有価証券報告書-第19期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態の状況
(資産の部)
流動資産は、受取手形及び売掛金の増加などにより前連結会計年度末に比べて223億3千1百万円増加し、3,053億2千3百万円となりました。
固定資産は、有形固定資産の増加などにより前連結会計年度末に比べて676億1千4百万円増加し、4,777億2千3百万円となりました。
以上の結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて899億4千5百万円増加し、7,830億4千7百万円となりました。
(負債の部)
負債は、借入金の増加などにより前連結会計年度末に比べて758億9千2百万円増加し、4,743億4千8百万円となりました。
(純資産の部)
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上げなどにより前連結会計年度末に比べて140億5千3百万円増加し、3,086億9千8百万円となりました。
(2) 経営成績の状況
①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度における我が国経済は、企業収益や雇用・所得環境などの改善を背景に、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。一方で、米中の貿易摩擦、英国のEU離脱交渉などの国際情勢に対する不安や、国内各地で発生した地震や豪雨、台風などの影響により、先行き不透明な状況が続きました。
このような経営環境の下、当社グループにおきましては、「既存事業の構造改革」と「M&Aによる成長戦略」の両輪を成長戦略の基軸に据え、当連結会計年度を実行期間の最終年度とする3カ年中期経営計画「NEXT2020-Ver.3」に掲げた実行施策を各事業分野において着実に推進しました。
既存事業の構造改革としては、産業ガス関連において、積極的に生産設備の増強・更新投資を行うとともに、地域パートナーとのアライアンスを強化し、シェア拡大と収益力強化のための基盤整備に取り組みました。また、グループ会社の再編をはじめとした収益力強化のための構造改革に取り組んだほか、エンジニアリングの組織機能を強化し、技術の改良や進歩によって新たな事業や製品を生み出す体制づくりを進めました。さらに、ケミカル関連については、コールケミカル事業の譲渡により機能化学品を中心とした事業構造への転換を図り、「全天候型経営」をさらに盤石なものとしました。
また、M&Aによる成長戦略としては、国内地域事業のさらなる拡大を目的にM&Aを実施したほか、今後の海外展開に向けた布石として、北米およびアジアにおいて海外エンジニアリングの事業基盤を構築しました。また、エレクトロニクスや高度医療機器分野における事業領域の拡充を進めました。
さらに、発電事業の立上げに向け、国内3カ所で進めている木質バイオマス発電所の建設が着実に進展しました。
当連結会計年度の業績といたしましては、ケミカル関連の市況が上昇したほか、積極的なM&Aの推進に加え、新規顧客の獲得をはじめとした増販施策に取り組んだことなどにより、すべてのセグメントにおいて増収となりました。
利益面では、医療関連事業が設備工事分野における市場環境の影響により減益となりましたが、ケミカル関連事業が構造改革と収益改善が進展したことで好調に推移したほか、産業ガス関連事業が国内製造業の幅広い業種で底堅いガス需要が継続したこと、また、物流関連事業が荷扱量の増加と価格適正化が進展したことにより、それぞれ順調に推移しました。また、エネルギー関連事業および農業・食品関連事業は、外部環境が悪化した影響を受けながらも増益を堅持するとともに、その他の事業を構成するエアゾール事業および情報電子材料事業も堅調に推移しました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は8,014億9千3百万円(前年同期比106.4%)、営業利益は435億8千万円(同102.8%)、経常利益は469億7千7百万円(同105.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は264億6千8百万円(同105.1%)となりました。
セグメントの業績及び概況につきましては、次のとおりであります。
<産業ガス関連事業>高炉向けのオンサイトガス供給は、年間を通じて操業の安定化と効率化に取り組んだことで順調に推移しました。エレクトロニクス向けのオンサイトガス供給は、第4四半期に入り一部の顧客で在庫調整等による販売数量の減少があったものの、概ね高稼働を維持し、堅調に推移しました。ローリー・シリンダー供給は、高効率小型液化酸素・窒素製造プラント「VSU」の展開を基軸とした地域の有力パートナーとの連携強化により、自動車、化学、建設関連向けなど国内製造業の底堅い需要を着実に取り込み、総じて順調に推移しました。また、炭酸ガスは前年度に実施した生産能力の増強効果等により販売数量が増加したことで堅調に推移しました。
このように産業ガスの販売は総じて順調に増加しましたが、利益面では、電気料金の上昇に加え、物流コストが増加した影響を受けました。
機器・工事関連は、ガス発生装置および供給設備等の製作が増加しました。また、前年度にM&Aを実施した日本パイオニクス㈱と海外子会社の新規連結効果も寄与しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,763億7千5百万円(前年同期比110.8%)、経常利益は171億3千2百万円(同105.9%)となりました。
<ケミカル関連事業>コールケミカル事業は、コークス炉ガス精製の単価が上昇したことに加え、基礎化学品である粗ベンゼンの販売数量が増加したことから、好調に推移しました。
ファインケミカル事業は、中国の生産工場において環境規制強化による操業変動の影響を受けたものの、不採算製品の見直しに加え、電子材料向け製品を中心とした増販および価格改定の効果もあり、収益が大幅に改善しました。
当社グループの川崎化成工業㈱は、中国の環境規制により顧客工場の操業が変動した影響を受け、主要製品のひとつであるナフトキノンの販売が減少しましたが、無水フタル酸など有機酸製品の販売価格が原料価格に連動して上昇したことで売上高が増加しました。また、固定費の削減や調達の合理化による製造コストの低減等に取り組んだことで利益面でも好調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は756億5千1百万円(前年同期比111.3%)、経常利益は37億6百万円(同199.8%)となりました。
<医療関連事業>高度医療分野では、医療用ガスにおいて使用量が減少した影響を受けたほか、設備工事は、病院の新規案件が一巡した影響もあり厳しい状況になりました。一方、医療サービスは、SPD(病院物品物流管理)事業における新規顧客の獲得と資材調達の合理化ならびに滅菌事業における受託料金の適正化が進展し、順調に推移しました。また、医療機器は、診療報酬の改定を追い風に高気圧酸素治療装置の販売が拡大したことに加え、一酸化窒素吸入療法の症例数が増加したことにより、堅調に推移しました。
くらしの医療分野では、在宅医療事業および衛生材料事業が厳しい状況となりました。また、デンタル事業は、歯科関連材料の販売が好調に推移したものの、歯科医院向けの通信販売において配送等のコストが増加した影響を受けました。注射針事業では、受注は回復したものの、更新した生産設備の立ち上げが遅れた影響等により伸び悩みました。
なお、前年度にM&Aにより取得したシンガポールの病院設備工事事業は順調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,766億5千3百万円(前年同期比103.4%)、経常利益は98億5千9百万円(同95.6%)となりました。
<エネルギー関連事業>民生用LPガスについては、ポイント付与サービスや電力小売事業への参入など、増客施策を推進したことに加え、販売店の商権買収による直売顧客拡大を進めたことで、顧客軒数と販売数量ともに増加し、堅調に推移しました。一方で、震災により展示即売会などのイベントを中止した影響から機器販売が低調となったほか、配送や保安に関わる費用が増加した影響を受けました。産業用LPガスについては、全国の地域事業会社と連携し、重油からLPガスへの燃料転換を推進したことで販売数量が大幅に増加し、堅調に推移しました。
灯油については、暖冬による需要減の影響を受け、販売数量が大きく減少しましたが、調達施策の工夫と配送の効率化により、その影響を最小限に留めました。
また、産業ガス分野で培った極低温技術を活かしたLNGタンクローリーの販売が順調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は527億4千1百万円(前年同期比102.5%)、経常利益は40億9百万円(同101.8%)となりました。
<農業・食品関連事業>農産事業は、青果小売分野において新規店舗の出店を進めた結果、販売が拡大しましたが、新規店舗の立ち上げに伴い一時的にコストが増加したほか、野菜相場が乱高下した影響を受けました。加工・卸分野は、原料野菜の作柄による影響を受けたものの、調達量の確保に努め、堅調に推移しました。また、農業機械の販売・メンテナンスが引き続き堅調に推移しました。
食品ソリューション事業は、スイーツ分野の販売不振に加え、ハム・ソーセージ分野でも厳しい市場環境が続いた影響を受けました。一方、ブロッコリーなどの冷凍野菜の販売が拡大したことや加工食品分野における生産の効率化が進展したことに加え、M&Aを実施した調理冷凍食品の製造会社を新規連結したことにより、利益面では堅調に推移しました。
飲料事業は、人件費や設備投資による減価償却費が増加したものの、野菜系飲料や茶系飲料を中心に受託が拡大したことに加え、宅配水分野における構造改革が進展し、堅調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,365億6千8百万円(前年同期比102.1%)、経常利益は49億5百万円(同101.1%)となりました。
<物流関連事業>運送事業は、新規荷主の獲得により荷扱量が増加したことに加え、北海道・本州間におけるシャーシ輸送の発着バランスの適正化を進めるなど、安定的な幹線輸送の構築を行い、順調に推移しました。
食品物流を中心とする3PL事業は、大手コンビニチェーン向けの配送業務において低温度帯の受託を新たに開始し、順調に推移しました。コスト面では、人件費や軽油の上昇により厳しい事業環境が継続しましたが、荷主企業との交渉により受託料金の適正化が進展したことで、その影響を最小限に留めました。
トラック・ボディの設計・架装を行う車体事業は、特殊車両の販売が拡大するとともに、前年度に実施した設備投資により収益性が向上したことにより、堅調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は479億4千7百万円(前年同期比106.7%)、また、経常利益は、当事業年度から自家保有車両について稼動実態をより反映した耐用年数に変更したこともあり、26億4千9百万円(同140.3%)となりました。
<その他の事業>海水事業のうち、㈱日本海水は、水処理設備事業において前年度に計上した大型案件の剥落や環境事業において西日本豪雨による工期遅れの影響があったものの、塩事業における業務用塩の値上げが奏功し、利益面では堅調に推移しました。タテホ化学工業㈱は、耐火煉瓦向けをはじめとした一般マグネシア製品の販売が伸長しましたが、上半期においてヒーター用電融マグネシアの原料価格が高騰した影響に加え、電磁鋼板向けマグネシアが一時的な需要減の影響を受け、厳しい状況で推移しました。
エアゾール製品のOEM供給を行うエアゾール事業は、中国向けのアウトバウンド需要を背景に、化粧品など人体用品を中心とした受託が拡大し、堅調に推移しました。
電気・電子材料などの仕入れ販売を行う情報電子材料事業は、自動車関連向けの販売が拡大したことにより、好調に推移しました。当社独自の「NVプロセス」による金属表面処理事業は、自動車部品や産業機材向けを中心に好調に推移しました。また、M&Aにより取得した米国・シンガポールのエンジニアリング会社を新規連結しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,355億5千6百万円(前年同期比108.2%)、経常利益は84億1千3百万円(同102.4%)となりました。
②生産、受注及び販売の実績
<生産実績>当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
<受注状況>製品のほとんどが見込生産であります。
<販売実績>当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)キャッシュ・フローの状況
(現金及び現金同等物)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ90億3千7百万円増加し、314億7千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益及び減価償却費などから法人税等の支払額などを差し引いた結果、前連結会計年度に比べて89億2千5百万円増加し、566億9千万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ271億6千7百万円支出額が増加し、888億4百万円の支出となりました。
その結果、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ182億4千2百万円減少し、△321億1千4百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、借入れによる収入などにより、前連結会計年度に比べ364億1千6百万円収入が増加し、409億5百万円の収入となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、持続的な成長のために積極的な投資を継続しており、必要な資金については財務の健全性に留意しながら銀行借入並びに社債発行等により資金調達を行うこととしております。資金の流動性については、財務の安全性に留意しながら資金の効率化に努めております。
以上の結果、1株当たり純資産は前連結会計年度の1,422.60円から1,487.58円に増加しております。また、自己資本比率は前連結会計年度の40.1%から37.2%となりました。また、自己資本利益率は前連結会計年度の9.4%から9.3%となり、目標水準である10%の達成を目指しております。
(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは、「既存事業の構造改革」と「M&Aによる成長戦略」の両輪を成長戦略の基軸に据え、当連結会計年度を実行期間の最終年度とする3ヵ年中期経営計画「NEXT-2020 Ver.3」に掲げた実行施策を各事業分野において着実に推進しました。
その結果、各セグメントで業績拡大が着実に進展、売上高・各利益ともに安定成長を果たし、最高業績を更新しました。一方、計画比では、電気代の上昇や、自然災害の発生といった外部環境に加え、売上高の伸長不足などにより、売上高・各利益ともに、計画未達となりました。
※1 親会社株主に帰属する当期純利益
※2 経常利益/売上高
※3 自己資本当期純利益率(親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首期末平均))
※4 (有利子負債 - 現預金)/ 自己資本
当社グループは、2019年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用することを決定し、2021年度を最終年度とする新中期経営計画「NEXT-2020 Final」をスタートさせております。
最終年度となる2021年度で、売上収益1兆円、営業利益600億円、当期利益370億円を経営目標として設定し、経営指標としては、ROE:10.8%、ROA:6.2%を目指します。
また、「NEXT-2020 Final」では海外展開を重要な成長戦略の一つとして位置付けているため、新たな経営目標として「海外売上収益比率」を設定し、最終年度となる2021年度で10%を目指します。
※1 中期経営計画との比較のために、IFRSに準拠して算出した参考数値であり、会計監査の結果、変更になる可能性があります。
※2 日本基準:売上高、IFRS:売上収益
※3 日本基準:親会社株主に帰属する当期純利益、IFRS:親会社の所有者に帰属する当期利益
※4 日本基準:自己資本当期純利益率(親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首期末平均))
IFRS :親会社所有者帰属持分当期利益率
(親会社の所有者に帰属する当期利益÷親会社の所有者に帰属する持分(期首期末平均))
※5 日本基準:総資産経常利益率(経常利益÷総資産(期首期末平均))
IFRS :資産合計税引前利益率 (税引前利益÷資産合計(期首期末平均))
※6 日本基準:海外売上高/売上高、IFRS:海外売上収益/売上収益
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態の状況
(資産の部)
流動資産は、受取手形及び売掛金の増加などにより前連結会計年度末に比べて223億3千1百万円増加し、3,053億2千3百万円となりました。
固定資産は、有形固定資産の増加などにより前連結会計年度末に比べて676億1千4百万円増加し、4,777億2千3百万円となりました。
以上の結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて899億4千5百万円増加し、7,830億4千7百万円となりました。
(負債の部)
負債は、借入金の増加などにより前連結会計年度末に比べて758億9千2百万円増加し、4,743億4千8百万円となりました。
(純資産の部)
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上げなどにより前連結会計年度末に比べて140億5千3百万円増加し、3,086億9千8百万円となりました。
(2) 経営成績の状況
①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度における我が国経済は、企業収益や雇用・所得環境などの改善を背景に、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。一方で、米中の貿易摩擦、英国のEU離脱交渉などの国際情勢に対する不安や、国内各地で発生した地震や豪雨、台風などの影響により、先行き不透明な状況が続きました。
このような経営環境の下、当社グループにおきましては、「既存事業の構造改革」と「M&Aによる成長戦略」の両輪を成長戦略の基軸に据え、当連結会計年度を実行期間の最終年度とする3カ年中期経営計画「NEXT2020-Ver.3」に掲げた実行施策を各事業分野において着実に推進しました。
既存事業の構造改革としては、産業ガス関連において、積極的に生産設備の増強・更新投資を行うとともに、地域パートナーとのアライアンスを強化し、シェア拡大と収益力強化のための基盤整備に取り組みました。また、グループ会社の再編をはじめとした収益力強化のための構造改革に取り組んだほか、エンジニアリングの組織機能を強化し、技術の改良や進歩によって新たな事業や製品を生み出す体制づくりを進めました。さらに、ケミカル関連については、コールケミカル事業の譲渡により機能化学品を中心とした事業構造への転換を図り、「全天候型経営」をさらに盤石なものとしました。
また、M&Aによる成長戦略としては、国内地域事業のさらなる拡大を目的にM&Aを実施したほか、今後の海外展開に向けた布石として、北米およびアジアにおいて海外エンジニアリングの事業基盤を構築しました。また、エレクトロニクスや高度医療機器分野における事業領域の拡充を進めました。
さらに、発電事業の立上げに向け、国内3カ所で進めている木質バイオマス発電所の建設が着実に進展しました。
当連結会計年度の業績といたしましては、ケミカル関連の市況が上昇したほか、積極的なM&Aの推進に加え、新規顧客の獲得をはじめとした増販施策に取り組んだことなどにより、すべてのセグメントにおいて増収となりました。
利益面では、医療関連事業が設備工事分野における市場環境の影響により減益となりましたが、ケミカル関連事業が構造改革と収益改善が進展したことで好調に推移したほか、産業ガス関連事業が国内製造業の幅広い業種で底堅いガス需要が継続したこと、また、物流関連事業が荷扱量の増加と価格適正化が進展したことにより、それぞれ順調に推移しました。また、エネルギー関連事業および農業・食品関連事業は、外部環境が悪化した影響を受けながらも増益を堅持するとともに、その他の事業を構成するエアゾール事業および情報電子材料事業も堅調に推移しました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は8,014億9千3百万円(前年同期比106.4%)、営業利益は435億8千万円(同102.8%)、経常利益は469億7千7百万円(同105.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は264億6千8百万円(同105.1%)となりました。
| 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 | |
| 2018年3月期 (百万円) | 753,559 | 42,398 | 44,691 | 25,173 |
| 2019年3月期 (百万円) | 801,493 | 43,580 | 46,977 | 26,468 |
| 前年同期比(%) | 106.4 | 102.8 | 105.1 | 105.1 |
セグメントの業績及び概況につきましては、次のとおりであります。
<産業ガス関連事業>高炉向けのオンサイトガス供給は、年間を通じて操業の安定化と効率化に取り組んだことで順調に推移しました。エレクトロニクス向けのオンサイトガス供給は、第4四半期に入り一部の顧客で在庫調整等による販売数量の減少があったものの、概ね高稼働を維持し、堅調に推移しました。ローリー・シリンダー供給は、高効率小型液化酸素・窒素製造プラント「VSU」の展開を基軸とした地域の有力パートナーとの連携強化により、自動車、化学、建設関連向けなど国内製造業の底堅い需要を着実に取り込み、総じて順調に推移しました。また、炭酸ガスは前年度に実施した生産能力の増強効果等により販売数量が増加したことで堅調に推移しました。
このように産業ガスの販売は総じて順調に増加しましたが、利益面では、電気料金の上昇に加え、物流コストが増加した影響を受けました。
機器・工事関連は、ガス発生装置および供給設備等の製作が増加しました。また、前年度にM&Aを実施した日本パイオニクス㈱と海外子会社の新規連結効果も寄与しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,763億7千5百万円(前年同期比110.8%)、経常利益は171億3千2百万円(同105.9%)となりました。
<ケミカル関連事業>コールケミカル事業は、コークス炉ガス精製の単価が上昇したことに加え、基礎化学品である粗ベンゼンの販売数量が増加したことから、好調に推移しました。
ファインケミカル事業は、中国の生産工場において環境規制強化による操業変動の影響を受けたものの、不採算製品の見直しに加え、電子材料向け製品を中心とした増販および価格改定の効果もあり、収益が大幅に改善しました。
当社グループの川崎化成工業㈱は、中国の環境規制により顧客工場の操業が変動した影響を受け、主要製品のひとつであるナフトキノンの販売が減少しましたが、無水フタル酸など有機酸製品の販売価格が原料価格に連動して上昇したことで売上高が増加しました。また、固定費の削減や調達の合理化による製造コストの低減等に取り組んだことで利益面でも好調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は756億5千1百万円(前年同期比111.3%)、経常利益は37億6百万円(同199.8%)となりました。
<医療関連事業>高度医療分野では、医療用ガスにおいて使用量が減少した影響を受けたほか、設備工事は、病院の新規案件が一巡した影響もあり厳しい状況になりました。一方、医療サービスは、SPD(病院物品物流管理)事業における新規顧客の獲得と資材調達の合理化ならびに滅菌事業における受託料金の適正化が進展し、順調に推移しました。また、医療機器は、診療報酬の改定を追い風に高気圧酸素治療装置の販売が拡大したことに加え、一酸化窒素吸入療法の症例数が増加したことにより、堅調に推移しました。
くらしの医療分野では、在宅医療事業および衛生材料事業が厳しい状況となりました。また、デンタル事業は、歯科関連材料の販売が好調に推移したものの、歯科医院向けの通信販売において配送等のコストが増加した影響を受けました。注射針事業では、受注は回復したものの、更新した生産設備の立ち上げが遅れた影響等により伸び悩みました。
なお、前年度にM&Aにより取得したシンガポールの病院設備工事事業は順調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,766億5千3百万円(前年同期比103.4%)、経常利益は98億5千9百万円(同95.6%)となりました。
<エネルギー関連事業>民生用LPガスについては、ポイント付与サービスや電力小売事業への参入など、増客施策を推進したことに加え、販売店の商権買収による直売顧客拡大を進めたことで、顧客軒数と販売数量ともに増加し、堅調に推移しました。一方で、震災により展示即売会などのイベントを中止した影響から機器販売が低調となったほか、配送や保安に関わる費用が増加した影響を受けました。産業用LPガスについては、全国の地域事業会社と連携し、重油からLPガスへの燃料転換を推進したことで販売数量が大幅に増加し、堅調に推移しました。
灯油については、暖冬による需要減の影響を受け、販売数量が大きく減少しましたが、調達施策の工夫と配送の効率化により、その影響を最小限に留めました。
また、産業ガス分野で培った極低温技術を活かしたLNGタンクローリーの販売が順調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は527億4千1百万円(前年同期比102.5%)、経常利益は40億9百万円(同101.8%)となりました。
<農業・食品関連事業>農産事業は、青果小売分野において新規店舗の出店を進めた結果、販売が拡大しましたが、新規店舗の立ち上げに伴い一時的にコストが増加したほか、野菜相場が乱高下した影響を受けました。加工・卸分野は、原料野菜の作柄による影響を受けたものの、調達量の確保に努め、堅調に推移しました。また、農業機械の販売・メンテナンスが引き続き堅調に推移しました。
食品ソリューション事業は、スイーツ分野の販売不振に加え、ハム・ソーセージ分野でも厳しい市場環境が続いた影響を受けました。一方、ブロッコリーなどの冷凍野菜の販売が拡大したことや加工食品分野における生産の効率化が進展したことに加え、M&Aを実施した調理冷凍食品の製造会社を新規連結したことにより、利益面では堅調に推移しました。
飲料事業は、人件費や設備投資による減価償却費が増加したものの、野菜系飲料や茶系飲料を中心に受託が拡大したことに加え、宅配水分野における構造改革が進展し、堅調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,365億6千8百万円(前年同期比102.1%)、経常利益は49億5百万円(同101.1%)となりました。
<物流関連事業>運送事業は、新規荷主の獲得により荷扱量が増加したことに加え、北海道・本州間におけるシャーシ輸送の発着バランスの適正化を進めるなど、安定的な幹線輸送の構築を行い、順調に推移しました。
食品物流を中心とする3PL事業は、大手コンビニチェーン向けの配送業務において低温度帯の受託を新たに開始し、順調に推移しました。コスト面では、人件費や軽油の上昇により厳しい事業環境が継続しましたが、荷主企業との交渉により受託料金の適正化が進展したことで、その影響を最小限に留めました。
トラック・ボディの設計・架装を行う車体事業は、特殊車両の販売が拡大するとともに、前年度に実施した設備投資により収益性が向上したことにより、堅調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は479億4千7百万円(前年同期比106.7%)、また、経常利益は、当事業年度から自家保有車両について稼動実態をより反映した耐用年数に変更したこともあり、26億4千9百万円(同140.3%)となりました。
<その他の事業>海水事業のうち、㈱日本海水は、水処理設備事業において前年度に計上した大型案件の剥落や環境事業において西日本豪雨による工期遅れの影響があったものの、塩事業における業務用塩の値上げが奏功し、利益面では堅調に推移しました。タテホ化学工業㈱は、耐火煉瓦向けをはじめとした一般マグネシア製品の販売が伸長しましたが、上半期においてヒーター用電融マグネシアの原料価格が高騰した影響に加え、電磁鋼板向けマグネシアが一時的な需要減の影響を受け、厳しい状況で推移しました。
エアゾール製品のOEM供給を行うエアゾール事業は、中国向けのアウトバウンド需要を背景に、化粧品など人体用品を中心とした受託が拡大し、堅調に推移しました。
電気・電子材料などの仕入れ販売を行う情報電子材料事業は、自動車関連向けの販売が拡大したことにより、好調に推移しました。当社独自の「NVプロセス」による金属表面処理事業は、自動車部品や産業機材向けを中心に好調に推移しました。また、M&Aにより取得した米国・シンガポールのエンジニアリング会社を新規連結しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,355億5千6百万円(前年同期比108.2%)、経常利益は84億1千3百万円(同102.4%)となりました。
②生産、受注及び販売の実績
<生産実績>当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 産業ガス関連事業 | 62,580 | 121.2 |
| ケミカル関連事業 | 66,339 | 122.9 |
| 医療関連事業 | 33,999 | 104.0 |
| エネルギー関連事業 | 3,745 | 123.4 |
| 農業・食品関連事業 | 92,342 | 111.4 |
| 物流関連事業 | 3,804 | 109.2 |
| その他の事業 | 53,307 | 120.2 |
| 合計 | 316,121 | 116.2 |
(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
<受注状況>製品のほとんどが見込生産であります。
<販売実績>当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 産業ガス関連事業 | 176,375 | 110.8 |
| ケミカル関連事業 | 75,651 | 111.3 |
| 医療関連事業 | 176,653 | 103.4 |
| エネルギー関連事業 | 52,741 | 102.5 |
| 農業・食品関連事業 | 136,568 | 102.1 |
| 物流関連事業 | 47,947 | 106.7 |
| その他の事業 | 135,556 | 108.2 |
| 合計 | 801,493 | 106.4 |
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)キャッシュ・フローの状況
(現金及び現金同等物)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ90億3千7百万円増加し、314億7千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益及び減価償却費などから法人税等の支払額などを差し引いた結果、前連結会計年度に比べて89億2千5百万円増加し、566億9千万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ271億6千7百万円支出額が増加し、888億4百万円の支出となりました。
その結果、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ182億4千2百万円減少し、△321億1千4百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、借入れによる収入などにより、前連結会計年度に比べ364億1千6百万円収入が増加し、409億5百万円の収入となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、持続的な成長のために積極的な投資を継続しており、必要な資金については財務の健全性に留意しながら銀行借入並びに社債発行等により資金調達を行うこととしております。資金の流動性については、財務の安全性に留意しながら資金の効率化に努めております。
以上の結果、1株当たり純資産は前連結会計年度の1,422.60円から1,487.58円に増加しております。また、自己資本比率は前連結会計年度の40.1%から37.2%となりました。また、自己資本利益率は前連結会計年度の9.4%から9.3%となり、目標水準である10%の達成を目指しております。
(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは、「既存事業の構造改革」と「M&Aによる成長戦略」の両輪を成長戦略の基軸に据え、当連結会計年度を実行期間の最終年度とする3ヵ年中期経営計画「NEXT-2020 Ver.3」に掲げた実行施策を各事業分野において着実に推進しました。
その結果、各セグメントで業績拡大が着実に進展、売上高・各利益ともに安定成長を果たし、最高業績を更新しました。一方、計画比では、電気代の上昇や、自然災害の発生といった外部環境に加え、売上高の伸長不足などにより、売上高・各利益ともに、計画未達となりました。
| 前中計最終年度 | 中期経営計画「NEXT-2020 Ver.3」 | |||
| 2015年度(実績) | 2018年度当初計画 | 2018年度(実績) | ||
| 売上高 (億円) | 6,606 | 8,500 | 8,014 | |
| 営業利益 (億円) | 395 | 510 | 435 | |
| 経常利益 (億円) | 350 | 510 | 469 | |
| 当期純利益 (億円) | ※1 | 201 | 290 | 264 |
| 経常利益率 | ※2 | 5.3% | 6%以上 | 5.9% |
| ROE | ※3 | 8.7% | 10%以上 | 9.3% |
| 自己資本比率 | 40.8% | 40% | 37.2% | |
| ネットD/Eレシオ | ※4 | 0.57 | 0.75以下 | 0.79 |
※1 親会社株主に帰属する当期純利益
※2 経常利益/売上高
※3 自己資本当期純利益率(親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首期末平均))
※4 (有利子負債 - 現預金)/ 自己資本
当社グループは、2019年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用することを決定し、2021年度を最終年度とする新中期経営計画「NEXT-2020 Final」をスタートさせております。
最終年度となる2021年度で、売上収益1兆円、営業利益600億円、当期利益370億円を経営目標として設定し、経営指標としては、ROE:10.8%、ROA:6.2%を目指します。
また、「NEXT-2020 Final」では海外展開を重要な成長戦略の一つとして位置付けているため、新たな経営目標として「海外売上収益比率」を設定し、最終年度となる2021年度で10%を目指します。
| 2018年度 (日本基準) (実績) | 2018年度 (IFRS) (参考)※1 | 2021年度 (IFRS) (目標) | ||
| 売上高 (億円) | ※2 | 8,014 | 7,415 | 10,000 |
| 営業利益 (億円) | 435 | 426 | 600 | |
| 当期純利益 (億円) | ※3 | 264 | 283 | 370 |
| ROE | ※4 | 9.3% | 10.3% | 10.8% |
| ROA | ※5 | 6.4% | 5.7% | 6.2% |
| 海外売上高比率 | ※6 | 5% | 5% | 10% |
※1 中期経営計画との比較のために、IFRSに準拠して算出した参考数値であり、会計監査の結果、変更になる可能性があります。
※2 日本基準:売上高、IFRS:売上収益
※3 日本基準:親会社株主に帰属する当期純利益、IFRS:親会社の所有者に帰属する当期利益
※4 日本基準:自己資本当期純利益率(親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首期末平均))
IFRS :親会社所有者帰属持分当期利益率
(親会社の所有者に帰属する当期利益÷親会社の所有者に帰属する持分(期首期末平均))
※5 日本基準:総資産経常利益率(経常利益÷総資産(期首期末平均))
IFRS :資産合計税引前利益率 (税引前利益÷資産合計(期首期末平均))
※6 日本基準:海外売上高/売上高、IFRS:海外売上収益/売上収益