有価証券報告書-第139期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
以下の記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は「新しい価値の創造を通じて社会に貢献する」ことを企業理念として掲げ、これに基づき経営基本方針を以下のとおり定めている。
お客様のために 新しい価値と高い品質の製品とサービスを
社員のために 働きがいと公正な機会を
株主のために 誠実で信頼に応える経営を
社会のために 社会の一員として責任を果たし相互信頼と連携を
即ち、当社は、社会の中でお客様、社員、株主など数多くのステークホルダーによって支えられていることを認識し、それぞれに対して責任を果たし、広く社会に貢献することを経営の基本方針としている。
② 東レグループ サステナビリティ・ビジョン(ビジョン)
人口増加、高齢化、気候変動、水不足、資源の枯渇など世界が直面する「発展」と「持続可能性」の両立をめぐる地球規模の課題に対し、革新技術・先端材料の提供によって、本質的なソリューションを提供していくことが東レグループの使命と考えている。「東レグループ サステナビリティ・ビジョン(ビジョン)」は、「2050年に向け東レグループが目指す世界」、その実現に向けた「東レグループが取り組む課題」及び「2030年度に向けた数値目標(KPI)」を定めている。これは、2020年5月に発表した、新たな長期経営ビジョン“TORAY VISION 2030(ビジョン 2030)”及び中期経営課題“プロジェクト AP-G 2022(AP-G 2022)”の基礎となるものである。
(2050年に向け東レグループが目指す世界と取り組む課題)

(2030年度に向けた数値目標)
③ 長期経営ビジョン“TORAY VISION 2030(ビジョン 2030)”
④ 中期経営課題“プロジェクト AP-G 2022(AP-G 2022)”
「ビジョン」で示す「2050年に向け東レグループが目指す世界」及び“ビジョン 2030”に示す「持続的かつ健全な成長」の実現に向けて、中期経営課題“プロジェクト AP-G 2019”に掲げた「積極的な投資による事業拡大」という基本戦略を維持しつつ、その成長戦略を可能にするために、継続的なビジネスモデル革新やトータルコストダウンといった競争力強化と、投下資本効率や財務体質の面から成長投資を可能にする経営基盤強化を両輪で推進することで、東レグループ全体で中長期に創出する価値を最大化していく。
具体的には、次の3つの基本戦略を推進する。
(ⅰ)成長分野でのグローバルな拡大
地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決に貢献するグリーンイノベーション(GR)事業と、医療の充実と健康長寿、公衆衛生の普及促進に貢献するライフイノベーション(LI)事業を推進する。
東レグループの持つ先端材料やコア技術を活かして地球規模の社会的課題解決に貢献し、増加する需要を取り込むだけでなく、新たな需要を創出していくことにより事業を拡大する。
(ⅱ)競争力強化
トータルコストダウンを引き続き推進する。また、製品の高度化、製品とサービスの融合・組み合わせによる高付加価値化、社外パートナーとの連携を通じた新たな価値の創出、ICTを活用したバリューチェーンの革新などに取り組むとともに、今後想定される産業や社会システムの構造変化について機会とリスクを見極め、「ビジネスモデルの変革」などに対応する。
(ⅲ)経営基盤強化
財務健全性を確保するために、従来よりも利益、キャッシュ・フロー、資産効率性のバランスに配慮した事業運営を行う。また、新たな成長軌道を描くために、低成長・低収益事業の事業構造改革を推進する。
(2022年度の経営目標)
※事業利益は、IFRSに基づく営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出している。
⑤ 今後の見通し
短期的には世界が新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて取り組む中、生産活動・消費行動の停滞やサプライチェーンの分断により、今後の世界経済は後退が避けられない見通しである。経済が正常化する時期及び正常化までの過程については、新型コロナウイルスの収束時期に大きく左右され、その間、信用収縮の発生や倒産・失業の長期化でさらなる需要の落ち込みなど、世界経済の成長率が一段と低下する可能性もはらんでいる。各国政府・中央銀行が財政出動や金融緩和を実施しているが、金融・資本市場及び原油価格の変動が及ぼす影響等にも留意する必要がある。
中長期的には、新型コロナウイルスが収束した後に事業環境が変化する可能性も想定したうえで、高齢化、環境問題、技術イノベーション、コスト競争力を有する新興国企業の技術力の向上といった変化へ対応することが重要な課題と考えている。東レグループは、これら変化を新たな事業創出の機会と捉え、強みを活かして課題に取り組むことで持続的な成長を図り、ステークホルダーの信頼に応える経営を実践していく。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は「新しい価値の創造を通じて社会に貢献する」ことを企業理念として掲げ、これに基づき経営基本方針を以下のとおり定めている。
お客様のために 新しい価値と高い品質の製品とサービスを
社員のために 働きがいと公正な機会を
株主のために 誠実で信頼に応える経営を
社会のために 社会の一員として責任を果たし相互信頼と連携を
即ち、当社は、社会の中でお客様、社員、株主など数多くのステークホルダーによって支えられていることを認識し、それぞれに対して責任を果たし、広く社会に貢献することを経営の基本方針としている。
(2) 経営環境及び対処すべき課題等 ① 東レ理念 東レグループは、「企業は社会の公器である」との考えに基づき、企業理念「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の実現を目指して、革新的な先端材料と製品を生み出し、市場を開拓することで、新たな価値を創造し、事業を発展させてきた。 今後も「事業を通じた社会貢献」という創業以来の考え方を実践し、持続的成長を実現することを経営の基軸とする。 | ![]() |
② 東レグループ サステナビリティ・ビジョン(ビジョン)
人口増加、高齢化、気候変動、水不足、資源の枯渇など世界が直面する「発展」と「持続可能性」の両立をめぐる地球規模の課題に対し、革新技術・先端材料の提供によって、本質的なソリューションを提供していくことが東レグループの使命と考えている。「東レグループ サステナビリティ・ビジョン(ビジョン)」は、「2050年に向け東レグループが目指す世界」、その実現に向けた「東レグループが取り組む課題」及び「2030年度に向けた数値目標(KPI)」を定めている。これは、2020年5月に発表した、新たな長期経営ビジョン“TORAY VISION 2030(ビジョン 2030)”及び中期経営課題“プロジェクト AP-G 2022(AP-G 2022)”の基礎となるものである。
(2050年に向け東レグループが目指す世界と取り組む課題)

(2030年度に向けた数値目標)
2013年度実績(基準年度) (日本基準) | 2030年度目標(2013年度比) (IFRS) | |
グリーンイノベ―ション事業 売上高・売上収益 | 4,631億円 | 4倍 |
ライフイノベーション事業 売上高・売上収益 | 1,196億円 | 6倍 |
CO2削減貢献量 | 0.4億トン | 8倍 |
水処理貢献量 | 2,723万トン/日 | 3倍 |
GHG排出量の売上高・売上収益原単位 | 337トン/億円 | 30%削減 |
用水使用量の売上高・売上収益原単位 | 15,200トン/億円 | 30%削減 |
③ 長期経営ビジョン“TORAY VISION 2030(ビジョン 2030)”
東レグループの長期戦略は、「ビジョン」に示す「2050年に向け東レグループが目指す世界」の実現に向けて、そのマイルストーンとしての「2030年度に向けた数値目標」の達成を目指す。 次期10年の事業環境は、人口分布・環境問題・技術イノベーションなどで大きな変化が想定され、産業構造や社会システムの変化により事業機会が創出される一方で、これまで存在した事業が縮小するリスクもある。産業の潮流の変化を的確に捉えて、「ビジネスモデルの変革」を進めながら「持続的かつ健全な成長」を実現することを目標とする。 | ![]() |
④ 中期経営課題“プロジェクト AP-G 2022(AP-G 2022)”
「ビジョン」で示す「2050年に向け東レグループが目指す世界」及び“ビジョン 2030”に示す「持続的かつ健全な成長」の実現に向けて、中期経営課題“プロジェクト AP-G 2019”に掲げた「積極的な投資による事業拡大」という基本戦略を維持しつつ、その成長戦略を可能にするために、継続的なビジネスモデル革新やトータルコストダウンといった競争力強化と、投下資本効率や財務体質の面から成長投資を可能にする経営基盤強化を両輪で推進することで、東レグループ全体で中長期に創出する価値を最大化していく。
具体的には、次の3つの基本戦略を推進する。
(ⅰ)成長分野でのグローバルな拡大
地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決に貢献するグリーンイノベーション(GR)事業と、医療の充実と健康長寿、公衆衛生の普及促進に貢献するライフイノベーション(LI)事業を推進する。
東レグループの持つ先端材料やコア技術を活かして地球規模の社会的課題解決に貢献し、増加する需要を取り込むだけでなく、新たな需要を創出していくことにより事業を拡大する。
(ⅱ)競争力強化
トータルコストダウンを引き続き推進する。また、製品の高度化、製品とサービスの融合・組み合わせによる高付加価値化、社外パートナーとの連携を通じた新たな価値の創出、ICTを活用したバリューチェーンの革新などに取り組むとともに、今後想定される産業や社会システムの構造変化について機会とリスクを見極め、「ビジネスモデルの変革」などに対応する。
(ⅲ)経営基盤強化
財務健全性を確保するために、従来よりも利益、キャッシュ・フロー、資産効率性のバランスに配慮した事業運営を行う。また、新たな成長軌道を描くために、低成長・低収益事業の事業構造改革を推進する。
(2022年度の経営目標)
2019年度実績 (日本基準) | 2019年度実績 (IFRS・概算) | 2022年度目標 (IFRS) | |
売上高・売上収益 | 22,146億円 | 20,900億円 | 26,000億円 |
営業利益・事業利益※ | 1,312億円 | 1,250億円 | 1,800億円 |
営業利益率・事業利益率 | 5.9% | 6.0% | 6.9% |
ROA | 4.8% | 約5% | 約7% |
ROE | 5.0% | 約7% | 約9% |
フリー・キャッシュ・フロー (3年間累計) | △581億円 | ― | 1,200億円以上 |
D/Eレシオ | 0.86 | 0.9程度 | 0.8程度 (ガイドライン) |
配当性向目標 | ― | ― | 30%程度 |
※事業利益は、IFRSに基づく営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出している。
⑤ 今後の見通し
短期的には世界が新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて取り組む中、生産活動・消費行動の停滞やサプライチェーンの分断により、今後の世界経済は後退が避けられない見通しである。経済が正常化する時期及び正常化までの過程については、新型コロナウイルスの収束時期に大きく左右され、その間、信用収縮の発生や倒産・失業の長期化でさらなる需要の落ち込みなど、世界経済の成長率が一段と低下する可能性もはらんでいる。各国政府・中央銀行が財政出動や金融緩和を実施しているが、金融・資本市場及び原油価格の変動が及ぼす影響等にも留意する必要がある。
中長期的には、新型コロナウイルスが収束した後に事業環境が変化する可能性も想定したうえで、高齢化、環境問題、技術イノベーション、コスト競争力を有する新興国企業の技術力の向上といった変化へ対応することが重要な課題と考えている。東レグループは、これら変化を新たな事業創出の機会と捉え、強みを活かして課題に取り組むことで持続的な成長を図り、ステークホルダーの信頼に応える経営を実践していく。