有価証券報告書-第98期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年12月31日現在)において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
協和キリングループは、経営理念「ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。」を掲げております。
この経営理念に謳う「新しい価値」を社会と共有できる価値(CSV:Creating Shared Value)と捉え、当社グループは、社会課題への取組みによる「社会的価値の創造」と「経済的価値の創造」の両立により、企業価値向上を実現するCSV経営を実践しております。
また、協和キリングループで働く全ての人々が、行動の拠り所となる考え方や姿勢を示す中心概念の“Commitment to Life”と3つのキーワードで構成される価値観を、全員で共有、実践することで、社会から信頼される企業グループであり続けることを目指しております。

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
企業を取り巻く事業環境は、常に変化し続けております。近年の製薬業界を取り巻く環境は、薬剤費抑制策の推進、後発品の使用促進等による医薬品への支出の減少、新薬開発におけるコストの増加とプロセスの複雑化など、厳しい変化がある一方で、新薬の優先審査制度の登場等のイノベーションを評価する制度の拡充や、科学技術の進歩により革新的な治療を可能にする新たな創薬手法の開発を後押しする動きもあります。また、アンメットメディカルニーズに対する画期的な医薬品は、依然として世界中で待ち望まれております。さらには、デジタル技術の進展と浸透、顧客との接点の多様化等、社会全体の環境が大きく変化する中で、新しい医療ニーズも生まれております。
このような環境の中、当社は、Crysvita(日本製品名:クリースビータ)、Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)の欧米での販売拡大、Nourianz(日本製品名:ノウリアスト)の米国上市を達成し、グローバル・スペシャリティファーマとしての更なる成長を実現していきます。
2021年2月に、2021年を開始年度とする、5か年の中期経営計画を公表いたしました。また、合わせて、2030年に向けたビジョンを以下のとおり設定しました。
<2030年に向けたビジョン>協和キリンは、イノベーションへの情熱と多様な個性が輝くチームの力で、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値*¹の継続的な創出を実現します。
・抗体技術の進化へ挑戦を続けることに加え、多様なモダリティ*²を駆使し協和キリンの強みを生かした創薬により、有効な治療法のない病気の治療に取組んでいきます。
・医薬品事業で培った疾患に関する知見と最先端の科学・技術の応用に努め、医薬品にとどまらない社会の医療ニーズに応えていきます。
・常に信頼され、成長が期待される企業であり続けるため、世界トップクラスの製品品質とオペレーショナルエクセレンスを追求し続けます。
*¹ Life-changingな価値
病気と向き合う人々の満たされていない医療ニーズを見出し、その課題を解決するための新たな薬やサービスを創造し、提供することで、患者さんが「生活が劇的に良くなった」と感じ笑顔になること
*² モダリティ
構想した治療コンセプトを実現するための創薬技術(方法・手段)の分類を指します。
<2021-2025年中期経営計画>
以下の各取組みを通し、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして事業を拡大することで成長を実現してまいります。
(アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供)
グローバル戦略品の価値最大化に向けては、欧米を中心とした市場浸透施策やアジアを含む事業地域の拡大を進めてまいります。今後、グローバルレベルで各部門や関係会社間の密接な連携を可能にする体制を築き、KYOWA KIRINブランドの新薬を、欧米をはじめとした世界の患者さんにお届けしてまいります。
一方、研究開発では、今まで培った技術に関する蓄積と疾患に関する知見を融合することにより、新たな医療価値の創造と創薬の更なるスピードアップを目指してまいります。技術軸では、次世代の抗体技術など、様々なモダリティを活用したプラットフォームを着実に築きます。また、疾患軸では、これまで蓄えた疾患サイエンスの知見と技術との融合により、アンメットメディカルニーズを満たす、Life-changingな価値創出への挑戦を続けてまいります。自社での研究に加え、オープンイノベーションを積極的に活用した創薬技術や新規標的の獲得を行うことで、イノベーションの創出を加速させます。研究開発に今後も積極的に投資してまいります。

(患者さんを中心においた医療ニーズへの対応)
病気と向き合う人々に笑顔をもたらすために「ペイシェントアドボカシー*³」活動をグローバルで連携して進めることで、患者さんを中心においた医療ニーズへの対応を実現します。疾患啓発活動や患者さん支援ツールの提供などを通じて、未充足の医療ニーズの解決に取組みます。
更には、患者さんに笑顔を届けるために、より長期的な視点で、医薬品にとどまらない価値の創出にも取組みます。当社の強みを生かせる領域で、蓄積されたデータ活用や、患者さんへの理解を深めることで、自社医薬品回りの課題解決に取組むとともに、キリングループが取組むヘルスサイエンスとの接点を生かし、患者さんのQOL向上に向けた新たな価値創造にも取組んでいきます。
*³ ペイシェントアドボカシー
患者コミュニティ及び医師コミュニティとの対話と連携により、社会の疾患に関する正しい理解を促進する。更に、当社事業のバリューチェーン全体を通じて未充足の医療ニーズの解決に取組み、病気と向き合う人々に笑顔をもたらす活動。
(社会からの信頼獲得)
当社は、医薬品という高い品質が求められる製品をグローバルに安定的に供給するために、強固な生産体制を確立すると共に、品質保証体制及びサプライチェーンマネジメントの強化に努めます。
また、世界規模の気候変動に対し、当社は「キリングループ環境ビジョン2050」と連携し、設備投資も含む継続的な省エネの推進、再生可能エネルギーの導入・拡大、化石燃料から電力へのエネルギーシフト電化転換などにより、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量ネットゼロを目指し、地球環境の保全に努めることで社会からの信頼を獲得していきます。
(Life-changingな価値を実現する人材・基盤の強化)
グローバルにビジネスを展開する中で、機能強化の必要性を認識しており、早期にグローバルな事業基盤を確立し、製品価値の最大化・開発パイプラインの充実など持続的な成長を実現できる体制を整えます。
具体的には、既に着手しているリスクマネジメントの強化に加え、環境変化に対応できるデジタル基盤や本社機能をはじめとするグローバルガバナンスの強化に取組んでまいります。また、多様性に富む人材がワンチームとなり、力を最大限発揮できるよう、企業文化改革の取組みと合わせて、Life-changingな価値の実現につなげていきます。
(3) 目標とする経営指標
2021-2025年中期経営計画において、財務指標を以下のとおり目標として設定しております。

*¹ 2020年度を基準年度とした5か年の平均成長率
*² コア営業利益:「売上総利益」-「販売費及び一般管理費」-「研究開発費」+「持分法による投資損益」
*³ コア当期利益(「当期利益」-「その他の収益・費用(税金影響控除後)」)÷「期中平均株式数」
中長期的に企業価値を高めていくための重要な経営指標としてROEを掲げ、株主資本コストを安定的に上回る10%を早期に実現することを目標としております。この目標達成の基礎として、売上収益の年平均10%以上の成長とコア営業利益率を25%以上に高めることに取組んでまいります。なお、コア営業利益率25%の前提として、中長期的な成長持続のため、売上収益に対し18~20%の研究開発投資を積極的に実行・維持していくこととしております。
<資本政策>日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして競争力ある事業基盤を早期確立し、2025年以降の持続的成長と企業価値最大化に向けた各種成長投資を最優先して行います。また、配当方針に関しては、コアEPSに対する配当性向40%を目処とし、中長期的な利益成長に応じた安定的かつ持続的な配当水準の向上(継続的な増配)を目指します。また、自己株式の取得については、株価状況等を勘案したうえで、機動的に検討します。
なお、詳細は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析 ③ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載のとおりであります。
(1) 経営の基本方針
協和キリングループは、経営理念「ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。」を掲げております。
この経営理念に謳う「新しい価値」を社会と共有できる価値(CSV:Creating Shared Value)と捉え、当社グループは、社会課題への取組みによる「社会的価値の創造」と「経済的価値の創造」の両立により、企業価値向上を実現するCSV経営を実践しております。
また、協和キリングループで働く全ての人々が、行動の拠り所となる考え方や姿勢を示す中心概念の“Commitment to Life”と3つのキーワードで構成される価値観を、全員で共有、実践することで、社会から信頼される企業グループであり続けることを目指しております。

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
企業を取り巻く事業環境は、常に変化し続けております。近年の製薬業界を取り巻く環境は、薬剤費抑制策の推進、後発品の使用促進等による医薬品への支出の減少、新薬開発におけるコストの増加とプロセスの複雑化など、厳しい変化がある一方で、新薬の優先審査制度の登場等のイノベーションを評価する制度の拡充や、科学技術の進歩により革新的な治療を可能にする新たな創薬手法の開発を後押しする動きもあります。また、アンメットメディカルニーズに対する画期的な医薬品は、依然として世界中で待ち望まれております。さらには、デジタル技術の進展と浸透、顧客との接点の多様化等、社会全体の環境が大きく変化する中で、新しい医療ニーズも生まれております。
このような環境の中、当社は、Crysvita(日本製品名:クリースビータ)、Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)の欧米での販売拡大、Nourianz(日本製品名:ノウリアスト)の米国上市を達成し、グローバル・スペシャリティファーマとしての更なる成長を実現していきます。
2021年2月に、2021年を開始年度とする、5か年の中期経営計画を公表いたしました。また、合わせて、2030年に向けたビジョンを以下のとおり設定しました。
<2030年に向けたビジョン>協和キリンは、イノベーションへの情熱と多様な個性が輝くチームの力で、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値*¹の継続的な創出を実現します。
・抗体技術の進化へ挑戦を続けることに加え、多様なモダリティ*²を駆使し協和キリンの強みを生かした創薬により、有効な治療法のない病気の治療に取組んでいきます。
・医薬品事業で培った疾患に関する知見と最先端の科学・技術の応用に努め、医薬品にとどまらない社会の医療ニーズに応えていきます。
・常に信頼され、成長が期待される企業であり続けるため、世界トップクラスの製品品質とオペレーショナルエクセレンスを追求し続けます。
*¹ Life-changingな価値
病気と向き合う人々の満たされていない医療ニーズを見出し、その課題を解決するための新たな薬やサービスを創造し、提供することで、患者さんが「生活が劇的に良くなった」と感じ笑顔になること
*² モダリティ
構想した治療コンセプトを実現するための創薬技術(方法・手段)の分類を指します。
<2021-2025年中期経営計画>

以下の各取組みを通し、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして事業を拡大することで成長を実現してまいります。
(アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供)
グローバル戦略品の価値最大化に向けては、欧米を中心とした市場浸透施策やアジアを含む事業地域の拡大を進めてまいります。今後、グローバルレベルで各部門や関係会社間の密接な連携を可能にする体制を築き、KYOWA KIRINブランドの新薬を、欧米をはじめとした世界の患者さんにお届けしてまいります。
一方、研究開発では、今まで培った技術に関する蓄積と疾患に関する知見を融合することにより、新たな医療価値の創造と創薬の更なるスピードアップを目指してまいります。技術軸では、次世代の抗体技術など、様々なモダリティを活用したプラットフォームを着実に築きます。また、疾患軸では、これまで蓄えた疾患サイエンスの知見と技術との融合により、アンメットメディカルニーズを満たす、Life-changingな価値創出への挑戦を続けてまいります。自社での研究に加え、オープンイノベーションを積極的に活用した創薬技術や新規標的の獲得を行うことで、イノベーションの創出を加速させます。研究開発に今後も積極的に投資してまいります。

(患者さんを中心においた医療ニーズへの対応)
病気と向き合う人々に笑顔をもたらすために「ペイシェントアドボカシー*³」活動をグローバルで連携して進めることで、患者さんを中心においた医療ニーズへの対応を実現します。疾患啓発活動や患者さん支援ツールの提供などを通じて、未充足の医療ニーズの解決に取組みます。
更には、患者さんに笑顔を届けるために、より長期的な視点で、医薬品にとどまらない価値の創出にも取組みます。当社の強みを生かせる領域で、蓄積されたデータ活用や、患者さんへの理解を深めることで、自社医薬品回りの課題解決に取組むとともに、キリングループが取組むヘルスサイエンスとの接点を生かし、患者さんのQOL向上に向けた新たな価値創造にも取組んでいきます。
*³ ペイシェントアドボカシー
患者コミュニティ及び医師コミュニティとの対話と連携により、社会の疾患に関する正しい理解を促進する。更に、当社事業のバリューチェーン全体を通じて未充足の医療ニーズの解決に取組み、病気と向き合う人々に笑顔をもたらす活動。
(社会からの信頼獲得)
当社は、医薬品という高い品質が求められる製品をグローバルに安定的に供給するために、強固な生産体制を確立すると共に、品質保証体制及びサプライチェーンマネジメントの強化に努めます。
また、世界規模の気候変動に対し、当社は「キリングループ環境ビジョン2050」と連携し、設備投資も含む継続的な省エネの推進、再生可能エネルギーの導入・拡大、化石燃料から電力へのエネルギーシフト電化転換などにより、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量ネットゼロを目指し、地球環境の保全に努めることで社会からの信頼を獲得していきます。
(Life-changingな価値を実現する人材・基盤の強化)
グローバルにビジネスを展開する中で、機能強化の必要性を認識しており、早期にグローバルな事業基盤を確立し、製品価値の最大化・開発パイプラインの充実など持続的な成長を実現できる体制を整えます。
具体的には、既に着手しているリスクマネジメントの強化に加え、環境変化に対応できるデジタル基盤や本社機能をはじめとするグローバルガバナンスの強化に取組んでまいります。また、多様性に富む人材がワンチームとなり、力を最大限発揮できるよう、企業文化改革の取組みと合わせて、Life-changingな価値の実現につなげていきます。
(3) 目標とする経営指標
2021-2025年中期経営計画において、財務指標を以下のとおり目標として設定しております。

*¹ 2020年度を基準年度とした5か年の平均成長率
*² コア営業利益:「売上総利益」-「販売費及び一般管理費」-「研究開発費」+「持分法による投資損益」
*³ コア当期利益(「当期利益」-「その他の収益・費用(税金影響控除後)」)÷「期中平均株式数」
中長期的に企業価値を高めていくための重要な経営指標としてROEを掲げ、株主資本コストを安定的に上回る10%を早期に実現することを目標としております。この目標達成の基礎として、売上収益の年平均10%以上の成長とコア営業利益率を25%以上に高めることに取組んでまいります。なお、コア営業利益率25%の前提として、中長期的な成長持続のため、売上収益に対し18~20%の研究開発投資を積極的に実行・維持していくこととしております。
<資本政策>日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして競争力ある事業基盤を早期確立し、2025年以降の持続的成長と企業価値最大化に向けた各種成長投資を最優先して行います。また、配当方針に関しては、コアEPSに対する配当性向40%を目処とし、中長期的な利益成長に応じた安定的かつ持続的な配当水準の向上(継続的な増配)を目指します。また、自己株式の取得については、株価状況等を勘案したうえで、機動的に検討します。
なお、詳細は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析 ③ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載のとおりであります。