有価証券報告書-第93期(平成28年11月1日-平成29年10月31日)

【提出】
2018/01/26 10:10
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【項目】
101項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府と日銀による景気浮揚策の継続と世界経済の回復によって、政府発表による9月の月例経済報告によれば景気は緩やかな回復基調が続いていると発表されている。さらに同月には景気回復局面が58ヵ月に達し〝いざなぎ景気″を超えるものとなりましたが、その間の名目賃金は1.6%の増加にとどまり個人消費も実質3%増加という力強さに欠ける状況となっております。ここで内閣府発表による2017年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は年率換算で1.4%増と7四半期連続のプラス成長となり、海外経済の回復をうけた輸出や設備投資の伸びが減速した個人消費を補ったものと報告されている。このように内需における中間層個人消費の持ち直しが乏しい反面、訪日観光客の増加と円安によるインバウンド消費の増加、株高による資産効果を反映した富裕層の高額品消費は堅調に推移するという購買動向の二極化が進行しております。さらに内需型企業である運送業や飲食小売業では昨今の人手不足による人件費高騰が企業収益を圧迫する状況となっております。
繊維業界におきましては、産業資材分野では航空機向け素材に減速感があるものの自動車向け等でおおむね順調な業況となっております。一方で衣料品分野では世界的なアパレル業界の不振が継続しており、特にファッション衣料の流通経路の主役が百貨店から専門店、そしてインターネット通販の台頭へと著しい変化をもたらしております。特に従来当社グループの主力販売先である百貨店での衣料品売上高は本年8月まで22ヵ月連続の前年割れが続くという厳しい状況下で推移したなかで、大手アパレル各社の事業再構築も大きな成果をあげるまでには至っておりません。
このような経営環境のなか、当社グループは当連結会計年度を最終年度とする3ヵ年中期経営計画を策定し、さらなる事業収益、財務体質、情報力強化を目指すとともに、経営効率化と変化に即応できる事業体制の確立に努めてまいりました。その結果、当連結会計年度の業績は、売上高734,941千円(前年同期比9.1%減)、営業利益35,089千円(同29.6%減)、経常利益29,883千円(同25.9%減)の減収減益となりました。
なお、特別利益として保険解約益635千円、特別損失として保険解約損703千円を計上しております。さらに今後の見通しなどを踏まえて繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討し、繰延税金資産が8,914千円増加し、法人税等調整額を同額計上しております。その結果、親会社に帰属する当期純利益は38,075千円(同27.9%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①繊維事業
当社グループの売上高の約70%を占める主力事業であります。
当連結会計年度における事業環境は、衣料品への個人消費低迷の継続が主力販売先である大手アパレル、百貨店、セレクトショップの販売不調が顕著となるという厳しい状況下で推移いたしました。特に世界規模でアパレル製品販売の主流がネット通販に移行するなかで、ボリュームゾーンである中間層所得の伸びの純化と節約志向があいまって従来販路での衣料品売上高は著しく減少いたしました。このような環境のなか、当部門は販売分野においては新規取引先と取扱品目の拡充に注力し、既存顧客とは従来にました取組強化をはかり、製造分野においては工場と連携した原価低減に努めてまいりました。その結果、受注高514,239千円(前年同期比11.5%減)、売上高506,390千円(同12.2%減)、営業利益4,257千円(同81.7%減)、在庫高309,857千円(同7.1%増)となりました。
②賃貸事業
当連結会計年度における事業環境は、前連結会計年度と同様に安定した事業収益となっております。その結果、売上高199,636千円(前年同期比0.1%増)、営業利益113,693千円(同1.0%増)となりました。
③物流事業
当連結会計年度における事業環境は、都市部の百貨店販売は訪日外国人や富裕層消費の増加により、回復傾向にあります。しかし中間層の購買動向については不透明感が継続しており、当事業と最も関係のあるセレクト系ショップについても、いまだ販売回復には至っておりません。このような事業環境のなか、衣料品のみならず、雑貨・身の回り品・靴などの検品作業の拡充をおこない、経費の削減及び有効利用に取り組みました。その結果、売上高28,914千円(前年同期比9.8%減)、営業損失2,103千円(前連結会計年度3,099千円損失)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動および投資活動によって生じた資金を財務活動で使用しました結果35,348千円(前連結会計年度106,126千円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は58,458千円(前連結会計年度61,884千円)となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益、減価償却費の計上などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は29,544千円(前連結会計年度62,033千円)となりました。
これは主に保険積立金の解約による収入などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は158,830千円(前連結会計年度83,582千円)となりました。
これは主に長期借入金の返済などによるものであります。