有価証券報告書-第103期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/25 11:01
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[戦略]
世界共通で喫緊の課題である気候変動への対応として、当社グループではこれまでレスポンシブル・ケア活動の目標の一つに温室効果ガスの排出量削減を掲げ、省エネルギーに努めてきました。
2015年にパリ協定が採択され、2020年10月の政府による2050年カーボンニュートラル宣言、および2021年4月に表明された新たな温室効果ガス削減目標を受け、2022年4月、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、当社グループとして2050年のカーボンニュートラルの達成を目指して目標を設定しています。
また、気候変動に大きく影響する自然資本(生物多様性・水など)の保全に取り組む「自然関連財務情報開示タスクフォース (TNFD)」提言に賛同し、2025年1月にTNFDフォーラムへ参画しました。
当社グループは、「NOF VISION 2030」に掲げる豊かで持続可能な社会の実現に向けて、化学の力で新たな価値を協創し、TCFDおよびTNFDの両提言を踏まえて、気候関連および自然関連のリスク低減と成長機会の創出に努めるとともに、情報開示の拡充に取り組んでいきます。
TNFDが推奨するLEAPアプローチに基づき、当社グループの自然資本関連課題を分析・評価しました。
ⅰ)Scoping「分析対象範囲の設定」、ⅱ)Locate「自然との関連性の把握(優先地域の特定)」およびⅲ)Evaluate「自然への依存と影響の診断」を実施しました。
ⅰ)Scoping「分析対象範囲の設定」では、自然資本との関連を分析する対象範囲として、バリューチェーン上流においては、事業規模と自然への依存度・影響度の大きさを踏まえ、機能食品事業と機能材料事業が使用する「動植物由来原料産地」および当社グループにおいては、「すべての生産拠点」を分析対象としました。
ⅱ)Locateによる優先地域は、原料産地としては、パームを栽培するインドネシアとマレーシア、大豆を栽培するブラジル、牛・豚の産地である日本、乳製品の産地であるニュージーランドと特定しました。生産拠点としては、動植物原料を使用する日本であり、具体的には、機能食品事業の川崎事業所・大師工場と機能材料事業の尼崎工場と特定しました。
ⅲ)Evaluate「自然への依存と影響の診断」では、ⅱ)Locateで優先地域となった、川崎事業所・大師工場と尼崎工場の各々の事業である機能食品事業と機能材料事業のバリューチェーン全体では特に「水」に関わる依存と影響が高いことがわかりました。継続して水の使用量削減、水質の維持に努めます。

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ⅲ)Evaluateによる「自然への依存と影響とバリューチェーンとの関係」
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前述のⅱ)Locate「優先地域の特定」およびⅲ)Evaluate「自然への依存と影響の診断」の結果を踏まえ、 気候変動シナリオに基づき、当社グループのリスク・機会を特定・評価しました。脱炭素社会への移行を実現しうる1.5℃・2℃シナリオと気候変動が進展する4℃シナリオに基づき、気候変動がもたらす移行リスクや物理リスク、および機会を次のように特定しています。
1.5℃・2℃シナリオにおける移行リスクとして特定した国内外の規制強化に対し、温室効果ガス排出削減に向けた取り組みのさらなる推進を計画しています。また、石油等の供給量の減少やバイオ燃料の需要増による原材料の高騰に対しては、バイオマス化学品の活用など、石化系原料から植物系原料への切り替えを検討しています。なお、移行リスクにつきましてはワーストシナリオになる温度で評価しています。
4℃シナリオにおける物理リスクとして、気候変動に伴う豪雨や台風・干ばつなどの自然災害による生産拠点やバリューチェーンへの特に「水」に関わる影響が、気候関連のリスクと機会が集中している部分と捉えて、解析しています。また、生産拠点の生産活動の維持のため、防災対策を強化しています。
また、機会では、気候変動の緩和や適応に貢献する環境貢献関連製品へのニーズが高まり、売上が増加すると認識しています。
気候変動の緩和に貢献する製品において、高まるニーズには以下のようなものが見込まれています。
・EV(電気自動車)の普及に伴う電子部品(受動部品)・電動ユニット・ボルト/ナットの増加や液晶パネルの増加・大型化に伴う、車載電子部品用添加剤・電動ユニット用潤滑剤・防錆剤・液晶カラーフィルター用オーバーコート材のニーズ、さらに、省電力化に有効とされるLEDヘッドランプ用防曇剤のニーズ。加えて、EVは車両の静粛性が向上するため、樹脂部品の擦れによるノイズを防ぐ異音防止剤などの樹脂用添加剤のニーズ。
・再生可能エネルギーの拡大によって、風力発電のブレードに使用されるボルト用防錆剤、ギアに必要な生分解性潤滑油のニーズのほか、風力・太陽光発電設備から送電するための超高圧・高圧電線の被覆材として用いられる架橋ポリエチレン用有機過酸化物のニーズ。
・その他、環境負荷を低減する植物由来の代替肉の旨味・食感改善に寄与する代替肉用油脂や、省エネルギー住宅の普及に伴う断熱性の高い樹脂サッシ用の有機過酸化物のニーズ。
一方、気候変動の適応に貢献する製品において、高まるニーズには以下のようなものが見込まれます。
・気温上昇により、冷蔵庫やエアコンの必要性が途上国を含めグローバルに高まっており、冷凍機の潤滑油である冷凍機油やエアコンパテ用ポリブデンのニーズ。当社グループの冷凍機用潤滑基材は代替フロン冷媒用であり、気候変動への適応に貢献します。
・熱帯性感染症の拡大が懸念されるため、感染症対策の消毒液、診断薬用の添加剤、病気や疾患の回復に向けた医薬品原料のニーズ。
・気候変動に対して地球全域を調査する必要性が高まるため、海洋探査機器の投入やロケット打ち上げの回数が増加する可能性、特定温度に達すると変色する温度管理用示温材(ラベルやシール等)の用途が拡大する可能性、高潮を防ぐ堤防工事において山間部から岩石や土砂を調達するために産業用爆薬を用いる機会が増える可能性などのニーズ。
電気自動車や再生可能エネルギーなどの脱炭素市場への対応により、既存分野での売上減少や一部原材料の使用による評判低下のリスクを伴う可能性がありますが、長期的には以下の機会をもたらします。
・ 売上の増加:環境保全への消費者の関心が高まることにより、環境保全に貢献する製品のニーズが高まり、売上が増加。
・ 評判の向上:積極的な気候変動・排出管理の対策、環境保全に貢献する製品の開発により、長期的には評価・評判は向上し、株価も上昇。
当社グループは、カーボンニュートラルに向けた、温室効果ガス排出量削減の中長期計画と、それを達成するための設備・技術・プロセスの投入計画を合わせたロードマップを作成しています。
また、当社グループはScope1、2の温室効果ガス排出量を算定しております。
それぞれの詳細は、本「①気候変動への対応」の[指標・目標]をご参照ください。
LEAPアプローチに基づいた当社グループの自然資本関連課題を分析・評価した詳細は当社のサステナビリティ報告書をご参照ください。
参照先:ホームページ(TOP ⦆ サステナビリティ ⦆ ダウンロード /サステナビリティ報告書 ⦆ 日油サステナビリティ報告書2025/RC(レスポンシブル・ケア)[環境・ケミカルセーフティ]⦆「気候変動への対応・自然資本の保全 | TCFD・TNFD提言に沿った情報開示」)(2026年9月末更新予定)
https://www.nof.co.jp/csr/download/sustainability-report/
リスクと機会の評価
分類要因バリューチェーン主要な
リスク・
機会
概要影響度対策
2023-
2025年
2030
2050
移行リスク 1.5℃
2℃シナリオ
政策

法規制
自社
製造
環境法[炭素税、プラスチック税等]規制による製造コストの増加、製品の売上減少・炭素税や再生・バイオプラスチックへの切り替えといった対応コストにより、製造コストが増加する
・取水規制や新しい排出規制の導入により、従来の製品の製造が不可能となり、売上が減少する
リスク
影響
金額
-●以下の取り組みの推進
・温室効果ガス排出量削減
・取水削減、取水効率化
・廃棄物削減
・汚染物質削減
・プラスチック使用量の削減
●再生プラスチック・バイオマスプラスチックへの切り替え
自社
製造
環境関連訴訟による損害賠償、操業停止による売上減少、株価下落・地盤沈下のような環境関連の訴訟による多額の損害賠償が発生するほか、長期にわたる操業停止により売上が減少する、株価が下落する-●以下の取り組みの推進
・温室効果ガス排出量削減
・取水削減、取水効率化
・廃棄物削減
・汚染物質削減
・プラスチック使用量の削減
●積極的な環境配慮の推進と情報発信
政策

法規制
原料燃料
の高騰
上流
栽培

畜産
環境法[メタン排出、排水規制等]規制による栽培・生産コストの増加による調達コストの増加・家畜からのメタン排出、農地開発、農薬・肥料使用による水・土汚染への対応コストにより原材料価格が高騰し、調達コストが増加する[IPR Forecast Policy Scenario(FPS)+Natureのシナリオによる予測]-●リスクが低い油種への切り替え
●複数購買や長期契約による原料安定確保
上流
加工
環境法[飲料容器税、包装物税等]規制による調達コストの増加、製造中断による売上の減少・法規制強化への対応コストにより原材料価格が高騰し、調達コストが増加する
・取水や排出の規制により生産工場の操業が中断し、売上が減少する
-●以下の取り組みの推進
・温室効果ガス排出量削減
・取水削減、取水効率化
・廃棄物削減
・汚染物質削減
・プラスチック使用量の削減
●再生プラスチック・バイオマスプラスチックへの切り替え
上流
輸入
環境法[SOx規制等]規制による流通コストの増加・法規制強化への対応コストが価格に上乗せされ、流通コストが増加する-●共同配送、モーダルシフトの推進
原材燃料の高騰上流
栽培

畜産
原材料価格高騰による調達コストの増加・石油などの供給量減少やバイオ燃料の需要増などによる、石化系や植物系・動物系油脂などの原材料価格が高騰する-●複数購買や長期契約による原料安定確保
●石化系の原料から植物系の原料への切り替え
●バイオマス化学品活用
●カーボンリサイクル(溶剤のリサイクルなど)
上流
輸入
自社
製造
原油・天然ガスの価格高騰によるエネルギー・輸送コストの増加・原油・天然ガスの価格高騰により、エネルギーコストや輸送コストが増加する-●省エネ機器導入、プロセス見直し
●共同配送、モーダルシフトの推進
ステーク
ホルダー
からの
評価

評判
上流
栽培・畜産
一部原材料の使用による評判の悪化、株価下落・違法栽培のパーム油ほか自然資本への悪影響がある原材料を使用することで、自社の評判が悪化する、株価が下落する●持続可能なパーム油の調達
●規制リスクの低い調達先・取引先の選定
自社ESG投資の遅れによる評価・評判の悪化・気候変動・自然への対応の遅れにより、ESG投資における投資家からの評価や、顧客からの評判が悪化する-●環境保全に貢献する製品の開発・提供
●積極的な環境配慮の推進と情報発信
市場下流
製品
脱炭素市場の転換による販売先環境変化・ガソリン車やディーゼル車のシェア低下に伴う売上の減少-●電気自動車や再生可能エネルギーなどの脱炭素市場への対応強化

分類要因バリューチェーン主要なリスク・
機会
概要影響度対策
2023-
2025年
2030年2050年
物理リスク 4℃シナリオ異常気象上流
栽培

畜産
加工
生態系サービスの劣化による栽培・生産コスト、調達コストの増加・受粉サービスや土壌の質および水循環の維持など、生態系サービスの劣化に伴うパーム油や菜種油の高騰により調達コストが増加し、売上が減少する
・水不足、病害虫被害により、原材料の調達不安定化や高騰が発生し、調達コストが増加する






●リスクが低い油種への切り替え
●原産地のリスクを踏まえた調達先・取引先の選定(トレーサビリティの確保)
●複数購買や長期契約による原料安定確保
上流
輸入
自社
製造
風水害に伴う生産拠点やサプライチェーンへの被害による売上の減少・豪雨、洪水、高潮などの浸水被害により、工場の修理コストの発生や操業の中断もしくは生産能力の低下が生じ、売上が減少する-●雨水対策や建物、設備の防災対策
●原材料の複数購買
●事業継続計画(BCP)の見直しと教育・訓練、監査の実施
自社
製造
生態系サービスの劣化に伴う設備コスト増加、製造中断による売上の減少・水不足により生産活動の中断または生産能力の低下が生じ、売上が減少する-●高リスク拠点における水使用量削減、水使用効率化
●生産拠点の製造品目の多様化(代替製造への備え)
自社高温・熱波による保管コストの増加・気温上昇により倉庫の冷蔵・冷房保管などへの影響が生じる-●設備投資計画の継続的な見直し
機会資源効率自社
製造
資源効率の上昇による製造コストの減少・水、エネルギー、廃棄物の削減など、製造時の資源効率性の向上が、環境負荷の低減やコスト削減につながる
・社会の低炭素化とインフラ整備の推進が、再エネ化によるコスト削減や、補助金や税優遇によるコスト削減につながる
機会
影響
金額
-●以下の取り組みの推進
・温室効果ガスの排出量削減水使用量削減、水使用量効率化
・廃棄物削減
・プラスチック使用量の削減
資金
フロー・
資金調達
自社資金調達方法の多様化・サステナブルファイナンスなどの環境関連の資金調達が活発化し、環境負荷の低い設備への更新費用や環境配慮型製品の開発費用について、グリーンボンドやグリーンローンなど、調達方法の選択肢が増える-●ポジティブ・インパクト・ファイナンスなどの活用
評判自社評価・評判の向上、株価の上昇・積極的な気候変動対策、排出管理対策、環境保全に貢献する製品の開発・提供により、ESG投資における投資家からの評価や顧客からの評判が向上する、株価が上昇する-●環境保全に貢献する製品の開発・提供
●積極的な環境配慮の推進と情報発信
市場下流
製品
環境保全に貢献する製品へのニーズ拡大による売上の増加・気候変動、水質汚濁、大気汚染、森林破壊防止に対する消費者の関心が高まり、環境保全に貢献する製品のニーズが高まることにより売上が増加する機会
市場
金額
-●環境保全に貢献する製品の開発・提供

(注)・1.5℃・2℃シナリオ:産業革命以前と比較して、気温上昇を1.5℃や2℃に抑えるために、必要な対策が実施されると想定した脱炭素シナリオ(国際エネルギー機関(IEA)「2050年ゼロエミッションシナリオ(NZE2050)」、「公表政策シナリオ(STEPS)」等)
・4℃シナリオ:産業革命以前と比較して、21世紀末に世界の平均気温が4℃上昇する、気候変動が進行した成り行きシナリオ(国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「RCP8.5」等)
・影響度:
「リスク」影響金額・・・・10億円超(大)、10億円以下・1億円超(中)、1億円以下(小)
「機会」影響金額・・・・・10億円超(大)、10億円以下・1億円超(中)
「機会」市場規模・・・・ 300億円超(大)、300億円以下・30億円超(中)、30億円以下(小)
財務へのインパクト(抜粋)
当社グループでは、製造工程を中心に蒸気、電気などのエネルギーを消費します。気候変動がもたらす移行リスクとして、炭素税の税率上昇と再エネ賦課金※1の単価上昇による財務負担の増加が想定され、影響金額は合わせて33億円程度と試算しています。また、4℃の物理リスクとして500年から数千年に一度の台風により堤防が破壊し、臨海部の工場が浸水した場合の設備被害は77億円と想定し、事業継続計画を整備しています。
分類シナリオリスクリスクの内容影響 (億円)備考
[基準年度]
金額
[最終年度]
金額
増加金額設備被害金額
移行リスク1.5
炭素税増税による
財務負担
[2020]
0.5
[2030]
31.6
31-国内グループ※2
2020年度のCO2換算排出量で、2030年度の炭素 価格を20,000円/トンCO2とする。 (Scope1+2)
再エネ
賦課金※1
エネルギーコストの増加[2023]
3.8
[2050]
5.2
1.4-国内グループ※2
2020年度の電力使用量で、2030年度の再エネ賦課金単価を4.1円/kWhとする。
物理リスク4℃高潮高潮による設備の浸水[2020]
0
[2050]
77
-77当社
500~数千年に一度の台風、堤防破壊による設備被 害額を試算した。

※1:再生可能エネルギー発電促進賦課金
※2:当社単体および日本国内連結対象子会社12社

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