訂正有価証券報告書-第125期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるDNPグループの状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度の国内経済は、雇用や所得環境に改善が見られたものの、個人消費は力強さに欠け、天候不順や地震等の自然災害、世界的な通商問題や中国経済の減速の影響もあり、景気の先行きに不透明感が強まりました。
印刷業界においては、電子書籍やインターネット広告の市場拡大による紙媒体の需要減少や、それにともなう競争の激化などもあり、厳しい経営環境が続きました。
そうした状況のなかで、DNPグループは、新しい価値を生み出し続ける「強い事業ポートフォリオの構築」に向けて、トップシェアを獲得している「ICカード」「写真プリント用の熱転写記録材」「リチウムイオン電池用バッテリーパウチ」「ディスプレイ用光学フィルム」「有機ELディスプレイ製造用のメタルマスク」などを中心とした重点事業に対する積極的な投資と、事業部門やグループ会社の再編など競争力強化のための構造改革に取り組みました。
また、今後の事業の成長領域として「知とコミュニケーション」「食とヘルスケア」「住まいとモビリティ」「環境とエネルギー」を掲げ、「P&I(印刷と情報)」の強みを掛け合わせて、「新しい価値」の創出に努めました。
具体的には、マーケティングにおける集客から販売までの一連のプロセスにおいて、生活者一人ひとりに最適化した販売促進施策を行うデジタルマーケティングプラットフォームや、安心・安全で便利なキャッシュレス社会を実現する決済プラットフォームの提供を推進しました。
また、環境負荷の低減やエネルギー効率の向上、より高いセキュリティや安全性・快適性が求められる「次世代のクルマ社会」に対しては、電気自動車等に使うリチウムイオン電池用バッテリーパウチや、フロントガラスへのカーナビ画面の光の映り込みを防ぐフィルム、暗号化技術等を活かした各種セキュリティソリューションや個人を認証するサービスの提供を推進しました。
さらに、第28回地球環境大賞の「大賞」を受賞した「DNP多機能断熱ボックス」を、ICタグやセンサーと組み合わせ、環境負荷が少なく適切に温度管理したコールドチェーンの構築にも取り組みました。
また、壁紙製品の一部に生じた不具合への補修対策については、これまでに得られた補修現場での現物サンプルや使用状況に関するデータ等を基に新たに実施した科学的検証・分析の結果を踏まえ、改めて今後の影響範囲を合理的に最大限の規模で見積り、追加的補修対策費用750億円を計上して補修対策計画の見直しを行いました。
その結果、当連結会計年度のDNPグループの売上高は1兆4,015億円(前期比0.8%減)、営業利益は498億円(前期比7.6%増)、経常利益は582億円(前期比14.3%増)、親会社株主に帰属する当期純損失は356億円(前期は275億円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
[印刷事業]
(情報コミュニケーション部門)
出版関連事業は、販売データをAI(人工知能)で分析して書店の需要予測を進めるなど、出版業界の課題解決に取り組みましたが、出版メディア関連の売上高は書籍、雑誌とも減少しました。一方、教育・出版流通関連では、書店とネット通販、電子書籍販売を連動させた「honto」事業において電子書籍が順調に推移し、また、図書館運営業務で大型図書館の新規受託もあり、増収となりました。しかしながら、2017年12月に、子会社の株式会社主婦の友社の全保有株式を譲渡した影響があり、当事業全体では減収となりました。
情報イノベーション事業は、チラシやカタログ、ビジネスフォームなどの紙媒体が減少し、当事業全体では減収となりました。一方、キャッシュレス化を背景に需要が拡大しているICカードや決済サービス関連事業、人手不足や働き方改革への対応として企業等の業務を代行するBPO(Business Process Outsourcing)事業など、重点事業は順調に拡大しました。
イメージングコミュニケーション事業は、スポーツやイベント会場、観光地などで写真撮影からプリント出力までを行う「DNPマーケティングフォトブース sharingbox PRIME(シェアリングボックス プライム)」のサービスを開始するなど、写真を通じて人々の体験価値を高める「コトづくり」事業を推進しました。しかし、写真プリント用の熱転写記録材の販売が、北米や東南アジアでは増加したものの、国内や欧州で減少し、当事業全体では減収となりました。
営業利益については、「honto」事業の黒字化をはじめ、重点事業の拡大と、生産体制の見直しなどのコスト構造改革により、大幅な増益となりました。
その結果、部門全体の売上高は7,623億円(前期比2.1%減)、営業利益は248億円(前期比14.2%増)となりました。
(生活・産業部門)
包装関連事業は、よりリサイクルしやすい単一素材(モノマテリアル)のパッケージや、分別廃棄の容易な液体用紙容器など、環境配慮製品の開発・販売に取り組みました。その結果、フィルムパッケージが堅調に推移したほか、プラスチック成形品は増加しましたが、紙パッケージやペットボトル用無菌充填システムの販売が減少し、当事業全体では減収となりました。
生活空間関連事業は、独自のEB(Electron Beam)コーティング技術を活かした環境配慮製品や、木や石などの質感を演出する内外装用アルミパネル「アートテック」の販売に注力しました。しかし、国内の新設住宅着工戸数が伸び悩んだ影響を受け、当事業全体で減収となりました。
産業資材関連事業は、太陽電池用部材は減少しましたが、自動車の電動化の本格的な進展により、車載用途のリチウムイオン電池用バッテリーパウチが大幅に増加したため、当事業全体では増収となりました。
営業利益については、原材料価格高騰による影響が大きく、減益となりました。
その結果、部門全体の売上高は3,971億円(前期比0.7%増)、営業利益は83億円(前期比30.9%減)となりました。
(エレクトロニクス部門)
ディスプレイ関連製品事業は、スマートフォンにおける液晶ディスプレイからの切り替えが年々進み、大幅な伸長が期待される有機ELディスプレイ製造用のメタルマスクが順調に増加しました。また、光学フィルムは液晶テレビ向けが画面サイズの大型化により順調に推移したほか、車載ディスプレイ用視野角制御フィルムも大幅に増加しました。その結果、当事業全体で増収となりました。
電子デバイス事業は、IoT機器の普及などを背景に、半導体製品用フォトマスクが増加しました。
営業利益については、重点事業の拡大により、増益となりました。
その結果、部門全体の売上高は1,924億円(前期比2.0%増)、営業利益は369億円(前期比8.2%増)となりました。
[清涼飲料事業]
(清涼飲料部門)
主力ブランドの新商品を発売したほか、自動販売機事業の展開、量販店向けの販促強化などを行い、シェア拡大と顧客獲得に努めました。
しかしながら、夏季の天候不順や北海道胆振東部地震の影響による販売の減少と、競争の激化等により、部門全体の売上高は559億円(前期比0.1%減)、営業利益は21億円(前期比5.5%減)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産、負債、純資産については、総資産は、建物及び構築物の減少などにより、前連結会計年度末に比べ197億円減少し、1兆7,750億円となりました。
負債は、補修対策引当金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ361億円増加し、7,284億円となりました。
純資産は、利益剰余金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ559億円減少し、1兆466億円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,111億円減少し、1,337億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失186億円、減価償却費590億円などにより689億円の収入(前連結会計年度は484億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の純増加額1,369億円などにより1,469億円の支出(前連結会計年度は230億円の収入)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額197億円、借入金の純減少額39億円などにより321億円の支出(前連結会計年度は427億円の支出)となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション部門 | 511,232 | △2.7 |
| 生活・産業部門 | 313,426 | +1.7 |
| エレクトロニクス部門 | 184,478 | +2.3 |
| 清涼飲料部門 | 40,707 | +1.2 |
| 合 計 | 1,049,844 | △0.4 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、清涼飲料部門においては、受注を主体とした生産を行っていないため、受注状況の記載を省略しております。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション部門 | 642,060 | △0.7 | 107,379 | +2.5 |
| 生活・産業部門 | 403,758 | +3.8 | 82,872 | +13.1 |
| エレクトロニクス部門 | 189,459 | △0.3 | 21,873 | △10.8 |
| 合 計 | 1,235,278 | +0.8 | 212,125 | +4.7 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション部門 | 757,902 | △2.2 |
| 生活・産業部門 | 395,182 | +0.7 |
| エレクトロニクス部門 | 192,436 | +2.0 |
| 清涼飲料部門 | 55,984 | △0.1 |
| 合 計 | 1,401,505 | △0.8 |
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるDNPグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
DNPグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の貸借対照表計上金額並びに当連結会計年度における収益・費用の損益計算書計上金額に影響する判断、見積りを実施する必要があります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。DNPグループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
DNPグループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べて107億円減少し、1兆4,015億円(前期比0.8%減)となりました。
売上原価は、前期に比べて122億円減少して1兆1,193億円(前期比1.1%減)となり、売上高に対する比率は前期の80.1%から79.9%となりました。販売費及び一般管理費は、前期に比べて20億円減少して2,322億円(前期比0.9%減)となり、この結果、営業利益は前期に比べて35億円増加して498億円(前期比7.6%増)となりました。
営業外収益は、持分法による投資利益の増加等により前期に比べて13億円増加して151億円(前期比9.9%増)となり、営業外費用は、為替差損の減少等により前期に比べて23億円減少して68億円(前期比25.9%減)となりました。この結果、経常利益は前期に比べて72億円増加して582億円(前期比14.3%増)となりました。
特別利益は、投資有価証券売却益の減少等により、前期に比べて362億円減少して230億円(前期比61.1%減)となり、特別損失は、補修対策引当金繰入額の増加等により前期に比べて351億円増加して1,000億円(前期比54.2%増)となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は356億円(前期は275億円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
DNPグループの資本の財源及び資金の流動性については、主に営業活動により確保されるキャッシュ・フローにより、成長を維持・発展させていくために必要な資金を確保しており、設備投資資金などの資金需要については自己資金で賄うことを基本としております。
重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源泉等については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)新設等」に記載のとおりであります。
また、キャッシュ・フローの概要について、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期末に比べ1,111億円減少し、1,337億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失186億円、減価償却費590億円などにより689億円の収入(前期は484億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の純増加額1,369億円などにより1,469億円の支出(前期は230億円の収入)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額197億円、借入金の純減少額39億円などにより321億円の支出(前期は427億円の支出)となりました。
DNPグループの経営成績に重要な影響を与えた要因は以下のとおりです。
国内経済は、雇用や所得環境に改善が見られたものの、個人消費は力強さに欠け、天候不順や地震等の自然災害、世界的な通商問題や中国経済の減速の影響もあり、景気の先行きに不透明感が強まりました。
印刷業界においては、電子書籍やインターネット広告の市場拡大による紙媒体の需要減少や、それにともなう競争の激化などもあり、厳しい経営環境が続きました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
情報コミュニケーション部門は、出版印刷物や商業印刷物、ビジネスフォームなどの紙媒体が減少したほか、2017年12月に、子会社の株式会社主婦の友社の全保有株式を譲渡した影響があり、売上高は前期比2.1%減の7,623億円となりました。営業利益は、「honto」事業の黒字化をはじめ、重点事業の拡大と、生産体制の見直しなどのコスト構造改革により、前期比14.2%増の248億円となりました。営業利益率は、前期の2.8%から0.5ポイント上昇し、3.3%となりました。
生活・産業部門は、包装関連事業と生活空間関連事業が減収となったものの、産業資材関連事業は増収となり、売上高は前期比0.7%増の3,971億円となりました。営業利益については、原材料価格高騰による影響が大きく、前期比30.9%減の83億円となりました。営業利益率は、前期の3.1%から1.0ポイント低下し、2.1%となりました。
エレクトロニクス部門については、有機ELディスプレイの製造に使用するメタルマスクや薄型ディスプレイ用の光学フィルム関連、半導体製品用フォトマスクの販売が順調に推移し、売上高は前期比2.0%増の1,924億円となりました。営業利益は、メタルマスクや光学フィルムなどの重点事業の拡大により、前期比8.2%増の369億円となりました。営業利益率は、前期の18.1%から1.1ポイント上昇し、19.2%となりました。
清涼飲料部門については、夏季の天候不順や北海道胆振東部地震の影響による販売の減少等により、売上高は0.1%減の559億円となりました。営業利益は、徹底したコスト削減を実施したものの、原材料価格高騰の影響が大きく、前期比5.5%減の21億円となりました。営業利益率は、前期の4.0%から0.2ポイント低下し、3.8%となりました。
セグメント資産の状況については、情報コミュニケーション部門は前連結会計年度に比べて、88億円減少して8,938億円(前期末比1.0%減)となりました。
生活・産業部門は前連結会計年度に比べて、87億円減少して4,453億円(前期末比1.9%減)となりました。
エレクトロニクス部門は前連結会計年度に比べて、90億円減少して2,250億円(前期末比3.9%減)となりました。
清涼飲料部門は前連結会計年度に比べて、2億円増加して484億円(前期末比0.5%増)となりました。
報告セグメント合計では前連結会計年度に比べて、264億円減少して1兆6,126億円(前期末比1.6%減)となりました。