有価証券報告書-第101期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/26 10:25
【資料】
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【項目】
126項目

研究開発活動

長期ビジョン「GP25」のもと、“エコ”と“空間の質的向上”への取組みを通じ、社会と共通の価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献する研究開発を進める一方で、将来の国内新設住宅着工に影響されない市場・分野(公共・商業建築分野、非建築分野)に向けて、その土台となる技術の開発を進めております。
具体的には、当社保有技術の強みを活かし、循環利用可能な木材・木質材料を広く、多く利用するための技術開発や、住宅での快適性、安全性を追求しながらも生活のエネルギー消費を抑える技術開発、ユーザー目線でデザインを発想し、「くらしの価値(美しさ、使いやすさ、心地よさ)」を創造する製品開発を進め、公共・商業建築分野や建築以外の分野向けの新提案へと繋げております。
研究開発活動に直接携わる研究開発員は125名で、支出した研究開発費の総額は1,477百万円であります。なお、当社グループの研究開発活動は、主に住空間事業とエコ事業で実施しておりますが、研究開発内容は事業分野を跨り相互に関連していることから、セグメントに関連付けて記載しておりません。
(住空間事業)
公共・商業建築分野へ向けた製品の拡充を目指し、各分野へ特化した製品として、階下への音漏れを軽減する「防音性能」と、土足歩行や水がかりに対する「耐久性」を両立させた、ホテル向けの天然木化粧床材「コミュニケーションタフ 防音」を、子どもがドアを操作したり、ドアにぶつかった場合でも、ケガをしにくいように配慮した性能を多く搭載した、幼稚園・保育施設向けドア「おもいやりキッズドア」を、ガラス製やスチール製のパーティション面に取り付けて、音の反射を軽減させて人の話し声などを聞き取りやすくする吸音材として、オフィス向け吸音パネル「OFF TONE(オフトーン)」をそれぞれ発売いたしました。
また、木材・木質材料利用の観点から、国産木材・地域木材を活用した主要材で立方体状に構成した基本構造に、床、壁、照明などの部材を組み合わせることによりつくりあげる、ユニット型の木質化空間パッケージ「ウッドキューブ」を地域限定発売いたしました。商業施設内キッズスペースや、公共施設内オープンスペースの休憩コーナーなど、設置場所の利用用途に合わせて、多様な空間創りが可能となります。
(エコ事業)
エコ事業においては、未利用資源のシラスを用い、防火性能を持ちながら、軽量で加工性に優れた無機素板であるダイライトを使用し、公共・商業建築分野向けに最適な木目柄を豊富にラインアップした新製品、「GRAVIO」を発売いたしました。
また、鳥取県日南町において自治体、森林組合及び地元民間企業と共同で取り組んでいる「木材総合カスケード利用」の具体化に向け、木質繊維を使った林業・農業分野などへの用途開発を進めてまいります。
MDF事業においては、名古屋大学や秋田県立大学との共同研究を通して、原料となる木繊維の形状、特性とボード物性の関係等の基礎研究を継続し、事業強化に繋がる技術開発を進めております。
(その他)
国産材利用ニーズの高まりを受けて、木材の不燃化技術の研究開発を引き続き進めており、防火規制が厳しい公共空間への木材利用拡大の可能性を探索しております。
中長期的な研究開発として、「PCM建材の評価方法及び最適熱環境設計方法の研究開発」を進めておりますが、研究開発を加速させるために、東京大学、建材試験センター、PCM製造メーカーを中心とした、「蓄熱建材コンソーシアム」を立ち上げ、評価方法の標準化および数値シミュレーションソフトの研究開発を進めております。