRenewable(リニューアブル=再生利用)を加えたもの。