有価証券報告書-第139期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。
連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの財政状態又は経営成績等に重要な影響を及ぼす会計上の見積りおよび判断は、以下のとおりであります。
・企業結合により取得した資産および引き継いだ負債の公正価値
企業結合により取得した識別可能な資産および引き受けた負債は、一部を除いて取得日の公正価値で測定しております。当該公正価値は、見積将来キャッシュ・フローや割引率等の仮定に基づき算定しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りにより決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があります。
・非金融資産の減損
有形固定資産、のれん及び無形資産の減損テストにおいて、資金生成単位を判別したうえで、当該資金生成単位における使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか高い方を回収可能価額として測定しております。当該処分コスト控除後の公正価値算定上の仮定、あるいは使用価値算定の基礎となる資金生成単位の使用期間中及び使用後の処分により見込まれる将来キャッシュ・フロー、割引率等の仮定は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、有形固定資産、のれん及び無形資産に係る減損損失額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。
・繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産については、将来減算一時差異等を利用できる将来課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しております。当該回収可能性の判断は、当社グループの事業計画に基づいて決定した将来の各事業年度の課税所得の見積りを前提としております。当該将来の課税所得の見積りは、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、繰延税金資産の計上額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。
・確定給付制度債務の測定
確定給付制度に係る確定給付制度債務の現在価値および関連する勤務費用等は、割引率や死亡率等の数理計算上の仮定に基づき算定しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があります。
・引当金の測定および偶発事象
(引当金)
引当金は、将来において債務の決済に要すると見込まれるキャッシュ・フローの期末日における最善の見積りに基づいて測定しております。将来において債務の決済に要すると見込まれるキャッシュ・フローは、将来の起こりうる結果を総合的に勘案して算定しております。これら引当金の測定において使用される仮定は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、引当金の測定額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。
(偶発債務)
連結会社以外の会社等による金融機関等からの借入債務等に対して、債務保証および債務保証類似行為を行っております。これらは、金融保証契約に該当し、債務保証先が債務不履行となった場合、当該債務を当社グループが負担する必要があります。
・金融商品の公正価値
特定の金融商品の公正価値を評価する際に、市場で観察可能ではないインプットを利用する評価技法を用いております。当該観察不能インプットは、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の爆発的な拡大により、特に自動車関連やディスプレイ関連などの事業分野で今後も厳しい状況が続くことを見込んでおります。繰延税金資産の回収可能性の判断にあたっては、新型コロナウイルス感染症の影響は2020年度上期が中心となり、下期にかけて徐々に減少していくものの、年度中は影響が残るとの仮定を置いて、将来課税所得の見積りを行っております。
(2) 経営成績
当事業年度における海外経済の情勢は、長らく世界経済を牽引してきた米国経済に陰りが見られ、中国においても米中間の貿易摩擦の影響などにより変調が見られるなど、全般的に減速基調が鮮明となりました。 国内においても、経済が踊り場にさしかかっていたところに、消費税率の引き上げや多発した大雨被害などを受けて個人消費が落ち込むなど、厳しい事業環境となりました。 そのような状況の下、本年に入り、新型コロナウイルス感染症が発生し、中国をはじめ国内外の経済活動に大きな悪影響を与えました。
このような中、当社グループは、「次世代事業の創出加速」、「デジタル革新による生産性の向上」、「事業ポートフォリオの高度化」、「強靭な財務体質の実現」等を基本方針とする中期経営計画(2019年度~2021年度)を策定し、生産性の飛躍的向上とイノベーションの加速により、サステナブルな社会の実現と当社グループの持続的な成長を目指すべく、全社を挙げて取り組んでまいりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度に比べ928億円減少し、2兆2,258億円となりました。損益面では、コア営業利益は1,327億円、営業利益は1,375億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は309億円となり、それぞれ前連結会計年度を下回りました。
(売上収益)
売上収益は、出荷が増加しましたが、市況下落の影響や為替レートが円高で推移したことにより、前連結会計年度の2兆3,186億円に比べ928億円減少し、2兆2,258億円となりました。

(コア営業利益/営業利益)
コア営業利益は、石油化学の石油化学品やメタアクリルなどの交易条件の悪化、健康・農業関連事業のメチオニン(飼料添加物)市況の下落や農薬の北米における天候不順の影響がありました。また、医薬品においてはラツーダ(非定型抗精神病薬)の販売が伸長したものの、ロイバント社との戦略的提携に伴い、新たに取得したスミトバント バイオファーマ リミテッドおよび傘下の子会社で発生した費用が認識されたことから、販売費及び一般管理費ならびに研究開発費が増加しました。さらに、新型コロナウイルス感染症の発生により、中国を中心に経済環境が大きく悪化し、石油化学の製品市況や情報電子化学の出荷に影響を与えました。以上の結果、コア営業利益は、前連結会計年度の2,043億円に比べ716億円減少し、1,327億円となりました。

(金融収益及び金融費用/税引前利益)
金融収益及び金融費用は、当連結会計年度末にかけて円高で推移し、多額の為替差損を計上したことから、前連結会計年度の54億円の利益に比べ124億円悪化し、70億円の損失となりました。以上の結果、税引前利益は、前連結会計年度の1,884億円に比べ579億円減少し、1,305億円となりました。
(法人所得税費用/親会社の所有者に帰属する当期利益及び非支配持分に帰属する当期利益)
医薬品の米国子会社において、開発中の抗がん剤の一部試験中止の決定等に伴い繰延税金資産の取り崩しを行った影響等により一時的な税金費用が発生したため、法人所得税費用は761億円となり、税引前利益に対する税効果適用後の法人所得税費用の負担率は、58.3%となりました。
以上の結果、当期利益は、544億円となりました。
非支配持分に帰属する当期利益は、主として大日本住友製薬株式会社などの連結子会社の非支配持分に帰属する利益からなり、前連結会計年度の345億円に比べ110億円減少し、235億円となりました。
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度の1,180億円に比べ871億円減少し、309億円となりました。
当連結会計年度のセグメント別の業績の概況は、次のとおりであります。
なお、セグメント利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出したコア営業利益で表示しております。
(石油化学)
(エネルギー・機能材料)
(情報電子化学)
(健康・農業関連事業)
(医薬品)
(その他)
上記5部門以外に、電力・蒸気の供給、化学産業設備の設計・工事監督、運送・倉庫業務、物性分析・環境分析業務等を行っております。これらの売上収益は前連結会計年度に比べ、17億円減少し495億円となり、コア営業利益は前連結会計年度に比べ7億円減少し88億円となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績及び受注状況
当社グループ(当社および連結子会社)の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産製品の規模は小さいため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産の状況については、セグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。
② 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記販売実績は、外部顧客への売上収益を示しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(3) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ4,787億円増加し3兆6,503億円となりました。ロイバント社との戦略的提携に伴う株式譲渡等の手続きが完了したことに伴い、無形資産や非流動資産のその他の金融資産が大きく増加しました。また、IFRS第16号「リース」の適用により有形固定資産が増加しました。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ4,418億円増加し、2兆2,615億円となりました。有利子負債は、上記の戦略的提携の対価の支払いに係るブリッジローンの調達、公募ハイブリッド社債(公募劣後特約付社債)の発行等により、前連結会計年度末に比べ4,651億円増加し、1兆3,047億円となりました。
資本合計(非支配持分を含む)は、非支配持分が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ370億円増加し、1兆3,888億円となりました。親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べて6.2ポイント減少し、25.3%となりました。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益の減少等により、前連結会計年度に比べ1,021億円減少し、1,060億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、ロイバント社との戦略的提携の手続きの完了により、同社株式を取得したことに伴う投資の取得による支出や子会社の取得による支出等が増加したため、前連結会計年度に比べ3,188億円支出が増加し、4,997億円の支出となりました。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度の273億円の収入に対して、当連結会計年度は3,937億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、大日本住友製薬株式会社によるブリッジローンの調達、当社による公募ハイブリッド社債(公募劣後特約付社債)の発行等により、3,735億円の収入となりました。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ210億円減少し、1,806億円となりました。
当社グループの資金需要および資本の財源ならびに資金の流動性は、次のとおりであります。
当社グループの資金需要には、通常の営業活動に必要となる運転資金や既存設備の定期修理のための資金に加え、中期経営計画(2019~2021年度)の基本方針の一つである「事業ポートフォリオの高度化」を推進するための成長投資に必要となる資金があります。当連結会計年度においては、ロイバント社との戦略的提携に伴い同社子会社を取得したほか、本年4月にはニューファーム社から南米子会社4社を買収しております。これら2件の大型投資の実施により、中期経営計画期間(2019~2021年度)の設備投資・投融資(意思決定ベース)の金額は、当初想定を上回る水準となることが見込まれます。今後、徹底的な投資厳選に加え、資産売却やCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)短縮などにより財務体質の改善に努めてまいります。
また、当社グループは株主還元についても、経営上の最重要課題の一つと考えています。各期の業績、配当性向ならびに将来の事業展開に必要な内部留保の水準などを総合的に勘案の上、安定的な配当を継続することを基本とし、中長期的に配当性向30%程度を安定して達成することを目指しています。
当社グループの財務活動の方針は、低利かつ中長期にわたり安定的な資金調達を行うこと、および十分な流動性を確保することです。D/Eレシオについては、フレキシブルな資金調達が可能な現在の当社格付を維持することを考慮し、中長期的に0.7倍程度を目安としています。当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、銀行借入、資本市場における社債およびコマーシャル・ペーパー(当社発行枠1,800億円)の発行等により、必要資金を調達しております。当連結会計年度においては、当社は、成長投資を進めながら財務健全性を補完する資金調達手段として総額2,500億円の公募ハイブリッド社債(公募劣後特約付社債)の発行を実施しました。また、大日本住友製薬株式会社は、ロイバント社との戦略的提携に関わる対価の支払いに伴い、ブリッジローンにより2,700億円を調達しました。今後、金融機関からの借入等に加え、資本性資金の調達を目的としたハイブリッドファイナンス等による借り換えを予定しています。
当社グループは、グループファイナンス等により手元資金の最大活用を図っており、現金及び現金同等物の保有額は事業遂行上必要な水準に維持することを目指しています。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,806億円であり、流動比率(流動資産/流動負債)は112.8%であります。
一方、大手邦銀のシンジケート団による800億円のコミットメント・ラインおよび大手外銀のシンジケート団による210億円のマルチカレンシー(円・米ドル・ユーロ建)によるコミットメント・ラインを有しており、金融市場の不安定な状況や、新型コロナウイルス感染症の影響を含む事業等のリスクの顕在化などによる突発的な資金需要に備え、手元流動性を確保しております。
(5) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)2019年度~2021年度中期経営計画」に記載のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。
連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの財政状態又は経営成績等に重要な影響を及ぼす会計上の見積りおよび判断は、以下のとおりであります。
・企業結合により取得した資産および引き継いだ負債の公正価値
企業結合により取得した識別可能な資産および引き受けた負債は、一部を除いて取得日の公正価値で測定しております。当該公正価値は、見積将来キャッシュ・フローや割引率等の仮定に基づき算定しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りにより決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があります。
・非金融資産の減損
有形固定資産、のれん及び無形資産の減損テストにおいて、資金生成単位を判別したうえで、当該資金生成単位における使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか高い方を回収可能価額として測定しております。当該処分コスト控除後の公正価値算定上の仮定、あるいは使用価値算定の基礎となる資金生成単位の使用期間中及び使用後の処分により見込まれる将来キャッシュ・フロー、割引率等の仮定は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、有形固定資産、のれん及び無形資産に係る減損損失額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。
・繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産については、将来減算一時差異等を利用できる将来課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しております。当該回収可能性の判断は、当社グループの事業計画に基づいて決定した将来の各事業年度の課税所得の見積りを前提としております。当該将来の課税所得の見積りは、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、繰延税金資産の計上額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。
・確定給付制度債務の測定
確定給付制度に係る確定給付制度債務の現在価値および関連する勤務費用等は、割引率や死亡率等の数理計算上の仮定に基づき算定しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があります。
・引当金の測定および偶発事象
(引当金)
引当金は、将来において債務の決済に要すると見込まれるキャッシュ・フローの期末日における最善の見積りに基づいて測定しております。将来において債務の決済に要すると見込まれるキャッシュ・フローは、将来の起こりうる結果を総合的に勘案して算定しております。これら引当金の測定において使用される仮定は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、引当金の測定額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。
(偶発債務)
連結会社以外の会社等による金融機関等からの借入債務等に対して、債務保証および債務保証類似行為を行っております。これらは、金融保証契約に該当し、債務保証先が債務不履行となった場合、当該債務を当社グループが負担する必要があります。
・金融商品の公正価値
特定の金融商品の公正価値を評価する際に、市場で観察可能ではないインプットを利用する評価技法を用いております。当該観察不能インプットは、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の爆発的な拡大により、特に自動車関連やディスプレイ関連などの事業分野で今後も厳しい状況が続くことを見込んでおります。繰延税金資産の回収可能性の判断にあたっては、新型コロナウイルス感染症の影響は2020年度上期が中心となり、下期にかけて徐々に減少していくものの、年度中は影響が残るとの仮定を置いて、将来課税所得の見積りを行っております。
(2) 経営成績
当事業年度における海外経済の情勢は、長らく世界経済を牽引してきた米国経済に陰りが見られ、中国においても米中間の貿易摩擦の影響などにより変調が見られるなど、全般的に減速基調が鮮明となりました。 国内においても、経済が踊り場にさしかかっていたところに、消費税率の引き上げや多発した大雨被害などを受けて個人消費が落ち込むなど、厳しい事業環境となりました。 そのような状況の下、本年に入り、新型コロナウイルス感染症が発生し、中国をはじめ国内外の経済活動に大きな悪影響を与えました。
このような中、当社グループは、「次世代事業の創出加速」、「デジタル革新による生産性の向上」、「事業ポートフォリオの高度化」、「強靭な財務体質の実現」等を基本方針とする中期経営計画(2019年度~2021年度)を策定し、生産性の飛躍的向上とイノベーションの加速により、サステナブルな社会の実現と当社グループの持続的な成長を目指すべく、全社を挙げて取り組んでまいりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度に比べ928億円減少し、2兆2,258億円となりました。損益面では、コア営業利益は1,327億円、営業利益は1,375億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は309億円となり、それぞれ前連結会計年度を下回りました。
(売上収益)
売上収益は、出荷が増加しましたが、市況下落の影響や為替レートが円高で推移したことにより、前連結会計年度の2兆3,186億円に比べ928億円減少し、2兆2,258億円となりました。

(コア営業利益/営業利益)
コア営業利益は、石油化学の石油化学品やメタアクリルなどの交易条件の悪化、健康・農業関連事業のメチオニン(飼料添加物)市況の下落や農薬の北米における天候不順の影響がありました。また、医薬品においてはラツーダ(非定型抗精神病薬)の販売が伸長したものの、ロイバント社との戦略的提携に伴い、新たに取得したスミトバント バイオファーマ リミテッドおよび傘下の子会社で発生した費用が認識されたことから、販売費及び一般管理費ならびに研究開発費が増加しました。さらに、新型コロナウイルス感染症の発生により、中国を中心に経済環境が大きく悪化し、石油化学の製品市況や情報電子化学の出荷に影響を与えました。以上の結果、コア営業利益は、前連結会計年度の2,043億円に比べ716億円減少し、1,327億円となりました。

| コア営業利益の算出にあたり営業利益から控除した、非経常的な要因により発生した損益は、医薬品のがん領域等において、開発計画を含む事業計画の見直しを実施したことにより、仕掛研究開発等の無形資産の減損損失を計上した一方で、条件付対価の公正価値が減少し費用の戻入が発生したため、前連結会計年度の213億円の損失に比べ261億円改善し49億円の利益となりました。以上の結果、営業利益は、前連結会計年度の1,830億円に比べ455億円減少し、1,375億円となりました。 | ![]() |
(金融収益及び金融費用/税引前利益)
金融収益及び金融費用は、当連結会計年度末にかけて円高で推移し、多額の為替差損を計上したことから、前連結会計年度の54億円の利益に比べ124億円悪化し、70億円の損失となりました。以上の結果、税引前利益は、前連結会計年度の1,884億円に比べ579億円減少し、1,305億円となりました。
(法人所得税費用/親会社の所有者に帰属する当期利益及び非支配持分に帰属する当期利益)
医薬品の米国子会社において、開発中の抗がん剤の一部試験中止の決定等に伴い繰延税金資産の取り崩しを行った影響等により一時的な税金費用が発生したため、法人所得税費用は761億円となり、税引前利益に対する税効果適用後の法人所得税費用の負担率は、58.3%となりました。
以上の結果、当期利益は、544億円となりました。
非支配持分に帰属する当期利益は、主として大日本住友製薬株式会社などの連結子会社の非支配持分に帰属する利益からなり、前連結会計年度の345億円に比べ110億円減少し、235億円となりました。
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度の1,180億円に比べ871億円減少し、309億円となりました。
当連結会計年度のセグメント別の業績の概況は、次のとおりであります。
なお、セグメント利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出したコア営業利益で表示しております。
(石油化学)
| 石油化学品や合成樹脂は原料価格が前連結会計年度を下回ったことにより、市況が下落しました。合繊原料やメタアクリルも市況が低水準で推移しました。この結果、売上収益は前連結会計年度に比べ、1,006億円減少し6,569億円となりました。コア営業利益は、石油化学品やメタアクリルなどの交易条件の悪化により前連結会計年度に比べ471億円減少し145億円となりました。 また、生産規模は、約4,610億円となりました。(販売価格ベース) | ![]() |
(エネルギー・機能材料)
| レゾルシン(接着剤用原料)は出荷が堅調に推移しました。一方、アルミニウムの市況や正極材料の原料金属の市況が低水準で推移したため、販売価格が下落しました。この結果、売上収益は前連結会計年度に比べ、278億円減少し2,550億円となり、コア営業利益は前連結会計年度に比べ26億円減少し203億円となりました。 また、生産規模は、約1,880億円となりました。(販売価格ベース) | ![]() |
(情報電子化学)
| 偏光フィルムは販売価格が下落しました。一方で、偏光フィルムはテレビ用途、モバイル用途ともに、またタッチセンサーパネルも需要の伸長により出荷が増加しました。この結果、売上収益は前連結会計年度に比べ、80億円増加し4,049億円となりました。コア営業利益は販売価格下落の影響が大きく、前連結会計年度に比べ11億円減少し251億円となりました。 また、生産規模は、約3,460億円となりました。(販売価格ベース) | ![]() |
(健康・農業関連事業)
| メチオニン(飼料添加物)は市況が下落しましたが、前連結会計年度に実施した生産能力増強により出荷が増加しました。一方で、農薬は北米における天候不順の影響により出荷が減少しました。この結果、売上収益は前連結会計年度に比べ、56億円増加し3,437億円となりました。コア営業利益は、メチオニンの交易条件の悪化や農薬の出荷減少などにより、前連結会計年度に比べ176億円減少し21億円となりました。 また、生産規模は、約1,740億円となりました。(販売価格ベース) | ![]() |
(医薬品)
| 国内ではエクアおよびエクメット(2型糖尿病治療剤)の販売を開始したことなどから増収となりました。また北米ではラツーダ(非定型抗精神病薬)の販売が伸長しました。この結果、売上収益は前連結会計年度に比べ、237億円増加し5,158億円となりました。コア営業利益は売上収益が増加したものの、ロイバント社との戦略的提携に伴い、新たに取得したスミトバント バイオファーマ リミテッドおよび傘下の子会社で発生した費用が認識されたことから、販売費及び一般管理費ならびに研究開発費が増加したため、前連結会計年度に比べ55億円減少し753億円となりました。 また、生産規模は、約5,300億円となりました。(販売価格ベース) | ![]() |
(その他)
上記5部門以外に、電力・蒸気の供給、化学産業設備の設計・工事監督、運送・倉庫業務、物性分析・環境分析業務等を行っております。これらの売上収益は前連結会計年度に比べ、17億円減少し495億円となり、コア営業利益は前連結会計年度に比べ7億円減少し88億円となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績及び受注状況
当社グループ(当社および連結子会社)の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産製品の規模は小さいため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産の状況については、セグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。
② 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
| 石油化学 | 656,929 | △13.3 |
| エネルギー・機能材料 | 255,034 | △9.8 |
| 情報電子化学 | 404,871 | 2.0 |
| 健康・農業関連事業 | 343,666 | 1.6 |
| 医薬品 | 515,845 | 4.8 |
| その他 | 49,459 | △3.3 |
| 合計 | 2,225,804 | △4.0 |
(注) 1 上記販売実績は、外部顧客への売上収益を示しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(3) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ4,787億円増加し3兆6,503億円となりました。ロイバント社との戦略的提携に伴う株式譲渡等の手続きが完了したことに伴い、無形資産や非流動資産のその他の金融資産が大きく増加しました。また、IFRS第16号「リース」の適用により有形固定資産が増加しました。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ4,418億円増加し、2兆2,615億円となりました。有利子負債は、上記の戦略的提携の対価の支払いに係るブリッジローンの調達、公募ハイブリッド社債(公募劣後特約付社債)の発行等により、前連結会計年度末に比べ4,651億円増加し、1兆3,047億円となりました。
資本合計(非支配持分を含む)は、非支配持分が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ370億円増加し、1兆3,888億円となりました。親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べて6.2ポイント減少し、25.3%となりました。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益の減少等により、前連結会計年度に比べ1,021億円減少し、1,060億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、ロイバント社との戦略的提携の手続きの完了により、同社株式を取得したことに伴う投資の取得による支出や子会社の取得による支出等が増加したため、前連結会計年度に比べ3,188億円支出が増加し、4,997億円の支出となりました。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度の273億円の収入に対して、当連結会計年度は3,937億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、大日本住友製薬株式会社によるブリッジローンの調達、当社による公募ハイブリッド社債(公募劣後特約付社債)の発行等により、3,735億円の収入となりました。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ210億円減少し、1,806億円となりました。
当社グループの資金需要および資本の財源ならびに資金の流動性は、次のとおりであります。
当社グループの資金需要には、通常の営業活動に必要となる運転資金や既存設備の定期修理のための資金に加え、中期経営計画(2019~2021年度)の基本方針の一つである「事業ポートフォリオの高度化」を推進するための成長投資に必要となる資金があります。当連結会計年度においては、ロイバント社との戦略的提携に伴い同社子会社を取得したほか、本年4月にはニューファーム社から南米子会社4社を買収しております。これら2件の大型投資の実施により、中期経営計画期間(2019~2021年度)の設備投資・投融資(意思決定ベース)の金額は、当初想定を上回る水準となることが見込まれます。今後、徹底的な投資厳選に加え、資産売却やCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)短縮などにより財務体質の改善に努めてまいります。
また、当社グループは株主還元についても、経営上の最重要課題の一つと考えています。各期の業績、配当性向ならびに将来の事業展開に必要な内部留保の水準などを総合的に勘案の上、安定的な配当を継続することを基本とし、中長期的に配当性向30%程度を安定して達成することを目指しています。
当社グループの財務活動の方針は、低利かつ中長期にわたり安定的な資金調達を行うこと、および十分な流動性を確保することです。D/Eレシオについては、フレキシブルな資金調達が可能な現在の当社格付を維持することを考慮し、中長期的に0.7倍程度を目安としています。当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、銀行借入、資本市場における社債およびコマーシャル・ペーパー(当社発行枠1,800億円)の発行等により、必要資金を調達しております。当連結会計年度においては、当社は、成長投資を進めながら財務健全性を補完する資金調達手段として総額2,500億円の公募ハイブリッド社債(公募劣後特約付社債)の発行を実施しました。また、大日本住友製薬株式会社は、ロイバント社との戦略的提携に関わる対価の支払いに伴い、ブリッジローンにより2,700億円を調達しました。今後、金融機関からの借入等に加え、資本性資金の調達を目的としたハイブリッドファイナンス等による借り換えを予定しています。
当社グループは、グループファイナンス等により手元資金の最大活用を図っており、現金及び現金同等物の保有額は事業遂行上必要な水準に維持することを目指しています。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,806億円であり、流動比率(流動資産/流動負債)は112.8%であります。
一方、大手邦銀のシンジケート団による800億円のコミットメント・ラインおよび大手外銀のシンジケート団による210億円のマルチカレンシー(円・米ドル・ユーロ建)によるコミットメント・ラインを有しており、金融市場の不安定な状況や、新型コロナウイルス感染症の影響を含む事業等のリスクの顕在化などによる突発的な資金需要に備え、手元流動性を確保しております。
(5) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)2019年度~2021年度中期経営計画」に記載のとおりであります。





