有価証券報告書-第180期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/30 16:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
173項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、企業理念から導かれるVALUE、行動指針のもと、持続可能な社会を実現する「環境・エネルギーカンパニー」グループとして、ステークホルダーの皆さまとともに企業価値をより向上させていきます。

当社グループは、「事業活動を通じて社会に貢献する」ことを使命とし常に変化しています。企業理念「挑戦と変革。地球と人びとの未来を創る。」の下、「『環境・エネルギーカンパニー』グループとして超スマート社会を実現する」を事業方針に掲げ、ポートフォリオ変革によってさらなる成長を目指しています。
当社グループでは、戦略的事業領域を「モビリティ」「インフラストラクチャー&セーフティー」「ライフ&ヘルスケア」の3つに定め、無線・通信事業、マイクロデバイス事業およびブレーキ摩擦材・化学品・成形品・繊維等で構成されるケミカル事業を柱として企業活動を展開しています。
車のEV化や自動運転・船の自律航行といったモビリティの劇的変化に対応し、遠隔医療や見守りサービスを実現するのが無線・通信およびマイクロデバイスの世界です。まずは異常気象という目の前の課題に、防災無線やセンサネットワークを提供して災害から人びとの命を守ります。そして、市場のトップランナーであるブレーキ摩擦材や燃料電池用カーボンセパレータをはじめとするさまざまな環境素材とプライベートLTEやローカル5Gといった通信システムや半導体で、環境問題にソリューションを提供してまいります。さらに、レーダやGPS、超音波センサ等、モノづくりで極めた技術や製品を活用したサービス事業へと領域拡大を進めます。
こうした事業活動により、地球環境を守り・改善するサステナビリティ経営を推進することが、当社グループの持続的成長につながると考えます。そして、資本・経営・労働がそれぞれの権限と責任を認め合い協力して付加価値の総体としての利潤を増やすことで、顧客・株主・社員・取引先・地域社会等、さまざまなステークホルダーの期待に応えてまいります。
2030年に温室効果ガス排出量を50%削減(2014年比)し、2050年までにカーボンニュートラルを実現するという環境目標の達成に邁進すると同時に、イノベーションの源である多様性とイノベーションの加速装置であるDXにより、事業の変革と成長を目指します。また、遵法に止まらず、人としての倫理に基づき行動することを旨とし、粘り強く人権デューデリジェンスやD&I活動を推進し、事業の多様性・人の多様性・価値観の多様性を強みとして企業価値向上に取り組んでまいります。
(2) 事業別の経営戦略及び経営環境並びに対処すべき課題
①無線・通信事業
無線・通信事業では、事業変革による利益体質の強化に取り組んでいます。事業ポートフォリオ改革を遂行し、低収益事業の見極めと見切りを徹底し、高収益事業へのシフトを実現しながら、コスト構造改革の実施とデジタルを活用したビジネス変革およびイノベーション創出を図ります。またデータやDXの積極的な活用を通じて、ビジネスパートナーと連携・協創し、実証実験などにも挑戦しながら、顧客にとって真に価値あるソリューションの提供を目指します。
・マリンシステム
マリンシステムではグローバル成長戦略として、商船分野における収益力向上、中小型船分野におけるマーケットシェアの拡大、自動運航へとつながるシステム機器の市場投入、Smart Shipコンテンツの開発促進に注力するほか、洋上風力発電設備関連ソリューションの販売拡大など、海洋システムビジネスの開拓にも取り組みます。
安全・安心・効率化の船舶運航に寄与する、付加価値を持つ船上機器の提供やSmart Shipを実現するコンテンツの共同開発を進め、今後さらに必要性が高まる船舶の自律・自動運行に向けた機能やシステムの提供を進めます。
その取り組みの一例が、海上情報サービスを提供する「J-Marine Cloud」です。「J-Marine Cloud」は、“海のDX化”に資する革新的な取り組みとして、日本海事協会の「イノベーションエンドースメント」認証を取得しており、今後市場でのさらなる活用が期待されます。また海のモビリティの高度化促進に向けては、東京大学を中心とした社会連携講座「海事デジタルエンジニアリング講座」に参画しています。これは高度化する船舶や陸上支援システムの設計・開発プロセスにおいて、生産性の確保と信頼性の向上を目指す取り組みです。
また、安定収益体質への変革を実現するべく、デジタル技術による業務の効率化を進め、営業力およびサービス力を強化することで利益創出を目指します。
・ソリューション・特機
官公庁、民需、海外の各事業分野で、既存事業の需要を確実に取り込むのと並行して、事業領域の拡大に向けて、アライアンスやM&Aを通じて隣接分野・市場への進出を目指します。事業領域の拡大を目指す上では、「国土強靭化基本計画・5か年加速化対策」に基づき、集中豪雨等の観測体制の強化・予測精度の向上など、流域治水対策やインフラ施設等の老朽化対策に対してICT/IoTを活用します。ロボット、ドローン技術の活用、スマートデバイスを通じた避難に関する情報等の提供、収集、伝達の高度化に取り組み、DXビジネスの推進を通じたインフラメンテナンス事業への進出や、ICT/IoTを活用した情報サービス事業の確立を図ります。また、グループ会社、パートナー企業との連携も強化しながら、業務プロセスの各作業のデジタル化を通じて効率化を図り、効果的な事業拡大と収益力の強化に注力していきます。※ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)
・ICT・メカトロニクス
ICT事業分野では、次世代スマートメータ用通信機製品やIoT環境モニタリングシステムの開発により新レイヤー・新領域での事業拡大を図ります。メカトロニクス事業分野では、スマートファクトリー事業化の推進および顧客の深掘りによる新領域案件の獲得を目指します。コンポーネント事業分野では、海外顧客の開拓など海外展開の加速によりグローバルシェアの拡大に向けた基盤固めに注力します。
収益力の強化に向けては、高収益事業領域へのリソース配分、新レイヤーへの挑戦、自主開発製品比率の向上の3つの方針を掲げ、事業ポートフォリオ改革を推進しています。新基幹システムの導入を通じた業務の効率化や、生産拠点全体のDX化、省人化、さらにはサプライチェーンやロジスティクス改革の推進にも取り組んで、コスト構造改革を通じた利益の創出と、生産設備の高度化による生産性の向上を目指します。
・医用機器
医用機器事業では、ニーズオリエンテッドな独自商品開発に挑戦し、マーケティング力の強化を通じて、成長性・収益性の両立する企業体質を構築します。成長戦略事業分野として、携帯型超音波診断分野ではハンディエコーのバリエーション拡大など独自商品の開発力向上や自主企画品による事業展開に注力しているほか、予防・予後・医用システム分野では、要介護者などの見守りシステムの高機能化など、デジタル医療ビジネスの事業拡大を図ります。さらに、基盤事業分野である医用分析装置事業では、積極的なODMを推進し、高付加価値製品を継続的に提供することで事業機会の創出に注力します。
・5G/LTEへの取り組み
国内では、IoT基盤を用いたデータ活用ビジネス拡大が著しく、ローカル5Gの活用も大きく期待されています。日本無線㈱長野事業所のローカル5G無線局を活用した実験検証や、顧客との共同研究、現場での実証実験で得たノウハウをも活用し、強みであるインフラ無線技術を活かして高い顧客価値を創出するトータルソリューションの提供でさらなる事業拡大を図ります。
海外では、主にパブリックセーフティ領域で、欧米を中心にプライベートLTEを展開しており、今後はその拡大に努めると同時に、将来的な5Gへの事業発展を睨んで海外拠点等を活用した顧客増大施策を展開します。顧客ニーズに応じたLTE-Boxや高品質映像通話アプリケーションなど、高度化された最適ソリューションの提供で、さらなるビジネス拡大を図ります。
②マイクロデバイス事業
日清紡マイクロデバイス㈱では、「競争優位な電子デバイス事業の推進」と「マイクロ波事業の拡大と利益創出」をテーマに、既存のベースビジネスを強化しながら、より高付加価値な信号処理製品や電源モジュール製品の展開を図ります。また、アナログ半導体およびマイコン等のハードと、それらを制御するためのソフトやAI等、両方の質を高めて顧客提供価値を追求することで、新しいアナログソリューションを提供していきます。
・統合シナジー
2022年1月に、旧・新日本無線㈱と旧・リコー電子デバイス㈱の2社を統合しました。統合初年度からクロスセルによる顧客開拓が順調に進んでいます。また開発面でも、双方の強い技術を持ち寄り、効率的な開発フローを構築して新しい顧客価値を提供する製品が順次開発されています。相互の生産拠点での交流を通じて、カイゼン事例を共有・実施することで、生産面からも業績貢献につながる効果が創出されました。また「品質のNISD」ブランドの定義を全社で共有し、これまで両社が持っていた品質ノウハウを融合した品質教育・QMS・顧客サポート等の体制構築を進めています。
・2023年の半導体市況見通し
2023年は半導体市況全体の減速が予想されています。当事業の電子デバイス製品の多数を占めるアナログ半導体は、比較的堅調な見通しではあるものの、需要の変化を見越した対応を講じるとともに、これまで生産が追いつかずに積み上がった、納期遅れ受注残の解消と新規拡販、売価適正化等の施策に取り組みます。
・電子デバイス製品
電子デバイス製品では、SP(Signal Processing:信号処理)とEM(Energy Management:電源制御)に注力していきます。SPはオペアンプおよびIoTなどで市場が拡大するセンサ製品群を含む信号処理系ICで、マイクロ波センサとの融合も図りつつ、これまでの単体ICの提供からモジュール、さらにはソリューションの提供を目指します。EMはあらゆるデバイスに必要で、低消費化、高精度化などの要求が高まる電源制御系ICで、PMIC、IPMといった高付加価値な電源モジュール製品の展開を目指します。車載向け、産業機器向け、民生向けといった幅広い市場をターゲットとし、車載および産業機器向けでは顧客志向で高機能なASIC/ASSP製品の企画・開発を強化するとともに、民生向けではタッチレスセンサなど、コロナ禍での社会変化に即した製品を提供していきます。また新たに電子聴診器などの医療分野にも市場を広げ、製品の企画・開発を加速します。そして、これら4市場向けの製品をバランスよく拡大することで、安定的な事業ポートフォリオを確立します。
収益性の向上に向けて、生産面で外注委託コストの低減を図ります。ウエハプロセス(前工程)は、やしろ事業所(兵庫県)で0.18umCDMOSの微細化・高耐圧プロセスを量産化し、今後の高付加価値製品の内製化を進めます。アセンブリプロセス(後工程)は、佐賀県とタイの生産子会社でテストとアセンブリの内製化を進め、同時に、安価な海外OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)の活用拡大を図ります。また、確定受注生産の運用で生販整合体制を強化し、棚卸資産の圧縮と効率的な生産管理体制の運用を行います。
・マイクロ波製品
電子管・レーダーコンポーネントでは、生産効率化で利益率の改善を図ります。また、需要が旺盛な電子銃の増産体制を構築し、売上増に努めます。衛星通信用コンポーネントでは、好調なVSAT(小型地球局)向け製品(送信機・受信機)の安定生産に努めます。また、既存製品のモデルチェンジと高付加価値が期待できる基地局向けの高出力送信機の開発や新規市場開拓を進めます。
マイクロ波センサでは、ミリ波帯(60GHz)製品の販売を開始します。また、電子デバイスでのパッケージ技術との融合や、他のセンサと組み合わせた複合センサ技術、信号から必要な情報を抽出し低消費電力化を図る制御・信号処理技術など、IoTに対応した使いやすいセンサ開発を加速し、センサを用いたシステムの設計・開発に対応した技術力も高めることで、顧客からの幅広い要求に対応していきます。
部材調達は、一部改善の兆しはあるものの、依然不安定な供給状態が続いています。さらなる調達難が予測されるものもあり、市場動向を見据えた部材調達戦略で部品調達力を高め、安定生産につなげます。また、タイ子会社での生産拡大で価格競争力を強化し、拡販につなげます。
・サステナビリティへの取り組み:環境とD&I
当社グループの中期環境目標に合わせ、マイクロデバイス事業では2030年までにGHG排出量の3万8千トン削減を目標に掲げました。また統合初年度は相互の人材交流を積極的に図ったほか、川越事業所では近隣に「NISD農園」を開設し、障がいを持つ人財が働きやすい就労環境を整え障がい者雇用を促進しました。
③ブレーキ事業
・市場環境と事業戦略
グローバルの自動車生産は、いまだにコロナ前の水準には戻っていませんが、2022年下半期より、車載半導体不足に改善の兆候が一部地域で見られ、今後は自動車メーカーの操業も徐々に正常化へ向かうことが予想されます。景気後退等を要因に自動車需要そのものの低下も懸念されますが、当事業では国内や米国、中国で新たに受注した銅フリー摩擦材の立ち上げ等を通じて、売上のさらなる伸長を見込みます。
銅フリー摩擦材の拡販に向けて、グローバルでの生産体制を最適化し、実際の受注状況を見極めながら設備投資を実行していきます。先進国を中心に労働力がひっ迫することを見据え、自動化・省力化関連投資も積極的に進めます。
中国の3つの子会社のうち2つの子会社については、環境規制の強化に伴う操業制限リスクへの対応や事業運営の効率化を目的に統合を決定し、今後、機能や設備移管等を通じた合理化を推し進めます。
一方で、TMDグループが事業を展開するアフターマーケット事業は、引き続き戦略的な生産体制の強化を進めます。これまで事業再生計画を進めてきた組み付け製品事業では、2022年にフランス工場・レバークーゼン工場での生産が終了し、他工場への製品移管などの生産統合が進みました。今後もルーマニア工場の積極活用などを通じて最適地生産を進め、さらなるコスト競争力の強化を進めます。
原料費・光熱費の高騰が利益の下押し要因となっていますが、日清紡ブレーキ㈱、TMDグループともに引き続き顧客との粘り強い交渉を通じて、コスト上昇分の販売価格への転嫁を進めていきます。
・電動化や自動運転の普及に向けて
電動化や自動運転に関連した次世代車両や新たなブレーキの企画が完成車メーカー各社において進捗しています。HEV、BEVなどの電動車では制動時に電気駆動システムを活用したエネルギー回収(回生ブレーキ)が行われ、従来の機械式ブレーキによる摩擦材の摩耗が減少し、長期的には補給部品の需要減少が想定されます。一方で、新車組み付け部品は長期間の使用に耐える耐久性や電子的に制御される回生ブレーキとの協調による安定した制動力の実現と、さらに車両静粛性の高まりへの対応として、制動時のノイズ・振動抑制に優れる高品質な製品が求められています。当社では、今後の自動車の使われ方による摩擦材への要求の変化を見据え、電子制御ブレーキと親和性の高い製品の研究開発に注力しています。
製品開発では、シミュレーションやデジタル化のさらなる進化と、AIを活用したデータ駆動型研究開発という新たなPDCAサイクルを開発に取り入れることで、製品の性能向上や効率化を図っています。その実現を支えるために、データサイエンティストを頂点とするデジタル人財を育成する教育プログラムをスタートしました。
加えて2050年までのCO2排出量ゼロに向けて、独自の目標も策定しながら材質および製造工程の研究・開発にも取り組んでいます。また、日清紡グループ内で連携しながら、車両の安全、自律運転を見据えた足廻りのセンシングに関する研究も推進しています。
・カイゼン活動、競争力強化活動
グローバルで取り組むカイゼン活動は経営の基盤です。各拠点の地域特性やレベルに合わせて推進する従来の活動に加え、昨今ではDXへの取り組みもカイゼン活動と一体化させながら推進しています。製造工程の自動化・省力化、ICT・IoT技術を活用した効率的な生産管理、設備稼働状況の可視化や設備の予兆保全、さらにはAIカメラを活用した品質管理に取り組み、採算性の向上や製品品質の向上に成果を上げています。定期的なカイゼン活動発表会を通じて各拠点の得た知見を共有するなど、全社的にカイゼン文化が醸成されています。
・サステナビリティへの取り組み事例:銅フリーブレーキ摩擦材
環境規制の強化が進む米国では、2025年以降、銅含有量0.5%以上の摩擦材製品の販売および新車への組み付けが禁止されます。日清紡ブレーキ㈱が早くから開発を進めてきた銅フリー(銅含有量0.5%未満)摩擦材は、自動車メーカーからの評価も高く、新規受注増で市場シェアを伸ばしています。
④精密機器事業
・事業/製品の見極めと見切り
日清紡メカトロニクス㈱の成形品事業および南部化成㈱は、グローバルでの各種需要を効率的に取り込み、収益拡大につなげていくために、生産体制の最適化を図っています。成形品事業部では、原価管理の徹底により不採算製品の抽出と原価低減活動を強化しており、顧客への適正な価格提案へとつなげ収益力の改善を進めています。
南部化成グループでは、不採算事業の解消を目的に、インドネシア子会社について、現地法に定める独自の法的債務整理手続きを申し立て、2021年に生産を終了し、会社清算に向けた手続きを進めています。南部化成の中国・広州の子会社についても、2022年3月に生産を終了し、同年12月に会社清算手続きが完了しました。
南部化成グループでは、継続して不採算事業の見極めと見切りを実施することで、経営資源を付加価値の高い事業へと振り向け、収益性のさらなる向上へつなげていきます。
・自動車向けEBS用バルブブロック事業の拡大
日清紡メカトロニクス㈱ではドイツの自動車部品メーカー大手のコンチネンタル社と2015年に中国江蘇省・揚州で日清紡大陸精密機械(揚州)有限公司を設立し、EBS用バルブブロックの生産・販売数を順調に増加させてきました。2022年9月にはインドのグルグラムで新たに合弁企業を設立し、自動車向けEBS用バルブロックの生産拡大を図ります。経済成長著しいインドでは、自動車ならびに自動二輪車の生産台数が拡大しており、EBSの需要拡大が見込まれることから、コンチネンタル社とのパートナーシップを通じて、同事業の発展に向け活動していきます。
・新製品開発と上市の加速
「新製品開発と上市の加速」は重点取り組みテーマです。
モビリティ領域に関しては、射出成形技術、エレクトロニクス技術をベースにIMPC®(In-Mold Printed Circuit:立体配線成形技術)を合わせた配線機能一体型成形品等の開発を加速していきます。
ライフ&ヘルスケア領域では、医療分野において、優れた生体適合性等を備えたスーパーエンプラ樹脂を用いた新製品をはじめ、予防・予後・再生医療に貢献する製品の開発・上市を進めていきます。家電・住設分野では、快適な居住空間や省エネに向けた空調機器用ファンや高気密・高断熱窓枠等の開発に取り組んでいきます。
インフラストラクチャー&セーフティー領域に関しては、再生可能エネルギーや社会インフラの整備等、持続可能な社会に向けた製品開発を進め、新たな事業創出に取り組みます。
・サステナビリティへの取り組み事例
サステナブルな社会を実現するために企業活動を通じて社会課題を解決すべく、精密機器事業ではマテリアリティの特定および重点取組み項目の策定を通じ、SDGsの理解・浸透に向けた社員への啓蒙活動を推進しており、また環境目標KPIの達成に向けた持続可能製品の売上比率の拡大、GHG排出量削減等、各種活動を進めています。
⑤化学品事業
・燃料電池セパレータの生産能力増強と開発加速
グローバルでカーボンニュートラル実現に向けた動きが加速する中、さまざまな用途を視野に、燃料電池の実証実験が拡大しています。当社への引き合いも引き続き旺盛に推移し、複数の有力メーカーと車載用等の燃料電池カーボンセパレータの開発を進めています。2022年に決定した工場増設と新ラインの設置は計画通り進捗しており、2023年から本格的に建屋の建設と設備の導入に向けた準備を開始します。車載用の商業化と来る需要拡大期に向けて、生産工程の自動化や次世代製品の開発に注力しながら、大量生産体制の構築とコスト削減に注力していきます。
・環境課題解決に寄与する機能化学品:カルボジライト製品
マイクロプラスチックによる海洋汚染や地球温暖化、揮発性有機化学物質(VOC)による大気汚染等の環境課題を前に、グローバルで環境意識が高まっています。環境課題解決に資する生分解性プラスチックの普及や塗料・コーティング剤の水性化、電子材料の高性能化に欠かせない素材として、カルボジライト製品の需要は拡大しており、現在、環境配慮型製品をターゲットに製品開発と販路拡大を強化しています。特に環境・エネルギー市場の成長が著しいカルボジライトの未開拓地域で、水性および粉状カルボジライトの販売を加速していきます。
国内および欧米諸国では、カルボジライトの性能に対する要望が高度化しており、これらのニーズに応える高付加価値製品を開発し、未開拓市場を含め、積極的に市場投入を図ることで販路の拡大につなげます。
・断熱製品の差別化・高付加価値化に向けて
断熱製品では、中核製品である土木原液と硬質ブロックの維持拡大と、難燃性能の高い製品の市場投入を通じて事業拡大に取り組んでいます。また、次世代エネルギーの普及に伴い、サプライチェーンにおける運搬貯蔵設備用の高性能断熱材の開発を進めています。
防振分野では、軌道保守メンテナンス周期の延伸を可能にする製品の受注拡大とともに、海外大型物件の受注を視野に入れた取り組みを行います。
水処理分野では、アジア各国において、日本ブランドと高い技術開発力を武器に差別化戦略を推進すると同時に、国内では市場ニーズに適合した新製品開発で、新規に民間排水分野での受注と浄化槽市場への展開を図ります。
加えて、新たな高付加価値製品の提供に向けて、インフラ構造物の安全対策に資する製品の展開を進めるなど、断熱にこだわらない新規開発品による事業領域の拡大を図ります。
・長期的な成長が見込めるガラス状カーボン製品
ガラス状カーボン製品の主要用途である半導体市場は、今後も市況の増減はあるものの、CASEやメタバースの浸透により、長期的な成長が期待されます。米中経済摩擦をきっかけとしたサプライチェーンの混乱、その後の半導体不足回復を目的とした増設投資もあり、製造装置市場も成長が期待できます。特に設備投資を牽引している先端半導体セグメントに注力し、高度化する材料への要求に応え、微細化プロセスの量産を支えるキーマテリアルを提供することで、事業の成長を目指します。
・サステナビリティへの取り組み事例
化学品事業では、カーボンニュートラルを実現する技術として注目を集める燃料電池向けにセパレータを供給しているほか、生分解性樹脂や水性塗料の利用促進が求められる中で、それらの機能を向上させる機能化学品「カルボジライト」を製造しており、様々な製品で環境問題に対するソリューションを提供しています。
⑥繊維事業
・事業収益力の再構築
繊維事業では、「サステナビリティ戦略の推進による利益体質の再構築」をスローガンに、環境・健康・快適を軸に開発した高機能性商品の展開を加速させます。省電力に貢献し売り上げを伸ばしているノーアイロンシャツ「アポロコットシャツ」のさらなる進化や、「防汚・冷感」等の新たな機能を付与した付加価値商品の開発・拡販を通じて、市場シェアの拡大と収益力の強化に注力します。また、原価管理の徹底と原材料や製造工程の抜本的見直しによる原価低減に取り組み、在庫削減も進めることでキャッシュ・フローの改善を図ります。
・市場変化に対応した事業変革
東京シャツ㈱では2021年以降、店舗集約による経費削減を進めてきましたが、今後は地域性を考慮したスクラップアンドビルドによる店舗の再編と店舗当たりの売上増加施策の強化を進めます。ECと連動した店舗サービスを拡充させ、EC・OMOを事業基盤とするビジネスモデルへと転換していきます。
オイコス事業では、オイコスの生分解性の特徴を活かし、農業用資材用途として育苗ポットやマルチシートを開発しています。環境優位性を訴求しながら新規販路を開拓すると同時に、落綿・再用綿(工程内リサイクル)の使用や検反の省人化を通じたコストダウンで構造改革を進めます。
・サーキュラーエコノミー型事業への挑戦
「環境」「健康」領域でのサステナブルな事業展開として、テキスタイルとケミカル技術を融合させたサーキュラーエコノミー型事業の実現に挑戦しています。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の先導研究プログラムに採択された「シャツ再生プロジェクト」では、廃棄されるシャツから再生セルロース繊維をつくる資源循環システムの確立を目指します。「セルロースナノファイバー活用プロジェクト」では、製造工程で発生する綿繊維廃棄物をナノファイバー化し、繊維加工技術と組み合わせて独自の機能加工剤の開発を目指します。生分解性を持ったスクラブ材や、綿製品に抗菌剤等を固定化する石油由来バインダーの代替など、今後も「環境」「健康」に貢献できる用途の開発を進めていきます。
・サステナビリティへの取り組み:地球環境問題への対応
繊維事業では、2021年のニカワテキスタイルの石炭自家発電設備の停止(買電へ切り替え)、2022年のインドネシア3拠点での地熱発電へ切り替えで、2022年のGHG排出量を2014年度比65%削減したほか、水使用に関しても、日清紡インドネシアと国内事業所で生産排水の再利用を通じた使用量の削減に取り組んでいます。
⑦不動産事業
2023年は、土地やオフィスビル・商業施設用建物の賃貸による安定した賃貸事業と、土地販売などの分譲事業の継続により、前年に引き続き高収益を確保する見込みです。
当事業は、全社での経営計画達成に向けた資金創出を担う役割を継続しつつ、今後も長期安定的な賃料の確保と分譲事業の収益力の向上を目指し、グループ全体の不動産のさらなる有効活用や物件の組み換えを推進します。以下のプロジェクトを中心に、今後も継続的、安定的な収益の確保を見込んでいます。
浜松工場跡地(静岡)の商業施設用地の販売は、1回目の引渡しが2022年に完了し、2回目の引渡しを2023年に予定しています。
美合事業所跡地(愛知)の再開発は、引き続き全357区画の戸建て用地の販売を実施します。
西新井社宅(東京)の賃貸マンション建て替え事業は、第1期(50戸)が竣工し賃貸を開始しており、第2期(149戸)は2024年より賃貸を開始する計画です。
能登川工場跡地(滋賀県)は、129戸のマンションの建築を開始しており、2023年の販売を予定しています。
日本無線㈱清風寮跡地(東京)においても賃貸マンション(50戸)の建築計画を進めています。2022年より開発、建築工事に着手し、2024年より賃貸を開始する計画です。
また、日清紡都市開発㈱が所有する芝浦日新ビル跡地(東京)においても、大手住宅メーカーとの共同事業で賃貸マンション(115戸)の建築計画を進めています。
(3) ESG、SDGsの取組み
当社グループは、企業理念「挑戦と変革。地球と人びとの未来を創る。」の具現化を通して、グループ経営、グローバル経営の深化を図り、多様性の中での団結を進め企業価値の向上を目指しています。これはSDGsの考え方と軌を一にするものです。
(日清紡ホールディングス統合報告書https://www.nisshinbo.co.jp/ir/library/annual_report.html)


当社グループの事業が社会とともに持続的に成長するために取り組むべき課題を明確にすることを目的として、マテリアリティ(重要課題)を次の通り特定しています。
〇環境・エネルギー分野の貢献
〇安心・安全な社会づくり
〇グローバル・コンプライアンス
当社グループでは、企業価値の向上を目指し、2008年度よりCSR計画を策定しCSR推進活動を展開、活動をより確実に推進するため、2016年11月からKPI活動に取り組んできました。2022年度からは「CSR計画」を「サステナビリティ推進計画」と呼称を改めるとともに、サステナビリティの実現に向けて引き続き活動を推進しています。
2022年度からの第5期サステナビリティ推進計画は、前期計画で設定した目標20項目の達成度や実績の評価をもとに、内容やKPI目標の見直しを行いました。社会に貢献し、社会とともに成長していくために、グループ一丸となってサステナビリティ推進活動に取り組んでいます。
マテリアリティに基づく活動内容は以下のとおりです。なお、詳細な活動内容および目標の達成状況につきましては、当社グループの統合報告書およびホームページにて積極的な開示に努めています。
(日清紡ホールディングスHP https://www.nisshinbo.co.jp/index.html)

(4) 気候変動への取り組み
気候変動は、国・地域を超えて地球規模の課題であり、温室効果ガスの削減は世界共通の長期目標となっています。当社グループでは、気候変動による事業機会の取り込みおよびリスクへの適切な対応を行うことが重要と考え、2021年度より、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に準じた気候変動シナリオ分析を開始しました。気候変動が将来、当社グループに及ぼすリスクや機会を特定し、事業戦略の策定に活かすことで、より柔軟で堅牢な戦略を立案し、将来のリスクに対するレジリエンスを高めていきます。また、2022年6月にTCFD提言への賛同を表明しました。
TCFD推奨4項目への取り組みと2022年度の進展状況は次の通りです。
・ガバナンス
当社グループでは、全社ガバナンス体制の中で、気候変動に関するリスク・機会に適切に対応するため、ガバナンス体制を整備し運営しています。気候関連課題の責任は社長、執行役員で構成される経営戦略会議などの会議体が負い、取締役会に報告を行っており、取締役会では報告された気候関連課題への対応について議論するとともに、目標とその進捗状況を監督しています。
・戦略
当社グループは事業が多岐にわたるため、2021年度にリスク・機会のインパクトが大きいと想定される無線・通信事業におけるソリューション事業、ブレーキ事業、化学品事業を、2022年度に無線・通信事業におけるマリンシステム事業、ICT・メカトロニクス事業、モビリティ事業、マイクロデバイス事業、精密機器事業、繊維事業を対象に、気候変動シナリオ分析を実施しました。使用した気候変動シナリオは、温暖化が進行する世界(温暖化進行シナリオ、2.6~4℃シナリオ)と、温暖化が抑制され積極的な移行が進む世界(脱炭素シナリオ、1.5℃~2℃シナリオ)という二つです。
対象とした事業それぞれについて、重要なリスクと機会を洗い出しました。気候変動の影響は中長期的に顕在化する可能性を有することから、短期のみならず、2050年までの中長期の時間軸で分析を行いました。その結果、2021年度に分析を行った3事業及び全事業共通の対応策の定義は次の通りです。
◎全事業部共通
GHG排出に係るリスクを最小化すべく、GHG排出削減や省エネによる炭素税回避とエネルギーコストの削減に取り組みます。
◎無線・通信事業におけるソリューション事業
自然災害の頻発により、洪水リスクが増加することから、防災製品・サービスの需要の増加が見込まれるため、需要増を確実に取り込んでいきます。
◎ブレーキ
自動車需要の高まりにより、ブレーキ用摩擦材の需要拡大が期待される一方で、EV比率の高まりにより、ブレーキの補修需要が減少する可能性もあり、脱炭素化に伴う変化・規制に対応した製品・サービスの提供に取り組みます。
◎化学品
架橋剤、建材用断熱材、燃料電池セパレータの需要増が期待され、それらの需要増を確実に取り込んでいきます。洪水リスクの増加に対応し、被害防止・緩和に向けた取り組みを推進します。
なお、2022年度にシナリオ分析を行った事業については、最終結果を分析中です。
・リスク管理
当社グループが留意すべき気候変動に関するリスク・機会については、「リスクマネジメント規定」に基づいて、一義的には各事業においてリスクの把握、分析と評価を実施しています。各事業の責任者が、リスクの優先順位を決め、事業へのインパクトの大きさと将来のシナリオを想定します。その情報を経営戦略センターで総合・マッピングし、経営戦略会議や取締役会で審議しています。
・指標と目標
当社グループでは、気候変動関連の事業機会の取り込みとリスクの低減を目指しています。気候関連リスクを低減するため、2050年までのカーボンニュートラルを目指し、省エネルギー活動やPFC(パーフルオロカーボン)※排出量の削減などの気候変動対策を積極的に推進しています。※PFC(パーフルオロカーボン):半導体製造工程におけるドライエッチング等で使用されるフッ素系温室効果ガス
2024年目標(第5期3カ年環境目標)温室効果ガス排出量を2014年度比で35%以上削減
2030年目標(中期環境目標)温室効果ガス排出量を2014年度比で50%以上削減
2050年目標(長期環境目標)カーボンニュートラルを目指す

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。