訂正有価証券報告書-第11期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2017/06/07 9:24
【資料】
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【項目】
68項目

対処すべき課題

現在、当社が対処すべき課題は次のとおりであります。
(1) 経営課題1:2017年度パテントクリフの克服
主力製品である高血圧症治療剤オルメサルタン等のパテントクリフを克服するため、売上回復と利益創出に取り組み、2017年度の売上収益9,400億円、営業利益1,000億円の目標達成を目指して参ります。
売上回復への取り組みとしては、抗凝固剤エドキサバンや日本の主力製品、さらには米国ルイトポルド事業の成長を加速させて参ります。
利益創出への取り組みとしては、2015年度までに実施した施策に加え、さらなるコスト削減・効率化を推進し、営業利益1,000億円の確保を目指して参ります。
(2) 経営課題2:持続的成長基盤の確立
持続的成長基盤を確立するため、2020年度の売上収益1兆1千億円、営業利益1,650億円、ROE 8%以上を目指して参ります。また、2020年度時点で5年以内に市場投入し、かつピーク時売上収益1,000億円以上を期待できる後期開発品を3~5品目保有することを目指して参ります。
2020年度の目標を達成するため、次の事業戦略を実行して参ります。
① 事業戦略
(ⅰ) エドキサバンの成長
グローバルな上市戦略の着実な展開、確立された製品特性の継続的訴求、製品力強化を目的とした新規エビデンスの創出を進めて参ります。日本では製品力と質の高い営業力によってNo.1製品に育成し、欧州では提携会社との協業も利用し、欧州全域で本格的に展開を図り、エドキサバンの成長を加速し、2020年度の売上収益1,200億円以上の主力品に育てて参ります。
(ⅱ) がん事業の立上げ・確立
後期開発品の上市によってがん事業を立上げ、初期開発品の着実な開発推進、外部資源の獲得による製品・開発品の充実、新組織によるがん研究開発の加速を図り、売上収益を2020年度400億円以上、2025年度3,000億円規模の事業に育てて参ります。
(ⅲ) 日本No.1カンパニーとして成長
日本No.1カンパニーとして、イノベーティブ医薬品事業の強みを活かし、そこにワクチン事業、ジェネリック事業、OTC事業の3つの事業を加え、予防、セルフメディケーション、治療までの様々な社会的ニーズ、医療ニーズへ的確に対応することにより、名実共にNo.1カンパニーとして成長することを目指して参ります。
(ⅳ) 米国事業の拡大
第一三共Inc.では、モバンティック、CL-108、ミロガバリンによって、疼痛領域での事業拡大を図り、2020年度の売上収益1,000億円以上を目指して参ります。
ルイトポルド・ファーマシューティカルズInc.では、鉄注射剤のインジェクタファーとジェネリック注射剤を伸長させ、2020年度の売上収益1,500億円を目指して参ります。
(ⅴ) SOCを変革する先進的新薬の継続的創出
疾患のターゲットとして、がんを重点領域と定め、疼痛、中枢神経系疾患、心不全・腎障害、希少疾患を次世代領域と位置付け、研究組織をバイオベンチャーモデルへ転換するとともに、パートナリング、オープンイノベーション、トランスレーショナルリサーチを利用してSOCを変革する先進的新薬創出を目指して参ります。また、核酸医薬や細胞治療等先進的技術の治療応用実現を進めて参ります。
(ⅵ) 利益創出力の強化
利益創出力の強化として2015年度までに実施した取り組みに加え、今回の中期経営計画期間中に、グローバルレベルでの生産体制の最適化及び調達機能の強化を進めて参ります。同時にグループ全体に亘る大幅なコスト削減・効率化を行い、売上原価、販売費及び一般管理費、研究開発費の見直しを進め、利益創出力の強化を図って参ります。
② 成長投資と株主還元等の考え方
第4期中期経営計画期間中のキャッシュの創出と使途については、成長投資を優先しつつ、株主還元も充実していく方針であります。
当連結会計年度末における手元流動性約7千億円に、今後研究開発費控除前のフリー・キャッシュ・フローと資産スリム化によって生みだすキャッシュを加えた約2兆2千億円が5カ年計画の原資となります。成長投資として研究開発に9,000億円、事業開発に5,000億円、残りを株主還元、設備投資、運転資金に充当する考えであります。
③ 株主還元方針
株主還元策としては、総還元性向を期間中100%以上、配当金は普通配当を年間70円以上に増配する方針であります。配当は安定的に行い、自己株式取得を機動的に実施して参ります。
(注)総還元性向:(配当金の総額+自己株式の取得総額)/親会社の所有者に帰属する当期利益
(3) 株式の大量取得を目的とする買付けに対する基本的な考え方
当社は、株式の大量取得を目的とする買付けが行われる場合、それに応じるか否かは、株主の皆様の判断に委ねられるものと考えており、経営権の異動を通じた企業活動の活性化等の意義を否定するものではありません。したがって、当社は買収防衛策を予め定めておりません。
しかし、一般に高値売抜け等の不当な目的による企業買収の提案があり、それが当社の企業価値・株主共同の利益の向上に資さない場合には、当社としてその提案に対抗することは当然の責務と認識しております。そのため、当社は株式取引や株主の異動状況等を常に注視しており、実際に当社株式の大量取得を目的とした買付者が出現した場合には、社外の専門家を交えて買収提案の評価を行い、当社の企業価値・株主共同の利益への影響を慎重に判断し、これに資さない場合には、個別の案件に応じた適切な対抗措置を講じて参ります。