有価証券報告書-第145期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/21 10:04
【資料】
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【項目】
118項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における日本経済は、雇用情勢などに改善が見られるものの景気は依然として低迷を続け、個人消費には未だ回復の兆しが見られない状況が続いております。世界経済は、より不透明さを増し、中国や新興国経済の成長鈍化、先進諸国の政策動向など、今後の方向性を注視していかなければならない状況にあります。
そのような環境の中、当社グループでは、「21世紀型企業への変革!」を中期方針に掲げ、変化し続ける経営環境においても、常にお客様のニーズに応え、かつ安定した収益確保と継続的な成長を果たすため、“新規事業の創出”と“グローバル事業の拡大”を柱とした中期事業戦略を推進しております。併せて、戦略遂行に必要な人材育成や組織機能の拡充、さらには生産性向上・業務の効率化改善、徹底した経費削減などによる収益力強化を図り、企業体質の強化に取り組んでおります。
当連結会計年度の連結業績は、売上高1,081億7百万円(前連結会計年度比0.8%増)、営業利益96億48百万円(同17.2%増)、経常利益102億82百万円(同17.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益70億25百万円(同14.6%増)となり、5期連続の増収・増益となりました。営業利益、経常利益においては2期連続、純利益においては3期連続で過去最高を更新しました。
当連結会計年度のセグメントの概況は、次のとおりであります。
車輌資材事業では、国内事業では、新車販売が低迷する中、“革を超える新素材”「クオーレ®」や瞬間消臭機能の「イノドール®」、防汚機能の「エラッセ®」、ステアリング用の夏冬快適素材「クオーレモジュレ®S」など、車輌の室内空間を快適にする高付加価値商品群が堅調に推移し、新型高級車に採用されたビスコテックス加飾パネルについても、当初計画を上回り順調に推移しました。しかしながら、一方で2016年4月に発覚した燃費問題による生産台数の調整に加え、一時期円高に振れたことによる為替損の影響を受け、国内事業は前年同期比で若干の減収・減益となりました。海外事業においては、タイ、ブラジルで自動車販売台数が落ち込み苦戦しましたが、米国と中国で自動車販売台数が順調に推移したことや、「クオーレ®」をはじめとする差別化商品が大きく売上を伸ばしたことが寄与し、円高による為替の影響を受けながらも、海外事業全体では増収・増益を達成することができました。なお、新規海外拠点として2013年末に量産を開始したインドネシアは当初の計画を上回る事業進捗であり、同じくインドにおいてもほぼ計画通り進捗しています。さらに、2016年3月に事業所を開所したメキシコは、順調に生産が立ち上がりました。当事業の売上高は616億64百万円(前連結会計年度比0.8%増)、営業利益60億22百万円(同17.7%増)と、過去最高となりました。
ハイファッション事業では、国内では、消費者の節約志向は依然強く、当社グループの主要顧客である国内アパレルブランドを取り巻く環境はなお一層厳しい状況が続いております。当社グループのファッション衣料向けテキスタイルおよび製品販売事業においては、「VISCOTECS®」等身大CAD上で具体的な製品イメージを描きながら企画した差別化デザインを、糸から縫製までのグループ一貫機能と結び付けて小ロット・短納期・在庫レスで最適生産を行うなど、お客様のニーズに対応し健闘してきました。また、当社グループのニッティング技術と加工技術を駆使したインナー衣料向け差別化素材の販売も堅調に推移しました。しかしながら、全体的な消費マインド低迷の影響を受け、数量ダウンをカバーするにまで至らず、前年同期比で減収・減益となりました。海外事業では、海外子会社の Saha Seiren Co., Ltd.(タイ)における原糸から製品までの一貫生産において、生産合理化や品質改善効果に加えて新規受注も加わり、利益改善がさらに進みました。当事業の売上高は259億32百万円(前連結会計年度比2.1%減)、営業利益は10億57百万円(同23.3%増)となりました。
エレクトロニクス事業では、繊維と金属の複合化技術により差別化を高めた電磁波シールド材「プラット®」は、より付加価値を高めるべく部品化・製品化を進め、販売を拡大しました。また、新規受注として通信機器向けの薄型電極材が売上高を伸ばしました。KBセーレン㈱では、高性能ワイピングクロス「ザヴィーナ®」が堅調に推移し、スーパー繊維の「ゼクシオン®」および「グラディオ®」についても、用途開発の進捗とともに採用件数が増えております。海外では、繊維機械の製造販売事業を展開する世聯電子(蘇州)有限公司(中国)において、新規顧客の販売拡大が進みました。当事業の売上高は61億29百万円(前連結会計年度比14.2%増)、営業利益は10億7百万円(同40.0%増)となりました。
環境・生活資材事業では、新設住宅着工戸数に緩やかな回復の動きが見られる中、当セグメント主力のハウジング資材事業では、優れた省エネ性能をもつ遮熱型ハウスラップ材「プレミアムサーモ®」や遮熱型ルーフィング材「ルーフラミテクト®RX」をはじめ、当社グループ独自の差別化商品群が売上高を伸ばしました。また、新たな事業領域である環境・土木分野においては、独自の繊維技術により商品化した防草シート「グラスガード®」の業界認知度が増し、さらなる販売拡大を進めております。一方、健康・介護事業では、診療報酬の改定に伴う施設等での商品買い控えが継続し、厳しい環境が続いております。当事業の売上高は70億69百万円(前連結会計年度比1.3%増)、営業利益は6億85百万円(同2.8%増)となりました。
メディカル事業では、当社の独自技術で商品化した、繭から生まれた天然成分セリシン配合のコモエース化粧品は、自社サイトや百貨店常設店舗における販売強化に加え、新規投入したプレミアム商品などの販売が好調に推移し、売上高を伸ばしました。卓越した消臭機能を持つアンダーウエアシリーズ「デオエスト®」は、さらなる売上高拡大を図るため、顧客ニーズにマッチした新商品投入を継続しつつ、メディア展開を始めとするプロモーションに注力し販売拡大を進めております。また資材分野では、KBセーレン㈱の差別化原糸を用い、グループ一貫機能を活かした医療用製品群が、引き続き堅調に売上高を伸ばしました。当事業の売上高は63億33百万円(前連結会計年度比0.8%増)、営業利益は15億90百万円(同0.6%増)と、過去最高となりました。
その他の事業では、㈱ナゴヤセーレンの不動産賃貸管理事業やセーレンコスモ㈱の人材派遣事業が堅調に推移しました。当事業の売上高は9億78百万円(前連結会計年度比4.8%増)、営業利益は5億41百万円(同4.0%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は122億3百万円となり、前連結会計年度末より27億27百万円増加となりました。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、119億35百万円の収入(前連結会計年度は105億70百万円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益101億2百万円、減価償却費47億22百万円などによるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、26億69百万円の支出(前連結会計年度は92億86百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出48億26百万円などによるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、57億68百万円の支出(前連結会計年度は7億79百万円の支出)となりました。主な要因は、借入金の返済による支出41億93百万円などによるものです。