有価証券報告書-第18期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態の状況
(資産の部)
流動資産は、受取手形及び売掛金の増加などにより前連結会計年度末に比べて309億3千6百万円増加し、2,874億2千万円となりました。
固定資産は、有形固定資産の増加などにより前連結会計年度末に比べて348億6千1百万円増加し、4,074億9千3百万円となりました。
以上の結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて657億9千8百万円増加し、6,949億1千4百万円となりました。
(負債の部)
負債は、支払手形及び買掛金や借入金の増加などにより前連結会計年度末に比べて519億4百万円増加し、4,002億6千9百万円となりました。
(純資産の部)
純資産は、非支配株主持分の減少などがあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上げなどにより前連結会計年度末に比べて138億9千4百万円増加し、2,946億4千4百万円となりました。
(2) 経営成績の状況
①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善が進むとともに、個人消費や企業の設備投資も堅調に推移するなど、全体として景気は緩やかな回復基調で推移しました。また、海外経済においても、米国の通商政策等の対応や一部の国や地域における地政学的なリスクの高まりによる警戒感は残るものの、米国や欧州の経済が堅調に推移したことに加え、中国やアジア新興国においても緩やかな景気回復が継続しました。
このような経営環境の下、当社グループにおきましては、「既存事業の構造改革」と「M&Aによる成長戦略」の両輪を成長戦略の基軸に据え、当連結会計年度を実行期間の2年目とする3カ年中期経営計画「NEXT2020-Ver.3」に掲げた諸種の実行施策を各事業分野において着実に推進しました。また、新たに物流カンパニーの新設をはじめとした事業ポートフォリオの再構築を行うとともに、地域代表役員の設置を中核とした地域事業戦略の強化を推進し、当社グループの多種多様な事業基盤と全国8つの地域事業会社の機能との融合によるグループ総合力の最大化に取り組みました。さらに、新事業の育成として、発電事業や海外戦略の強化に向けた取り組みを着実に実行しました。
当連結会計年度の業績といたしましては、産業ガス関連事業は、国内製造業の幅広い業種で底堅いガス需要が継続したことを背景に、ローリーおよびシリンダー供給を中心とする地域のガス事業が順調に推移しましたが、電力料金の上昇に加え、高炉向けのオンサイトガス供給において顧客工場の設備トラブルによる操業変動の影響を受けたことから前年並みに留まりました。
一方、今後の成長分野と位置付け、積極的なM&Aにより事業の拡大を進めてきた医療関連事業および農業・食品関連事業が順調に推移したことに加え、その他の事業セグメントを構成する各事業がそれぞれ堅調に推移したことが全体の業績拡大を牽引し、当社グループの経営戦略である「全天候型経営」と「ねずみの集団経営」が強みを発揮する結果となりました。
さらに、前年度までタール蒸留事業を中心に業績が低迷していたケミカル関連事業は、製品市況の回復と機能化学品分野における構造改革の進展等によって業績の改善が進みました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は7,535億5千9百万円(前年同期比112.4%)、営業利益は423億9千8百万円(同102.6%)、経常利益は446億9千1百万円(同108.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益は251億7千3百万円(同112.7%)となりました。
セグメントの業績及び概況につきましては、次のとおりであります。
<産業ガス関連事業>産業ガスは、鉄鋼、化学、自動車、建設関連向けなど、国内製造業の幅広い範囲で底堅いガス需要が継続したことに加え、高効率小型液化酸素・窒素製造プラント「VSU」によるガス生産拠点の拡充を基軸に、全国8つの地域事業会社が地域の有力パートナーとの連携を強化することで国内ガス事業の深耕を図る「VSU」戦略が奏効し、ローリーおよびシリンダー供給を中心とする地域のガス事業は総じて順調に推移しました。なお、当連結会計年度には、宇都宮工場のプラントリプレースによって国内15基目の「VSU」が稼働を開始したほか、新たに岩手県でも16基目の建設に着手しました。
また、エレクトロニクス関連業界の好調を背景に、ガスアプリケーション機器であるドライアイススノー精密洗浄システム「クイックスノー」の販売が伸長したほか、エレクトロニクス向けのオンサイトガス供給も顧客工場において高稼働の生産が継続したことから堅調に推移しました。
一方、当社にとって最大のガス需要先となる高炉向けのオンサイトガス供給は、第1四半期に発生した顧客工場の設備トラブルによる操業変動の影響が第3四半期まで継続したことにより、厳しい状況となりました。また、電力料金の上昇により産業ガスの製造コストが増加しました。
エンジニアリング関連では、M&Aによって新たにガス精製装置および排ガス処理装置に関する事業領域を補完したほか、産業ガス分野における本格的な海外進出の布石として、海外におけるエンジニアリング事業の強化を図りました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,592億5千万円(前年同期比99.4%)、経常利益は161億7千万円(同99.4%)となりました。
<ケミカル関連事業>コールケミカル事業では、コークス炉ガスの精製処理量が前年の水準を下回りましたが、市況変動に伴い精製ガスの単価が上昇し、売上高が増加しました。基礎化学品の主力である粗ベンゼンは、減産等による影響から販売数量が減少しましたが、炭素材や精密化学品の販売が順調に推移し、利益面の影響を補いました。持分法適用会社であった㈱シーケムが行うタール蒸留事業は、電気炉電極用ニードルコークスの需給がタイト化し、製品市況が回復したことから、事業環境の改善が進みました。
ファインケミカル事業は、不採算設備の停止により収益が改善するとともに、産業用ロボット向けに高機能回路製品が伸長し、堅調に推移しました。また、当社グループの川崎化成工業㈱は、同社が世界で唯一、商業生産しているナフトキノンとその誘導品の販売が農薬原料や光増感剤等の用途で大幅に拡大するとともに、主に可塑剤原料として使用される無水フタル酸の販売回復と輸出市況の改善により、総じて好調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は679億8千4百万円(前年同期比110.8%)、経常利益は18億5千4百万円(前年同期は6億8千2百万円の経常損失)となりました。
<医療関連事業>高度医療分野は、大型案件の減少もあり、手術室をはじめとする設備工事関連の市場環境が厳しかったものの、コスト削減等により堅調に推移しました。病院経営の効率化を支援する医療サービス事業では、SPD(病院物品物流管理)事業が新規大型案件の受注に加え、センター運営の効率化や調達価格の値下げによる収益改善が進展し、堅調に推移しました。また、滅菌事業は、全国でサテライト拠点の整備を進めることに合わせて、受託の拡大と受託単価の改定に取り組んだ結果、順調に推移しました。さらに、医療用ガスについても、新規取引病院の獲得により医療用酸素の販売数量が増加し、堅調に推移しました。
また、生活者により近い分野で商品やサービスを提供する「くらしの医療」領域においては、在宅医療事業が順調に推移するとともに、デンタル関連および衛生材料の各事業もそれぞれ堅調に推移しました。
海外関連では、注射針事業がM&Aにより海外向けの販路を拡大するとともに、生産性向上のための工程改善と設備投資を推進した結果、堅調に推移しました。また、M&Aにより新たに取得したシンガポールの病院内装・設備工事会社であるグローバルワイド社も業績に寄与しました。
以上の結果、前年度に実施したM&Aによる新規連結効果もあり、当セグメントの売上高は1,708億9千7百万円(前年同期比131.5%)、経常利益は103億1千7百万円(同112.5%)となりました。
<エネルギー関連事業>LPガスと灯油は、輸入価格の指標となるCP価格に連動して販売単価が上昇したことに加え、積極的な増量増客策に取り組んだことで販売数量が順調に増加し、売上高が拡大しました。しかしながら、販売促進費の増加や第4四半期以降にCP価格が大きく低下した影響もあり、利益面では前年並みに留まりました。
増量増客に向けた主な取組施策としては、商権買収を通じて販売軒数の拡大と直販比率の向上を図ったほか、一般家庭向けには、「WAON」ポイントに加え、新たに北海道電力㈱との業務提携による「L電ポイント」の付与サービスを開始し、新規顧客の獲得を進めました。また、工業用のLPガスについては、新たに本州地区の重点地域に自社運用のLPGローリー車を配備して供給体制を拡充するとともに、全国の地域事業会社と連携し、産業ガス分野の顧客を対象に重油からLPガスへの燃料転換を推進しました。
LPガスと灯油以外では、30周年を迎えた「ハローガス秋の大感謝祭」を通じた販促活動の強化により、給湯器等の関連機器やGHP(ガスヒートポンプ)の更新工事が順調に推移したほか、産業ガス分野で培った極低温技術を活かしたLNGタンクローリーの受注も計画どおり進展しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は514億5千9百万円(前年同期比114.3%)、経常利益は39億3千6百万円(同100.4%)となりました。
<農業・食品関連事業>農産事業は、天候不順による農作物の入荷不足や価格高騰による影響を受ける一方で、夏場には好天気による豊作から価格低迷という事態も発生しました。このような中、農産加工分野において野菜加工の効率化や生産性の向上に取り組むとともに、北海道で高いシェアを有する農業機械の販売やメンテナンスが順調に推移したことでその影響を補いました。
食品ソリューション事業は、製造コストの上昇等による影響からスイーツ分野が厳しい状況となりましたが、ハム・ソーセージ分野において主力製品である生ハムの販売が拡大するとともに、原料調達の一元化や物流の最適化などのコスト削減が進展しました。また、加工食品分野においてもブロッコリーをはじめとした冷凍野菜の販売が拡大したほか、過年度に実施した設備の更新投資等により生産性が向上した結果、食品ソリューション事業全体では、ほぼ前年並みの業績となりました。
飲料事業は、健康志向の高まりから年間を通じて野菜系飲料が伸長するとともに、非需要期である冬場においてもホットの茶系飲料やコーヒー飲料が伸長するなど、飲料事業は総じて順調に推移し、農業・食品事業全体の業績拡大を牽引しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,337億2百万円(前年同期比112.9%)、経常利益は48億5千万円(同118.1%)となりました。
<物流関連事業>食品物流を中心とする3PL(サード・パーティー・ロジスティックス)事業は、大手コンビニチェーン向けの配送業務が商品配送量の増加や新規エリアでの受託に伴う拠点開設等により、配送量・エリアともに大きく拡大しました。一般貨物輸送を担う運送事業は、本州地区に2カ所の新規拠点を開設するなど、積極的な設備投資により地域事業と幹線輸送の強化を図りました。
一方で、ドライバー不足に伴う配送費の増加や人件費、軽油価格の上昇等によるコストアップの影響を受けるなど、厳しい事業環境が続いたことから、顧客に対する運賃の適正化に努めました。
また、各種トラックボディ等の設計・架装を行う車体事業は、製造工場の増築や製造ラインの更新といった継続的な設備投資が奏効し、トラック・トレーラーの販売台数が増加するなど、順調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は449億3千3百万円(前年同期比105.9%)、経常利益は18億8千8百万円(同83.5%)となりました。
<その他の事業>海水事業のうち、塩事業は、製塩分野において工場の動力エネルギーコストが上昇した影響を受けましたが、リード吸着剤をはじめとした環境分野や水処理設備分野が拡大し、堅調に推移しました。また、マグネシア事業は、中国の環境規制強化を背景にヒーター用電融マグネシアの原料価格が高騰した影響を受けましたが、電力インフラの変圧器などに使用される電磁鋼板用マグネシアの拡販が進んだほか、工業用ヒーターやMI(無機絶縁)ケーブル向けに展開するマグネシアセラミックの販売も拡大し、堅調に推移しました。
エアゾール製品のOEM供給を行うエアゾール事業は、製缶原料をはじめとした製造コストの上昇による影響を受けましたが、インバウンド・アウトバウンド需要の拡大を背景に、化粧品やUVカットスプレーなどの人体用品の受注が大幅に増加した結果、堅調に推移しました。
基礎化学薬品や電気・電子材料などの仕入販売を行う情報電子材料事業は、エレクトロニクスや自動車関連向けに電気・電子材料の販売が拡大し、順調に推移しました。また、機械用シール部品の製造・販売を行うOリング事業は、半導体製造装置や産業機械向けの需要が大幅に増加し、好調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,253億3千1百万円(前年同期比110.7%)、経常利益は82億1千3百万円(同107.8%)となりました。
②生産、受注及び販売の実績
<生産実績>当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、医療関連事業におきまして、前連結会計年度期中に川本産業㈱を新規連結したことなどに伴うものであります。
<受注状況>製品のほとんどが見込生産であります。
<販売実績>当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、医療関連事業におきまして、前連結会計年度期中に川本産業㈱を新規連結したことなどに伴うものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
(現金及び現金同等物)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ79億7千8百万円減少し、224億3千3百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益及び減価償却費などから法人税等の支払額などを差し引いた結果、前連結会計年度に比べて111億8百万円減少し、477億6千4百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ172億7千9百万円支出額が増加し、616億3千7百万円の支出となりました。
その結果、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ283億8千8百万円減少し、△138億7千2百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどがあったものの、社債発行による収入などにより、前連結会計年度の85億5千3百万円の支出に対して、44億8千9百万円の収入となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、持続的な成長のために積極的な投資を継続しており、必要な資金については財務の健全性に留意しながら銀行借入並びに社債発行等により資金調達を行うこととしております。資金の流動性については、財務の安全性に留意しながら資金の効率化に努めております。
以上の結果、1株当たり純資産は前連結会計年度の1,312.55円から1,422.60円に増加しております。また、自己資本比率は前連結会計年度の40.7%から40.0%となりましたが、目標水準の40%を維持しております。また、自己資本利益率は前連結会計年度の9.1%から9.4%となり、目標水準である10%の達成を目指しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態の状況
(資産の部)
流動資産は、受取手形及び売掛金の増加などにより前連結会計年度末に比べて309億3千6百万円増加し、2,874億2千万円となりました。
固定資産は、有形固定資産の増加などにより前連結会計年度末に比べて348億6千1百万円増加し、4,074億9千3百万円となりました。
以上の結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて657億9千8百万円増加し、6,949億1千4百万円となりました。
(負債の部)
負債は、支払手形及び買掛金や借入金の増加などにより前連結会計年度末に比べて519億4百万円増加し、4,002億6千9百万円となりました。
(純資産の部)
純資産は、非支配株主持分の減少などがあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上げなどにより前連結会計年度末に比べて138億9千4百万円増加し、2,946億4千4百万円となりました。
(2) 経営成績の状況
①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善が進むとともに、個人消費や企業の設備投資も堅調に推移するなど、全体として景気は緩やかな回復基調で推移しました。また、海外経済においても、米国の通商政策等の対応や一部の国や地域における地政学的なリスクの高まりによる警戒感は残るものの、米国や欧州の経済が堅調に推移したことに加え、中国やアジア新興国においても緩やかな景気回復が継続しました。
このような経営環境の下、当社グループにおきましては、「既存事業の構造改革」と「M&Aによる成長戦略」の両輪を成長戦略の基軸に据え、当連結会計年度を実行期間の2年目とする3カ年中期経営計画「NEXT2020-Ver.3」に掲げた諸種の実行施策を各事業分野において着実に推進しました。また、新たに物流カンパニーの新設をはじめとした事業ポートフォリオの再構築を行うとともに、地域代表役員の設置を中核とした地域事業戦略の強化を推進し、当社グループの多種多様な事業基盤と全国8つの地域事業会社の機能との融合によるグループ総合力の最大化に取り組みました。さらに、新事業の育成として、発電事業や海外戦略の強化に向けた取り組みを着実に実行しました。
当連結会計年度の業績といたしましては、産業ガス関連事業は、国内製造業の幅広い業種で底堅いガス需要が継続したことを背景に、ローリーおよびシリンダー供給を中心とする地域のガス事業が順調に推移しましたが、電力料金の上昇に加え、高炉向けのオンサイトガス供給において顧客工場の設備トラブルによる操業変動の影響を受けたことから前年並みに留まりました。
一方、今後の成長分野と位置付け、積極的なM&Aにより事業の拡大を進めてきた医療関連事業および農業・食品関連事業が順調に推移したことに加え、その他の事業セグメントを構成する各事業がそれぞれ堅調に推移したことが全体の業績拡大を牽引し、当社グループの経営戦略である「全天候型経営」と「ねずみの集団経営」が強みを発揮する結果となりました。
さらに、前年度までタール蒸留事業を中心に業績が低迷していたケミカル関連事業は、製品市況の回復と機能化学品分野における構造改革の進展等によって業績の改善が進みました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は7,535億5千9百万円(前年同期比112.4%)、営業利益は423億9千8百万円(同102.6%)、経常利益は446億9千1百万円(同108.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益は251億7千3百万円(同112.7%)となりました。
| 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 | |
| 平成29年3月期 (百万円) | 670,536 | 41,341 | 41,251 | 22,337 |
| 平成30年3月期 (百万円) | 753,559 | 42,398 | 44,691 | 25,173 |
| 前年同期比(%) | 112.4 | 102.6 | 108.3 | 112.7 |
セグメントの業績及び概況につきましては、次のとおりであります。
<産業ガス関連事業>産業ガスは、鉄鋼、化学、自動車、建設関連向けなど、国内製造業の幅広い範囲で底堅いガス需要が継続したことに加え、高効率小型液化酸素・窒素製造プラント「VSU」によるガス生産拠点の拡充を基軸に、全国8つの地域事業会社が地域の有力パートナーとの連携を強化することで国内ガス事業の深耕を図る「VSU」戦略が奏効し、ローリーおよびシリンダー供給を中心とする地域のガス事業は総じて順調に推移しました。なお、当連結会計年度には、宇都宮工場のプラントリプレースによって国内15基目の「VSU」が稼働を開始したほか、新たに岩手県でも16基目の建設に着手しました。
また、エレクトロニクス関連業界の好調を背景に、ガスアプリケーション機器であるドライアイススノー精密洗浄システム「クイックスノー」の販売が伸長したほか、エレクトロニクス向けのオンサイトガス供給も顧客工場において高稼働の生産が継続したことから堅調に推移しました。
一方、当社にとって最大のガス需要先となる高炉向けのオンサイトガス供給は、第1四半期に発生した顧客工場の設備トラブルによる操業変動の影響が第3四半期まで継続したことにより、厳しい状況となりました。また、電力料金の上昇により産業ガスの製造コストが増加しました。
エンジニアリング関連では、M&Aによって新たにガス精製装置および排ガス処理装置に関する事業領域を補完したほか、産業ガス分野における本格的な海外進出の布石として、海外におけるエンジニアリング事業の強化を図りました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,592億5千万円(前年同期比99.4%)、経常利益は161億7千万円(同99.4%)となりました。
<ケミカル関連事業>コールケミカル事業では、コークス炉ガスの精製処理量が前年の水準を下回りましたが、市況変動に伴い精製ガスの単価が上昇し、売上高が増加しました。基礎化学品の主力である粗ベンゼンは、減産等による影響から販売数量が減少しましたが、炭素材や精密化学品の販売が順調に推移し、利益面の影響を補いました。持分法適用会社であった㈱シーケムが行うタール蒸留事業は、電気炉電極用ニードルコークスの需給がタイト化し、製品市況が回復したことから、事業環境の改善が進みました。
ファインケミカル事業は、不採算設備の停止により収益が改善するとともに、産業用ロボット向けに高機能回路製品が伸長し、堅調に推移しました。また、当社グループの川崎化成工業㈱は、同社が世界で唯一、商業生産しているナフトキノンとその誘導品の販売が農薬原料や光増感剤等の用途で大幅に拡大するとともに、主に可塑剤原料として使用される無水フタル酸の販売回復と輸出市況の改善により、総じて好調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は679億8千4百万円(前年同期比110.8%)、経常利益は18億5千4百万円(前年同期は6億8千2百万円の経常損失)となりました。
<医療関連事業>高度医療分野は、大型案件の減少もあり、手術室をはじめとする設備工事関連の市場環境が厳しかったものの、コスト削減等により堅調に推移しました。病院経営の効率化を支援する医療サービス事業では、SPD(病院物品物流管理)事業が新規大型案件の受注に加え、センター運営の効率化や調達価格の値下げによる収益改善が進展し、堅調に推移しました。また、滅菌事業は、全国でサテライト拠点の整備を進めることに合わせて、受託の拡大と受託単価の改定に取り組んだ結果、順調に推移しました。さらに、医療用ガスについても、新規取引病院の獲得により医療用酸素の販売数量が増加し、堅調に推移しました。
また、生活者により近い分野で商品やサービスを提供する「くらしの医療」領域においては、在宅医療事業が順調に推移するとともに、デンタル関連および衛生材料の各事業もそれぞれ堅調に推移しました。
海外関連では、注射針事業がM&Aにより海外向けの販路を拡大するとともに、生産性向上のための工程改善と設備投資を推進した結果、堅調に推移しました。また、M&Aにより新たに取得したシンガポールの病院内装・設備工事会社であるグローバルワイド社も業績に寄与しました。
以上の結果、前年度に実施したM&Aによる新規連結効果もあり、当セグメントの売上高は1,708億9千7百万円(前年同期比131.5%)、経常利益は103億1千7百万円(同112.5%)となりました。
<エネルギー関連事業>LPガスと灯油は、輸入価格の指標となるCP価格に連動して販売単価が上昇したことに加え、積極的な増量増客策に取り組んだことで販売数量が順調に増加し、売上高が拡大しました。しかしながら、販売促進費の増加や第4四半期以降にCP価格が大きく低下した影響もあり、利益面では前年並みに留まりました。
増量増客に向けた主な取組施策としては、商権買収を通じて販売軒数の拡大と直販比率の向上を図ったほか、一般家庭向けには、「WAON」ポイントに加え、新たに北海道電力㈱との業務提携による「L電ポイント」の付与サービスを開始し、新規顧客の獲得を進めました。また、工業用のLPガスについては、新たに本州地区の重点地域に自社運用のLPGローリー車を配備して供給体制を拡充するとともに、全国の地域事業会社と連携し、産業ガス分野の顧客を対象に重油からLPガスへの燃料転換を推進しました。
LPガスと灯油以外では、30周年を迎えた「ハローガス秋の大感謝祭」を通じた販促活動の強化により、給湯器等の関連機器やGHP(ガスヒートポンプ)の更新工事が順調に推移したほか、産業ガス分野で培った極低温技術を活かしたLNGタンクローリーの受注も計画どおり進展しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は514億5千9百万円(前年同期比114.3%)、経常利益は39億3千6百万円(同100.4%)となりました。
<農業・食品関連事業>農産事業は、天候不順による農作物の入荷不足や価格高騰による影響を受ける一方で、夏場には好天気による豊作から価格低迷という事態も発生しました。このような中、農産加工分野において野菜加工の効率化や生産性の向上に取り組むとともに、北海道で高いシェアを有する農業機械の販売やメンテナンスが順調に推移したことでその影響を補いました。
食品ソリューション事業は、製造コストの上昇等による影響からスイーツ分野が厳しい状況となりましたが、ハム・ソーセージ分野において主力製品である生ハムの販売が拡大するとともに、原料調達の一元化や物流の最適化などのコスト削減が進展しました。また、加工食品分野においてもブロッコリーをはじめとした冷凍野菜の販売が拡大したほか、過年度に実施した設備の更新投資等により生産性が向上した結果、食品ソリューション事業全体では、ほぼ前年並みの業績となりました。
飲料事業は、健康志向の高まりから年間を通じて野菜系飲料が伸長するとともに、非需要期である冬場においてもホットの茶系飲料やコーヒー飲料が伸長するなど、飲料事業は総じて順調に推移し、農業・食品事業全体の業績拡大を牽引しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,337億2百万円(前年同期比112.9%)、経常利益は48億5千万円(同118.1%)となりました。
<物流関連事業>食品物流を中心とする3PL(サード・パーティー・ロジスティックス)事業は、大手コンビニチェーン向けの配送業務が商品配送量の増加や新規エリアでの受託に伴う拠点開設等により、配送量・エリアともに大きく拡大しました。一般貨物輸送を担う運送事業は、本州地区に2カ所の新規拠点を開設するなど、積極的な設備投資により地域事業と幹線輸送の強化を図りました。
一方で、ドライバー不足に伴う配送費の増加や人件費、軽油価格の上昇等によるコストアップの影響を受けるなど、厳しい事業環境が続いたことから、顧客に対する運賃の適正化に努めました。
また、各種トラックボディ等の設計・架装を行う車体事業は、製造工場の増築や製造ラインの更新といった継続的な設備投資が奏効し、トラック・トレーラーの販売台数が増加するなど、順調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は449億3千3百万円(前年同期比105.9%)、経常利益は18億8千8百万円(同83.5%)となりました。
<その他の事業>海水事業のうち、塩事業は、製塩分野において工場の動力エネルギーコストが上昇した影響を受けましたが、リード吸着剤をはじめとした環境分野や水処理設備分野が拡大し、堅調に推移しました。また、マグネシア事業は、中国の環境規制強化を背景にヒーター用電融マグネシアの原料価格が高騰した影響を受けましたが、電力インフラの変圧器などに使用される電磁鋼板用マグネシアの拡販が進んだほか、工業用ヒーターやMI(無機絶縁)ケーブル向けに展開するマグネシアセラミックの販売も拡大し、堅調に推移しました。
エアゾール製品のOEM供給を行うエアゾール事業は、製缶原料をはじめとした製造コストの上昇による影響を受けましたが、インバウンド・アウトバウンド需要の拡大を背景に、化粧品やUVカットスプレーなどの人体用品の受注が大幅に増加した結果、堅調に推移しました。
基礎化学薬品や電気・電子材料などの仕入販売を行う情報電子材料事業は、エレクトロニクスや自動車関連向けに電気・電子材料の販売が拡大し、順調に推移しました。また、機械用シール部品の製造・販売を行うOリング事業は、半導体製造装置や産業機械向けの需要が大幅に増加し、好調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,253億3千1百万円(前年同期比110.7%)、経常利益は82億1千3百万円(同107.8%)となりました。
②生産、受注及び販売の実績
<生産実績>当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 産業ガス関連事業 | 51,653 | 103.6 |
| ケミカル関連事業 | 53,985 | 120.9 |
| 医療関連事業 | 32,688 | 133.4 |
| エネルギー関連事業 | 3,035 | 110.3 |
| 農業・食品関連事業 | 82,872 | 108.2 |
| 物流関連事業 | 3,484 | 105.9 |
| その他の事業 | 44,363 | 109.5 |
| 合計 | 272,084 | 112.3 |
(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、医療関連事業におきまして、前連結会計年度期中に川本産業㈱を新規連結したことなどに伴うものであります。
<受注状況>製品のほとんどが見込生産であります。
<販売実績>当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 産業ガス関連事業 | 159,250 | 99.4 |
| ケミカル関連事業 | 67,984 | 110.8 |
| 医療関連事業 | 170,897 | 131.5 |
| エネルギー関連事業 | 51,459 | 114.3 |
| 農業・食品関連事業 | 133,702 | 112.9 |
| 物流関連事業 | 44,933 | 105.9 |
| その他の事業 | 125,331 | 110.7 |
| 合計 | 753,559 | 112.4 |
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、医療関連事業におきまして、前連結会計年度期中に川本産業㈱を新規連結したことなどに伴うものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
(現金及び現金同等物)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ79億7千8百万円減少し、224億3千3百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益及び減価償却費などから法人税等の支払額などを差し引いた結果、前連結会計年度に比べて111億8百万円減少し、477億6千4百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ172億7千9百万円支出額が増加し、616億3千7百万円の支出となりました。
その結果、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ283億8千8百万円減少し、△138億7千2百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどがあったものの、社債発行による収入などにより、前連結会計年度の85億5千3百万円の支出に対して、44億8千9百万円の収入となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、持続的な成長のために積極的な投資を継続しており、必要な資金については財務の健全性に留意しながら銀行借入並びに社債発行等により資金調達を行うこととしております。資金の流動性については、財務の安全性に留意しながら資金の効率化に努めております。
以上の結果、1株当たり純資産は前連結会計年度の1,312.55円から1,422.60円に増加しております。また、自己資本比率は前連結会計年度の40.7%から40.0%となりましたが、目標水準の40%を維持しております。また、自己資本利益率は前連結会計年度の9.1%から9.4%となり、目標水準である10%の達成を目指しております。