有価証券報告書-第90期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 10:16
【資料】
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【項目】
137項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「基本方針」を次のとおり定めております。
・当社は、世界で最も優れた商品を造り創る。
・当社は、世界に安心を売る会社である。
・当社は、世界の未来の技術のニーズに挑戦する。
・当社は、世界のために役立つ仕事をしている集団である。

上記基本方針にもとづき、当社グループは、エレクトロニクス産業に不可欠な部材であるコンデンサ用セパレータ・電池用セパレータを供給することにより顧客満足度を高め、エレクトロニクス産業の発展に寄与し、世界に役立つ仕事をしている集団であることを企業理念として高品質な製品をもとに事業活動を展開しております。今後も、当社社員一人一人が能力向上と自己革新に取り組みながら多様化・複雑化するニーズに応え、お客様との強固な信頼関係を構築することでさらなる企業価値の向上をはかってまいります。
当社は、2019年5月、日本政策投資銀行(DBJ)が提供する「DBJ健康経営格付」の最高ランクを取得しております。さらに、2020年3月には従業員の健康管理に戦略的に取り組んでいる企業として、経済産業省、東京証券取引所が共同で実施し、上場企業の中から「健康経営銘柄」として選定する30業種40社に初めて選ばれました。当社は、1業種で1社の選定が基本とされるなか、パルプ・紙業種で唯一の選定となりました。
これらは、従業員の健康管理、安全衛生面を重視した当社の地道な取り組みが評価されたものと受け止めております。
これからも、次のふたつの重点方針を掲げ、持続可能な企業として事業活動を展開してまいります。
①安全・健康はすべてに優先する
安全・健康管理体制の確立と従業員に対する安全衛生教育の徹底をはかり、無事故・無災害の職場を実現するための取り組みにより、安全で健康な職場づくりを進めてまいります。
②人と自然にやさしい企業活動
地球環境の保全が全人類共通の最重要課題の一つであることを認識し、「人と自然にやさしい企業活動」を通じて、SDGsの達成を目指してまいります。これにより、持続可能な社会の実現に貢献し、お客様、株主、従業員、地域社会など様々なステークホルダーから信頼される企業づくりを進めてまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、株主利益重視の観点から、安定的に自己資本当期純利益率(ROE)8%以上を目標としております。
(3) 経営環境
足元の世界経済および日本経済は、感染が拡大した新型コロナウイルスの影響・収束時期が不透明な状況です。工作機械の受注回復に遅れが生じ、自動車の販売台数も世界的に落ち込んでおりますが、テレワークの推進によりノートPCの販売台数が増え、データセンターや5G基地局の設置も進むなど多岐にわたる市場に影響が及んでおります。
中長期的には、省力化につながる工作機械などの産業機器市場やグローバルでの省エネニーズ拡大によりインバータ化率上昇が続くエアコンなどの白物家電市場、自動運転などに代表されるCASE市場の伸張が見込まれる車載向けに加え、市場拡大が続くIoTや5G関連などのICT市場においてコンデンサ用セパレータの需要増加を見込んでおります。電池用セパレータにおきましては、燃費向上を目的とした採用車種の増加が続くリチウムイオン電池用を中心に堅調な推移を見込みます。
(4) 中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題
当社グループは、事業内容について選択と集中を基本に重点課題を明確にし、経営資源の有効な投入および活用を進めております。安定供給体制を構築するべく取り組んできたBCM活動をさらに推進するとともに、製品の供給に不可欠である原料の安定調達につきましてもSCMの観点から、しっかりと対応してまいります。
主力のコンデンサ用セパレータは、データセンターや5G基地局向けでの需要拡大が見込まれる導電性高分子固体コンデンサおよびハイブリッドコンデンサ用セパレータなどの高品質・高信頼性製品を安定供給できる当社の強みを活かして成長市場への拡販に努めてまいります。
また、需要拡大が進む電池用セパレータは、当社の独自技術にもとづく電気二重層キャパシタおよびリチウムイオン電池用セパレータなどの新製品開発のスピードアップに加えて、現場力のさらなる向上を目指した効率的な生産とコスト削減に引き続き取り組み、企業価値の向上をはかってまいります。
当社グループは、今後も、ESG(環境、社会、ガバナンス)を念頭に置き、地球環境の保全や地域社会への貢献、グループ全体のガバナンス体制の強化、企業倫理の徹底等を通じて、社会や市場の中で信頼され、必要とされる企業を目指して努力してまいります。