四半期報告書-第78期第3四半期(2023/10/01-2023/12/31)

【提出】
2024/02/14 16:57
【資料】
PDFをみる
【項目】
40項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年12月31日)の売上高は、LAL事業における海外販売や関節機能改善剤ジェル・ワンの販売数量の減少があったものの、ロイヤリティーの増加に加え、国内医薬品や中国向けアルツ等の海外医薬品の販売数量増により、前年同期と比べ4.7%増の27,384百万円となりました。
営業利益は、原価率の上昇に加え、海外子会社等の販売費及び一般管理費の増加により、31.6%減の2,328百万円となりました。経常利益は27.7%減の3,049百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は25.6%減の2,701百万円となりました。
セグメント別の売上概況
<医薬品事業>・国内医薬品(9,020百万円、前年同期比1.9%増)
関節機能改善剤アルツは、競合品からの切り替え施策が奏功し、医療機関納入本数は増加しました。当社売上高は、薬価引き下げの影響があったものの出荷数量増により増加しました。
関節機能改善剤ジョイクルは、出荷時期の調整により、当社売上高は減少しました。なお、本剤は2021年6月1日に安全性速報(ブルーレター)を発出しており、引き続き、販売提携先である小野薬品工業株式会社と連携のうえ、副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供を積極的に行っています。また、専門家や医療機関等の協力を得ながら、原因究明に向けた臨床研究を実施しました。得られたデータを分析し、より適正使用に繋がる提案を継続検討していきます。
眼科手術補助剤オペガン類は、高齢化に伴う市場の成長基調に加え、競合品の限定出荷の影響により、医療機関納入本数は増加しました。当社売上高は、薬価引き下げの影響があったものの出荷数量増により増加しました。
内視鏡用粘膜下注入材ムコアップは、販売提携先の在庫調整により、当社売上高は増加しました。
腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコアの医療機関納入本数及び当社売上高は減少しました。
・海外医薬品(7,533百万円、同8.8%増)
米国における単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンは、2022年7月に行われた保険償還制度変更の影響から徐々に回復傾向にあるものの、現地販売本数及び当社売上高は減少しました。
5回投与の関節機能改善剤スパルツFXは、保険償還制度変更に伴う市場環境の変化により、現地販売本数は増加しました。当社売上高は、出荷時期の調整や円安により増加しました。
中国向けアルツは、前年同期に新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う主要都市でのロックダウンにより、受診率が低下した反動を受け、現地販売本数は増加しました。当社売上高は、前年第1四半期に包装資材の変更に伴い出荷がなかったことや、現地販売本数が伸びたことにより、大幅に増加しました。
・医薬品原体・医薬品受託製造(2,474百万円、同13.6%増)
医薬品原体の増加や、海外子会社ダルトン ケミカル ラボラトリーズ インクの医薬品受託製造等の増加及び円安により、売上高は増加しました。
これらに加え、ロイヤリティー(699百万円、同-%)の増加により、医薬品事業の売上高は19,727百万円(同9.9%増)となりました。
売上高は、7,657百万円(同6.7%減)となりました。国内販売は、前年同期並みであったものの、海外子会社アソシエーツ オブ ケープ コッド インクは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う特需が収束したため、減少しました。
②財政状態
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ4,260百万円増加の79,886百万円となりました。これは主に投資有価証券及び有形固定資産が増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ240百万円減少の8,167百万円となりました。これは主に未払金が減少したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ4,501百万円増加の71,718百万円となりました。これは主に円安による為替換算調整勘定、親会社株主に帰属する四半期純利益計上に伴う利益剰余金の増加によるものです。
③会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(2) 経営の基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営の基本方針について重要な変更はありません。
(3) 目標とする経営指標
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの目標とする経営指標について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当社グループは、世界の人々の健康で心豊かな生活に貢献するために、専門分野とする糖質科学に特化して、独創的な医薬品等の創製を目指しています。
当社が保有する糖質科学に関する基盤技術を応用展開し、既存領域における新規開発テーマや新規疾患領域を含む革新的な研究テーマの創出に注力するとともに、各種アライアンスを推進することで、今後の事業成長の鍵を握る新薬の早期かつ継続的な上市の実現を図っていきます。
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は5,098百万円、対売上高比率(ロイヤリティー除く)は19.1%となりました。
研究開発活動の主な進捗状況は以下のとおりです。
・SI-6603(腰椎椎間板ヘルニア治療剤、開発地域:米国)
2023年3月に第Ⅲ相臨床試験の追加試験における経過観察が終了し、同年5月に主要評価項目において統計学的に有意な改善効果を示すトップライン結果を取得しました。現在、早期の承認申請に向けた準備を進めています。
SI-6603は、コンドリアーゼを有効成分とし、椎間板内に直接注射する治療剤です。全身麻酔の必要がなく、手術療法と比較して身体的侵襲が小さいという特徴を有しています。1回の投与で腰椎椎間板ヘルニアの症状改善効果が期待できることから、新たな治療選択肢の提供を目指します。
・SI-614(ドライアイ治療剤、開発地域:米国)
2022年5月より実施している第Ⅲ相臨床試験における主要評価項目において、統計学的に有意な改善効果が認められませんでした。現在、取得したデータをもとに、今後の開発方針について検討を行っています。
・SI-449(癒着防止材、開発地域:日本)
2020年5月より実施している消化器外科領域におけるピボタル試験において、2023年7月に主要評価項目である術後癒着の有無及び副次評価項目である癒着の程度・範囲において、統計学的に有意な癒着防止効果を示す結果を取得しました。また、安全性についても、顕在化した問題は認められませんでした。
なお、適用範囲の拡大を目的とした婦人科領域におけるパイロット試験において、安全性と操作性に大きな問題は認められませんでした。現在、販売提携先の選定及び早期の承認申請に向けた準備を進めています。
SI-449は、当社独自のグリコサミノグリカン架橋技術を用いて創製したコンドロイチン硫酸架橋体を主成分とする粉末状の医療機器です。水分を吸収し膨潤する特性を有しており、撒布後に手術創部と周辺組織の間でバリアとなることで、外科手術における術後癒着の防止効果が期待されます。本テーマは国内のみならず、グローバル展開を視野に入れて開発を進めていきます。
その他の研究開発活動については、重要な変更はありません。