有価証券報告書-第55期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/20 13:16
【資料】
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【項目】
134項目

対処すべき課題

(1)経営方針
当社は、住宅内装システムの専門メーカーとして室内ドア、収納ボックス、化粧造作材を受注生産し、顧客へジャストインタイムで提供できる独自のシステムを構築し、様々な製品を社会に送り出し高い評価を得てまいりました。
今後においても、自社システムの強みを生かし、新製品の開発、新規顧客の開拓を進め、業容の拡大と安定した収益を確保してまいります。
当社は、住空間を構成する内装部材及び周辺分野における顧客ニーズに対して、優れた技術と最高のサービスを提供することにより、社会に貢献してまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが目標としている経営指標は、ROE(株主資本利益率)20%以上であります。この指標は事業効率向上と株主価値の最大化を図るためのものであり、連結・個別ともに継続的に達成できるための強い体質を確立することを目標としております。目標達成策として、合理化、原価低減、高い効率の設備投資等により一人当たりの生産性を高め、長年かけて創り上げた多品種少量生産のIT技術を有効に活用し、また、従業員のスキルアップを図るための教育訓練の実施により、従業員一人ひとりが常に利益を意識した活動を行ってまいります。
今後も目標達成に向けて各施策を実施し、業績及び株主価値の向上を図ってまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
今後の木質内装業界は、国内においては少子高齢化が進むことから、当社の業績に大きく影響のある新設住宅着工戸数の大きな増加は期待できず、厳しい受注、価格競争が継続するものと予想されます。反面、海外においては、中国のように経済成長が鈍化傾向ではありますが、「都市化」と「内装付住宅の推進」を背景に地域(省)毎に格差はありますが、堅調な需要は見込めるものと考えております。このような状況下にあって、国内外を問わず、当社の持つ受注生産の強みを発揮できる分譲マンション市場に加え、医療介護や戸建分野等への新たな販路を開拓してまいります。また、一戸当たりに占める自社製品の占有率のアップとコスト競争力を確保し、着実な業容拡大と安定した利益確保に努めてまいります。
①日本国内では、営業力強化と販売網拡充を図るため、セールスエンジニアの育成、都市部の営業拠点への営業マン投入等を行い、より充実した営業体制を構築してまいります。また、当社のマス・カスタマイゼーションの能力に磨きをかけ、付加価値の向上を目指してまいります。
②中国国内の需要に対応するため、中国国内の広域にわたって品質の高い施工管理体制の構築と維持を図ります。生産体制については、生産技術力の高い工場となる取組みを積極的に進めてまいります。また、販売体制の強化に向けては、営業管理体制の拡充を図り、当社グループのブランドを確立させ、財務基盤が強固で信用力のある取引先の新規開拓を推進し拡販を図ってまいります。さらに、販売代理店網を生かしたスケルトン市場向けの販売についても戦略的に進めてまいります。
③日本・中国国内とも、生産体制においては、生産品目に即したレイアウト変更と省力化を図り、生産性と技術力の向上に取組んでまいります。また、市場ニーズに適応する新商品・新デザインの開発にも積極的に取組んでまいります。
(4)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題等
今後の経済見通しにつきましては、米中通商摩擦や英国のEU離脱問題等による政治と経済情勢の不確実性に加え、海外における地政学的リスクの影響が引き続き懸念され、世界経済の下振れや為替の動向に大きな影響を及ぼす可能性があり、景気の先行きの不透明感は引き続き高いものと想定されます。
国内経済は省力化投資や雇用環境の改善が続いており、景気は緩やかな回復基調が継続するものと予想されますが、2019年10月に予定されている消費税率の引き上げによる個人消費の節約志向の高まりにより、下振れするリスクも考えられます。国内の住宅市場は、前年を下回る着工数が予測されていますが、イベント特需や都市部を中心とした各地の再開発事業に下支えされ、マンション需要の状況には変化はないものと思われます。住宅価格は建設コストの高騰により高止まりしておりますが、増税前の駆込み需要と増税後も政府による住宅購入支援策もあることから、住宅取得に対する需要は引き続き底堅く推移するものと考えております。
一方、中国では政府の「住宅は住むものであり、投資するものではない」との基本方針は継続されており、多くの省では具体的な住宅の内装付比率の目標設定を通じて内装付住宅を促す政策を実施しており、不動産市場の安定・健全化に向けた住宅政策は継続されるものと考えております。このことから、投資目的ではない居住を目的とする住宅供給整備は、今後も堅調に推移するものと見込んでおります。もっとも、環境規制に対する対応や政治的なイベントが開催されることから起こる工場操業規制などのリスクは今後も発生すると考えられます。
このような環境の中、当社グループは以下の対応を行ってまいります。
・国内の対応について
国内での新設住宅着工戸数は、少子高齢化の進展による所帯数の減少によって、今後も減少傾向で推移するものと考えております。このことから、業務内容の見直しや工場レイアウト改善、省力化設備の導入などにより、生産性向上に向けた取組みを継続的に行い、経営の効率化を目指してまいります。営業活動においては、首都圏及び近畿圏への営業活動の強化に加え地方都市の開拓(2019年4月 中国営業所開設)、新規顧客開拓や既存顧客への深耕拡大を図ってまいります。そのためにも、今まで以上に訪社回数を増やし、いち早く顧客ニーズを掴み、積極的な提案により受注獲得に繋げてまいります。また、収納家具の販売やホテル中心とした非住宅分野及び老健施設などの医療介護分野での拡販のため、機能的新商品開発(遮音ドア等)にも注力し、安定した収益の確保に努めてまいります。
・中国の対応について
中国事業におきましては、インフィル販売(内装付き住宅)を手掛ける優良なマンションデベロッパーへの新規開拓により拡販を引き続き行ってまいります。加えて、販売代理店によるルート販売を積極的に進めており、主要都市を中心に中国全土へ販売代理店(ショールーム設置)の拡充を継続しております。中国政府は安全性、環境や健康問題、加えて投資目的ではない居住を目的とする住宅供給の観点から「内装付き住宅」を推進しており、内装全てを一式で外注できる専門業者の需要も高まっております。この需要に応える為、2016年6月に設立いたしました住宅内装工事会社は、良質な施工実績を積み上げており、今後も施工体制の充実を図り、施工地域の拡大にも努めてまいります。2017年10月より試験操業を開始いたしました住器製造会社(流し台、洗面、収納家具等)は、十分とは言えませんが採算ベースに乗る受注は確保しており、生産性、品質の向上に取組みながら、安定稼動を目指してまいります。また、内装ドア製造工場では、旺盛な住宅需要に応えるため、宜春工場(日門(江西)建材有限公司)においては塗装設備の更新を行うと共に、2018年8月に隣接地(26,680㎡)を取得し、工場建設(2棟 建築面積16,400㎡)にも着手致しました。これにより中国国内での生産能力は、現状より30%以上の増強となる見込みです。これに加えて、2018年9月に昆山工場(昆山日門建築装飾有限公司)においては、内装ドアをはじめ流し台や収納ボックスなど中国国内で製造する製品を集約し、一括納入する物流センターとして活用するための倉庫の増設(地上・地下面積9,000㎡)にも着手するなど、製品の供給体制の強化し、成長拡大と安定への布石を着々と投じて参りました。