訂正有価証券報告書-第154期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
研究開発活動
当社中央研究所において、製紙、段ボール、紙器、軟包装および機能材の各事業とその周辺領域に研究開発の中心を置き、地球環境に配慮した独創的で付加価値の高い新商品と新技術の開発を進めている。また、当社パッケージング部門技術開発本部および包装システム開発推進本部において、紙器機械の開発・改良を進めている。さらに、情報システム本部において、新規の情報技術の開発を進めている。
サン・トックス株式会社では軟包装関連事業において、顧客と連携しながら環境に配慮した食品包装用フィルムの新製品開発および品質改良を行っている。
日本マタイ株式会社では国内の重包装関連事業において、江蘇中金瑪泰医薬包装有限公司では海外の軟包装関連事業において、それぞれ安全・環境への配慮と市場の要求に沿って、新製品の開発および品質改良を行っている。
当社グループでの研究開発費の総額は2,151百万円である。
(1) 板紙・紙加工関連事業
当社において、段ボール原紙の紙力増強や白板紙の品質向上技術、段ボール貼合接着剤、デジタル印刷の周辺技術、ならびに機能性段ボールの開発を進めており、抗ウイルス段ボール「ウイルスレンガ―ド」や新規耐水糊などの実用化を果たしている。
また当社で使用する紙器機械について、他社にない独自の機械装置・システムの開発を通じて、品質・生産性向上、省力・省エネ、作業環境の改善等に取り組んでいる。当連結会計年度において注力したのは、生産性向上設備としては、高精度ロータリーダイカッタラインを開発中で、石川製作所の所内にてさまざまな実地検証を行っている。検査装置としては、印刷情報・罫線情報など検査に必要な情報が入ったPDFファイルと連携できる検査装置の開発や、以前から運用している印刷検査装置の検査精度の向上である。管理装置としては、次世代コルゲータ管理装置のRYCC-DXを開発した。作業環境の改善としては、引き続き工場の暑さ対策に取り組み、工場の吸排気設備を正常化するととともに、各工場の製造現場に見合った空調設備を水平展開中である。
さらに、当社はデータ活用の観点で、二つの取組を進めている。一つは、製紙工場の各種センサーデータの解析による、マシン改造効果の検証や現場オペレーションを改善する取組みである。二つ目として、紙器、軟包装におけるデザインデータ検版の仕組み作りを行った。
当事業にかかる研究開発費は1,004百万円である。
(2) 軟包装関連事業
当社において、飲料用ロールラベルおよびロールオンシュリンクラベルを展開しており、バリアブル印刷や環境対応ラベルなど多様化するニーズに対応した研究開発を進めている。また、世界的レベルの課題である海洋プラスチック問題に対応するため、当社で生産しているセロファンや紙と生分解性樹脂などを組み合わせた生分解性と高バイオマス度を有するパッケージシリーズ「REBIOS(レビオス)」を開発・上市し、拡販に向けて取り組んでいる。
サン・トックス株式会社において、主に食品包装に使用される二軸延伸ポリプロピレンフィルム製品ならびに無延伸ポリオレフィンフィルム製品の開発を行っている。環境問題(脱プラスチック)に対応するために、化石原料由来プラスチック減容化に向けて、フィルム薄膜化、バイオマス原料を使用したバイオマスフィルム製品の開発を推進し、新規アイテムについて顧客との連携を密にし、継続的に市場投入している。またマスバランス方式でのバイオマスフィルム製品の市場投入に向けて国際持続可能性カーボン認証(ISCC PLUS)を取得した。
当事業にかかる研究開発費は273百万円である。
(3) 重包装関連事業
日本マタイ株式会社において、機能性フィルム、樹脂加工品、ノンソルラミネート製品および重包装製品の開発を行っている。
ノンソルラミネート製品および重包装製品については、環境問題に対応した生分解性プラスチックやバイオマスプラスチックによる軽包装材料や紙製品の開発、環境配慮型等の機能性防草シートなどの開発活動を強化している。
また、機能性フィルムおよび樹脂加工品においては、自動車用ペイントプロテクションフィルム向けTPUフィルム基材およびその応用展開や加飾成型用のバッキングシートを展開し、さらなる高付加価値製品の拡充やそれを応用した他機能製品の開発活動を強化している。
当事業にかかる研究開発費は375百万円である。
(4) 海外関連事業
江蘇中金瑪泰医薬包装有限公司において、主力事業である医薬品向けPTP包装用アルミフィルムの水溶性接着剤の実用化に向けた生産工程の研究およびアルミ厚みの薄箔化に向けた包材構成の研究など環境対応型製品を継続して研究している。また、製薬メーカー各社から要望される医療医薬用包装材料の課題に対して研究開発を進めている。
当事業にかかる研究開発費は43百万円である。
(5) その他の事業
当社において、木材の主成分であるセルロースを素材とする球状粒子「ビスコパール」、カラシ・ワサビ成分を用いた天然系抗菌防カビ剤「ワサヴェール」、パルプ繊維内部でゼオライトを高密度に結晶化させた高機能繊維「セルガイア」など、これまでに開発してきた環境と機能を両立した素材を応用した商品開発に取り組んでいる。「ビスコパール」はセロファンとともに海洋生分解性の国際認証「OK biodegradable MARINE」を取得し、海洋プラスチック問題に貢献するマイクロプラスチックビース代替素材として注目されている。さらなる用途拡大を図るべく、研究開発を進め小粒径の「ビスコパール」の製造技術を開発し、年間120tを生産するプラント設備を環境省補助事業として導入し、稼働を開始している。また、当社が有するセロファン製造技術を応用した木材パルプ由来の機能性素材であるセルロースナノファイバー「RCNF」の事業化を目指し、製造実証を進めている。
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響もあり通販市場は伸長している。多くのユーザーが通販を活用した拡販に取り組んでおり、当社はそのニーズに対応するため多種多様の包装機械を市場に提供してきた。中でも商品寸法に合わせて長×幅×高さを可変し箱を成形する「パルミラ」は納入ユーザーにも高い評価を受けている。また昨今、宅配業者が手渡しせず、置き配や宅配ボックスに入れる動きが広がっている。当社は各家庭のポストにダイレクトで入れられる「スマートポストイン」ケースを開発し、同時にポストイン用薄型サイズ包装機の製作販売を開始した。製函部と封函部の組み合わせにより、その間で製品をインケースする作業は人手でも自動でも可能なレイアウトとした。
流通においては、ボックスストア型ケースNSDシリーズのバリエーションを拡大した。
軽量物はNSD2、中・重量物はNSD3-Tで賄えるが、中量物が主となるユーザーではNSD3-Tがオーバースペックになり得るため、この領域に対応するNSD2-T、NSD3形態を開発しその兼用型包装機の製作に着手した。現在テスト運転を完了し、デモンストレーションの準備を整えている。
当事業にかかる研究開発費は454百万円である。
サン・トックス株式会社では軟包装関連事業において、顧客と連携しながら環境に配慮した食品包装用フィルムの新製品開発および品質改良を行っている。
日本マタイ株式会社では国内の重包装関連事業において、江蘇中金瑪泰医薬包装有限公司では海外の軟包装関連事業において、それぞれ安全・環境への配慮と市場の要求に沿って、新製品の開発および品質改良を行っている。
当社グループでの研究開発費の総額は2,151百万円である。
(1) 板紙・紙加工関連事業
当社において、段ボール原紙の紙力増強や白板紙の品質向上技術、段ボール貼合接着剤、デジタル印刷の周辺技術、ならびに機能性段ボールの開発を進めており、抗ウイルス段ボール「ウイルスレンガ―ド」や新規耐水糊などの実用化を果たしている。
また当社で使用する紙器機械について、他社にない独自の機械装置・システムの開発を通じて、品質・生産性向上、省力・省エネ、作業環境の改善等に取り組んでいる。当連結会計年度において注力したのは、生産性向上設備としては、高精度ロータリーダイカッタラインを開発中で、石川製作所の所内にてさまざまな実地検証を行っている。検査装置としては、印刷情報・罫線情報など検査に必要な情報が入ったPDFファイルと連携できる検査装置の開発や、以前から運用している印刷検査装置の検査精度の向上である。管理装置としては、次世代コルゲータ管理装置のRYCC-DXを開発した。作業環境の改善としては、引き続き工場の暑さ対策に取り組み、工場の吸排気設備を正常化するととともに、各工場の製造現場に見合った空調設備を水平展開中である。
さらに、当社はデータ活用の観点で、二つの取組を進めている。一つは、製紙工場の各種センサーデータの解析による、マシン改造効果の検証や現場オペレーションを改善する取組みである。二つ目として、紙器、軟包装におけるデザインデータ検版の仕組み作りを行った。
当事業にかかる研究開発費は1,004百万円である。
(2) 軟包装関連事業
当社において、飲料用ロールラベルおよびロールオンシュリンクラベルを展開しており、バリアブル印刷や環境対応ラベルなど多様化するニーズに対応した研究開発を進めている。また、世界的レベルの課題である海洋プラスチック問題に対応するため、当社で生産しているセロファンや紙と生分解性樹脂などを組み合わせた生分解性と高バイオマス度を有するパッケージシリーズ「REBIOS(レビオス)」を開発・上市し、拡販に向けて取り組んでいる。
サン・トックス株式会社において、主に食品包装に使用される二軸延伸ポリプロピレンフィルム製品ならびに無延伸ポリオレフィンフィルム製品の開発を行っている。環境問題(脱プラスチック)に対応するために、化石原料由来プラスチック減容化に向けて、フィルム薄膜化、バイオマス原料を使用したバイオマスフィルム製品の開発を推進し、新規アイテムについて顧客との連携を密にし、継続的に市場投入している。またマスバランス方式でのバイオマスフィルム製品の市場投入に向けて国際持続可能性カーボン認証(ISCC PLUS)を取得した。
当事業にかかる研究開発費は273百万円である。
(3) 重包装関連事業
日本マタイ株式会社において、機能性フィルム、樹脂加工品、ノンソルラミネート製品および重包装製品の開発を行っている。
ノンソルラミネート製品および重包装製品については、環境問題に対応した生分解性プラスチックやバイオマスプラスチックによる軽包装材料や紙製品の開発、環境配慮型等の機能性防草シートなどの開発活動を強化している。
また、機能性フィルムおよび樹脂加工品においては、自動車用ペイントプロテクションフィルム向けTPUフィルム基材およびその応用展開や加飾成型用のバッキングシートを展開し、さらなる高付加価値製品の拡充やそれを応用した他機能製品の開発活動を強化している。
当事業にかかる研究開発費は375百万円である。
(4) 海外関連事業
江蘇中金瑪泰医薬包装有限公司において、主力事業である医薬品向けPTP包装用アルミフィルムの水溶性接着剤の実用化に向けた生産工程の研究およびアルミ厚みの薄箔化に向けた包材構成の研究など環境対応型製品を継続して研究している。また、製薬メーカー各社から要望される医療医薬用包装材料の課題に対して研究開発を進めている。
当事業にかかる研究開発費は43百万円である。
(5) その他の事業
当社において、木材の主成分であるセルロースを素材とする球状粒子「ビスコパール」、カラシ・ワサビ成分を用いた天然系抗菌防カビ剤「ワサヴェール」、パルプ繊維内部でゼオライトを高密度に結晶化させた高機能繊維「セルガイア」など、これまでに開発してきた環境と機能を両立した素材を応用した商品開発に取り組んでいる。「ビスコパール」はセロファンとともに海洋生分解性の国際認証「OK biodegradable MARINE」を取得し、海洋プラスチック問題に貢献するマイクロプラスチックビース代替素材として注目されている。さらなる用途拡大を図るべく、研究開発を進め小粒径の「ビスコパール」の製造技術を開発し、年間120tを生産するプラント設備を環境省補助事業として導入し、稼働を開始している。また、当社が有するセロファン製造技術を応用した木材パルプ由来の機能性素材であるセルロースナノファイバー「RCNF」の事業化を目指し、製造実証を進めている。
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響もあり通販市場は伸長している。多くのユーザーが通販を活用した拡販に取り組んでおり、当社はそのニーズに対応するため多種多様の包装機械を市場に提供してきた。中でも商品寸法に合わせて長×幅×高さを可変し箱を成形する「パルミラ」は納入ユーザーにも高い評価を受けている。また昨今、宅配業者が手渡しせず、置き配や宅配ボックスに入れる動きが広がっている。当社は各家庭のポストにダイレクトで入れられる「スマートポストイン」ケースを開発し、同時にポストイン用薄型サイズ包装機の製作販売を開始した。製函部と封函部の組み合わせにより、その間で製品をインケースする作業は人手でも自動でも可能なレイアウトとした。
流通においては、ボックスストア型ケースNSDシリーズのバリエーションを拡大した。
軽量物はNSD2、中・重量物はNSD3-Tで賄えるが、中量物が主となるユーザーではNSD3-Tがオーバースペックになり得るため、この領域に対応するNSD2-T、NSD3形態を開発しその兼用型包装機の製作に着手した。現在テスト運転を完了し、デモンストレーションの準備を整えている。
当事業にかかる研究開発費は454百万円である。