有価証券報告書-第156期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 10:51
【資料】
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【項目】
172項目

研究開発活動

当社グループは「化学を通じて暮らしに役立つ価値を創造する」ことを基本とし、研究開発は、「IoT、ライフサイエンス及び環境・エネルギー分野向けのスペシャリティケミカル」を重点分野として、化学を基軸に各事業の拡大と発展を目指した研究開発を行っています。
研究開発部門は、つくば研究所と徳山研究所、新規事業推進グループ、分析・解析センター、知的財産部、プロセス開発グループの6部署体制で、各セグメントに所属する事業部門開発グループと協働して、事業部門・グループ会社の開発ポートフォリオ上で次世代テーマや既存事業関連テーマの技術開発を行っています。
2019年10月1日付で、研究開発部門内にプロセス開発グループを設置しました。プロセスエンジニアを各開発案件へ早期に参画させて、開発品製造の効率化とスケールアップ技術確立のスピードアップを図ります。発明表彰制度を改定して、特許出願のインセンティブを高める制度設計に変更しました。特許出願奨励による特許群の構築、充実化を図ります。新制度の適用開始は2020年4月1日からになります。また、大学や研究機関との共同研究を積極的に推進しました。
つくば研究所、徳山研究所の主な開発テーマは、単結晶窒化アルミニウム基板、半導体周辺材料、有機無機複合材料、ナノ粒子材料、医療材料、動物医療周辺材料、フロー合成技術の開発です。
新規事業推進グループは、社内・社外と連携してマーケティングを実施し、顧客起点で当社の事業戦略と特有技術を擦り合わせて、新しいテーマの発掘と技術戦略の策定、既存開発テーマの推進支援、技術系人材の再配置等を行い、将来の収益の成長と効率経営に貢献すること、知的財産部は、戦略的知財マネジメント能力により新規製品・事業の創出およびグループ収益拡大に貢献すること、分析・解析センターは、分析・解析技術の高度化によって、グループ全体の事業遂行へ貢献することを目指しています。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費は9,193百万円(セグメント間の取引消去後)です。なお、研究開発費については各セグメントに配分できない基礎研究費用等2,193百万円が含まれております。
セグメント別の研究開発の状況及び研究開発費は次のとおりです。
<化成品セグメント>化成品部門では、2020年1月に化成品開発グループを再編し、SDGsに向けた取り組みを開始しました。テーマは自社技術が活用、応用できる食塩電解槽の開発、アルカリ水電解槽・システムの開発、及びCCUプロセスの開発です。これらの開発を進めることで自社の排出二酸化炭素削減や再エネ導入など環境価値向上と、水素を中心とした環境・エネルギー分野への事業展開により企業価値向上を目指します。
当セグメントに係わる研究開発費は329百万円(セグメント間の取引消去後)です。
<特殊品セグメント>シリカについては、既存シリカ製品の改良や新規なシリカ原体の開発を行い、市場から認められた開発品について顧客への供給を開始しました。放熱材については、パワー半導体やLEDなどの放熱用材料に用いられる窒化アルミニウムフィラーに加えて、窒化ホウ素フィラー、窒化ケイ素粉末の試作体制を強化し、顧客評価を進めました。また窒化ケイ素の白板開発にも着手しました。また、電子工業用高純度薬品については、、半導体デバイスの微細化・3次元プロセスに伴う高純度化ニーズに対応するため、高品質化の取り組みを強化しました。
当セグメントに係わる研究開発費は2,601百万円(セグメント間の取引消去後)です。
<セメントセグメント>セメントを基材とした各種製品の開発に注力しました。セメント系固化材については、特殊な用途への適用を目指した新しいグレードの開発に着手しました。建材製品については、断面修復材、道路床版の補修・補強材などコンクリート構造物の補修・補強分野に適用される製品の開発に注力しました。環境負荷低減の観点から、廃棄物・副産物をセメント製造工程で活用するための開発を継続しています。また、廃棄物の更なる有効活用の観点から、石炭灰および廃石膏ボードの有効活用技術の開発に注力しました。また、新たなテーマとして、太陽光パネルのリサイクル技術の開発に着手しました。セメントに関する基礎研究としては、省エネルギーの観点からセメントクリンカーの焼成温度低減に関する検討を継続しました。
当セグメントに係わる研究開発費は835百万円(セグメント間の取引消去後)です。
<ライフアメニティーセグメント>プラスチックレンズ関連材料では次世代フォトクロミック材料の開発を進めました。医薬品原薬ではプロセス開発を進めました。医療分野、臨床検査分野では、臨床検査用の試薬・電極や情報システム、検体検査に係わる装置や検査自動化システムの総合的な製品開発を進めました。歯科医療分野では、充填用コンポジットレジン、歯科用接着材料、金属代替歯冠用レジンブロックなどの製品開発を進めました。イオン交換膜では、高効率バイポーラ膜電気透析技術や高機能イオン交換膜等の開発を進めました。
当セグメントに係わる研究開発費は3,232百万円(セグメント間の取引消去後)です。