有価証券報告書-第117期(2022/01/01-2022/12/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)会社の経営基本方針
当社グループは、「豊かな共生世界の実現」をパーパス(社会における存在意義)に掲げ、生活者・顧客の立場にたって、心をこめた“ESG視点でのよきモノづくり”を行い、世界中の人々のこころ豊かな未来と、人と地球が共に生きる持続可能な共生世界の実現に貢献することを目指しています。
私たちは、企業理念である「花王ウェイ」をグループ全員で共有し、考え方や行動の拠り所として日々実践し、清潔・美・健康の領域を中心に、時代の変化に対応しながら130年余り事業を展開してきました。
2009年には、人類だけでなく自然界にもよき存在であるようにと「環境宣言」を行い、自然と調和するこころ豊かな毎日を目指して、その歩みをさらに一歩進めました。2019年には新たなESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(以下、KLP)を発表し、ESGを経営の根幹に据えることを宣言しました。
しかし今、私たちが使命に掲げる「豊かな共生世界」を実現するための土台である人の生命に危機が及んでいます。そして今後もその脅威は、私たちの生活を根幹から脅かす存在であり続けることが予想されます。
このような中、私たちはこの切実な社会的課題に花王らしいアプローチで取り組んで行きます。生活や生態に加え、人の生命を守ることを強く意識し、未来のいのちを守る会社になっていきます。「きれいを こころに 未来に」を新しいコーポレートスローガンに掲げ、地球が生きる場として持続的にきれいに保たれること、社会が持続的に豊かであること、そして人が危害から守られて笑顔で暮らせること、これらすべてを実現するために貢献していきます。
結果として、これらが財務的な成果、そしてステークホルダーへの還元へと繋がり、この仕組み自体が持続していきます。今後も花王グループは、より高いレベルでの企業価値向上を目指していきます。
(2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
① 長期経営戦略
当社グループは2030年までにあるべき姿として、持続的な利益ある成長と社会のサステナビリティへの貢献との両立によって、これまでの『グローバルで存在感のある会社「Kao」』になるという将来像をさらに一歩進め、『グローバルで存在価値のある企業「Kao」』を目指します。ESGを通じて将来にわたって、人・社会・地球にとって価値のある存在になっていきます。
私たちは、環境(E)においては、ゼロ浪費、カーボンゼロ、さらにその先のカーボンネガティブを目指します。社会(S)においては、無駄な消費がなくなることを願い、その人に寄り添った唯一無二のパーソナライズを進めていきます。そして、ガバナンス(G)をしっかりと効かせながら、志を共にする仲間と共に正道を歩んでいきます。最小限の資源で最大の価値を生み出す、"Maximum with minimum"を経営の指針として、より良い明日をつくるために今後も我々は成長し続けます。
グローバルで存在価値のある企業「Kao」
■持続可能な社会に欠かせない企業
■高社会貢献&高収益グローバル企業
■ステークホルダーへの成長レベル還元
2030年財務目標(結果として)
・売上高 2兆5,000億円
・営業利益 4,000億円
・連続増配継続 41期
② 中期経営計画
2021年から2025年までの5年間は、2030年までにあるべき姿を実現させていくための礎となる重要な期間です。そのために花王グループ中期経営計画「K25」では、Vision(ビジョン)を「持続可能で豊かな社会への道を歩む Sustainability as the only path」と定め、3つの目的を掲げます。
持続可能な社会に欠かせない企業になるためには、2019年に発表した新ESG戦略 KLPを積極的に進め、無駄なモノは極力つくらないサステナブルな自走社会をリードしていかなければなりません。そして、KLPに関する投資を必ず財務的な成果「未来財務」に繋げていきます。
投資して強くなる事業への変革については、「Another Kao(もうひとつの花王)」を始動しています。私たちは、切実な悩みを抱える生活者のために、これまで培ってきた技術や知見、デジタルトランスフォーメーション(DX)を最大限に活用し、「未来のいのちを守る」新たな事業を生み出します。同時にその基盤となる従来の事業に新しい力を加え、「Reborn Kao(基盤花王)」として再活性化させます。
そして、これら2つの目的を達成するためには社員の活力は欠かせません。3つ目の社員活力の最大化については、社員一人ひとりが自ら掲げる大きな挑戦を最大化できるように新たな目標管理制度「OKR(Objectives and Key Results)」を導入しています。さらには、社外からの人財登用を積極的に行うと共に社外との協業も進めています。
これら3つの目的を達成することで、結果として、売上・利益は過去最高(売上高 1兆8,000億円、営業利益 2,500億円、EVA 1,000億円、連続増配 36期)を達成し、社員、消費者・顧客、取引先、株主等会社を取り巻く多くのステークホルダーに成長に見合う高レベルの還元を目指していきます。
これからも花王グループは、「花王ウェイ」に掲げる「正道を歩む」を実践しながら、より良い明日をつくるために同じ志をもつステークホルダーと共に、これらの目標を実現させていきます。
花王グループ中期経営計画「K25」
■Vision(ビジョン)
持続可能で豊かな社会への道を歩む Sustainability as the only path
■コーポレートスローガン
きれいを こころに 未来に
■方針(目的)及び主な進捗状況
目的(1)持続可能な社会に欠かせない企業になる
[目標]
サステナブル自走社会をリードする:ESG投資=未来財務
[主要成果]
・カーボンリサイクル(炭酸ガスを原料に転換する)
・ポジティブリサイクル(資源の再利用により新事業を創造する)
・ストップパンデミック(感染症対策・予防領域を強化する)
[主な進捗状況]
環境問題や人権問題等、多くの社会課題は、それぞれが深く関わり合っており、ひとつのターゲットだけを狙っていては解決しない複雑さを持っています。当社は、このターゲット間の関連性を解き明かし、適切なビジネスモデルをデザインすることで、同時に複数の課題の解決を後押しできると考えています。これが、持続可能な社会への貢献と企業価値向上を両立させるために、当社が目指すビジネスモデルの基本的な考え方です。
■プレシジョン・ライフケア
プレシジョン・ライフケアとは、当社が提唱する、健康課題に対し、その原因を精確に同定もしくは推定し、さまざまな角度から適切なソリューションを提供する取り組みです。株式会社アイスタイルと皮脂RNAモニタリングを用いて自分の肌に合う化粧品を選べる仕組みの開発、株式会社NTTドコモと仮想人体生成モデルを用いた一人ひとりに最適なヘルスケアソリューションの開発、そして株式会社ミルボンと美容室でのビューティヘルスケアサービスの確立に向けた3つの共同取り組みを開始しました。今後もさらに多くのパートナー企業との共創と社会実装・事業化を進めていく予定です。
■蚊の忌避剤
タイにおいて、安全かつ心地よい使用感により、日々の生活の中で蚊から肌を守る「ビオレガード モスブロックセラム」を発売すると共に、幅広い官学民パートナーとの協業を通じてデング熱被害の低減を目指す「GUARD OUR FUTURE」プロジェクトを開始しました。タイのお客様から喜びの声をいただいたことに加え、日本でも話題となりました。今後、多くの方にお使いいただけるよう、使い方や使用場面の幅を広げるための商品仕様バリエーションの拡充を図ります。また、タイ以外のエリアにも活動を拡大するため、パートナーと協力しながら、国ごとに異なる関連規制への迅速な対応に取り組んでいきます。
■ケミカル関連の新規事業 廃PET活用高耐久アスファルト改質剤は、2021年にウエルシア薬局株式会社の運営する新店舗駐車場に採用されたことが反響を呼び、他の小売店舗への施工に加え、高速道路パーキングエリアや物流会社集配拠点への採用が増加し、社会実装が着実に進みました。一般道路への活用については、静岡県磐田市の協力のもと施工及び耐久性評価を進めています。使用量拡大に対応するために、リサイクルシステムが確立している飲料の廃PETではなく、現在焼却処分されている工業用途の廃PETフィルムのリサイクルシステム確立を目指し、廃PET排出企業や地方自治体との協業を進めると共に、高速道路や一般道路へ広く展開するための舗装会社との協業を推進していきます。海外展開の検討も進めており、グローバルでの貢献を目指します。
目的(2)投資して強くなる事業への変革
[目標]
もうひとつの花王始動と基盤花王を強くする:“未来のいのちを守る”を軸とするグローバル躍進
[主要成果]
・新事業:プレシジョン・ライフケア関連事業の始動
・既存事業:高収益コア事業への抜本改革
[主な進捗状況]
世界が急速に変化する中、花王グループは、経営の安定性と飛躍的な発展を両立するためには、既存事業の拡充に専念するだけでなく、ビジネスモデルを大きく転換する新たな事業の創出が不可欠だと考えています。「K25」では、既存事業の再生(Reborn Kao)と、これまでの花王スタイルとは異なる新事業の創成(Another Kao)の両輪で、投資して強くなる事業への変革を進めています。
■Reborn Kao:経営戦略に基づく3領域資本配分
成長戦略における役割に基づき、事業を「安定収益領域」「成長ドライバー領域」「事業変革領域」の3つに区分し、経営戦略としてメリハリを利かせた資本配分を行うと共に、各事業戦略においても区分を強く意識した議論や意思決定を行っています。そのために、事業別ROIC等の指標を活用しながら、企業全体のEVA向上との関係を明確化すると共に、成長ドライバー領域の化粧品事業、ケミカル事業、スキンケア事業、業務用衛生品事業の4事業に引き続き投資を集中し、既存事業の高収益事業への早期転換を進めています。
■Another Kao:新事業の創成
Another Kaoとして、今までの花王グループではできていなかった新事業や新ビジネスモデルへの挑戦を進めています。例えば、ヘルスケア領域では、2022年にタイで発売を開始した蚊の忌避剤、2023年から事業化予定の皮脂RNAモニタリング技術を活用した郵送検査サービスやB2B衛生ソリューションサービス等に取り組んでいます。第一三共ヘルスケア株式会社とのOTC医薬品共同開発にも着手しました。デジタル領域では、株式会社Preferred Networksとの共創による仮想人体生成モデル※等を活用した事業化を進めています。そして、廃PET活用高耐久アスファルト改質剤のような、サーキュラーエコノミー領域での事業拡大や新事業も見据えた検討を進めています。
※仮想人体生成モデル:健康診断等で得られる身体に関する項目から、ライフスタイル(食事、運動、睡眠等)や性格傾向、嗜好性、ストレス状態、月経等の日常生活において関心の高い項目まで、幅広く多種多様な1,600以上の項目を網羅的に備え、これらがどのようなパターンで現れるのかを示すことができる統計モデル
目的(3)社員活力の最大化
[目標]
活動生産性2倍:挑戦の見える化とオープンイノベーション
[主要成果]
・OKR(Objectives and Key Results)の導入(挑戦と貢献度に応じたフェアな報酬)
・専門人財の積極的な活用と共創
・デジタルを活用した生産性向上(2023年完了)
[主な進捗状況]
企業が強くなるためには、ワクワクした社員の活力は欠かせません。花王グループは、多様な人財の一人ひとりが大きな志を持ち、互いを尊重し高め合いながら、ひたむきに挑戦をしていく組織を目指しています。
■社員活力最大化に向けた人財施策
2021年より、社員の挑戦を促す新しい人財活性化制度Objectives and Key Results (OKR)や社員からの新規アイデア公募制度0★1(ゼロワン)Kaoプログラムを導入し、チャレンジする組織風土の醸成・強化に取り組んでいます。各職場ではOKRが共通言語となり、部門を超えた連携や活発な意見交換、新たな提案が行われています。社員エンゲージメントサーベイでは、国内の80%の社員が挑戦を意識した目標設定をしていると回答しています。0★1Kaoにおいては2022年12月末までに90件の提案が行われ、うち23件が実現化に向けた検討を開始しています。海外におけるOKRの導入とこれに連動した評価制度の改定については、各国各社の状況にあわせて拡大を進めています。今後は、社員一人ひとりの挑戦を支援し最大値を引き出すマネジャーの育成、多様なチャレンジを認める評価制度への信頼性向上、そして、そのために不可欠な対話の促進に取り組んでいきます。
③ 目標とする経営指標
当社グループは、投下資本のコストを考慮した真の利益を表すEVAを経営の主指標としています。その本質は、株主等の資金提供者の視点を持って、資本を効率的に活用し利益を生み出すことにあります。EVAを継続的に増加させていくことが企業価値の増大につながり、株主だけでなく全てのステークホルダーの長期的な利益とも合致するものと考えています。そして事業規模の拡大を図りながら、EVAを増加させることを事業活動の目標としており、個別事業の評価、設備や買収等の投資評価、年度ごとの業績管理や報酬制度等に活用しています。
(3)会社の対処すべき課題
気候変動、水や森林資源の枯渇等の環境問題及び人権問題、高齢化社会の進行等の社会問題はますます深刻化しています。加えて、新型コロナウイルス感染症の長期化により、世界の人々の意識や生活様式は変容し、花王グループの事業を取り巻く市場構造にも大きな変化が生じました。また、当期は、原材料価格の高騰や物流費の上昇、国際社会の多軸化・分断化に伴う地政学的リスクの増大等があり、経営環境も不透明な状況が続きました。
このような変化の中で、花王グループは、社会課題の解決に軸足を据えて、環境に負の影響を与える既存の大量生産・大量消費型のビジネスから脱却し、無駄なモノはつくらず、お客様に長く愛される魅力ある商品を生み続ける循環型モデルへ転換しなければなりません。そして、中期経営計画「K25」はこの目指すモデルを実現するための事業基盤を構築する大変重要な計画です。
花王グループはこの「K25」を達成するために、DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じたお客様との絆づくりを進め、届けるべき価値から逆算したゴール志向の新しい商品開発プロセスへの革新を進めています。また、投資効率を重視し、優先順位を明確にしながら、ESGを中心に据えた経営方針及び経営戦略に合致する戦略的投資、M&Aをスピード感をもって実行していきます。そのために、これまで強みとしてきたマトリックス型の運営を進化させて、適宜必要な当事者が果敢に判断を行っていくスクラム型の意思決定体制への改革を進めています。
さらに、花王グループの活動を客観的な視点から検証し、多様な視点で議論を行うガバナンス体制、またコンプライアンスやリスク・危機管理視点も踏まえた内部統制システムのさらなる強化も引き続きしっかりと取り組んでまいります。
(1)会社の経営基本方針
当社グループは、「豊かな共生世界の実現」をパーパス(社会における存在意義)に掲げ、生活者・顧客の立場にたって、心をこめた“ESG視点でのよきモノづくり”を行い、世界中の人々のこころ豊かな未来と、人と地球が共に生きる持続可能な共生世界の実現に貢献することを目指しています。
私たちは、企業理念である「花王ウェイ」をグループ全員で共有し、考え方や行動の拠り所として日々実践し、清潔・美・健康の領域を中心に、時代の変化に対応しながら130年余り事業を展開してきました。
2009年には、人類だけでなく自然界にもよき存在であるようにと「環境宣言」を行い、自然と調和するこころ豊かな毎日を目指して、その歩みをさらに一歩進めました。2019年には新たなESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(以下、KLP)を発表し、ESGを経営の根幹に据えることを宣言しました。
しかし今、私たちが使命に掲げる「豊かな共生世界」を実現するための土台である人の生命に危機が及んでいます。そして今後もその脅威は、私たちの生活を根幹から脅かす存在であり続けることが予想されます。
このような中、私たちはこの切実な社会的課題に花王らしいアプローチで取り組んで行きます。生活や生態に加え、人の生命を守ることを強く意識し、未来のいのちを守る会社になっていきます。「きれいを こころに 未来に」を新しいコーポレートスローガンに掲げ、地球が生きる場として持続的にきれいに保たれること、社会が持続的に豊かであること、そして人が危害から守られて笑顔で暮らせること、これらすべてを実現するために貢献していきます。
結果として、これらが財務的な成果、そしてステークホルダーへの還元へと繋がり、この仕組み自体が持続していきます。今後も花王グループは、より高いレベルでの企業価値向上を目指していきます。
(2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
① 長期経営戦略
当社グループは2030年までにあるべき姿として、持続的な利益ある成長と社会のサステナビリティへの貢献との両立によって、これまでの『グローバルで存在感のある会社「Kao」』になるという将来像をさらに一歩進め、『グローバルで存在価値のある企業「Kao」』を目指します。ESGを通じて将来にわたって、人・社会・地球にとって価値のある存在になっていきます。
私たちは、環境(E)においては、ゼロ浪費、カーボンゼロ、さらにその先のカーボンネガティブを目指します。社会(S)においては、無駄な消費がなくなることを願い、その人に寄り添った唯一無二のパーソナライズを進めていきます。そして、ガバナンス(G)をしっかりと効かせながら、志を共にする仲間と共に正道を歩んでいきます。最小限の資源で最大の価値を生み出す、"Maximum with minimum"を経営の指針として、より良い明日をつくるために今後も我々は成長し続けます。
グローバルで存在価値のある企業「Kao」
■持続可能な社会に欠かせない企業
■高社会貢献&高収益グローバル企業
■ステークホルダーへの成長レベル還元
2030年財務目標(結果として)
・売上高 2兆5,000億円
・営業利益 4,000億円
・連続増配継続 41期
② 中期経営計画
2021年から2025年までの5年間は、2030年までにあるべき姿を実現させていくための礎となる重要な期間です。そのために花王グループ中期経営計画「K25」では、Vision(ビジョン)を「持続可能で豊かな社会への道を歩む Sustainability as the only path」と定め、3つの目的を掲げます。
持続可能な社会に欠かせない企業になるためには、2019年に発表した新ESG戦略 KLPを積極的に進め、無駄なモノは極力つくらないサステナブルな自走社会をリードしていかなければなりません。そして、KLPに関する投資を必ず財務的な成果「未来財務」に繋げていきます。
投資して強くなる事業への変革については、「Another Kao(もうひとつの花王)」を始動しています。私たちは、切実な悩みを抱える生活者のために、これまで培ってきた技術や知見、デジタルトランスフォーメーション(DX)を最大限に活用し、「未来のいのちを守る」新たな事業を生み出します。同時にその基盤となる従来の事業に新しい力を加え、「Reborn Kao(基盤花王)」として再活性化させます。
そして、これら2つの目的を達成するためには社員の活力は欠かせません。3つ目の社員活力の最大化については、社員一人ひとりが自ら掲げる大きな挑戦を最大化できるように新たな目標管理制度「OKR(Objectives and Key Results)」を導入しています。さらには、社外からの人財登用を積極的に行うと共に社外との協業も進めています。
これら3つの目的を達成することで、結果として、売上・利益は過去最高(売上高 1兆8,000億円、営業利益 2,500億円、EVA 1,000億円、連続増配 36期)を達成し、社員、消費者・顧客、取引先、株主等会社を取り巻く多くのステークホルダーに成長に見合う高レベルの還元を目指していきます。
これからも花王グループは、「花王ウェイ」に掲げる「正道を歩む」を実践しながら、より良い明日をつくるために同じ志をもつステークホルダーと共に、これらの目標を実現させていきます。
花王グループ中期経営計画「K25」
■Vision(ビジョン)
持続可能で豊かな社会への道を歩む Sustainability as the only path
■コーポレートスローガン
きれいを こころに 未来に
■方針(目的)及び主な進捗状況
目的(1)持続可能な社会に欠かせない企業になる
[目標]
サステナブル自走社会をリードする:ESG投資=未来財務
[主要成果]
・カーボンリサイクル(炭酸ガスを原料に転換する)
・ポジティブリサイクル(資源の再利用により新事業を創造する)
・ストップパンデミック(感染症対策・予防領域を強化する)
[主な進捗状況]
環境問題や人権問題等、多くの社会課題は、それぞれが深く関わり合っており、ひとつのターゲットだけを狙っていては解決しない複雑さを持っています。当社は、このターゲット間の関連性を解き明かし、適切なビジネスモデルをデザインすることで、同時に複数の課題の解決を後押しできると考えています。これが、持続可能な社会への貢献と企業価値向上を両立させるために、当社が目指すビジネスモデルの基本的な考え方です。
■プレシジョン・ライフケア
プレシジョン・ライフケアとは、当社が提唱する、健康課題に対し、その原因を精確に同定もしくは推定し、さまざまな角度から適切なソリューションを提供する取り組みです。株式会社アイスタイルと皮脂RNAモニタリングを用いて自分の肌に合う化粧品を選べる仕組みの開発、株式会社NTTドコモと仮想人体生成モデルを用いた一人ひとりに最適なヘルスケアソリューションの開発、そして株式会社ミルボンと美容室でのビューティヘルスケアサービスの確立に向けた3つの共同取り組みを開始しました。今後もさらに多くのパートナー企業との共創と社会実装・事業化を進めていく予定です。
■蚊の忌避剤
タイにおいて、安全かつ心地よい使用感により、日々の生活の中で蚊から肌を守る「ビオレガード モスブロックセラム」を発売すると共に、幅広い官学民パートナーとの協業を通じてデング熱被害の低減を目指す「GUARD OUR FUTURE」プロジェクトを開始しました。タイのお客様から喜びの声をいただいたことに加え、日本でも話題となりました。今後、多くの方にお使いいただけるよう、使い方や使用場面の幅を広げるための商品仕様バリエーションの拡充を図ります。また、タイ以外のエリアにも活動を拡大するため、パートナーと協力しながら、国ごとに異なる関連規制への迅速な対応に取り組んでいきます。
■ケミカル関連の新規事業 廃PET活用高耐久アスファルト改質剤は、2021年にウエルシア薬局株式会社の運営する新店舗駐車場に採用されたことが反響を呼び、他の小売店舗への施工に加え、高速道路パーキングエリアや物流会社集配拠点への採用が増加し、社会実装が着実に進みました。一般道路への活用については、静岡県磐田市の協力のもと施工及び耐久性評価を進めています。使用量拡大に対応するために、リサイクルシステムが確立している飲料の廃PETではなく、現在焼却処分されている工業用途の廃PETフィルムのリサイクルシステム確立を目指し、廃PET排出企業や地方自治体との協業を進めると共に、高速道路や一般道路へ広く展開するための舗装会社との協業を推進していきます。海外展開の検討も進めており、グローバルでの貢献を目指します。
目的(2)投資して強くなる事業への変革
[目標]
もうひとつの花王始動と基盤花王を強くする:“未来のいのちを守る”を軸とするグローバル躍進
[主要成果]
・新事業:プレシジョン・ライフケア関連事業の始動
・既存事業:高収益コア事業への抜本改革
[主な進捗状況]
世界が急速に変化する中、花王グループは、経営の安定性と飛躍的な発展を両立するためには、既存事業の拡充に専念するだけでなく、ビジネスモデルを大きく転換する新たな事業の創出が不可欠だと考えています。「K25」では、既存事業の再生(Reborn Kao)と、これまでの花王スタイルとは異なる新事業の創成(Another Kao)の両輪で、投資して強くなる事業への変革を進めています。
■Reborn Kao:経営戦略に基づく3領域資本配分
成長戦略における役割に基づき、事業を「安定収益領域」「成長ドライバー領域」「事業変革領域」の3つに区分し、経営戦略としてメリハリを利かせた資本配分を行うと共に、各事業戦略においても区分を強く意識した議論や意思決定を行っています。そのために、事業別ROIC等の指標を活用しながら、企業全体のEVA向上との関係を明確化すると共に、成長ドライバー領域の化粧品事業、ケミカル事業、スキンケア事業、業務用衛生品事業の4事業に引き続き投資を集中し、既存事業の高収益事業への早期転換を進めています。
■Another Kao:新事業の創成
Another Kaoとして、今までの花王グループではできていなかった新事業や新ビジネスモデルへの挑戦を進めています。例えば、ヘルスケア領域では、2022年にタイで発売を開始した蚊の忌避剤、2023年から事業化予定の皮脂RNAモニタリング技術を活用した郵送検査サービスやB2B衛生ソリューションサービス等に取り組んでいます。第一三共ヘルスケア株式会社とのOTC医薬品共同開発にも着手しました。デジタル領域では、株式会社Preferred Networksとの共創による仮想人体生成モデル※等を活用した事業化を進めています。そして、廃PET活用高耐久アスファルト改質剤のような、サーキュラーエコノミー領域での事業拡大や新事業も見据えた検討を進めています。
※仮想人体生成モデル:健康診断等で得られる身体に関する項目から、ライフスタイル(食事、運動、睡眠等)や性格傾向、嗜好性、ストレス状態、月経等の日常生活において関心の高い項目まで、幅広く多種多様な1,600以上の項目を網羅的に備え、これらがどのようなパターンで現れるのかを示すことができる統計モデル
目的(3)社員活力の最大化
[目標]
活動生産性2倍:挑戦の見える化とオープンイノベーション
[主要成果]
・OKR(Objectives and Key Results)の導入(挑戦と貢献度に応じたフェアな報酬)
・専門人財の積極的な活用と共創
・デジタルを活用した生産性向上(2023年完了)
[主な進捗状況]
企業が強くなるためには、ワクワクした社員の活力は欠かせません。花王グループは、多様な人財の一人ひとりが大きな志を持ち、互いを尊重し高め合いながら、ひたむきに挑戦をしていく組織を目指しています。
■社員活力最大化に向けた人財施策
2021年より、社員の挑戦を促す新しい人財活性化制度Objectives and Key Results (OKR)や社員からの新規アイデア公募制度0★1(ゼロワン)Kaoプログラムを導入し、チャレンジする組織風土の醸成・強化に取り組んでいます。各職場ではOKRが共通言語となり、部門を超えた連携や活発な意見交換、新たな提案が行われています。社員エンゲージメントサーベイでは、国内の80%の社員が挑戦を意識した目標設定をしていると回答しています。0★1Kaoにおいては2022年12月末までに90件の提案が行われ、うち23件が実現化に向けた検討を開始しています。海外におけるOKRの導入とこれに連動した評価制度の改定については、各国各社の状況にあわせて拡大を進めています。今後は、社員一人ひとりの挑戦を支援し最大値を引き出すマネジャーの育成、多様なチャレンジを認める評価制度への信頼性向上、そして、そのために不可欠な対話の促進に取り組んでいきます。
③ 目標とする経営指標
当社グループは、投下資本のコストを考慮した真の利益を表すEVAを経営の主指標としています。その本質は、株主等の資金提供者の視点を持って、資本を効率的に活用し利益を生み出すことにあります。EVAを継続的に増加させていくことが企業価値の増大につながり、株主だけでなく全てのステークホルダーの長期的な利益とも合致するものと考えています。そして事業規模の拡大を図りながら、EVAを増加させることを事業活動の目標としており、個別事業の評価、設備や買収等の投資評価、年度ごとの業績管理や報酬制度等に活用しています。
(3)会社の対処すべき課題
気候変動、水や森林資源の枯渇等の環境問題及び人権問題、高齢化社会の進行等の社会問題はますます深刻化しています。加えて、新型コロナウイルス感染症の長期化により、世界の人々の意識や生活様式は変容し、花王グループの事業を取り巻く市場構造にも大きな変化が生じました。また、当期は、原材料価格の高騰や物流費の上昇、国際社会の多軸化・分断化に伴う地政学的リスクの増大等があり、経営環境も不透明な状況が続きました。
このような変化の中で、花王グループは、社会課題の解決に軸足を据えて、環境に負の影響を与える既存の大量生産・大量消費型のビジネスから脱却し、無駄なモノはつくらず、お客様に長く愛される魅力ある商品を生み続ける循環型モデルへ転換しなければなりません。そして、中期経営計画「K25」はこの目指すモデルを実現するための事業基盤を構築する大変重要な計画です。
花王グループはこの「K25」を達成するために、DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じたお客様との絆づくりを進め、届けるべき価値から逆算したゴール志向の新しい商品開発プロセスへの革新を進めています。また、投資効率を重視し、優先順位を明確にしながら、ESGを中心に据えた経営方針及び経営戦略に合致する戦略的投資、M&Aをスピード感をもって実行していきます。そのために、これまで強みとしてきたマトリックス型の運営を進化させて、適宜必要な当事者が果敢に判断を行っていくスクラム型の意思決定体制への改革を進めています。
さらに、花王グループの活動を客観的な視点から検証し、多様な視点で議論を行うガバナンス体制、またコンプライアンスやリスク・危機管理視点も踏まえた内部統制システムのさらなる強化も引き続きしっかりと取り組んでまいります。