有価証券報告書-第96期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 14:58
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当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度(以下、当期)の世界経済は、歴史に残る波乱の幕開けになりました。前半の約10か月については、米中の貿易摩擦の激化や英国のEU離脱問題、中東の地政学リスクの高まりにより景気は低迷しました。今年1月以降は、発生した新型コロナウイルスのパンデミックな感染拡大が引き金となり、世界中の経済活動がほぼ全面停止状態になりました。人・モノの動きの遮断は、自動車・航空・鉄道などのモビリティ分野、観光・宿泊、外食、小売・百貨店業界を直撃し、世界的にネットワークとサプライチェーンで繋がるあらゆるビジネスに大きな打撃を与えています。また、その流れを受け原油価格の歴史的な下落をまねく事態となっています。
このような状況のなか、当社グループの当期の業績は、売上高601,514百万円(前連結会計年度(以下、前年同期)比3.1%減)、営業利益26,014百万円(前年同期比27.8%減)、経常利益20,166百万円(前年同期比35.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益14,003百万円(前年同期比37.0%減)と減収・減益になりました。
四半期でまとめると、第3四半期までは自動車、エレクトロニクス分野の需要不振の影響を強く受けました。第4四半期になり主力事業の数量拡大による業績回復のモメンタムに転じましたが、新型コロナウイルス問題の発生がそのモメンタムを一時的に打ち消す形となっています。新型コロナウイルス問題の影響は全体として約30億円の利益押し下げ要因になりました。
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。
(Material Solutions Unit)
当セグメントの売上高は241,795百万円と前年同期比14,122百万円(5.5%減)の減収となり、営業利益は20,625百万円と前年同期比5,335百万円(20.6%減)の減益となりました。
塩化ビニル樹脂及び特殊塩ビ系樹脂は、国内向けが前年並みの出荷量に留まるなか、アジアを中心とした海外向け需要は活発で順調に販売を伸ばしましたが、新型コロナウイルス問題発生を機に輸出が停滞しました。2020年第1四半期もこの影響が続く見通しです。か性ソーダについては、中国経済の減速を背景としたアジア市況低迷が継続し、業績に大きな影響を与えました。
Performance Polymersのモディファイヤーは、世界経済減速の影響を受けるなかで、非塩ビ向けの拡販や大型新製品の開発・投入など高付加価値の新たな市場創出への取組みが進みましたが、新型コロナウイルス問題により販売減を余儀なくされました。2020年第1四半期も需要の一時的減少が継続する見通しです。エポキシマスターバッチは、自動車用構造接着剤やエレクトロニクス向けなど最先端の市場ニーズを捉えた用途開発が進み、フル生産・フル販売が続いています。本年7月に稼働する高砂の能力倍増設備を計画通りに立ち上げ、旺盛な需要に応えてまいります。次期増設についても早急に具体化します。
変成シリコーンポリマーは、ベルギーの能力増強設備も寄与して順調に販売が拡大しました。ニューフロンティアであるアジア市場の開拓も順調に進めていますが、第4四半期は新型コロナウイルス問題により中国向けの出荷が停滞しました。
カネカ生分解性ポリマーPHBH®は、G20など多数の国際会議や展示会、またBBCやCNNなど海外大手メディアで話題となっています。マイクロプラスチック問題や環境問題に関心の高い国内外の大手ブランドホルダーから引き合いが殺到し、多くの共同開発プロジェクトがスタートしています。高砂の5,000tプラントが完成し、大手コンビニ、食品メーカー、化粧品メーカーなど世界のブランドホルダーへの採用が順調に進んでいます。20,000t規模の量産プラント建設の準備を急ぎ、経営資源を重点投入しながら早期の事業拡大を目指しています。
(Quality of Life Solutions Unit)
当セグメントの売上高は154,837百万円と前年同期比1,837百万円(1.2%減)の減収となり、営業利益は14,189百万円と前年同期比903百万円(6.0%減)の減益となりました。
Performance Fibersについては、アフリカ市場の新規需要創出をめざしガーナに商品開発センターを設置しました。需要旺盛な撥水性ファイバーなど高機能、高付加価値商品に取り組み、マーケット密着型の販売を強化しています。第4四半期は、新型コロナウイルス問題により一時的にマレーシア工場の操業制限やアフリカ向けの出荷減を余儀なくされました。2020年第1四半期もこの影響が続く見通しです。
Foam & Residential Techsのスチレン系発泡樹脂および押出ボードについては、高断熱・高発泡などの新製品の投入や物流の合理化を進め、収益が増加しました。発泡ポリオレフィンについては、新型コロナウイルス問題による世界的な自動車減産の影響を受け、収益が低迷しました。自動車減産の影響は2020年第1四半期も継続する見通しです。
PV & Energy managementについては、高効率太陽電池の市場評価が高く、大手ハウスメーカー向けの販売が順調に拡大し、収益が大幅に改善しました。地球環境意識が高まるなか、自然再生エネルギーの最有力ソリューションとして太陽光発電システムが改めて注目されています。高効率品の供給能力をタイムリーに増強するとともに、大手建設会社との住宅・ビルのゼロエネルギー・マネジメント・システムの開発や大手自動車メーカーとの車載用シースルー太陽電池の開発に共同して取り組み、需要の拡大に応えてまいります。
E & I Technologyのポリイミドフィルムとグラファイトシートについては、スマートフォン市場の減速の影響を強く受けました。第4四半期には、新型コロナウイルス問題による中国などのサプライチェーンの停滞やマレーシア工場の操業制限の影響を受けました。2020年第1四半期にも同様の影響が続く見通しです。今後拡大が見込まれる有機ELディスプレイや5Gスマホ、自動運転システム向けセンサー素材など、市場での当社イノベーション技術への期待が高く、デジタル・トランスフォーメーションを支える独自の新製品の研究開発を加速させます。
(Health Care Solutions Unit)
当セグメントの売上高は46,352百万円と前年同期比1,090百万円(2.3%減)の減収となり、営業利益は8,917百万円と前年同期比1,666百万円(15.7%減)の減益となりました。
Medical Devices のカテーテルについては、昨年11月に発売した塞栓コイルなど新製品の顧客の評判が高く、販売が増加しました。今春には米国での販売を開始しました。ベトナム工場を増設し、薬剤塗布型バルーンカテーテル・血流測定機器など新規医療領域を積極的に拡大してまいります。また、欧米の医療機器会社との技術・資本提携を通じ事業の飛躍的拡大に取り組んでまいります。リクセルの新型コロナウイルス臨床試験研究が開始されました。当社の血液浄化技術を感染症対策に適用すべく研究領域を広げていきます。なお、計画していた技術導出は新型コロナウイルス問題の発生により合意が2020年第1四半期に遅延しました。
Pharmaについては、第4四半期に見込んでいた低分子医薬品のまとまった出荷が新型コロナウイルス問題の影響を受けて2020年第1四半期以降にずれ込みました。次年度は、大阪合成のAPI向けの能力増強やカネカユーロジェンテックのバイオ医薬品向けの能力増強が戦力化し、収益拡大が見込まれます。カネカユーロジェンテックにおいてはベルギー政府の緊急要請を受け、新型コロナウイルス検査試薬の供給を開始しました。また、アビガン原薬供給につき富士フイルムと合意しました。更にmRNAやプラスミドDNAなど最先端の高度技術を活用したワクチンの受託生産や抗ウイルス薬の開発に関する集中研究チームを立ち上げました。
(Nutrition Solutions Unit)
当セグメントの売上高は157,431百万円と前年同期比1,536百万円(1.0%減)の減収となり、営業利益は5,647百万円と前年同期比283百万円(4.8%減)の減益となりました。
Foods & Agrisについては、食パン向け販売は好調に推移しましたが、菓子パンやコンビニの不振の影響を受けました。第4四半期には、新型コロナウイルス問題からインバウンド・土産市場の悪化や休校による給食需要減等、厳しい環境となりましたが、一方では内食化が進み、冷凍食品・カップ麺需要が増加し、カネカサンスパイスの業績は過去最高を記録しました。SV全体としては業績は前年並みとなりました。また、乳製品事業の「パン好きの牛乳」シリーズは、市場で高評価を得て売上高が飛躍的に伸びています。今後、乳製品の本格的工場の建設を急ぎます。日本のパン文化の海外への移植を進めるべく建設しているインドネシア新工場が今夏にも稼働することから、アジアでの事業拡大に一層の弾みがつくものと考えています。
Supplemental Nutritionについては、還元型コエンザイムQ10の米国大手ブランドホルダー向けの出荷のずれ込みが生じました。昨年子会社化したスペインAB-Biotics社の乳酸菌は、販売好調な欧州に次いで米国、日本の販売を開始します。効果効能の科学的データの情報発信を強化する組織再編を行い、多用なサプリメントのブランド戦略を加速してまいります。また、消費者の健康意識が高まるなか、Foodsの乳製品事業とのシナジーを活かし、ヨーグルトなど美味しさと機能を両立させた食の展開も強化してまいります。
(その他)
当セグメントの売上高は1,097百万円と前年同期比943百万円(46.2%減)の減収となり、営業利益は547百万円と前年同期比917百万円(62.6%減)の減益となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度(百万円)前年同期比(%)
Material Solutions Unit221,789△8.3
Quality of Life Solutions Unit131,341△3.1
Health Care Solutions Unit50,586△1.1
Nutrition Solutions Unit80,787△4.4
その他--
合計484,503△5.6

(注) 1 生産金額は売価換算値で表示しております。
2 連結会社間の取引が複雑で、セグメント毎の生産高を正確に把握することが困難なため、概算値で表示しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
主として見込み生産であります。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度(百万円)前年同期比(%)
Material Solutions Unit241,795△5.5
Quality of Life Solutions Unit154,837△1.2
Health Care Solutions Unit46,352△2.3
Nutrition Solutions Unit157,431△1.0
その他1,097△46.2
合計601,514△3.1

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、売掛金や投資有価証券の減少等により前連結会計年度末に比べて6,325百万円減少し653,262百万円となりました。負債は、借入金の増加等により前連結会計年度末に対して306百万円増加し299,167百万円となりました。また、純資産は、その他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定の減少等により前連結会計年度末に対し6,631百万円減少し354,094百万円となりました。この結果、自己資本比率は50.7%となりました。
なお、ROA(総資産経常利益率)は3.1%となり前連結会計年度(4.8%)を下回りました。ROE(自己資本当期純利益率)は4.2%となり前連結会計年度(6.7%)を下回りました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ2,364百万円減少し、37,606百万円となりました。
区分毎の概況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、39,983百万円の収入(前期比1,130百万円減)となりました。税金等調整前当期純利益19,797百万円、減価償却費34,340百万円等による資金の増加と、仕入債務の減少11,120百万円、法人税等の支払額6,531百万円等による資金の減少がその主な内容です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、41,807百万円の支出(前期比5,421百万円減)となりました。有形固定資産の取得による支出42,977百万円等がその主な内容です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、479百万円の支出(前期比475百万円減)となりました。配当金の支払6,848百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出4,574百万円等による資金の減少と、借入による収入11,117百万円等による資金の増加がその主な内容です。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社は、付加価値のある新しい事業を生み出しポートフォリオの変革を実現することで成長を続ける研究開発型企業を目指しています。基盤事業により十分なキャッシュを確保し、新事業創出のための研究開発や設備投資資金に活用していくことを基本とし、更なる成長投資に必要な資金については、その目的・規模や金融環境に応じ最も適切な調達方法を採ることとしています。
資金需要に応じ有利かつ円滑な資金調達ができるよう信用格付の維持・向上や金融機関・資本市場との良好な関係維持に努めるとともに、緊急な資金需要に備え融資枠や社債発行登録枠の設定を含め十分な手元流動性を確保しています。また、資金調達の方法については、自己資本など財務の安全性を確保しながら、資本効率の向上につながる資本・負債構成を考慮し、社債や借入金のいわゆる負債による資金調達を実施しています。
株主還元については、毎期の業績、中長期の収益動向、投資計画、財務状況を総合的に勘案し、連結配当性向30%を目安に、自己株式の取得も状況に応じ機動的に実施し、安定的に継続することを基本方針としています。
(4) 重要な会計上の見積り及び当期見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(a)減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画を基礎として、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。中期経営計画の見積期間を超える期間の将来キャッシュ・フローは、中期経営計画を基礎として、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえた一定の仮定をおいて見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。
(b)棚卸資産の評価
棚卸資産は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、正味売却価額が帳簿価額よりも下回っている場合は、帳簿価額を正味売却価額まで切り下げております。入庫日から1年超経過している棚卸資産については、需要予測等に基づく収益性の低下の事実を反映するように、個別に回収可能性を見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する棚卸資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(c)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、将来減算一時差異に対する将来の課税所得等に関する予測に基づいております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(d)退職給付債務の算定
確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率等の計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係) 2 確定給付制度 (9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。

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