有価証券報告書-第160期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/18 15:04
【資料】
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【項目】
174項目
②戦略
1) 人事戦略2024-2025(経営戦略・事業戦略を実装するための全体像)
帝人グループにおける、経営戦略・事業戦略から人事戦略に繋がる全体像は以下のとおりです。
0102010_007.pngパーパスを軸に、「帝人グループ 中期経営計画2024-2025」で掲げる事業ポートフォリオ変革を人事の側面から支えるため、帝人グループは、経営戦略・事業戦略と連動した最適な「組織」と「人財」、そしてそれを支える「環境」の在り方を検討し、目指す姿として次の3点に整理しました。
・組織:事業ポートフォリオ変革に柔軟に対応できる、レジリエントな組織になっている。
・人財:グローバル全体で、必要な人財が充足し、最適に配置されている。
・環境:人財が自律的に、モチベーション高く活躍できる労働環境・人事制度が整っている。
帝人グループの継続的な成長及び企業価値の向上は、経営戦略・事業戦略の遂行を担う人的資本の充実と、その活躍に大きく左右されます。事業ポートフォリオ変革が進む中、多様な価値観や専門性を持つ人財が、組織や事業の枠を越えて連携し、共創を通じて価値を創出できるかどうかは、競争優位性の確立や持続的成長に直結する重要な要素であると認識しています。このような認識のもと、帝人グループは、人的資本に関する主なリスクと機会を以下のとおり整理し、評価をしています。
[課題とリスク・機会]
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これらのリスクが顕在化した場合、組織や事業の変革スピードが低下し、経営戦略・事業戦略の実行に支障を来す可能性があります。
一方で、人的資本への戦略的な投資は、帝人グループにとって価値を創造する重要な機会であると考えています。
帝人グループは、これらのリスクと機会を踏まえ、経営戦略・事業戦略と連動した人事戦略を策定・実行するとともに、人的資本への継続的な投資を通じて、事業の成長と人財の成長が好循環する経営の実現を目指しています。その中で、長期人事戦略軸として、「戦略を実装する『適所』の確立と『適材』の確保」、及び「人財が活躍するための施策」の2本の柱を定めました。
この2本の柱に基づき、各種アクションプランを設定し、人事戦略を体系的かつ段階的に推進しています。経営戦略・事業戦略に必要な専門性や経験を備えた人財の育成・確保を進めるとともに、社員一人ひとりが自らの役割と成長に向き合い、挑戦し続けられるよう、対話と学びを軸とした人財育成に取り組んでいます。あわせて、担う職務や発揮された成果が適切に評価・処遇に反映される仕組みの構築や、多様な人財が安心して能力を最大限発揮できる社内環境の整備を通じて、社員の納得感とエンゲージメントを高め、人的資本経営を推進しています。
a.長期人事戦略軸「戦略を実装する適所の確立と適材の確保」
(a) 重要アクションプラン グローバルベースでの職務に基づく評価・処遇制度の最適化
帝人グループは、人財一人ひとりの役割と挑戦を正当に評価し、その成果が処遇に反映される仕組みづくりを重視しています。従業員の給与等の決定にあたっては、事業環境や業績の動向、中長期的な経営の見通しを踏まえつつ、担う職務の内容・責任の大きさ、発揮された成果や成長を基軸に、従業員の納得感と挑戦意欲を高め、組織全体の持続的なパフォーマンス向上につながることを基本方針としています。このような方針に基づく処遇の考え方のもと、従業員の平均給与の対前年比増減率は9.4%増になりました。
また、帝人グループは、職務に基づく処遇(ジョブ型の考え方)への移行を段階的に進めています。2025年度までに、帝人株式会社及び帝人ファーマ株式会社の管理職以上を対象に、職務の役割・責任を明確化したジョブ型の処遇制度を導入しました。今後は、評価制度との連動を含めた制度全体の高度化に取り組むとともに、総合職・一般職を含む幅広い従業員への展開についても、丁寧に検討を進めていく考えです。
あわせて、こうした職務に基づく処遇への移行は、個々の人財に依存した組織運営から脱却し、経営戦略・事業戦略の変化に応じて、組織や役割の在り方を柔軟に設計・見直しできる体制を構築することを目的としています。
また、職務を起点とした評価・処遇は、グローバルでは広く採用されている考え方であり、国や地域を越えた人財の活用や適所適材を進める上でも重要な基盤となります。
職務を軸とした透明性・納得性の高い処遇を通じて、戦略を実装できるレジリエントな組織を実現し、グローバル競争力の強化と持続的な企業価値向上につなげていきます。
(b) 重要アクションプラン 自律的なキャリア形成、成長支援
帝人グループでは、近年の事業ポートフォリオの変革やグローバルでの競争力強化を通じて持続的な価値創造を実現していくためには、経営戦略・事業戦略を支える人財が、その役割に応じて成長し続けることが不可欠であると考えています。
この考え方のもと、帝人グループの人財育成は、経営戦略・事業戦略の実行に必要な専門性・経験の獲得と、社員一人ひとりの自律的なキャリア形成を両立させることを基本方針としています。
具体的には、職務や役割に応じた多様な学習・成長機会を体系的に整備するとともに、上司との対話を通じて自身の強みや志向を見つめ直し、次の成長につなげる仕組みづくりを進めています。
その一環として、2025年度にはキャリア面談制度を本格的に導入し、面談実施に先立ち、上司を対象とした研修を実施することで、対話の質の向上を図りました。その結果、キャリア面談の実施率は9割を超え、社員が自らのキャリアについて考え、言語化する機会を広く確保することができました。
帝人グループは今後も、こうした対話と学びを基盤とした人財育成を通じて、社員のキャリア自律を支援するとともに、経営戦略・事業戦略の実現に資する人財の育成・確保を進め、組織の活力と持続的な成長につなげていきます。
b.長期人事戦略軸「人財が活躍するための施策」
帝人グループは、事業を通じた持続的な価値創造を実現するためには、多様な人財が安心して挑戦し、能力を最大限発揮できる社内環境の整備が重要な基盤であると考えています。
この考え方のもと、多様な働き方の拡充やダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進、健康経営の取り組みなどを通じて、従業員一人ひとりのエンゲージメント向上と、働きがいのある企業風土の醸成に取り組んでいます。
働きやすさと働きがいの両立を目指した環境整備を継続することで、自己都合離職率は低位で推移し、新卒入社社員の3年後定着率も高い水準を維持しています。加えて、時間外労働の抑制や年次有給休暇の取得促進など、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組みを進めています。
ダイバーシティの観点では、女性の活躍推進を含む多様性に関する指標と目標を設定し、着実な進捗を図るとともに、従業員エンゲージメントについても同様に指標と目標を設定し、継続的な課題の把握と改善に取り組んでいます。さらに、従業員の心身の健康を重要な経営課題と位置づけ、健康経営の取り組みを推進し、健康経営優良法人の認定を継続して受けています。帝人グループは今後も、こうした社内環境の整備を通じて、多様な人財がいきいきと活躍し、経営戦略・事業戦略の実現に貢献できる基盤づくりを進めていきます。
<『人財が活躍するための施策』の指標・目標>「帝人グループ 中期経営計画2024-2025」の期間においては、これらの取り組みの進捗と実効性を把握するため、役員層・管理職層の多様性及び社員エンゲージメントに関する指標を設定し、マイルストーンを定めて取り組んできました。
これらのマイルストーンについては、多様性に関する指標のうち、女性役員比率においては目標とした水準を達成しました。一方で、外国籍役員比率及び女性部課長比率については、引き続き取り組みの途上にあり、目標水準には至っていません。
特に女性部課長比率については、単なる人数拡大にとどまらず、女性が自分らしいリーダーシップを発揮し、継続的に活躍できる状態を実現することが重要であるとの認識のもと、育成施策の進化を図っています。2024年度より実施している企業横断のクロスメンタリングでは、メンターからの助言や示唆を実際の業務の中で実行し、振り返りにつなげるPDCAサイクルを通じて、個々に寄り添った成長支援を行っており、2026年度も継続して実施する予定です。
[多様性に関するKPI]
比率2023/10
KPI基準
2024/10
実績
2026/4
実績
2026/4
マイルストーン
2030/4
目標
女性役員※112%20%22%20%30%
外国籍役員※18%8%4%10%30%
女性部課長※210%11%10%12%20%

※1 取締役、監査役(2025年6月以降は監査等委員である取締役)、グループ執行役員
※2 日本を含めたグローバルでラインポストに就く役職者
また、社員エンゲージメントスコアについては、構造改革や事業ポートフォリオ変革の局面でありながらも、マイルストーンを達成し、目標としたスコア水準である64を達成・維持することができました。これは、変革の方向性や狙いが社員に一定程度共有され、組織基盤の健全性が保たれていることを示す重要な成果であると認識しています。
エンゲージメントを重要なKPIとして位置づけ、役員のコミットメントのもと、2025年度も継続してサーベイ結果に基づく改善アクションの設定・実行を各組織で徹底しました。部長・課長が自組織のサーベイ結果を踏まえて改善アクションを設定・実行し、その設定状況をKPIとしてモニタリングし、未登録組織への継続的なフォローアップも実施しています。結果として、2025年度の改善アクション設定率は92%となり、取り組みの定着が進みました。
あわせて、CEO含む経営役員が参加するタウンホールミーティングやパーパスワークショップ等を通じたコミュニケーション機会の拡充を継続的に実施しており、変革下においても社員との対話を重視した取り組みが、グループ全体での一体感の醸成やコラボレーションの強化にも寄与し、エンゲージメントの維持につながったものと考えています。
[社員エンゲージメントに関するKPI]
社員エンゲージメントに関するKPI2023年度2024年度2025年度2025年度
マイルストーン
2030年4月
目標※3
エンゲージメントスコア6264646468

※3 実績値は2029年9月に行うエンゲージメントサーベイの結果に基づく
帝人グループは、今後もこれらの指標を通じて人事戦略の進捗を継続的にモニタリングし、必要な施策の見直しや高度化を行いながら、人財の多様性とエンゲージメントの向上を図っていきます。なお、各指標に対する実績については、当社ウェブサイトにも掲載しています。
2)「帝人グループ 中期経営計画2026-2028」に向けて
今後、帝人グループは、これまでの取り組みを基盤として、「帝人グループ 中期経営計画2026-2028」において、長期人事戦略の2本の柱を、「適所」の確立と「適材」の確保により戦略実現に貢献すること、そして従来の「人財が活躍するための施策」から一歩踏み込み「人財が活躍し、働くことで幸せになれる会社」を目指すこととし、人的資本経営を一層推進していきます。
また、経営戦略の進化に伴い、今後は、事業や組織の枠を越えて多様な人財と協働し、共創によりソリューションを創り出すことができる人財の重要性が一層高まると認識しています。帝人グループは、こうした人財像について、経営戦略・事業戦略との整合を図りながら定義の精緻化を進めるとともに、育成・確保、配置、評価・処遇の各施策に段階的に反映していきます。
[経営戦略・パーパスの両軸からなる帝人グループ人事戦略2026-2028]
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