有価証券報告書-第91期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/17 9:14
【資料】
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【項目】
129項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「基本方針」を次のとおり定めております。
・当社は、世界で最も優れた商品を造り創る。
・当社は、世界に安心を売る会社である。
・当社は、世界の未来の技術のニーズに挑戦する。
・当社は、世界のために役立つ仕事をしている集団である。

上記基本方針にもとづき、当社グループは、エレクトロニクス産業に不可欠な部材であるコンデンサ用セパレータ・電池用セパレータを供給することにより顧客満足度を高め、エレクトロニクス産業の発展に寄与し、世界に役立つ仕事をしている集団であることを企業理念として高品質な製品をもとに事業活動を展開しております。今後も、当社社員一人一人が能力向上と自己革新に取り組みながら多様化・複雑化するニーズに応え、お客様との強固な信頼関係を構築することでさらなる企業価値の向上をはかってまいります。
当社は、2021年3月に従業員の健康管理に戦略的に取り組んでいる企業として、経済産業省から「健康経営銘柄2021」の29業種48社のうちパルプ・紙業種において2年連続で選定されるとともに、「健康経営優良法人~ホワイト500~」には3年連続で認定されました。これらは、従業員の健康管理、安全衛生面を重視した当社の取り組みが評価されたものと認識しております。
これからも、次のふたつの重点方針を掲げ、持続可能な企業として事業活動を展開してまいります。
①安全・健康はすべてに優先する
安全・健康管理体制の確立と従業員に対する安全衛生教育の徹底をはかり、無事故・無災害の職場を実現するための取り組みにより、安全で健康な職場づくりを進めてまいります。
②人と自然にやさしい企業活動
地球環境の保全が全人類共通の最重要課題の一つであることを認識し、「人と自然にやさしい企業活動」を通じて、SDGsの達成に貢献してまいります。これにより、持続可能な社会の実現に貢献し、お客様、株主、従業員、地域社会など様々なステークホルダーから信頼される企業づくりを進めてまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、株主利益重視の観点から、安定的に自己資本当期純利益率(ROE)8%以上を目標としております。
(3) 経営環境
足元の世界経済は、中国や米国の回復が加速する一方で、欧州では力強さに欠けるなど新型コロナウイルス対策の度合いにより国や地域による景況感の差異が鮮明になりつつあります。わが国経済は、一部地域への緊急事態宣言の影響や車載用半導体不足が自動車市場に与える影響などの懸念材料はありますが、中国や米国などの海外経済の持ち直しを受け、輸出関連産業を中心に底堅い推移が見込まれるなど、業種によりまだらな状況となっております。
当社グループの関連市場であるエレクトロニクス業界につきましては、秋口から自動車生産の回復が加速したこともあり、産業機器関連の需要も回復傾向となっております。また、リモートワークの普及や巣ごもり需要の増加によりICT市場も堅調に推移しております。
中長期的には、自動運転などに代表されるCASE市場の伸張が見込まれる車載向け、省力化につながる工作機械などの産業機器市場やグローバルでの省エネニーズ拡大によりインバータ化率上昇が続くエアコンなどの白物家電市場に加え、市場拡大が続くIoTや5G関連などのICT市場においてコンデンサ用セパレータの需要増加を見込んでおります。電池用セパレータにおきましては、世界的に脱炭素化が加速するなか、リチウムイオン電池を搭載する省エネ型車両の需要拡大や再生可能エネルギー分野の成長などで堅調な推移を見込んでおります。
(4) 中長期的な経営戦略および会社の対処すべき課題
当社グループは、事業内容について選択と集中を基本に重点課題を明確にし、経営資源の有効な投入および活用を進めております。安定供給体制を構築するべく取り組んできたBCM活動をさらに推進するとともに、原料調達などのサプライチェーンの最適化にもしっかり対応してまいります。
主力のコンデンサ用セパレータは、データセンターや5G基地局向けでの需要拡大が見込まれる導電性高分子固体コンデンサおよびハイブリッドコンデンサ用セパレータなどの高品質・高信頼性製品を安定供給できる当社の強みを活かして成長市場への拡販に努めてまいります。
また、需要拡大が進む電池用セパレータは、当社の独自技術にもとづく電気二重層キャパシタおよびリチウムイオン電池用セパレータなどの新製品開発のスピードアップに加えて、現場力のさらなる向上を目指した効率的な生産とコスト削減に引き続き取り組み、企業価値の向上をはかってまいります。
当社グループは、ESG(環境、社会、ガバナンス)を念頭に置き、環境負荷軽減につながる設備導入などによる地球環境の保全に加え、地域社会への貢献、グループ全体のガバナンス体制の強化、企業倫理の徹底などを通じて、社会や市場の中で信頼され、必要とされる企業を目指して努力してまいります。