有価証券報告書-第157期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 16:00
【資料】
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【項目】
141項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、創業以来『品質第一、原価逓減、研究努力』の3つの社訓を経営の規範として会社を運営してまいりました。創業者は『品質第一』と『原価逓減』が、「より良い製品を、より安価に、お客様に提供することが会社隆昌の基本」であり、この「2つの社訓を実現する原動力となるのは不断の研究活動である」と3つ目の『研究努力』を説いています。これら3つの創業精神に則り、以下の素材で区分した6つのセグメント別の連結事業運営を行っております。
①非イオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤を中心とする『界面活性剤』
②セルロース系高分子材料、ショ糖脂肪酸エステル、アクリル系高分子材料及びビニル系高分子材料を中心とする『アメニティ材料』
③ポリエーテルポリオール及びウレタンプレポリマーを中心とする『ウレタン材料』
④光硬化樹脂用材料、難燃剤及び水系ウレタン樹脂を中心とする『機能材料』
⑤導電性ペースト及び射出成形用ペレットを中心とする『電子デバイス材料』
⑥健康補助食品を中心とする『ライフサイエンス』
安定的な収益を生み出すための企業体質強化の取り組みを継続します。その一方で、「京都から、世界へ未来へ。」と飛躍を志した当社グループの成長戦略を確実に軌道に乗せるための諸施策を、全社員が一丸となり確実に実行し、新たな会社の歴史を作ります。
3つの社訓『品質第一、原価逓減、研究努力』を礎に、社是「産業を通じて、国家・社会に貢献する」の実現に努めてまいります。
(2)経営戦略等
中期経営計画「FELIZ 115」では、以下の経営方針を掲げて取り組んでいます。
①2030年の業績は、アクチャル(既存)、ネクスト(周辺)、ドリーム(新規)が各1/3となる事業構成を目指します。アクチャルの質的充実、ネクストの拡大増強、ドリームの開発・育成を図ります。
②計画的設備投資の結果である総資産を最大活用し、年間売上高に匹敵する総資産回転率1.0を目標とします。製品別管理と並行して、顧客別のマーケティングを強化します。
③営業、研究、生産、管理の本部制を敷き、経営資源の最適配分を行います。貢献に報いる業績評価体系により、社員幸福度経営を実践します。企業を取り巻く4つのステークホルダーの期待に応え、企業価値を高めます。
当社は、健康経営に優れた企業として経済産業省と東京証券取引所が共同で取り組む「健康経営銘柄」に2年連続で選定されました。従業員の健康を維持・増進することで会社の生産性向上を、ひいては企業価値の向上をめざします。この取り組みは、担当役員の出席する委員会、会議において結果の報告とそれに基づき策定された計画の承認を得ています。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2020年4月から始動した中期経営計画「FELIZ 115」の1年目が終了しました。売上高は、IT・電子用途の光硬化樹脂用材料は大幅に伸長しましたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延の影響による需要の落ち込みで減収となりました。一方、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、昨年から増益となりました。『電子デバイス材料』セグメントの増収や価格是正、拡売等の営業努力に加え外出自粛や移動制限などにより営業経費が減少したことが主な要因です。
中期経営計画「FELIZ 115」では、2025年3月期を最終年度として、数値目標を掲げています。
①連結売上高 850億円
②連結営業利益 100億円
③連結営業利益率 11.7%
④総資産 920億円(予想)
⑤総資産回転率 1.0回
⑥設備投資額 120億円(5年累計)
⑦売上高研究開発費率 5.0%
⑧ROE 10%以上
(4)経営環境
中期経営計画「FELIZ 115」の初年度である当年度は、新型コロナウイルス感染症が世界的に蔓延した1年でした。人間の行動を止めた経済危機は、過去の歴史にありません。新型コロナウイルス感染症のワクチン接種は始まりましたが、収束の目途も立たない状況です。今年の中国経済の成長率は8.5%と予測され、日本の経済活動にも変化が出ると期待しています。しかし、米国の通商政策による世界経済の不確実性、地勢力学の変化により、先行き不透明な状況が続きます。現計画の第二年度である翌年度は、コロナ禍にあって再確認した諸施策を着実に進めます。前期に、事業部制から切り替えた本部制が全社的な生産性、効率性を高めています。独自性で評価されるユニ・トップ戦略の道は不動です。
当連結会計年度は、前期に比べて減収増益の結果となりました。米中関係の悪化やコロナ禍による経済の停滞が減収の主因です。一方、三重県四日市市に完成した第四プラントは、2020年9月より順調に稼働しており、業績に貢献し始めました。需要は世界的に極めて旺盛であり新工場がフル稼働の状態になれば、計画第二年度の目標値は実現の可能性が高くなります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
企業価値を高めていくために会社が対処すべき課題は、次の3点と認識しています。
第一に、変化への対応です。21世紀の経済環境は、20世紀とは全く異質です。コンピューターがもたらしたスピードの加速です。変化の激しい時代で企業価値を高めていくにはDX(デジタルトランスフォーメーション)による企業改革が不可欠となります。2021年4月にDXを推進する部門を立ち上げました。前中期経営計画「REACT1000」で始めたスマート化を本格化して、全社横断的にDXを加速させます。新型コロナウイルス感染症の蔓延による経済危機で人間の動きが止まり、経済の原点は人間の動き、アナログであることを改めて再認識しました。DXによって人間と人間を繋ぎ、顧客を軸としたマーケティング、ソリューションによる機能・用途開発を強化します。
第二に、描いた2030年企業像を実現する設備投資です。中期経営計画「FELIZ 115」は、2030年の企業像を見据えて目標を設定しています。研究開発型企業を確実なものにする体制を整えました。新規事業を立ち上げるために、経営資源、特に、人材を再配分しました。優位性、将来性のある分野に資金を投入し、将来を担う事業、技術に設備投資を行います。
第三に、ライフサイエンス事業の確立と拡大です。認知機能に関する研究成果が国際的学術誌に掲載された健康関連商品の製造、販売を強化させ、2025年には売上高100億円を目標とし、2030年のコア事業にします。ライフサイエンス事業統括部をトップ直轄の組織とし、少子高齢化社会における社会課題の解決を図ります。
中期経営計画「FELIZ 115」の最終年度の目標は、連結売上高850億円の実現です。計画的な設備投資の結果である総資産は、2021年3月末に850億円になりました。4年後の総資産回転率の目標を1.0とすれば、中期経営計画最終年度の売上高目標は達成可能な水準です。幸福を意味するスペイン語のFELIZの旗をはためかせて、幸福度経営に取り組みます。すべてのステークホルダーが幸せになる企業価値を創り続けます。株主の皆様にはご理解と変わらぬご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
(免責・注意事項)
本計画に記載されている当社の現在の計画、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の実績等
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