有価証券報告書-第162期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/22 15:31
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142項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期のわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動全般が大きく制限され、個人消費や輸出を中心に大きく落込み、景気は厳しい状況となりました。また、世界経済も、中国など一部を除いて感染症の拡大が続き、欧米を中心に景気が悪化しました。
化学工業界におきましては、期前半には感染症の拡大による需要の減少がありましたが、その後自動車や半導体向けを中心に回復し、全体として企業収益は底堅く推移しました。
このような経済環境のもと、当社グループは、企業理念“The Denka Value”を実現すべく、3つの成長ビジョン「スペシャリティーの融合体」「持続的成長」「健全な成長」を掲げ、2018年度より5か年の経営計画「Denka Value-Up」における2つの成長戦略「事業ポートフォリオの変革」と「革新的プロセスの導入」を推進し、業容の拡大と収益性向上に注力いたしました。この結果、当期の業績は、電子・先端プロダクツ製品の伸長やヘルスケア分野での新製品の寄与がありましたが、全体的には世界的な景気後退による需要減のため販売数量が減少しました。また、一部の製品では原材料価格の下落に応じた販売価格の見直しがあり、売上高は3,543億91百万円と前年同期に比べ264億12百万円(6.9%)の減収となりました。利益面では、成長分野向けの高付加価値製品の伸長や固定費の削減などにより、営業利益は347億29百万円(前年同期比31億42百万円増、9.9%増益)と過去最高を更新し、売上高営業利益率は9.8%(1.5ポイント増)となりました。また、経常利益は321億43百万円(前年同期比21億8百万円増、7.0%増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は227億85百万円(前年同期比81百万円増、0.4%増益)となり、それぞれ前年同期を上回りました。
セグメントの経営成績は、次の通りであります。
<エラストマー・機能樹脂>クロロプレンゴムの販売は、足もとでは回復傾向に転じてきましたが、感染症拡大などによる世界経済低迷の影響を大きく受け、全般的に生産活動が停滞したことから前年を下回りました。また、スチレンモノマーやABS樹脂、デンカシンガポール社のポリスチレン樹脂およびMS樹脂の販売は概ね堅調に推移しましたが、原材料価格の下落に応じた販売価格の見直しを行ったことから減収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は1,243億1百万円(前年同期比250億23百万円減(16.8%減))、営業利益は44億24百万円(前年同期比64億78万円減(59.4%減))となりました。
<インフラ・ソーシャルソリューション>農業・土木用途向けのコルゲート管の販売は堅調に推移しましたが、セメントや特殊混和材、肥料、耐火物・鉄鋼用材料の販売は、感染症に加え天候不順の影響も受けたことなどから前年を下回りました。
この結果、当セグメントの売上高は505億47百万円(前年同期比42億54百万円減(7.8%減))、営業損失は5億40百万円(前年同期は営業利益2億59百万円)となりました。
<電子・先端プロダクツ>球状アルミナや高純度導電性カーボンブラックはxEV関連を中心に販売が伸長しました。また、電子部品・半導体関連分野向け高機能フィルムや球状溶融シリカフィラーは5G関連やデータセンターの世界的な需要の拡大により好調に推移し、自動車産業用向けの金属アルミ基板ヒットプレートの販売も増加しました。このほか、LED用サイアロン蛍光体“アロンブライト”の販売はパソコン向けなどで順調に推移しましたが、高信頼性放熱プレート“アルシンク”や高熱伝導性セラミックス基板“ANプレート”は電鉄需要の落ち込みの影響を受け前年を下回りました。
この結果、当セグメントの売上高は711億95百万円(前年同期比31億66百万円増(4.7%増))、営業利益は140億6百万円(前年同期比15億83百万円増(12.7%増))となりました。
<生活・環境プロダクツ>食品包材用シートおよびその加工品の販売は、テイクアウト需要の増加により概ね堅調に推移しました。一方、プラスチック雨どいおよび合繊かつら用原糸“トヨカロン”、工業用テープの販売は感染症拡大の影響を受け前年を下回りました。
この結果、当セグメントの売上高は334億41百万円(前年同期比35億32百万円減(9.6%減))、営業利益は11億64百万円(前年同期比10億55百万円増(964.9%増))となりました。
<ライフイノベーション>インフルエンザワクチンの出荷は、新型コロナウイルス感染症流行による予防意識の高まりから接種率が向上し、前年を上回り増収となりました。試薬は、昨年8月に販売を開始した新型コロナウイルスの抗原迅速診断キット“クイックナビ™ -COVID19 Ag”は順調な生産、販売となりましたが、インフルエンザ診断キットなど従来の検査試薬の販売は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で受診者数が減少したことなどから前年を下回りました。また、新型コロナウイルスにも効果が期待されている抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」の原料であるマロン酸ジエチルの出荷を行いました。
この結果、当セグメントの売上高は429億47百万円(前年同期比74億36百万円増(20.9%増))、営業利益は148億36百万円(前年同期比78億72百万円増(113.0%増))となりました。
<その他>YKアクロス株式会社等の商社は取扱高が減少し、デンカエンジニアリング株式会社の完成工事高も前年を下回りました。
この結果、売上高は319億58百万円(前年同期比42億4百万円減(11.6%減))、営業利益は7億18百万円(前年同期比3億15百万円減(30.5%減))となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ245億86百万円増加の5,260億35百万円となりました。
流動資産は、売上債権の増加などにより前連結会計年度末に比べ22億73百万円増加の2,007億26百万円となりました。固定資産は有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ223億13百万円増加の3,253億9百万円となりました。
負債は、有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ85億64百万円増加の2,559億98百万円となりました。
非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ160億22百万円増加の2,700億36百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の50.0%から50.8%となり、1株当たり純資産は2,906円95銭から3,101円92銭となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、259億9百万円となり、前連結会計年度末と比べ32億61百万円の減少となりました。なお、当連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の増加などにより、前年比13億43百万円収入減の406億10百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の支払いの増加などにより、前年比6億72百万円支出増の369億76百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、株主還元による支払などにより、67億6百万円の支出となりました。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。
2017年3月期2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期
自己資本比率(%)49.150.551.050.050.8
時価ベースの自己資本比率(%)56.265.957.339.272.5
債務償還年数(年)2.92.23.43.23.4
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)48.277.142.649.349.8

自己資本比率………………………………自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率………………株式時価総額/総資産
債務償還年数………………………………有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ……営業キャッシュ・フロー/利息支払額
(注) 1.いずれの指標も連結ベースの財務数値により算出しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品がほとんどであるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。
このため「生産、受注及び販売の実績」については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの経営成績に関連付けて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度における財政状態及び経営成績は、国内では、新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動全般が大きく制限され、個人消費や輸出を中心に大きく落込み、景気は厳しい状況となりました。また、世界経済も、中国など一部を除いて感染症の拡大が続き、欧米を中心に景気が悪化しました。
化学工業界におきましては、期前半には感染症の拡大による需要の減少がありましたが、その後自動車や半導体向けを中心に回復し、全体として企業収益は底堅く推移しました。
このような経済環境のもと、当社グループは、企業理念“The Denka Value”を実現すべく、3つの成長ビジョン「スペシャリティーの融合体」「持続的成長」「健全な成長」を掲げ、2018年度より5ヵ年の経営計画「Denka Value-Up」における2つの成長戦略「事業ポートフォリオの変革」と「革新的プロセスの導入」を推進し、業容の拡大と収益性向上に注力いたしました。
この結果、当期の業績は、電子・先端プロダクツ製品の伸長やヘルスケア分野での新製品の寄与がありましたが、全体的には世界的な景気後退による需要減のため販売数量が減少しました。また、一部の製品では原材料価格の下落に応じた販売価格の見直しがあり、売上高は前期比減収となりました。利益面では、成長分野向けの高付加価値製品の伸長や固定費の削減などにより、営業利益は過去最高を更新し、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は前年を上回りました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は、以下のとおりであります。
エラストマー・機能樹脂部門は、クロロプレンゴムの需要が新型コロナウイルスの影響により大幅に落ち込んだため、減益となりました。しかしながら期後半からは、需要の回復傾向が継続しております。また、TVやモニターの導光板用途のMS樹脂は好調な出荷が続いております。
インフラ・ソーシャルソリューション部門は、改定した価格の維持が寄与しましたが、セメントや特殊混和材、肥料、耐火物・鉄鋼用材料の販売が、感染症に加え天候不順の影響を受けたことから、前年を下回ったことなどにより、減益となりました。
電子・先端プロダクツ部門は、5G関連やデータセンターの世界的な需要拡大で堅調な電子部品・半導体搬送用部材の高機能フィルムや半導体封止材向け溶融シリカフィラー、またxEV関連の球状アルミナ、高純度導電性カーボンブラックの販売が前年を上回り、増益となりました。
生活・環境プロダクツ部門は、感染症の影響を受けたプラスチック雨どいおよび合繊かつら用原糸“トヨカロン”、工業用テープの需要が回復基調にあるものの、販売数量は前年を下回りました。一方、テイクアウト需要の増加により、食品包材用シートおよびその加工品の販売は概ね堅調に推移し、原材料価格の下落や固定費削減が寄与したことなどにより、前年比増益となりました。
ライフイノベーション部門は、インフルエンザ診断キットの出荷が前年を下回りました。一方、インフルエンザワクチンは、早くから専門家や行政から予防接種が推奨されていたこともあり 、昨年を上回る出荷となりました。加えて、8月に新型コロナウイルス抗原迅速診断キット“クイックナビ™-COVID19Ag”の販売を開始し、営業利益は、前年比大幅な増益となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローは406億10百万円の収入となりましたが、経営計画「Denka Value-Up」における2つの成長戦略である「事業ポートフォリオの変革」と「革新的プロセスの導入」にもとづく積極的な投資による支出をおこない、また株主還元方針にもとづく配当を実施した結果、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は前連結会計年度末に比べ71億12百万円増加し1,122億81百万円となりました。なお、自己資本比率は50.8%、ネットD/Eレシオは0.42倍と引き続き良好な財政状態を維持しているものと判断しております。
資本の財源及び資金の流動性については、当社グループでは将来の安定的な成長を持続するため、良好な財務バランスを維持することが重要と考えており、資金需要に見合った資金調達を行うことを基本的な方針としております。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資資金等であり、必要資金の調達については、自己資金を主とし、運転資金の一部を短期借入金やコマーシャル・ペーパーによって、設備資金等の長期資金の一部を長期借入金や社債によって外部調達しております。
資金の流動性については、適正な水準の現預金を保持した上で、不測の事態に対応するため、取引金融機関と貸出コミットメント契約を締結することで流動性を確保しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針と合理的と考えられる見積りに基づき、収益、費用、資産、負債の計上について判断しております。
当社グループの連結財務諸表の作成においては、例えば一般債権に対する貸倒引当金の引当については主として過去の貸倒実績率を、繰延税金資産の計上については将来の税務計画を、退職給付債務については、昇給率、割引率などを使用して見積っておりますが、見積りにつきましては不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、主なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、その収束時期等を正確に予想することが困難ではありますが、当社グループは、翌連結会計年度においても影響が残るものの、徐々に正常化するとの前提に基づいて会計上の見積りをおこなっております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は、世界経済に与える影響をはじめ不確定要素が多いことから、翌連結会計年度の当社の財政状態、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(a)固定資産(のれんを含む)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失として計上しております。また、年次の減損テストが必要な場合、のれんを含む資産グループの公正価値を算定し、その帳簿価額が公正価値を超過する場合には、公正価値まで減額を行います。将来キャッシュ・フローの見積りにあたっては、事業計画をもとに最新の事業環境に関する情報等を反映しているほか、必要に応じて外部専門家による評価を活用しております。
減損損失の認識及び測定に当たっては、慎重に検討をおこなっておりますが、将来の予測不能な事業環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。
(b)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、収益力もしくはタックス・プランニングに基づく将来の課税所得の十分性により判断しており、課税所得の算定にあたっては、各納税主体の事業計画をもとに最新の事業環境に関する情報等を反映し見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の予測不能な経営環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、評価性引当額が変動し損益に影響を及ぼす可能性があります。
(c)退職給付債務の算定
当社グループでは、簡便法を採用している連結子会社を除き、確定給付制度の退職給付債務および関連する勤務費用について、数理計算上の仮定を用いて算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率、期待運用収益率等の計算基礎があり、これらの計算基礎については、例えば期待運用収益率であれば前提となる企業年金の運用方針などを、定期的かつ合理的な見直しをおこなっております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、退職給付債務および関連する勤務費用が変動する可能性があります。

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