(連結子会社Group Lease Holdings PTE.LTD.が保有する貸付債権等について)
当社連結子会社でタイ証券取引所上場のGroup Lease PCL.(以下、「GL」という。)は、その子会社Group Lease Holdings PTE.LTD.(以下、「GLH」という。)を通じ、中小企業及び戦略的ビジネスパートナーへの貸付(以下、「GLH融資取引」という。)を行っております。
GLは、キプロス及びシンガポールの借主に対するGLH融資取引について、2017年10月16日及び同月19日にタイ証券取引委員会(以下、「タイSEC」という。)からGL元役員の不正行為や利息収入の過大計上、関連する決算の訂正などの指摘を受けました。また、タイSECは、タイ法務省特別捜査局(以下、「タイDSI」という。)に対し調査を進めるよう、申し立てを行い、現在タイDSIによる調査が行われております。
当社は、タイSECの指摘の事実関係等について調査するため、当社において第三者委員会を設置しGLH融資取引を調査しました。また、GLでは、新たに、キプロス及びシンガポールの借主へのGLH融資取引に対して独立した監査法人による特別監査も実施しましたが、タイSECの指摘の根拠を特定することはできておりません。
当社では、第三者委員会の調査結果等も踏まえ、今後、タイ捜査当局による捜査並びに指導により会計的な影響の及ぶ可能性等を考慮し、前々々連結会計年度の年度末決算から、タイSEC指摘のGLH融資取引に関連する貸付金債権全額(営業貸付金及び未収利息)に対して保守的な観点から貸倒引当金を設定し、営業貸付金元本相当については特別損失に貸倒引当金繰入額を計上し、未収利息相当については、売上高から減額する処理をし、それ以降の売上高計上は取りやめております。
また、2018年7月31日に、GLではタイSECの決算訂正命令に対応して比較情報としての2016年12月末決算を含む2017年12月末決算を訂正しました。当該GLの過年度決算の訂正は、タイSECの決算訂正命令に対応したものですが、訂正原因となる誤謬が特定されていないこと等を考慮し、当社としましては、GLの訂正処理は当社の決算には反映させず、前々々連結会計年度からの従前の会計処理を踏襲しております。
当連結会計年度末におけるタイSEC指摘のGLH融資取引に関連する貸付債権(概算値)は、貸付元本(営業貸付金)5,924百万円(前連結会計年度末6,051百万円)、未収利息(流動資産その他)262百万円(前連結会計年度末268百万円)となっており、当該貸付債権全額(営業貸付金及び未収利息)について貸倒引当金6,187百万円(前連結会計年度末6,319百万円)を設定しております。また、当連結会計年度末の関連利息収入(売上高)は―百万円(前連結会計年度は―百万円)となっております。
なお、借主に対しては返済を要請しており、担保資産の処分のための法的措置も進めております。今後とも、着実な債権の回収を図ってまいります。
(JTRUST ASIA PTE.LTD.等との係争について)
当社連結子会社であるGLが発行した総額180百万USドル(当連結会計年度末190億円(1年内償還予定の転換社債190億円))の転換社債保有者であるJTRUST ASIA PTE. LTD. (以下、「JTA」という。)は、GLがタイSECから2017年10月16日及び同月19日にGL元役員の不正行為や利息収入の過大計上、関連する決算の訂正などについて指摘を受けたことに起因し、錯誤を理由として、2017年11月30日付けで、転換社債の投資契約解除と転換社債180百万USドルの即時一括弁済等を請求をしており、タイ王国及びシンガポール共和国においてGL並びにGLH等に対して各種の訴訟が提起されており、係争中となっております。
JTAが行っている訴訟の概要につきましては、以下のとおりです。
(1) JTAが行っている訴訟の概要
(GL)損害賠償請求訴訟 | (GL)会社更生申立訴訟 | (GLH)損害賠償請求訴訟 | (GLH)暫定的資産凍結命令申立訴訟 | |
1.訴訟提起日 | 2018年1月9日 | 2018年1月10日 | 2017年12月26日 | 2017年12月26日 |
2.訴訟の原因及び提起されるに至った経緯 | J トラスト株式会社の子会社であるJTAは、 当社連結子会社GLの転換社債(合計2億1千万米ドル)を引き受ける投資契約を締結し、当該転換社債を保有しておりましたが、JTA はGLに対し 当該投資契約解除及び未転換の転換社債(1億8千万米ドル相当)の全額一括返済を要求しておりました。GLといたしましては、当該投資契約の解除要件に抵触した事実は何一つなく、転換社債の期限前償還に応じなければならない条件は何ら整っていなかったことから、これらの要求にはお断りをしつつも、円満解決に向け誠実に対応して参りました。しかしながら、交渉は妥結に至ることはなく、JTA は、GL及びGLH等が、投資家に対し1億8千万米ドル以上の投資を促す為に、同社グループの財務諸表を改ざんし、GLが健全な財政状況であると誤解させ、投資家等に損害を与えたということを理由として、GL及びGLHに対し損害賠償請求を求めるべく、これら一連の訴訟を提起したものです。 | |||
3.訴訟を提起した者の概要 | (商号) J Trust Asia Pte.Ltd. (所在地) シンガポール共和国 (代表者の役職・氏名) 代表取締役社長 藤澤信義 | 同左 | 同左 | 同左 |
4.訴訟内容 | JTA は、タイ王国において、GL、GL 取締役 3名、並びに此下益司 氏に対し、JTA の投資額(最低2億1千万米ドル)の損害賠償を求め訴訟を提起しております。 | JTA は、タイ王国において、GLの会社更生手続きの開始を求め訴訟を行っております。 | JTA は、シンガポール共和国において、GLH、此下益司氏、並びに当社グループ会社ではないその他5社 に対し、JTAの投資額 (最低2億1千万米ドル)の損害賠償を求め訴訟を提起しております。 | シンガポール共和国において、GLH、此下益司氏、並びに当社グループ会社ではないその他1社に対し、通常の事業業務で生じる以外の資産取引の禁止、及び、シンガポール国外への1億8千万米ドルまでの資産移転・処分を禁止するものです。 |
5.裁判の進展 | 係争中です。 | 2019年8月15日付でJTAによる会社更生申立訴訟が棄却されました。その後、2019年11月26日にJTAによる控訴が申立てられ、2020年9月29日にJTAによる請求が全面的に棄却される判決が下されました。当該判決が最終となり終結しました。 | 2020年2月12日付でシンガポール高等裁判所は、JTAの請求をすべて棄却し、JTAに対し被告に生じた費用を支払うように命じる判決が下されました。その後、2020年2月13日にJTAによる控訴が申立てられ、2020年10月6日にJTAの請求が一部認められ、GLH、此下益司氏、並びに当社グループではないその他5社に対し、約7千万米ドル及び約13万シンガポールドル(日本円で約74億円)の支払命令が下されました。当該判決が最終となり終結しました。 | 2018年2月23日シンガポール高等裁判所は暫定的資産凍結命令を停止し解除する決定を下しており、その後、JTAは2回暫定的資産凍結命令に関する審判保留の申立てを行いましたが、却下されております。なお、JTAは、同時に、暫定的資産凍結命令の停止、解除を不服として、当該決定の棄却(暫定的資産凍結命令の復活)を求め控訴の申立てを行っておりましたが、2018年6月1日に結審し暫定的資産凍結命令が発令されており現在も継続しております。 |