有価証券報告書-第124期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/28 15:48
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるDNPグループの状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策などにより雇用・所得情勢が改善したほか、各企業における成長分野への対応等を背景に設備投資にも持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調が続きました。一方、個人消費は力強さに欠け、中国などの海外経済の減速や原材料価格の上昇の影響もあり、本格的な回復には至りませんでした。
印刷業界においては、インターネット広告市場の拡大などによる紙媒体の需要減少や、それにともなう競争の激化などもあり、厳しい経営環境が続きました。
このような状況のなか、DNPグループは、「知とコミュニケーション」「食とヘルスケア」「住まいとモビリティ」「環境とエネルギー」という4つの成長領域を軸として、印刷(Printing)と 情報(Information)の強みを掛け合わせて、国内外の社会課題を解決する新しい価値を生み出していく「P&Iイノベーション」を推進しました。
具体的には、モビリティ関連事業では、一般のガラスよりも軽く、燃費向上を目的とした軽量化ニーズに対応した「曲面樹脂ガラス」を開発し、自動車のリアウィンドウなどへの展開を目指しました。また、ディスプレイ用光学フィルム等で培った技術を活かして「車載ディスプレイ用視野角制御フィルム」を開発しました。このフィルムは、ディスプレイの光がフロントガラスに映りこむことを防ぎ、運転席からの視認性を高めるとともに、車内のデザイン設計の自由度を広げる高い機能があります。
また、ICカード事業などを通じて培ってきた情報セキュリティの強みを活かした製品・サービスの開発にも注力しました。例えば、自動車・家・宅配ロッカーなどの各種シェアリングサービスや、IoT(モノのインターネット)機器の利用者認証用デバイス向けに、スマートフォンで鍵の開閉を行うデジタルキーのサービスを開発しました。さらに、電子タグから取得した情報をサプライチェーンで共有するシステムの構築や、家計簿アプリ「レシーピ!」を利用した電子レシートデータの標準化とプラットフォームの構築などにも積極的に取り組み、事業化の促進を図りました。
そのほか、平成30年4月には、飲料や食品向け紙容器メーカーの世界大手であるSIG(エスアイジー)コンビブロックグループと合弁会社を設立し、日本市場における新しい形状のパッケージと無菌充填機の提供を開始しました。
また、事業競争力の強化については、事業部門やグループ会社の再編など構造改革に取り組み、 収益の改善に努めました。
その結果、当連結会計年度のDNPグループの売上高は1兆4,122億円(前期比0.1%増)、営業利益は463億円(前期比47.6%増)、経常利益は509億円(前期比38.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は275億円(前期比9.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
[印刷事業]
(情報コミュニケーション部門)
出版関連事業は、出版市場の低迷が続くなか、AI(人工知能)を活用した書店の販売情報等の分析による需要予測や、書籍の製造・物流・販売の連動性を高める体制の構築などに努めましたが、出版メディア関連は、書籍、雑誌とも減少し、前年を下回りました。教育・出版流通関連は、書店での販売とネット通販、電子書籍販売サービスを連携させたハイブリッド型総合書店「honto」の事業拡大に注力し、ネット通販と電子書籍が順調に推移したほか、図書館サポート事業における、大学や公共の図書館等の受託件数も増加しました。一方、株式の一部譲渡により、平成28年10月に株式会社文教堂グループホールディングスを持分法適用会社としたため、教育・出版流通関連全体の売上は減少し、当事業全体で前年を下回りました。
情報イノベーション事業は、平成29年6月に、データ集計やコンタクトセンターなど、企業等の幅広い業務を代行するBPO(Business Process Outsourcing)サービスの運用拠点を東京都新宿区と福岡県福岡市に新設しました。これによりDNPグループのBPOセンターは全国13箇所となり、生活者に最適な情報をタイムリーに届けて販促効果を高めるデジタルマーケティングの支援サービスの拡大に努めました。こうしたなか、カタログやパンフレットは前年を下回りましたが、POPなどの販促関連ツールが好調に推移したほか、チラシが堅調に推移しました。また、金融機関や電子マネー向けのICカードやパーソナルメール等のデータ入力・印刷・発送等を行うIPS(Information Processing Services)を中心とした情報セキュリティ関連も順調に推移し、当事業全体で前年を上回りました。
イメージングコミュニケーション事業は、記念撮影フォトブース「写Goo!(シャグー)」やクラウド型画像販売ソリューション「Imaging Mall(イメージングモール)」など、イベントやプロモーション等で写真プリントが楽しめる付加価値の高いサービスの展開に努めました。また、世界各地で事業展開している写真プリント用昇華型熱転写記録材(カラーインクリボンと受像紙)は、東南アジアや欧州向けが増加しましたが、国内や北米向けが減少し、当事業全体では前年を下回りました。
その結果、部門全体の売上高は7,786億円(前期比2.8%減)、営業利益は217億円(前期比15.2%増)となりました。
(生活・産業部門)
包装関連事業は、フィルムパッケージは国内向けが減少しましたが、東南アジア向けは増加しました。プラスチック成型品はペットボトルの部材であるプリフォームなどが増加しましたが、紙のパッケージやペットボトル用無菌充填システムの販売が減少し、当事業全体では前年を下回りました。
生活空間関連事業は、DNPグループ独自のEB(Electron Beam)コーティング技術を活かした環境配慮製品の拡販を推進しました。また、店舗の商品陳列やレイアウトの変更負荷を低減する「壁面装飾システム」や、改装・補修を簡便に行える「壁面リフォーム材」など、容易かつ効果的な空間演出を実現する建装材ソリューションの提供に注力しました。そのほか、内外装アルミパネル「アートテック」や、木目・金属等のデザインや触感を施した加飾フィルムが、商業施設やオフィス、自動車や鉄道車両などの非住宅分野向けに増加し、当事業全体で前年を上回りました。
産業資材関連事業は、複数のフィルムを貼り合わせるラミネートや、精密塗工等の技術を活かし、世界で高いシェアを獲得しているフィルムタイプのリチウムイオン電池用パウチがモバイル用、車載用ともに順調に推移したほか、太陽電池用部材も海外向けが増加し、当事業全体で前年を上回りました。
その結果、部門全体の売上高は3,943億円(前期比1.6%増)、営業利益は121億円(前期比16.0%減)となりました。
(エレクトロニクス部門)
ディスプレイ関連製品事業は、光学フィルム関連が、有機ELディスプレイの普及により、有機ELテレビ向けが増加したほか、液晶テレビ向けも画面サイズの大型化により堅調に推移しました。また、有機ELディスプレイ用メタルマスクは、モバイル端末向けが増加しました。液晶ディスプレイ用カラーフィルターは、スマートフォン向けの中小型品とテレビ向けの大型品がともに減少しましたが、当事業全体では前年を上回りました。
電子デバイス事業は、スマートフォン等の内蔵メモリの大容量化やIoT機器の普及を背景に、半導体市場全体が大きく成長するなか、半導体向けフォトマスクが増加しました。
その結果、部門全体の売上高は1,887億円(前期比11.4%増)、営業利益は341億円(前期比106.9%増)となりました。
[清涼飲料事業]
(清涼飲料部門)
清涼飲料業界で販促施策の展開や価格競争などによるシェア争いが続くなか、特定保健用食品や機能性表示食品などの新製品の販売を強化したほか、自動販売機事業でエリアマーケティングに基づく活発な販促活動を展開して、既存市場でのシェア拡大と新規顧客の獲得に努めました。
その結果、主力ブランドの「コカ・コーラ」や、「綾鷹」などの無糖茶飲料が増加しましたが、北海道地域以外のグループボトラーへの販売減少に加え、ミネラルウォーター関連が減少し、部門全体の売上高は560億円(前期比1.0%減)、営業利益は22億円(前期比7.6%減)となりました。
② 財政状態及びキャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の資産、負債、純資産については、総資産は、現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ685億円増加し、1兆8,104億円となりました。
負債は、補修対策引当金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ473億円増加し、7,079億円となりました。
純資産は、その他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ212億円増加し、1兆1,025億円となりました。
また、当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,449億円(前期比14.2%増)となり、前連結会計年度末より303億円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は484億円(前期比32.6%減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益453億円、減価償却費610億円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の増加は230億円(前期比64.7%増)となりました。これは、投資有価証券の売却による収入546億円、有形固定資産の取得による支出325億円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は427億円(前期比5.4%減)となりました。これは、配当金の支払額199億円、自己株式の取得150億円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
情報コミュニケーション部門525,162△1.5
生活・産業部門308,221+1.0
エレクトロニクス部門180,263+14.4
清涼飲料部門40,239△4.7
合 計1,053,886+1.5

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、清涼飲料部門においては、受注を主体とした生産を行っていないため、受注状況の記載を省略しております。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)
情報コミュニケーション部門646,495△0.8104,742△0.9
生活・産業部門388,810+0.373,265△3.4
エレクトロニクス部門190,112+9.024,521+7.3
合 計1,225,419+1.0202,529△0.9

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
情報コミュニケーション部門774,997△2.8
生活・産業部門392,458+1.4
エレクトロニクス部門188,745+11.4
清涼飲料部門56,049△0.9
合 計1,412,251+0.1

(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるDNPグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
DNPグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の貸借対照表計上金額並びに当連結会計年度における収益・費用の損益計算書計上金額に影響する判断、見積りを実施する必要があります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。DNPグループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
DNPグループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べて20億円増加し、1兆4,122億円(前期比0.1%増)となりました。
売上原価は、前期に比べて115億円減少して1兆1,316億円(前期比1.0%減)となり、売上高に対する比率は前期の81.1%から80.1%となりました。販売費及び一般管理費は、前期に比べて13億円減少して2,342億円(前期比0.6%減)となり、この結果、営業利益は前期に比べて149億円増加して463億円(前期比47.6%増)となりました。
営業外収益は、受取配当金の増加等により前期に比べて1億円増加して138億円前期比1.1%増)となり、営業外費用は、為替差損の増加等により前期に比べて8億円増加して92億円(前期比10.5%増)となりました。この結果、経常利益は前期に比べて142億円増加して509億円(前期比38.7%増)となりました。
特別利益は、固定資産売却益の増加等により、前期に比べて96億円増加して593億円(前期比19.5%増)となり、特別損失は、補修対策引当金繰入額の増加等により前期に比べて183億円増加して648億円(前期比39.4%増)となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は275億円(前期比9.0%増)となりました。
DNPグループの資本の財源及び資金の流動性については、主に営業活動により確保されるキャッシュ・フローにより、成長を維持・発展させていくために必要な資金を確保しており、設備投資資金などの資金需要については自己資金で賄うことを基本としております。
重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源泉等については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)新設等」に記載のとおりであります。
また、キャッシュ・フローの概要については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態及びキャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
DNPグループの経営成績に重要な影響を与えた要因は以下のとおりです。
当期の日本経済は、政府の経済政策などにより雇用・所得情勢が改善したほか、各企業における成長分野への対応等を背景に設備投資にも持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調が続きました。一方、個人消費は力強さに欠け、中国などの海外経済の減速や原材料価格の上昇の影響もあり、本格的な回復には至りませんでした。
印刷業界においては、インターネット広告市場の拡大などによる紙媒体の需要減少や、それにともなう競争の激化などもあり、厳しい経営環境が続きました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
情報コミュニケーション部門は、情報セキュリティ関連やマーケティング関連の情報イノベーション事業が増収となったものの、出版関連事業やイメージングコミュニケーション事業の販売減少により、売上高は前期比2.8%減の7,786億円となりました。営業利益は、情報セキュリティ関連やマーケティング関連での売上増やコストダウンの推進により、前期比15.2%増の217億円となりました。営業利益率は、前期の2.4%から0.4ポイント上昇し、2.8%となりました。
生活・産業部門は、包装関連事業が減収となったものの、生活空間関連事業と産業資材関連事業は増収となり、売上高は前期比1.6%増の3,943億円となりました。営業利益については、プラスチックフィルムなどの石化製品を中心とした原材料の値上がりにともなうコスト増などにより、前期比16.0%減の121億円となりました。営業利益率は、前期の3.7%から0.6ポイント低下して、3.1%となりました。
エレクトロニクス部門については、有機ELディスプレイの製造に使用するメタルマスクや薄型ディスプレイ用の光学フィルム関連、半導体製品用フォトマスクの販売が好調に推移し、売上高は前期比11.4%増の1,887億円となりました。営業利益は、増収効果に加え、主力製品の売上伸長にともなう売上総利益率の改善により、前期比106.9%増の341億円となりました。営業利益率は、前期の9.7%から8.4ポイント上昇し、18.1%となりました。
清涼飲料部門については、主力ブランドの「コカ・コーラ」のほか、「綾鷹」などの無糖茶飲料の販売が増加しましたが、ミネラルウォーター関連や北海道地域以外のグループボトラーへの販売減少もあり、売上高は1.0%減の560億円となりました。営業利益は、価格競争激化にともなう広告・販売促進費の増加などにより、前期比7.6%減の22億円となりました。営業利益率は、前期の4.3%から0.3ポイント低下して、4.0%となりました。
セグメント資産の状況については、情報コミュニケーション部門は前連結会計年度に比べて、285億円増加して9,044億円(前期末比3.3%増)となりました。
生活・産業部門は前連結会計年度に比べて、144億円増加して4,537億円(前期末比3.3%増)となりました。
エレクトロニクス部門は前連結会計年度に比べて、157億円減少して2,424億円(前期末比6.1%減)となりました。
清涼飲料部門は前連結会計年度に比べて、10億円増加して485億円(前期末比2.2%増)となりました。
報告セグメント合計では前連結会計年度に比べて、283億円増加して1兆6,492億円(前期末比1.7%増)となりました。

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