有価証券報告書-第44期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/27 15:46
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有報資料

2015年に策定した5カ年中期経営計画『飛躍』の目標である、売上高250億円、営業利益50億円の達成と、経営ビジョン「独自のバイオ技術、細胞治療・再生医療技術によりグローバルで存在感のある研究開発型企業」の実現に向け、以下の課題に対処してまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 主力製品とその領域に対する取り組み
当社の主力製品である「グロウジェクト®」は、1993年の発売以来、適応症の追加、特長的な電動注入器の開発・発売、プロモーション活動の強化等により、売上を伸ばしてまいりました。昨年7月には、さらなる売上拡大を目指してSHOX異常症への適応追加(開発番号:JR-401X)のための第Ⅲ相試験を開始いたしました。また、本年3月には電動注入器「グロウジェクター®L」に対応する専用のスマートフォン用アプリケーションを臨床研究に提供し、患者の皆さんの服薬管理や投与時の負担軽減についてもアプローチしてまいります。さらに、これまで培った「グロウジェクト®」の知見を活用し、本年5月から第Ⅰ相試験を開始したJR-142(持続型成長ホルモン製剤)の開発についても積極的に進めてまいります。
再生医療等製品である「テムセル®HS注」は、販売開始以来、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病(GVHD)治療の新しい選択肢として医療機関から引き続き高い評価を受けており、治療症例数の増加とともに売上も順調に増加しております。さらに、表皮水疱症への適応追加(開発番号:JR-031EB)を本年3月に製造販売承認申請いたしました。なお、JR-031EBは昨年10月に厚生労働省より希少疾病用再生医療等製品の指定を受けております。
腎性貧血治療薬に関しては、既存の短期型赤血球造血刺激因子製剤「エポエチンアルファBS注JCR」に加えて、持続型製剤であるJR-131(ダルベポエチンアルファのバイオ後続品)の製造承認販売申請を昨年9月に行いました。販売元であるキッセイ薬品工業株式会社とともにこの領域におけるプレゼンスを高めてまいります。
昨年11月に発売いたしました「アガルシダーゼベータBS点滴静注JCR」につきましては、当社として初めてのライソゾーム病治療薬として、積極的なプロモーションを行ってまいります。
これら主力製品については当社の強みを生かした戦略的なマーケティングによる売上伸長と、生産・流通・販売における様々なコストの低減や継続的に取り組んでいる業務の効率化の相乗効果により、利益の拡大を目指してまいります。
② 開発品目の計画進捗
<ライソゾーム病治療薬>当社では現在、希少疾病であるライソゾーム病領域において、遺伝子組換え技術を用いた治療薬の研究開発に注力しております。ライソゾーム病は体内で不要になった老廃物を処理する酵素の遺伝子の異常により発症する疾患で、中でも中枢神経症状を伴う疾患については、有効な治療薬は現時点で存在しない難病です。当社では、血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo®」を用いて、これらの疾患に対する治療薬の開発を優先的に進めてまいります。
以下に、ライソゾーム病治療薬の開発品目について概略を記載いたします。
・JR-141(血液脳関門通過型ハンター症候群治療薬)
JR-141は、J-Brain Cargo®を用いた画期的なハンター症候群治療酵素であり、これまで治療法がなかった中枢神経症状に対して効果が期待される革新的な医薬品として、昨年3月に厚生労働省より先駆け審査指定制度の指定を、昨年10月に米国食品医薬品局(FDA)よりオーファンドラッグ指定を、本年2月に欧州医薬品庁(EMA)よりオーファンドラッグ指定をそれぞれ受けております。
現在、ブラジル連邦共和国では昨年6月から第Ⅱ相試験、日本国内では昨年8月から第Ⅲ相試験を行っており、さらに欧米での早期臨床試験の開始に向け臨床開発計画の立案を進めております。
なお、日本では2020年の製造販売承認申請を目指しております。
・JR-171(血液脳関門通過型ハーラー症候群治療薬)、JR-441(血液脳関門通過型サンフィリッポ症候群A型治療薬)
JR-141に続くJ-Brain Cargo®を適用した中枢神経症状を伴うライソゾーム病の治療薬としてJR-171、JR-441 の前臨床試験を行っています。いずれもモデル動物を用いた検討において、末梢組織だけでなく、脳内に蓄積した物質を効果的に減少させることが認められたことから、全身症状だけでなく中枢神経症状の改善効果が期待されます。
これら2剤についても、早期の臨床試験開始に向けて研究開発を進めてまいります。
・JR-162(J-Brain Cargo®適用ポンぺ病治療薬)
ポンペ病は、主に呼吸筋を含む骨格筋や心筋に症状を呈する疾患で、従来の酵素補充療法では骨格筋への取り込みが課題でしたが、J-Brain Cargo®の技術を応用したJR-162では、モデル動物を用いた検討において薬剤が骨格筋に効果的に取り込まれ、症状の改善効果が示唆されました。本剤についても早期の臨床試験開始に向けて研究開発を進めてまいります。
J-Brain Cargo®技術および遺伝子治療技術の応用が可能なその他のライソゾーム病についても、迅速に評価、検討を進め、早期に開発パイプラインに盛り込むことを目指してまいります。
<再生医療等製品>当社では、2016年2月に発売した「テムセル®HS注」に続く、再生医療等製品についても開発を進めております。
以下に、再生医療等製品の開発品目について概略を記載いたします。
・JTR-161/JR-161(急性期脳梗塞治療製品)
当社独自の技術を用いて生産方法を確立したヒト歯髄由来幹細胞(DPC)については、2017年7月に帝人株式会社と急性期脳梗塞を適応症として共同開発契約を締結し、昨年10月から第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始いたしました。次世代の再生医療等製品の柱として育てるべく、今後も両社で協力して開発を推進してまいります。
当社は昨年、従来の課題を克服した遺伝子治療薬製造の独自技術を確立するにいたりました。遺伝子治療は従来の治療法では根治できなかった、もしくは改善できなかった様々な疾患に応用できる可能性があります。遺伝子治療薬の技術を確立したことにより、当社はJ-Brain Cargo®というブレイクスルー技術に加え、「遺伝子組換え医薬品」、「再生医療等製品」および「遺伝子治療薬」という3つのバイオテクノロジーを用いた製品の研究開発・製造に関する基幹技術を有する世界的にも稀有な企業となりました。今後もさらなる技術的なイノベーションを目指すとともに、J-Brain Cargo®や遺伝子治療に関する技術を用いてライソゾーム病をはじめとする様々な希少疾病の新薬開発に注力してまいります。
③ さらなる成長に向けた取り組み
「グローバルで存在感のある企業」の実現に向けて、当社の技術力を生かした製品および技術の導出、グローバル展開は極めて重大な課題です。中でもJR-141をはじめとするJ-Brain Cargo®を用いたライソゾーム病関連開発品目の海外での早期開発については昨年1月に設立したJCR USA, Inc.を活用しながら、最優先で進めてまいります。
また、さらなる技術的イノベーションやグローバル展開を見据え、戦略的な設備投資を行っていく必要もあります。本年4月には第2治験薬製造センターの建設を開始し、また、ルクセンブルク大公国での新工場建設の準備を進めております。他にも日本における研究施設の拡充も検討しており、さらなる成長に必要なインフラの拡充を並行して進めてまいります。
2015年に公表した5ヵ年中期経営計画では、2020年3月期において売上高250億円、営業利益50億円を掲げておりました。2019年3月期においては、売上高、営業利益ともに目標に迫る過去最高の業績を達成いたしました。既存製品の売上は好調に推移し、研究開発もスケジュールどおりに進捗していることから、2020年3月期における中期経営計画の達成に向けて順調に推移していると考えております。
「医薬品を通して人々の健康に貢献する」を企業理念とする当社の使命は、難病や希少疾病領域において革新的な医薬品を患者の皆さんに届けることです。当社では近年、多くの技術的なイノベーションが実を結んでいますが、これは社員の挑戦と努力、そして熱意の果実であると言えます。このようなイノベーションが生まれ続ける職場環境、企業風土、そして人材こそが、当社の最大の強みであり、成長の源泉だと考えております。今後もチャレンジスピリット溢れる社員が最大限に能力を発揮できるように、様々な改革にも積極的に取り組んでまいります。
また、すべてのステークホルダーに愛され信頼される企業であり続けるため、製薬企業としての高い倫理・道徳感に基づくコンプライアンスの徹底、コーポレートガバナンスのさらなる強化と企業活動の透明化など、経営基盤の強化についても引き続き積極的に取り組み、持続的な発展を目指してまいります。

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