有価証券報告書-第138期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/25 15:33
【資料】
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【項目】
172項目
以下の記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は「新しい価値の創造を通じて社会に貢献する」ことを企業理念として掲げ、これに基づき経営基本方針を以下のとおり定めている。
お客様のために 新しい価値と高い品質の製品とサービスを
社員のために 働きがいと公正な機会を
株主のために 誠実で信頼に応える経営を
社会のために 社会の一員として責任を果たし相互信頼と連携を
即ち、当社は、社会の中でお客様、社員、株主など数多くのステークホルダーによって支えられていることを認識し、それぞれに対して責任を果たし、広く社会に貢献することを経営の基本方針としている。
(2) 経営環境及び対処すべき課題等
当社グループは2011年に長期経営ビジョン“AP-Growth TORAY 2020”を策定した。その第1ステージとして、2013年度までの3ヵ年は中期経営課題“プロジェクト AP-G 2013”、2016年度までの3ヵ年は第2ステージとして中期経営課題“プロジェクト AP-G 2016”を実行してきた。2017年度からは2019年度までの3ヵ年を期間とする新たな中期経営課題“プロジェクト AP-G 2019”に取り組み、前2回の中期経営課題で要としていた「成長分野、成長国・地域での事業拡大」と「競争力強化」を踏襲しつつ、これまで進めてきた経営課題への取り組みを仕上げていく。また、同時に、2020年以降の持続的成長と企業価値向上を担う新たな収益源の創出についての取り組みも強化している。
2019年度の世界経済は、中国や米国を中心に成長テンポが鈍化するものの、年後半以降はやや持ち直す見通しである。ただし、米中などの貿易摩擦の激化、中国景気の下振れ、英国のEU離脱交渉の行方等のリスク要因に注意を払う必要がある。日本経済については、輸出や生産の伸びは鈍化するものの、雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな景気回復が続くことを想定しているが、海外経済の不確実性や、原油価格及び金融・資本市場の変動が景気に及ぼす影響等に留意する必要がある。
このような状況の下、当社グループは、先端材料、コア技術、グローバルな事業基盤という強みを活かして事業拡大を進める。成長分野、成長国・地域には、設備投資や研究・技術開発といった経営資源を重点的に配分する。また、当社の強みを活かしてシナジーの発揮が期待できる場合には、M&Aやアライアンスを機動的に行うことで、既存事業の成長を増幅・補完していく。
為替や原燃料価格の変動などに対しては、グローバルな事業基盤を活用することで、こうした外部要因の影響をできるだけ受けない企業体質の確保に引き続き努めていく。そして、中長期的視点に立った設備投資や研究・技術開発、人材育成を行っていくことで持続的な成長を図り、ステークホルダーの信頼に応える経営を実践していく。
配当については、引き続き業績の改善に連動して安定的、継続的に配当を増加させていくことを基本方針とする。
安全・防災・環境保全、企業倫理・法令遵守をはじめとしたCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)は最優先の経営課題として取り組みを強化している。2019年度までの3ヵ年を期間とする「第6次CSRロードマップ」を策定し、事業活動のあらゆる側面におけるCSRを引き続き体系的に推進することで経営戦略とCSRを連動させ、当社グループの持続的発展とCSRの両立を図っていく。
当社グループは、すべての製品の元となる素材には、社会を本質的に変える力があるという信念のもと、常に世界に先駆けた技術革新に挑戦し、最先端の技術や新素材を生み出し事業化することを目指している。そして、企業活動のあらゆる場面で現場力を重視し、徹底的な現状把握と現状分析に基づいて問題を克服していくことで、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」を具現化していく。