有価証券報告書-第155期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 13:05
【資料】
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【項目】
115項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における世界経済は、先進国を中心に緩やかな回復基調が持続しましたが、英国のEU離脱問題及び米国での政権交代の影響による金融市場の変動や中国及び新興国の成長鈍化などにより、期を通じて先行き不透明な状況が続きました。国内は、雇用環境の着実な改善などにより緩やかな回復基調で推移しましたが、為替や資源価格の変動に加え、世界経済の先行きに対する懸念等もあり、力強さに欠ける状況が続きました。
当連結グループ事業の主要対象分野である自動車関連分野は、欧米及び中国市場での自動車販売が好調に推移したほか、国内では環境性能を重視したハイブリッド車などの販売が伸長し、総じて堅調に推移しました。IT・デジタル家電分野は、スマートフォンなどモバイル端末の需要が先進国市場を中心に低迷しましたが、液晶ディスプレイ関連では、4Kテレビの販売が国内で好調に推移し、市場成長を牽引しました。製パン・製菓関連分野は、安定した国内需要に支えられ、堅調に推移しました。
このような状況のなか、当社グループは、中期経営計画『STEP 3000-Ⅱ』で掲げた「売上高3,000億円のグッドカンパニー」の実現に向けて、成長戦略を加速させています。海外では、米国の高機能添加剤設備及びフランスのワンパック顆粒添加剤設備を増強しました。また、中国の艾迪科(上海)貿易有限公司は会社形態を投資性公司に変更し、「艾迪科(中国)投資有限公司」としました。さらに、樹脂添加剤など化学製品の新たな製造販売会社として「艾迪科精細化工(浙江)有限公司」を設立しました。このほか、ベトナムにホーチミン市駐在員事務所を設立するなど、事業規模拡大に向けた展開を積極的に行っています。国内では、食品事業において、関西圏のリテール市場に営業基盤を有する株式会社クラウンの株式を追加取得し、第2四半期連結会計期間より連結子会社化しました。なお、第3四半期連結会計期間より、化学製品の専門商社である昭和興産株式会社の株式を追加取得し、持分法適用会社としました。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は前連結会計年度に比べ6億93百万円(前連結会計年度比+0.3%)増収の2,234億40百万円となりました。営業利益は前連結会計年度に比べ17億40百万円(同+9.0%)増益の210億41百万円、経常利益は前連結会計年度に比べ22億76百万円(同+11.6%)増益の218億46百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ20億65百万円(同+15.6%)増益の153億25百万円となり、いずれも過去最高を更新しました。
<報告セグメントの概況>セグメントの概況は、以下の通りです。
(化学品事業)
①情報・電子化学品
光硬化樹脂や光重合開始剤は、光学フィルムやフォトレジスト向けの販売が国内外で堅調に推移しました。半導体材料は、3D-NANDに使われる製品の販売が堅調に推移しましたが、DRAM向け高誘電材料は低調でした。回路材料は、リードフレーム向けのエッチング薬剤が国内で堅調に推移しました。
情報・電子化学品全体では、前連結会計年度に比べ減収減益となりました。
②機能化学品
樹脂添加剤は、造核剤/透明化剤、光安定剤などの添加剤及び塩ビ向け安定剤の販売が国内外で伸長し、酸化防止剤や可塑剤の販売数量も海外を中心に増えましたが、円高による為替の影響を受けました。界面活性剤は、化粧品向けのグリコール系保湿剤や塗料・接着剤向けの反応性乳化剤が海外を中心に堅調に推移しました。潤滑油添加剤は、自動車エンジンオイル向けの添加剤が、国内外で好調に推移し、過去最高の販売数量となりました。機能性樹脂は、環境規制に対応した水系樹脂や自動車向け構造接着剤用の特殊エポキシ樹脂の販売が伸長しました。
機能化学品全体では、前連結会計年度に比べ減収増益となりました。
③基礎化学品
プロピレングリコール類は、トイレタリー等の日用品用途の需要が堅調に推移しました。過酸化水素は、販売数量が減少しましたが、液晶ディスプレイの電子回路用途などで同誘導品が拡大したことに加え、生産・物流効率などのコスト削減に継続して取り組みました。
基礎化学品全体では、前連結会計年度に比べ減収増益となりました。
以上の結果、当事業の売上高は前連結会計年度に比べ61億60百万円(同△4.0%)減収の1,476億69百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ12億1百万円(同+7.0%)増益の183億32百万円となりました。
(食品事業)
国内では、製パン、製菓、洋菓子向けにマーガリン、ショートニング類、ホイップクリーム等の販売が好調に推移したことに加え、株式会社クラウンの連結子会社化が寄与し、増収となりました。海外では、販売・開発体制の強化と現地ニーズにあった製品の開発などにより、中国、東南アジアでの販売が拡大しました。
以上の結果、当事業の売上高は前連結会計年度に比べ52億83百万円(同+8.6%)増収の664億3百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ6億17百万円(同+38.2%)増益の22億36百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末の資金残高に比べ7億81百万円(前連結会計年度末比+1.6%)増加し、507億62百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金収入は、前連結会計年度に比べ16億23百万円(同△6.8%)減少し、221億83百万円となりました。
これは主に、売上債権の増加によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金支出は、前連結会計年度に比べ59億93百万円(同+56.2%)増加し、166億66百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出の増加によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金支出は、前連結会計年度に比べ7億61百万円(同△16.7%)減少し、38億5百万円となりました。