有価証券報告書-第120期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/27 11:19
【資料】
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【項目】
135項目

対処すべき課題

国内経済は一部業種で人員不足感が強まり、設備投資拡大など企業の前向きなマインドに底堅さが見られるものの、消費増税への対応、原材料価格の高騰などの影響による景気の下振れ懸念、中国や新興国の成長率鈍化などリスク要因もあり、当社グループを取り巻く経営環境は、依然予断を許さない状況が継続すると予想されます。
このような環境のなか、2016年度に当社グループは創立120周年を迎えるとともに、中期経営計画『CAN 20(2014年度~2020年度)』の第1フェーズ(2014年度~2016年度)の最終年度にあたり、主力商品・主力チャネルの成熟化に対する戦略課題に全構成員の力を結集し、成長回帰に向けた取り組みを本格化するとともに、中期経営計画の第2フェーズ(2017年度~2020年度)の戦略目標及び具体的なアクション計画を明確化いたします。
また、成長回帰に向けた活動の一環として、「+25(プラス25)運動(※1)」の推進と組織や職場の壁を越えた「CFA活動(※2)」により、新規事業・新商品・新規チャネルの開拓など新しい取り組みを進めます。
取り組みを強化しているQOL(クオリティ オブ ライフ)の向上に貢献する健康・医療分野など新規事業の拡大、更に成長戦略を支える経営基盤強化対策としてのコア技術力・グローバル対応力・コーポレートブランド価値など無形資産の強化についても継続的に推進します。
これらの取り組みを通して、当社グループにしかできない「ここちよさ」をお客様に提供するグローバル企業として社会に貢献してまいります。
また、株主重視の観点からROE(自己資本当期純利益率)をグループ重点指標として掲げ、収益性の向上、資本の効率化並びに自己株式の取得等により、その向上に取り組んでまいります。そのために、各事業の投資効率を計る指標としてROA(総資産営業利益率)目標を事業部門・関係会社単位で設定し、売上高利益率・総資産回転率の向上に努めてまいります。
機能ソリューション事業では、プラスチックフィルム分野は事業環境が大きく変化しているなか、新市場、新商品の開発を推進します。エンジニアリングプラスチックス分野では主力OA商品の成熟化への対策及び半導体関連など繊維技術活用製品の拡大を図ります。また、電子部品分野ではタッチパネル販売を民生用から業務用へ転換するとともに、タッチパネル販売からフィルム販売を主体とした事業構造シフトを加速してまいります。メディカル分野では更なる成長に向けて、新工場建設などへの積極的な経営資源の投入を図り事業拡大に対応した生産・販売体制整備を推進します。
アパレル事業では、インナーウエア分野はオリジナル技術を強みに主力ブランドの更なる拡販を図り成長チャネルである直販ルート、海外販売を強化してまいります。レッグウエア分野では市場トレンドと消費者潜在ニーズを先取りした新市場・新商品の開発などを進めてまいります。
ライフクリエイト事業では、不動産分野での商業施設運営体制を見直し収益力の向上を図ります。スポーツクラブ分野においては、海外を含む積極的な多店舗展開により売上を拡大してまいります。
※1:「+25運動」
25%をキーワードに、成長確保のために新規取り組みに経営資源を再配分するとともに、その新たな取り組みに費やすマンパワーと時間を創出する運動
※2:「CFA(クロス ファンクショナル アプローチ)活動」
組織の壁を越えて、知識や技術など英知を結集し、課題解決にあたる活動
当社は「会社の支配に関する基本方針」を定めており、その内容は以下のとおりであります。
会社の支配に関する基本方針
(1) 基本方針の内容
当社グループは、「品質第一」と「技術立社」を基盤に、創業の精神である「人間尊重」、「優良品の提供」、「共存共栄」を企業理念として顧客起点の事業運営を行っております。この理念の下、企業の社会的責任(CSR)に積極的に取り組むとともに、各事業の商品、サービスを通して「お客さまに“ここちよさ”をお届けしていく」という強い意思をもち、「社会にとって必要とされる企業」「社会とともに持続発展する企業」を目指しております。また、当社グループは、企業価値向上を目指し、株主重視の経営姿勢を堅持していくことを基本に、収益性の向上、資本の効率化に取り組むとともに、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要政策と位置づけ、配当金支払い・自己株式取得等を通じて、中長期的な業績見通しに基づいた、安定的・継続的な利益還元を図っております。
一方、当社の株主のあり方については、当社株式の自由な取引を通じて決定されるものであると考えており、会社の支配権の移転を伴う買収提案がなされた場合に、これに応じるか否かの判断も、最終的には株主の皆様の意思に委ねられるべきものと考えております。
しかしながら、上記のような取り組みを通して、企業価値・株主共同の利益の持続的な向上を図るためには、株主の皆様はもとより、お客様・取引先・従業員・地域社会等のステークホルダーとの適切な関係を維持し、発展させていくことが重要であり、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務及び事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、ステークホルダーの利益にも十分配慮した経営を行うことが可能な者である必要があると考えております。
従って、当社グループの企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益を毀損する恐れのある大量買付行為又はこれに類似する行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような買付行為を抑止するための枠組みが必要であると考えております。
(2) 基本方針の実現に資する取り組み
当社は、基本方針の実現に資する取り組みとして以下の施策を実施し、当社グループの企業価値及び株主共同の利益の向上に努めております。
①中期経営計画の推進
当社グループは、中期経営計画(CAN 20計画:第119期~第121期)を展開しており、『集中と結集』をキーコンセプトに、「SBU(戦略的ビジネスユニット)戦略による既存事業の選択と集中」、「CFA(クロス ファンクショナル アプローチ)活動による成長・新規事業の育成・創出」、「成長戦略を支援する経営基盤強化」を基本戦略として、企業価値の向上を図っていくこととしております。
また、株主重視の観点からROE(自己資本当期純利益率)をグループ重点指標として掲げ、収益性の向上、資本の効率化並びに自己株式の取得等により、その向上に取り組んでまいります。そのために、各事業の投資効率を計る指標としてROA(総資産営業利益率)目標を事業部門・関係会社単位で設定し、売上高利益率・総資産回転率の向上に努めてまいります。
②コーポレートガバナンスの強化
当社は、意思決定の迅速化、経営監督機能の強化を図るため、第110期(平成17年度)に執行役員制度の導入、取締役員数の削減を行うとともに、取締役の経営責任を明確にし、経営環境の変化に迅速に対応できる経営体制とするため、第111期(平成18年度)に取締役任期を2年から1年に変更し、併せて経営の透明性の確保を図るため社外取締役の選任を行うなど、コーポレートガバナンスの強化に努めております。
なお、平成27年12月18日開催の取締役会において、当社グループのコーポレートガバナンスに関する基本方針として、「グンゼ コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定いたしました。その内容は、以下の当社ホームページに掲載しております。
http://www.gunze.co.jp/ir/policy/governance/index.html
(3) 不適切な支配の防止のための取り組み
当社は、企業価値の維持・向上を目的として、また株主の皆様が自ら適切な判断を行うのに十分な時間・情報を確保するために平成18年5月12日開催の取締役会において、「当社株式の大量買付行為に対する対処方針(買収防衛策)」を決議し、そのうえで平成18年6月29日開催の第110期定時株主総会において議案としてお諮りし、株主の皆様のご承認をいただきました。
この対処方針は、その後の買収防衛策をめぐる諸々の動向を踏まえて一部改定され、平成20年6月26日開催の第112期定時株主総会並びに平成23年6月24日開催の第115期定時株主総会にて株主の皆様のご承認をいただき、更新いたしました。また、平成26年6月25日開催の第118期定時株主総会において「当社株式の大量買付行為に対する対処方針(買収防衛策)の継続の件」(以下、「本対処方針」といいます。)として更新され、平成29年6月開催予定の定時株主総会終結の時までを有効期限として継続されております。このプレスリリースの全文は、以下の当社ホームページに掲載しております。
http://www.gunze.co.jp/
(4) 上記取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社取締役会は、これらの取り組みが、当社の支配の基本方針に沿うものであり、企業価値・株主共同の利益を損なうものではないと考えております。
また、本対処方針においては、大量買付行為があった際には、当社取締役会は特別委員会の開催を要請し、買収提案内容及び対抗措置について、同委員会による評価・勧告に対し責任を持って評価した上で原則として従うものとしていること、また対抗措置は、あらかじめ定められた合理的な客観的要件に該当する場合にのみ発動されるものであることから、本対処方針は当社取締役会の恣意的判断を排除し、大量買付ルールの遵守や対抗措置発動の是非に関する判断の公正性・透明性の確保を図っており、取締役の地位の維持を目的とするものではありません。