訂正有価証券報告書-第84期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年9月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、
1.社会に対し、食を通じて健康と豊かな食生活を提供する
2.コンプライアンス精神に基づいた事業活動を行い、社会的責任を果たす
3.フレキシビリティのある、かつ創造力に溢れた企業として発展する
4.事業活動の視点・範囲を海外にも向け[世界の理研ビタミン]としてのブランドを高める
5.人間尊重の思想に基づき魅力ある職場をつくる
の経営理念のもと、創業以来一貫して「天然物の有効利用」を事業展開の根幹に据え、独自の技術力・開発力を通じて食品・食品用改良剤・化成品用改良剤・ビタミンの各分野において多彩な製品を創り出し、日本のみならず世界各地にお届けしてまいりましたが、この姿勢はいささかも揺らぐことなく堅持してまいります。
当社グループを取り巻く事業環境については、世界的レベルで大きく変動する政治・経済・社会情勢の下、これまでにないスピードで変化しております。このような先行きが見通せない時代にあってこそ、当社グループ各社とのさらなる連携のもと、的確かつ機動的な意思決定を行うことが強く要請されていると認識しております。
加えて、社会の信頼に応える公正で透明性の高いコンプライアンス体制、企業グループ全体での健全な事業運営を推進する上でのガバナンス体制のより一層の向上が求められております。
食品業界におきましては、国内市場では、消費者の節約志向が依然として続く一方で、健康志向や簡便化志向が強まっており、ライフスタイルの変化やニーズの多様化への対応に加え、最近ではフードロス(食品ロス)も社会問題化しており取組みが求められています。他方、原材料価格の上昇や人手不足を背景とした物流費など各種費用の増加、相次ぐ自然災害の影響などに加え、足許では新型コロナウイルスの感染拡大に伴い景気が急速に悪化しており、厳しい経営環境が続いていると認識しています。
また、成長が見込める海外市場では、成長エリアである中国、東南アジアを重点エリアとし、取組みを強化しています。
当社は、かねてより2020年3月期の連結決算発表に向けて作業を進めておりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、決算業務および監査手続きに想定以上の時間を要しておりました。また、当社連結子会社で冷凍野菜、水産加工品の製造・販売を行っている『青島福生食品有限公司(中国)』においては、中国国内での移動制限や、日中間の実質的な渡航制限により当社から監査対応支援が不可能であったこと、青島福生食品が取引や契約に関する書類(取引先からの提供分を含む)の提出に時間を要していることも影響し、監査手続きに著しく時間を要しておりました。
このような中、当社は2020年7月27日に公表しました「2020年3月期連結決算発表の延期ならびに特別調査委員会の設置に関するお知らせ」のとおり、当社会計監査人である有限責任 あずさ監査法人から、青島福生食品のエビの加工販売の取引について、監査意見を表明するに足る十分な監査証拠を得られていない旨の通知を受け、その事実確認の調査のため、外部の専門家である弁護士および公認会計士ならびに社外監査等委員で構成される特別調査委員会を設置し、調査を行いました。
その後、2020年9月23日に公表しました「特別調査委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」のとおり、エビの加工販売の取引の実在性を確認するには至らなかったとする調査報告書を受領し、実在性を確認できなかった取引および関係する取引について、監査法人と協議した結果、売上高の取り消し等を行うことといたしました。
当社は、2020年9月30日に公表しました「特別調査委員会の調査報告書を受けた当社の対応に関するお知らせ」のとおり、特別調査委員会から受領した調査報告書の内容およびその提言を真摯に受け止め、業務改善策を決定しており、その内容は次のとおりです。
1.特別調査委員会による提言を受けた青島福生食品に対する業務改善策
(1)リスクマネジメントの強化
① 青島福生食品のリスク管理体制を再評価し、自律的なリスク管理に必要なルールを当社内で検討、策定し、指導を通じて運用します。
② 青島福生食品の役職員に本件の調査結果を伝えると共に、業務におけるリスクの評価・管理をするための教育を行い、意識改革を図ります。また、従業員のコンプライアンスの学習についても、従前にまして具体的な事例についてのケーススタディ等を検討します。
③ 青島福生食品の取引先を管理するシステムの検討を行います。新規の取引開始にあたっては十分な調査を行い、契約審査を実施し、契約書等必要な情報を当社と共有することでリスクの最小化を図ります。
(2)統制活動の強化
① 今回の特別調査委員会による調査の結果、青島福生食品のエビ加工取引の実在性を確認できなかった事実を踏まえ、特に販売業務プロセス管理の手順書を整備し、従業員へのルール周知、運用の徹底を図ります。
② 上記とあわせ、青島福生食品のサプライチェーンにおける証憑類の管理体制を見直し、ルール遵守を徹底すると共に、当社経理部及び監査部による定期的な確認を行います。
③ 青島福生食品の業務プロセスにおけるITシステム導入の遅れが今回の業務不備の一因であったことから、ITシステムによる管理と新規採用を含めたIT人材の充実を図り、業務管理体制の強化と業務内容の検証を行える体制づくりを進めます。また、必要に応じて当社よりIT化のための基盤整備や教育の支援を行います。
(3)モニタリングの強化
① 青島福生食品に係る関係部門(第2生産本部、経理部等)の管理手法を改善し、事業計画や利益計画の立案、進度管理だけでなく、同社の事業運営全体の情報や課題を共有できる体制作りを行います。
② J-SOX監査について監査項目の再検討を行い、青島福生食品の販売面を含めたモニタリングを強化します。
(4)コミュニケーションの改善
① 親会社である当社の企業文化や経営方針を改めて伝達し、青島福生食品の役職者のみならず、従業員へも共有化できる仕組みづくりを進めます。
② 当社関係部門(第2生産本部、経理部等)の青島福生食品への訪問時に、役職者を含めた、現場社員とのコミュニケーションやインタビューを通じて、情報共有を促進します。
③ 社内の中国語習得者の活用やWeb会議等の手法を使った、当社と青島福生食品、双方向のコミュニケーション強化により、青島福生食品の重要事項が当社に対し適時適切に伝わる体制を整えます。
2.当社グループとしての子会社ガバナンスの強化
(1)青島福生食品に関連する当社各部門の管理体制を見直し、子会社への指導を強化することで、内部統制の有効性を高めます。
① 第2生産本部:利益計画の策定、事業計画、新規開発テーマ等への管理のみならず、青島福生食品の事業過程全体について管理する手法を検討します。
② 経理部:青島福生食品における経理上の書類や、データの管理および指導を引き続き行い、リスク回避に関する指導を強化します。
③ 監査部:上記1.(3)②にあるJ-SOX監査の項目検討に加え、関連部門と連携した業務プロセスの評価範囲の拡大を検討します。
(2)国内外子会社の総務、人事、コンプライアンス、経理等に関する全般的な管理業務や指導を行う統括的組織を、2021年4月を目処に設置します。
当該組織は各子会社からの情報の集約を行い、あわせてガバナンスの状況について、当社取締役会に定期的に報告することにより、グループ・ガバナンスの強化を図ります。
当社は、株主をはじめとする関係者の皆さまからの信頼回復に向けて全力でこれらに取り組んでまいります。
このような経営環境の中、当連結会計年度におきましては、国内食品事業では、食品用改良剤が堅調に推移しましたが、家庭用のドレッシング、業務用のドレッシングおよびエキス調味料関係の売上高が減少しました。さらに、原料である海藻価格の上昇および昨年2月に実施した家庭用ドレッシングのリニューアルに伴う広告宣伝費等が増加しました。この結果、国内食品事業全体では、売上高、営業利益ともに前期を下回りました。
また、2019年10月に、食品用改良剤の新研究開発施設「アプリケーション&イノベーションセンター」を開設しました。
他方、海外事業では、青島福生食品において取引の実在性を確認するには至らなかったエビの加工販売の取引および関係する取引の売上123億51百万円を取り消したことにより、前期を下回りました。また、海外改良剤については、高付加価値品の拡販等の施策を推進しました。この結果、海外事業全体の売上高は前期を下回りましたが、営業利益は高付加価値品の拡販および効率的な生産オペレーションの推進等により前期の営業損失から黒字に回復しました。
当社グループは、2018年4月より2021年3月までを対象とする「中期経営計画」を策定し、さらなる国内事業の収益基盤の強化と海外事業の成長加速化を図るべく、最終年度の取組みを推進しております。
さらに、当社グループの「CSR基本方針」に基づきCSR経営への取組みを推進することで社会の持続可能な発展に貢献してまいります。
[経営基本方針]
<1>グループ経営の推進により、事業基盤を強化し、グローバルなフィールドでの成長を図り、さらなる企業価値向上を目指す
<2>独自技術の活用と、事業の選択と集中を徹底し、高付加価値製品の追求により、企業体質の強化を目指す
<3>健全な事業運営を推進するコンプライアンス体制・ガバナンス体制のもと、安全な製品の提供で社会の信頼に応える企業を目指す
[経営基本戦略]
<1>新市場創出に繋がる独自性豊かな新製品開発と新技術開発を推進する
<2>生産体制の強化に繋がる拠点再構築を推進する
<3>中核事業での国内外マーケットシェア拡大と収益力の向上を目指す
<4>将来を見据えたグローバル展開での事業戦略の一層の推進を図る
<5>品質保証体制のさらなる強化を図り、顧客・消費者の信頼を高める
<6>CSR経営の一層の推進を図る
[目指すべき姿]
◇成熟市場にある国内事業では収益基盤のさらなる強化、拡大市場にある海外事業では構造基盤の強化による成長エンジンの加速化を推進し、持続的成長が可能な企業を目指す
≪国内事業≫
<家庭用食品>① 消費者ニーズに応える調味料・即食商品の強化 ~ ドレッシング、素材力だし、スープ関連等
② 海藻トータルでの提案によるブランド価値向上 ~ 「ときめき海藻屋」活動の展開
<業務用食品>① 海藻トータルでの提案によるブランド価値向上 ~ 冷凍海藻拡売等② 拡大する中食(惣菜)市場への積極的提案
<加工食品用原料等>① 高付加価値品の強化による既存主要市場のさらなる拡大② 独自技術を活かした新規分野への用途提案③ 新規市場獲得と高付加価値製剤の拡売によるビタミン事業の強化
<国内化成品その他>① 既存主要市場へのさらなる提案力強化② 独自技術を活かした新規業界への拡張
≪海外事業≫
<改良剤(食品用/化成品用)>① 高付加価値製剤の拡販② 販売エリアの選択と集中 ~ 成長市場のアジアを中心とした戦略③ 海外生産本部機能の再編による国内外の連携
<青島福生食品>① ビジネスモデル改革の加速 ~ 中国国内市場の開拓② ローコストプロダクションの推進による効率的生産
◇独自技術をベースとした開発力の強化により新規市場へ挑戦し、社会に貢献していく
≪食品事業≫
① 差別化された新規天然調味料素材の開発② ゆりあげファクトリー*でのわかめの優良種苗開発と新規海藻養殖技術の研究③ わかめの科学的産地判別検査(三陸、鳴門、韓国)および情報発信による産地別ブランドの価値向上④ 海藻の健康機能のさらなる研究および情報発信による新規需要の創出⑤ 中食(惣菜)市場への機能性調味料*のバリエーション強化
*ゆりあげファクトリー:当社の連結子会社である理研食品㈱が宮城県名取市に開設したわかめ加工と種苗の生産・研究拠点*機能性調味料:当社の調味技術や食品用改良剤技術を活用した調味料
≪改良剤事業≫
① アプリケーション&イノベーションセンターの開設による食品用改良剤のソリューションビジネスおよび価値創 造型提案の強化 ~ 基礎技術、分析・応用技術、提案手法の集約② 食品添加物を活用した化成品用改良剤の新規分野への展開 ~ 農業分野での防虫機能等
≪ヘルスケア事業≫
① 機能性表示食品の強化による新規需要の取り込み ~ クロセチン等のエビデンス強化② マイクロカプセル事業の拡大に向けた研究 ~ 新機能提案による用途拡大
◇当社グループの「CSR基本方針」に基づき、ステークホルダーを重視した活動を推進し、社会の持続可能な発展に貢献する
≪社会貢献≫
ゆりあげファクトリーの種苗提供を通じた海藻養殖業の生産性向上と作業負荷低減
≪コミュニティ≫
食育活動の推進 ~ 日本の伝統食材のひとつであるわかめを通じ、子供たちの健康や食知識を豊かにする「わかめ学習出前授業」の実施
≪取引先≫
持続可能な調達への対応 ~ FSC認証*、RSPO認証*
*FSC認証:責任ある森林管理を世界に普及させることを目的とする「森林管理協議会(Forest Stewardship Council)」が運営する国際的な森林認証制度
*RSPO認証:環境・社会に配慮したパーム油の生産を推進する「持続可能なパーム油のための円卓会議(Roundtable on Sustainable Palm Oil)」が運営するパーム油の国際的な認証制度
≪株主≫
長期的な視野に立ち、株主を重視した安定的な利益還元の実施
≪企業風土≫
当社の自由闊達な社風に加え、当社グループの全従業員がより働きやすい職場環境・企業風土の醸成
また、2020年9月30日に公表しました「特別損失の発生に関するお知らせ」のとおり、青島福生食品において取引の実在性を確認するには至らなかったエビの加工販売の取引および関係する取引が2020年4月まで継続していたことを確認しております。従いまして、中期経営計画最終年度である次期2021年3月期におきましても、2020年3月期と同様に、取引の実在性を確認するには至らなかったエビの加工販売の取引および関係する取引の売上15億円の取り消し、当該売上に対する売上原価相当分14億78百万円を特別損失として計上する見通しであります。
加えて、直近の業績動向を踏まえますと、当初掲げた中期経営計画最終年度の目標数値の達成は厳しい状況にあります。よって、「現中期経営計画」の最終年度の業績見通しにつきましては、当初の目標(売上高970億円、営業利益80億円、経常利益77億円、親会社株主に帰属する当期純利益54億円)から下表のとおりとなります。
なお、次期の業績見通しには、上記に記載した青島福生食品のエビの加工販売の取引等の売上の取り消し、特別損失を織り込んでおります。
(1)連結業績
(単位:百万円)
(2)事業別売上高
(単位:百万円)
(3)目標とする経営指標
当社グループは、持続的成長と資本効率向上の尺度として自己資本利益率(ROE)の向上を追求してまいります。第85期(現中期経営計画最終年度)ROE8.0%以上を目指しておりましたが、上記の業績目標数値のとおり、当初掲げた最終年度の目標数値の達成は非常に厳しい状況にあるため、ROEは1.6%となる見込みであります。
先行き不透明な時代にあってこそ、「信頼に応える安全な製品の提供」の基本姿勢を堅持して社会への貢献を果たす中で、一層の収益基盤の強化と持続的成長を可能とする強い企業体質の構築を目指して、スピード感を伴った経営を推進してまいります。
(※)この中期経営計画は、本資料策定時点において入手可能な情報に基づいて策定したものです。実際の業績等は、今後さまざまな要因によって記載内容と異なる可能性があります。
当社は、
1.社会に対し、食を通じて健康と豊かな食生活を提供する
2.コンプライアンス精神に基づいた事業活動を行い、社会的責任を果たす
3.フレキシビリティのある、かつ創造力に溢れた企業として発展する
4.事業活動の視点・範囲を海外にも向け[世界の理研ビタミン]としてのブランドを高める
5.人間尊重の思想に基づき魅力ある職場をつくる
の経営理念のもと、創業以来一貫して「天然物の有効利用」を事業展開の根幹に据え、独自の技術力・開発力を通じて食品・食品用改良剤・化成品用改良剤・ビタミンの各分野において多彩な製品を創り出し、日本のみならず世界各地にお届けしてまいりましたが、この姿勢はいささかも揺らぐことなく堅持してまいります。
当社グループを取り巻く事業環境については、世界的レベルで大きく変動する政治・経済・社会情勢の下、これまでにないスピードで変化しております。このような先行きが見通せない時代にあってこそ、当社グループ各社とのさらなる連携のもと、的確かつ機動的な意思決定を行うことが強く要請されていると認識しております。
加えて、社会の信頼に応える公正で透明性の高いコンプライアンス体制、企業グループ全体での健全な事業運営を推進する上でのガバナンス体制のより一層の向上が求められております。
食品業界におきましては、国内市場では、消費者の節約志向が依然として続く一方で、健康志向や簡便化志向が強まっており、ライフスタイルの変化やニーズの多様化への対応に加え、最近ではフードロス(食品ロス)も社会問題化しており取組みが求められています。他方、原材料価格の上昇や人手不足を背景とした物流費など各種費用の増加、相次ぐ自然災害の影響などに加え、足許では新型コロナウイルスの感染拡大に伴い景気が急速に悪化しており、厳しい経営環境が続いていると認識しています。
また、成長が見込める海外市場では、成長エリアである中国、東南アジアを重点エリアとし、取組みを強化しています。
当社は、かねてより2020年3月期の連結決算発表に向けて作業を進めておりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、決算業務および監査手続きに想定以上の時間を要しておりました。また、当社連結子会社で冷凍野菜、水産加工品の製造・販売を行っている『青島福生食品有限公司(中国)』においては、中国国内での移動制限や、日中間の実質的な渡航制限により当社から監査対応支援が不可能であったこと、青島福生食品が取引や契約に関する書類(取引先からの提供分を含む)の提出に時間を要していることも影響し、監査手続きに著しく時間を要しておりました。
このような中、当社は2020年7月27日に公表しました「2020年3月期連結決算発表の延期ならびに特別調査委員会の設置に関するお知らせ」のとおり、当社会計監査人である有限責任 あずさ監査法人から、青島福生食品のエビの加工販売の取引について、監査意見を表明するに足る十分な監査証拠を得られていない旨の通知を受け、その事実確認の調査のため、外部の専門家である弁護士および公認会計士ならびに社外監査等委員で構成される特別調査委員会を設置し、調査を行いました。
その後、2020年9月23日に公表しました「特別調査委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」のとおり、エビの加工販売の取引の実在性を確認するには至らなかったとする調査報告書を受領し、実在性を確認できなかった取引および関係する取引について、監査法人と協議した結果、売上高の取り消し等を行うことといたしました。
当社は、2020年9月30日に公表しました「特別調査委員会の調査報告書を受けた当社の対応に関するお知らせ」のとおり、特別調査委員会から受領した調査報告書の内容およびその提言を真摯に受け止め、業務改善策を決定しており、その内容は次のとおりです。
1.特別調査委員会による提言を受けた青島福生食品に対する業務改善策
(1)リスクマネジメントの強化
① 青島福生食品のリスク管理体制を再評価し、自律的なリスク管理に必要なルールを当社内で検討、策定し、指導を通じて運用します。
② 青島福生食品の役職員に本件の調査結果を伝えると共に、業務におけるリスクの評価・管理をするための教育を行い、意識改革を図ります。また、従業員のコンプライアンスの学習についても、従前にまして具体的な事例についてのケーススタディ等を検討します。
③ 青島福生食品の取引先を管理するシステムの検討を行います。新規の取引開始にあたっては十分な調査を行い、契約審査を実施し、契約書等必要な情報を当社と共有することでリスクの最小化を図ります。
(2)統制活動の強化
① 今回の特別調査委員会による調査の結果、青島福生食品のエビ加工取引の実在性を確認できなかった事実を踏まえ、特に販売業務プロセス管理の手順書を整備し、従業員へのルール周知、運用の徹底を図ります。
② 上記とあわせ、青島福生食品のサプライチェーンにおける証憑類の管理体制を見直し、ルール遵守を徹底すると共に、当社経理部及び監査部による定期的な確認を行います。
③ 青島福生食品の業務プロセスにおけるITシステム導入の遅れが今回の業務不備の一因であったことから、ITシステムによる管理と新規採用を含めたIT人材の充実を図り、業務管理体制の強化と業務内容の検証を行える体制づくりを進めます。また、必要に応じて当社よりIT化のための基盤整備や教育の支援を行います。
(3)モニタリングの強化
① 青島福生食品に係る関係部門(第2生産本部、経理部等)の管理手法を改善し、事業計画や利益計画の立案、進度管理だけでなく、同社の事業運営全体の情報や課題を共有できる体制作りを行います。
② J-SOX監査について監査項目の再検討を行い、青島福生食品の販売面を含めたモニタリングを強化します。
(4)コミュニケーションの改善
① 親会社である当社の企業文化や経営方針を改めて伝達し、青島福生食品の役職者のみならず、従業員へも共有化できる仕組みづくりを進めます。
② 当社関係部門(第2生産本部、経理部等)の青島福生食品への訪問時に、役職者を含めた、現場社員とのコミュニケーションやインタビューを通じて、情報共有を促進します。
③ 社内の中国語習得者の活用やWeb会議等の手法を使った、当社と青島福生食品、双方向のコミュニケーション強化により、青島福生食品の重要事項が当社に対し適時適切に伝わる体制を整えます。
2.当社グループとしての子会社ガバナンスの強化
(1)青島福生食品に関連する当社各部門の管理体制を見直し、子会社への指導を強化することで、内部統制の有効性を高めます。
① 第2生産本部:利益計画の策定、事業計画、新規開発テーマ等への管理のみならず、青島福生食品の事業過程全体について管理する手法を検討します。
② 経理部:青島福生食品における経理上の書類や、データの管理および指導を引き続き行い、リスク回避に関する指導を強化します。
③ 監査部:上記1.(3)②にあるJ-SOX監査の項目検討に加え、関連部門と連携した業務プロセスの評価範囲の拡大を検討します。
(2)国内外子会社の総務、人事、コンプライアンス、経理等に関する全般的な管理業務や指導を行う統括的組織を、2021年4月を目処に設置します。
当該組織は各子会社からの情報の集約を行い、あわせてガバナンスの状況について、当社取締役会に定期的に報告することにより、グループ・ガバナンスの強化を図ります。
当社は、株主をはじめとする関係者の皆さまからの信頼回復に向けて全力でこれらに取り組んでまいります。
このような経営環境の中、当連結会計年度におきましては、国内食品事業では、食品用改良剤が堅調に推移しましたが、家庭用のドレッシング、業務用のドレッシングおよびエキス調味料関係の売上高が減少しました。さらに、原料である海藻価格の上昇および昨年2月に実施した家庭用ドレッシングのリニューアルに伴う広告宣伝費等が増加しました。この結果、国内食品事業全体では、売上高、営業利益ともに前期を下回りました。
また、2019年10月に、食品用改良剤の新研究開発施設「アプリケーション&イノベーションセンター」を開設しました。
他方、海外事業では、青島福生食品において取引の実在性を確認するには至らなかったエビの加工販売の取引および関係する取引の売上123億51百万円を取り消したことにより、前期を下回りました。また、海外改良剤については、高付加価値品の拡販等の施策を推進しました。この結果、海外事業全体の売上高は前期を下回りましたが、営業利益は高付加価値品の拡販および効率的な生産オペレーションの推進等により前期の営業損失から黒字に回復しました。
当社グループは、2018年4月より2021年3月までを対象とする「中期経営計画」を策定し、さらなる国内事業の収益基盤の強化と海外事業の成長加速化を図るべく、最終年度の取組みを推進しております。
さらに、当社グループの「CSR基本方針」に基づきCSR経営への取組みを推進することで社会の持続可能な発展に貢献してまいります。
[経営基本方針]
<1>グループ経営の推進により、事業基盤を強化し、グローバルなフィールドでの成長を図り、さらなる企業価値向上を目指す
<2>独自技術の活用と、事業の選択と集中を徹底し、高付加価値製品の追求により、企業体質の強化を目指す
<3>健全な事業運営を推進するコンプライアンス体制・ガバナンス体制のもと、安全な製品の提供で社会の信頼に応える企業を目指す
[経営基本戦略]
<1>新市場創出に繋がる独自性豊かな新製品開発と新技術開発を推進する
<2>生産体制の強化に繋がる拠点再構築を推進する
<3>中核事業での国内外マーケットシェア拡大と収益力の向上を目指す
<4>将来を見据えたグローバル展開での事業戦略の一層の推進を図る
<5>品質保証体制のさらなる強化を図り、顧客・消費者の信頼を高める
<6>CSR経営の一層の推進を図る
[目指すべき姿]
| 「さらなる構造基盤の強化」と「成長エンジンの加速化」 |
◇成熟市場にある国内事業では収益基盤のさらなる強化、拡大市場にある海外事業では構造基盤の強化による成長エンジンの加速化を推進し、持続的成長が可能な企業を目指す
≪国内事業≫
<家庭用食品>① 消費者ニーズに応える調味料・即食商品の強化 ~ ドレッシング、素材力だし、スープ関連等
② 海藻トータルでの提案によるブランド価値向上 ~ 「ときめき海藻屋」活動の展開
<業務用食品>① 海藻トータルでの提案によるブランド価値向上 ~ 冷凍海藻拡売等② 拡大する中食(惣菜)市場への積極的提案
<加工食品用原料等>① 高付加価値品の強化による既存主要市場のさらなる拡大② 独自技術を活かした新規分野への用途提案③ 新規市場獲得と高付加価値製剤の拡売によるビタミン事業の強化
<国内化成品その他>① 既存主要市場へのさらなる提案力強化② 独自技術を活かした新規業界への拡張
≪海外事業≫
<改良剤(食品用/化成品用)>① 高付加価値製剤の拡販② 販売エリアの選択と集中 ~ 成長市場のアジアを中心とした戦略③ 海外生産本部機能の再編による国内外の連携
<青島福生食品>① ビジネスモデル改革の加速 ~ 中国国内市場の開拓② ローコストプロダクションの推進による効率的生産
| 独自の技術力・開発力に磨きをかけ、新領域に挑戦する |
◇独自技術をベースとした開発力の強化により新規市場へ挑戦し、社会に貢献していく
≪食品事業≫
① 差別化された新規天然調味料素材の開発② ゆりあげファクトリー*でのわかめの優良種苗開発と新規海藻養殖技術の研究③ わかめの科学的産地判別検査(三陸、鳴門、韓国)および情報発信による産地別ブランドの価値向上④ 海藻の健康機能のさらなる研究および情報発信による新規需要の創出⑤ 中食(惣菜)市場への機能性調味料*のバリエーション強化
*ゆりあげファクトリー:当社の連結子会社である理研食品㈱が宮城県名取市に開設したわかめ加工と種苗の生産・研究拠点*機能性調味料:当社の調味技術や食品用改良剤技術を活用した調味料
≪改良剤事業≫
① アプリケーション&イノベーションセンターの開設による食品用改良剤のソリューションビジネスおよび価値創 造型提案の強化 ~ 基礎技術、分析・応用技術、提案手法の集約② 食品添加物を活用した化成品用改良剤の新規分野への展開 ~ 農業分野での防虫機能等
≪ヘルスケア事業≫
① 機能性表示食品の強化による新規需要の取り込み ~ クロセチン等のエビデンス強化② マイクロカプセル事業の拡大に向けた研究 ~ 新機能提案による用途拡大
| CSR経営の推進 |
◇当社グループの「CSR基本方針」に基づき、ステークホルダーを重視した活動を推進し、社会の持続可能な発展に貢献する
≪社会貢献≫
ゆりあげファクトリーの種苗提供を通じた海藻養殖業の生産性向上と作業負荷低減
≪コミュニティ≫
食育活動の推進 ~ 日本の伝統食材のひとつであるわかめを通じ、子供たちの健康や食知識を豊かにする「わかめ学習出前授業」の実施
≪取引先≫
持続可能な調達への対応 ~ FSC認証*、RSPO認証*
*FSC認証:責任ある森林管理を世界に普及させることを目的とする「森林管理協議会(Forest Stewardship Council)」が運営する国際的な森林認証制度
*RSPO認証:環境・社会に配慮したパーム油の生産を推進する「持続可能なパーム油のための円卓会議(Roundtable on Sustainable Palm Oil)」が運営するパーム油の国際的な認証制度
≪株主≫
長期的な視野に立ち、株主を重視した安定的な利益還元の実施
≪企業風土≫
当社の自由闊達な社風に加え、当社グループの全従業員がより働きやすい職場環境・企業風土の醸成
また、2020年9月30日に公表しました「特別損失の発生に関するお知らせ」のとおり、青島福生食品において取引の実在性を確認するには至らなかったエビの加工販売の取引および関係する取引が2020年4月まで継続していたことを確認しております。従いまして、中期経営計画最終年度である次期2021年3月期におきましても、2020年3月期と同様に、取引の実在性を確認するには至らなかったエビの加工販売の取引および関係する取引の売上15億円の取り消し、当該売上に対する売上原価相当分14億78百万円を特別損失として計上する見通しであります。
加えて、直近の業績動向を踏まえますと、当初掲げた中期経営計画最終年度の目標数値の達成は厳しい状況にあります。よって、「現中期経営計画」の最終年度の業績見通しにつきましては、当初の目標(売上高970億円、営業利益80億円、経常利益77億円、親会社株主に帰属する当期純利益54億円)から下表のとおりとなります。
なお、次期の業績見通しには、上記に記載した青島福生食品のエビの加工販売の取引等の売上の取り消し、特別損失を織り込んでおります。
(1)連結業績
(単位:百万円)
| 第83期 (2019年3月期) | 第84期 (2020年3月期) | 第85期 (中期経営計画最終年度) | |
| 実績 | 実績 | 業績見通し | |
| 売上高 | 89,024 | 82,974 | 80,000 |
| 営業利益 | 5,042 | 6,389 | 4,200 |
| 経常利益 | 4,850 | 6,127 | 4,000 |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益又は 親会社株主に帰属する 当期純損失(△) | 3,085 | △7,851 | 800 |
(2)事業別売上高
(単位:百万円)
| 第83期 (2019年3月期) | 第84期 (2020年3月期) | 第85期 (中期経営計画最終年度) | |
| 実績 | 実績 | 業績見通し | |
| 国内食品事業 | 58,597 | 57,546 | 55,000 |
| 国内化成品その他事業 | 6,686 | 6,631 | 6,500 |
| 海外事業 | 25,249 | 20,373 | 20,000 |
| セグメント売上高 | 90,533 | 84,551 | 81,500 |
| 調整額 | △1,508 | △1,577 | △1,500 |
| 連結売上高 | 89,024 | 82,974 | 80,000 |
(3)目標とする経営指標
当社グループは、持続的成長と資本効率向上の尺度として自己資本利益率(ROE)の向上を追求してまいります。第85期(現中期経営計画最終年度)ROE8.0%以上を目指しておりましたが、上記の業績目標数値のとおり、当初掲げた最終年度の目標数値の達成は非常に厳しい状況にあるため、ROEは1.6%となる見込みであります。
先行き不透明な時代にあってこそ、「信頼に応える安全な製品の提供」の基本姿勢を堅持して社会への貢献を果たす中で、一層の収益基盤の強化と持続的成長を可能とする強い企業体質の構築を目指して、スピード感を伴った経営を推進してまいります。
(※)この中期経営計画は、本資料策定時点において入手可能な情報に基づいて策定したものです。実際の業績等は、今後さまざまな要因によって記載内容と異なる可能性があります。