有価証券報告書-第112期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/23 16:37
【資料】
PDFをみる
【項目】
66項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、消費者・顧客の立場にたって、心をこめた“よきモノづくり”を行い、世界の人々の喜びと満足のある、豊かな生活文化を実現するとともに、社会のサステナビリティ(持続可能性)に貢献することを使命としています。
この使命のもと、持続的な社会の形成に寄与するための3つの要素であるESG、環境(Environment)、社会(Society)、ガバナンス(Governance)への対応を将来への「投資」と位置づけ、これまで以上に重視しながら“利益ある成長”を実現していきます。
当社グループ全員の熱意と力を合わせ、資産の最大活用をさらに進めて、清潔で美しくすこやかな暮らしに役立つ商品と、産業界の発展に寄与する工業用製品の分野において、消費者・顧客とともに感動を分かち合う価値ある商品とブランドを提供します。
そして、それぞれの市場で消費者・顧客を最もよく知る企業となることをグローバルに目指し、株主をはじめ全てのステークホルダーの支持と信頼を獲得していきます。
ガバナンスは、経営の想いや夢を「攻め」と「守り」の両面からサポートし、企業価値を継続的に向上させていくための最重要の経営基盤と考えています。そのために、迅速で効率よく、健全かつ公正で透明性の高い経営が実現できるよう、絶えざる革新を図るとともに、経営の執行においては内部統制をさらに充実させながら、グローバルで存在感のある会社を目指します。
当社グループの企業理念は、「花王ウェイ」です。以上の方針を実行していくために、グループ全員でこれを共有し、考え方や行動の拠り所として日々、実践していきます。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、投下資本のコストを考慮した真の利益を表すEVAを経営の主指標としています。その本質は、株主等の資金提供者の視点を持って、資本を効率的に活用し利益を生み出すことにあります。EVAを継続的に増加させていくことが企業価値の増大につながり、株主だけでなく全てのステークホルダーの長期的な利益とも合致するものと考えています。そして事業規模の拡大を図りながら、EVAを増加させることを事業活動の目標としており、個別事業の評価、設備や買収などの投資評価、年度ごとの業績管理や報酬制度などに活用しています。
(3)中長期的な会社の経営戦略
1.長期経営戦略
当社グループは、上記の経営の基本方針に基づき、2030年までに達成したい姿として、持続的な利益ある成長と、事業活動を通じた社会的課題の解決や社会貢献活動による社会のサステナビリティへの貢献との両立により、『グローバルで存在感のある会社「Kao」』を目指します。この実現のために、強みである既存事業の一層の磐石化及び未来を創造する研究開発力を活かしたグローバル視点での新しい市場の創造を推進するとともに、より高いレベルの安全・安心を目指した基本的な活動を実践します。
世界中で起きているさまざまな変化は、スピード、大きさ、変化の方向など、あらゆる面で予見することが難しくなっています。このような状況に対処していくために、「自ら変わり、そして変化を先導する企業へ」をスローガンに、当社グループの総合力を発揮し、目標の実現を目指していきます。
2030年までに達成したい姿として、以下を掲げています。
グローバルで存在感のある会社「Kao」
■特長ある企業イメージ
「生活者の気持ちにそっと寄り添える企業」
■高収益グローバル消費財企業
・売上高2.5兆円(海外1兆円)を超える
・営業利益率17%を超える
・ROE20%を超える
■ステークホルダーへの高レベル還元
2.中期経営計画
当社グループは、2020年までの中期経営計画を「2030年までに達成したい姿」を実現するための重要な通過点と位置付け、企業価値の増大に向けて、2017年度から2020年度までの4ヵ年を対象とした花王グループ中期経営計画「K20」を策定し、2016年12月12日に公表しました。
企業理念である「花王ウェイ」に掲げる「正道を歩む」を貫くことを全員で共有・実践しながら、非財務活動(ESG活動)を一層強化していきます。そしてより次元の高い資産の最大活用を通じて、高いレベルの利益ある成長と新しい資産の創造を行い、以下の目標を達成していきます。
当社グループはESG活動のキーメッセージを「きれいを、こころに。未来に。」と定めました。思いを込めたモノづくりが「コト」を創造し、「ココロ」に届く活動を目指していきます。
「K20」の目標 (3つのこだわり)
■特長ある企業イメージの醸成へのこだわり
■「利益ある成長」へのこだわり
・過去最高益更新の継続
・実質売上高CAGR※+5%、営業利益率 15%を目指す
・売上高1,000億円ブランドを3つ
(ベビー用紙おむつ「メリーズ」、衣料用洗剤「アタック」、スキンケア製品「ビオレ」)
※ 実質: 為替の変動・販売制度変更などの影響を除く
CAGR: 年平均成長率
■ステークホルダー還元へのこだわり
・株主: 連続増配継続 (配当性向 40%目標)
・社員: 継続的な処遇アップ、健康サポート
・顧客: Win-Winの最大化
・社会: 社会的課題への先進的取り組み
さらにK20では「2030年までに達成したい姿」を実現するために、その礎をしっかりと築いておかなければなりません。それは、積極的な投資を活かしながら稼ぐ力を生み出し、利益ある成長を達成していくという「脱デフレ型成長モデル」を進化させるということです。そのためには、これまでのやり方、あり方、考え方を抜本的に見直し、より高いレベルで当社グループの資産の最大化、そしてその最大活用をしていかなければなりません。当社グループはK20の「自ら変わり、そして変化を先導する企業へ」というスローガンを、「正道を歩む」を貫くことにこだわりながら実践していきます。
(4)会社の対処すべき課題
市場競争の激化や市場構造の変化、原材料市況や為替の変動など事業環境は不透明な状況が続いております。消費者の環境や健康などに関する意識の変化やそれに伴う購買意識の変化、さらには高齢化社会の進行や衛生などの社会的課題も増大しています。また、事業がグローバルに拡大し、さまざまな分野で構造的変化が進む中、事業を取り巻くリスクの変化に対応していかなければなりません。このような中、当社グループは、変化の半歩先を行く「よきモノづくり」を通して、利益ある成長と社会のサステナビリティへの貢献の両立を進めていきます。そのために以下のような課題に対し適切に対処していきます。
・事業を取り巻くリスクの変化に対応するため、主要リスクの中から全社的に重要なリスクをコーポレートリスクと定め、管理体制を一層強化することで、グループ全体の企業価値を損なわないように取り組んでまいります。
・2013年7月4日に自主回収を公表しました、カネボウ化粧品ロドデノール配合美白製品につきましては、白斑様症状を発症された方々への回復支援及び補償を真摯に行っております。これとともに、より高いレベルの安全・安心の担保を図りつつ、再発防止に努めることが課題と認識しており、当社グループを挙げて引き続き取り組んでまいります。
・2017年12月期に当社小田原工場の化粧品生産の一部が、消防法に不適合であったことが判明しました。当社は、当該生産を停止し、消防法に適合した生産体制に改善するとともに、各拠点においても消防法の遵守状況を点検し、適法に運用されていることを確認しました。今後は、管理体制を強化し再発を防ぐとともに法令遵守を徹底いたします。