有価証券報告書-第111期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/27 16:17
【資料】
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【項目】
167項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社片倉工業㈱は、1873年の創業以来、国内最大手のシルクメーカーとして「カタクラシルク」のブランドを世界に広めると同時に、わが国近代産業の発展に寄与してまいりました。また、長い歴史の中で培われてきた信頼と有形無形の財産の有効活用により事業の多角化を推進し、カタクラグループとして広く社会に貢献してまいりました。創業から140年以上の長きにわたり培われた社風である「親和協力」のもと、ステークホルダーの皆様の満足を得ることに努め、社会と共に持続的な発展を目指すために、以下の経営理念を掲げております。
≪経営理念≫
カタクラグループは、信義、誠実、親和協力を旨とし、命と健康を守り健全で豊かな
社会の実現に貢献する。

≪経営ビジョン≫
分散と融合を追求し、健康、安全・快適、環境との共生を実現する企業集団を目指
し、新しい「成長の芽」を創り出す。
① 人々の健康な暮らしに貢献する事業を創り出す。
② 人々の安全で快適な暮らしに貢献する事業を創り出す。
③ 環境に貢献する事業を創り出す。

(2) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
当社グループは、『愛される200年企業の礎ができていること』を到達目標とした、2017年から2021年の5カ年を計画期間とする中期経営計画「カタクラ2021」を策定いたしました。
<「カタクラ2021」の基本戦略>◎ 成長事業への転換
・ 多様化する顧客ニーズに対応し、特定領域でのNo.1を目指す
・ 既存事業のビジネスモデルを見直し、成長事業へシフトすることで、収益基盤を強化する
・ 新興国市場の開拓を推進する
◎ 新規事業の創出
・ 多角化した事業のシナジーを効かせ、新規事業を創出する
・ 人々の潜在ニーズに応え、独創的な製品やサービスを提供することで、成長事業を創出する
・ 長期的な展望のもとでカタクラグループの新たな柱となる事業を創出する
<対処すべき課題>当社グループは、2017年から5カ年を計画期間とする中期経営計画「カタクラ2021」を策定し取り組んでまいりました。当初の2年間は、基本戦略である「成長事業への転換」に基づき、一部の事業から撤退する等構造改革に取り組みましたが、計画策定時からの更なる事業環境の悪化や、注力してきた新規製商品が伸び悩んだこと等により、繊維事業における実用衣料分野、医薬品事業、機械関連事業については2019年度も構造改革を継続することとし、新規事業も含めて2020年度での黒字化が見込めない事業については事業規模の大幅な縮小または撤退を決定・実行してまいりました。
今般、構造改革に一定の目処が立ったことから、今後は不動産事業等の成長事業へ経営資源を振り向けるとともに、安定した収益構造への転換を果たした事業については、より一層の採算性改善に努めてまいります。加えて、他社との事業提携やM&Aによる成長を検討するとともに、更なる資本効率の改善や、株主還元の適切な水準への引き上げを図ることで、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
また、成長の土台となる事業基盤強化のため、社外取締役の増員や関係会社管理規程の見直し、コンプライアンス管理規程の制定等ガバナンスの強化に取り組んでまいりましたが、今後はそれらの運用の充実を図り体制の強化に努めてまいります。
さらに、生産性の低い会議の廃止や各種資料の削減による業務の効率化を図るとともに、連続休暇制度やスライド勤務制度の導入、サテライトオフィスの活用等により生産性の向上を実現してまいりましたが、今後は人材育成の更なる強化に取り組んでまいります。
主要な事業の対処すべき課題は次のとおりです。
(繊維事業)
実用衣料分野については、当社衣料品事業部門の大幅縮小と連結子会社への事業譲渡を決定いたしました。 今後は、付加価値の高い介護商品拡充による収益力強化と、物流機能の統合等を通じたコスト削減を一層推し進めてまいります。
機能性繊維においては、新たな高機能素材の開発と耐熱性繊維の用途開発を進めてまいります。
(医薬品事業)
製薬業界においては、国の医療費抑制策や薬価改定の影響により依然として厳しい事業環境下にありますが、ジェネリック医薬品のラインナップ拡充やアウトライセンスによる販売の拡大に取り組むとともに、共同研究等のインライセンスによる効率的な創薬開発方法に取り組む等、経費削減に努めてまいりました。
これらに加え、販売・生産・研究にかかるコスト構造の更なる見直しにより、安定した収益基盤の確立に努めてまいります。
(機械関連事業)
消防自動車事業については、経営体制を刷新し営業体制の再構築や生産性向上に取り組み一定の成果を得ておりますが、より一層の採算性改善を図ってまいります。
受託加工、環境機器においては、更なる経費削減に取り組むことで、収益体制の強化を図ってまいります。
(不動産事業)
さいたま新都心における「まちづくり事業」を中核事業と位置付け、「コクーンシティ」の実績を活かして第三期開発計画策定を着実に推進するとともに、さいたま新都心エリアを中心に不動産周辺ビジネスの拡充にも努めてまいります。
その他の社有地に加え、構造改革の結果新たに活用が可能となった不動産については、関係会社が所有するものも含め、資産の効率的な活用を図り、収益拡大に努めてまいります。