有価証券報告書-第16期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/03/27 9:35
【資料】
PDFをみる
【項目】
209項目
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米中の貿易摩擦の影響や欧州における経済の減速感などから不透明な状況で推移しました。わが国における経済は、雇用環境の改善により堅調に推移していたものの、年度末における株式市場の低迷や消費増税への懸念などから不透明な状況が現れてまいりました。
当社グループが属する製薬業界におきましては、分子標的薬の米国FDA(Food and Drug Administration)による新薬の承認数は2017年度において46件と前年度比で2倍以上となり、そのうち低分子の分子標的薬の承認数は60%を超える等、当社が研究開発を行っている低分子のキナーゼ阻害薬(*)を含めた分子標的薬(*)の研究開発は依然活況を呈しています。さらに、FDAにより承認された上記新薬のうちBreakthrough Therapy(画期的治療薬)の指定を受けたものが3分の1を超えており、非常に有効性の高い新薬の承認が相次いでおります。特に、がん領域において免疫チェックポイント阻害薬の相次ぐ承認、がん種の拡大、それらに加えて免疫チェックポイント阻害薬とキナーゼ阻害薬との併用療法による治験が活発に行われており、がんを標的とした分子標的薬の研究開発は新たな段階に突入しております。
このような状況下、当社グループは、当社のキナーゼ阻害薬(*)の創薬に係る創薬基盤技術を駆使して開発したがんを標的とするCDC7阻害剤AS-141 (Sierra Oncology, Inc. の開発コード:SRA141)の導出に成功しております。導出先であるSierra Oncology社は、SRA141の米国におけるIND申請(新薬臨床試験開始届)に関係する一連のプロセスを成功裏に完了しており、大腸がんを対象とした治験開始(フェーズ1/2)に向けた準備を進めています。当該フェーズⅠ試験においてSRA141が最初の患者に投与されたときに、マイルストーンとして4百万ドルが当社に支払われます。その後も、本プログラムの進捗に応じたマイルストーンが当社に支払われます(マイルストーン総額で最大270百万ドル)。また上市後は、売上高に応じた一桁の段階的ロイヤリティが当社に支払われます。
さらに、大型新薬(ブロックバスター)の可能性がある当社の2つのBTK阻害薬プログラムが前臨床試験段階にあり、欧米での治験申請に向けた研究開発を積極的に進めております。リウマチなどの免疫炎症疾患を標的としたBTK阻害剤AS-0871については、GLP基準(*)での安全性試験を実施しており、早期の臨床試験開始を目指して、外部機関と連携しながら前臨床試験を進めております。さらに、イブルチニブ耐性の血液がんを治療標的とする次世代BTK阻害剤AS-1763については、最優先テーマとして開発を進めるため、臨床試験開始までのプロセスを加速させる独エボテック社のINDiGOプラットフォームを活用して前臨床試験を進めております。
加えて、第1四半期において大日本住友製薬株式会社と、アンメット・メディカル・ニーズの高い精神神経疾患領域の革新的な治療薬に関する共同研究ならびに開発および事業化に関する契約を締結し、第2四半期連結会計期間において契約一時金を売上計上しており、同社と緊密に連携を取りながら順調に共同研究を進めています。
また、当社のもう一つの事業の柱である創薬支援事業においては、欧州とアジア地域において売上が大きく拡大しており、特に中国における創薬関連のビジネス分野の伸張は目覚しく、中国での売上が急拡大しております。さらに日本、米国においては既存顧客への深耕や新規顧客の開拓を戦略的に行っており、顧客特注案件に柔軟に対応する体制を構築し、売上の拡大に取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は754,691千円(前連結会計年度比14.8%増)となりました。地域別の売上では、国内売上高は338,559千円(前連結会計年度比3.9%減)、海外売上高は416,132千円(前連結会計年度比36.4%増)となりました。損益面につきましては、営業損失が1,144,519千円(前連結会計年度は699,060千円)、経常損失は1,159,223千円(前連結会計年度は711,496千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,210,573千円(前連結会計年度は737,264千円)となりました。
各セグメントの状況は次の通りです。
1) 創薬事業
創薬事業の売上高では、第1四半期において、大日本住友製薬と精神神経疾患領域の革新的なキナーゼ阻害薬の共同研究契約を締結し、契約一時金を売上高に計上いたしました。また、ブロックバスターの可能性がある2つのBTK阻害薬プログラムについて、早期の臨床試験開始に向けて、積極的に先行投資を行い、前臨床試験を実施してまいりました。さらに、自社臨床試験の実施に向けて第3四半期には研究開発本部に臨床開発部を新設し、開発体制の基盤整備に取り組んでまいりました。
以上により創薬事業における売上高は50,000千円(前連結会計年度は売上計上なし)、営業損失は1,261,987千円(前連結会計年度は841,864千円)となりました。
2) 創薬支援事業
キナーゼタンパク質(*)の販売、アッセイ(*)開発、プロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービス及びセルベースアッセイ(*)サービスの提供等により、創薬支援事業の売上高は、704,691千円(前連結会計年度比7.2%増)、営業利益は117,468千円(前連結会計年度比17.7%減)となりました。
売上高の内訳は、国内売上が288,559千円(前連結会計年度比18.1%減)、北米地域は249,722千円(前連結会計年度比18.5%増)、欧州地域は94,800千円(前連結会計年度比44.9%増)、その他地域が71,609千円(前連結会計年度比146.5%増)であります。
なお、国内の売上高減少は、主に小野薬品工業株式会社向けの売上が減少したことによるものであります。北米地域での売上増は、主にプロファイリング・スクリーニングサービス及びキナーゼタンパク質製品の売上の増加によるものであります。欧州での売上の大幅な増加は、キナーゼタンパク質製品の販売増によるものであります。その他地域での著しい売上の増加は中国における創薬ビジネスの成長により、キナーゼタンパク質製品の需要が高まっていることによるものであります。なお、営業利益の減少は、売上高が増加したものの、積極的な新製品開発のための研究開発費が増加したことによるものであります。
なお、当社グループの連結の財政状態の概要につきましては、以下のとおりであります。
当連結会計年度末における総資産は、1,770,090千円となり、前連結会計年度末に比べて420,296千円減少となりました。その内訳は、現金及び預金の減少500,964千円等であります。
負債は882,636千円となり、前連結会計年度末と比べて70,158千円増加となりました。その内訳は、1年内返済予定の長期借入金の増加50,817千円、未払金の増加10,261千円、社債の減少28,000千円、長期借入金の増加39,633千円等であります。
純資産は887,453千円となり、前連結会計年度末と比べて490,455千円減少となりました。その内訳は、株式の発行による資本金及び資本剰余金の増加730,162千円、親会社株主に帰属する当期純損失1,210,573千円の計上による利益剰余金の減少等によるものであります。
また、自己資本比率は49.7%(前連結会計年度62.2%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ500,964千円減少し、1,355,254千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により減少した資金は1,128,026千円(前年は561,055千円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失1,206,799千円、未払金の増加10,234千円、減価償却費12,716千円及び減損損失47,575千円の計上の差し引きによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は58,314千円(前年は38,131千円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出58,314千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により増加した資金は687,522千円(前年は295,814千円の増加)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入625,128千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前年同期比(%)
創薬支援事業681,61181.9

(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.創薬事業については、生産を行っていないため記載しておりません。
2) 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前年同期比(%)
創薬支援事業93,291121.6

(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.創薬事業については、商品仕入を行っていないため記載しておりません。
3) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
創薬支援事業695,307101.739,71580.9
創薬事業50,000
合計745,307109.039,71580.9

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
創薬支援事業704,691107.2
創薬事業50,000
合計754,691114.8

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 平成29年1月1日
至 平成29年12月31日)
当連結会計年度
(自 平成30年1月1日
至 平成30年12月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
小野薬品工業株式会社144,48322.090,29412.0

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において過去の実績やその時点での入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
② 当社グループの損益構造について
当社グループは、キナーゼ阻害薬(*)等を創製するための研究開発ならびにその基盤となる技術である「創薬基盤技術」を強化するための研究開発へ積極的に先行投資し、将来の飛躍的な成長を目指しております。そのための研究開発に係る費用は、創薬支援事業が生み出すキャッシュ・フロー及び創薬事業における導出契約やマイルストーン達成に基づく一時金収入、ならびに資本市場等から調達した資金等により充当しております。
創薬支援事業の業績は黒字を継続し安定的に推移しているものの、創薬事業からの収益は、導出契約の成否、導出先製薬企業等における開発(*)の進捗、導出活動の進捗及び当社の研究開発の進捗等により影響を受け安定的でないことから、当社グループの短期的な損益については赤字となる傾向があります。
しかしながら、当社グループは、中長期的な経営方針に基づき、さらなる成長軌道に乗せ、当社の企業価値を高めるために、積極的に当社創薬事業に先行投資を行い、研究開発を推し進めてまいります。そのための資金を獲得するために、創薬支援事業からの収益力をさらに高めるとともに、当社にとって最適な資金調達方法を検討し、研究開発資金の確保に努めてまいります。
第13期、第14期、第15期及び第16期のセグメントごとの売上、研究開発費及び営業損益は、以下の通りです。
(単位:千円)
回次第13期(連結)第14期(連結)第15期(連結)第16期(連結)
決算年月平成27年12月期平成28年12月期平成29年12月期平成30年12月期
売上高1,569,205811,598657,516754,691
創薬支援事業954,355712,670657,516704,691
創薬事業614,85098,92850,000
研究開発費417,249513,430670,8611,140,841
創薬支援事業13,9362,70324,82656,155
創薬事業403,312510,727646,0351,084,685
営業利益(△損失)472,781△423,977△699,060△1,144,519
創薬支援事業412,610192,059142,804117,468
創薬事業60,171△616,036△841,864△1,261,987

③ 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比97,175千円増(14.8%増)の754,691千円となりました。これは主に、当連結会計年度は創薬事業において共同研究契約時の一時金収入を計上したこと、また創薬支援事業において、海外売上が増加したことによるものであります。事業別の売上高は、創薬支援事業が704,691千円(前期比7.2%増)、創薬事業は50,000千円(前連結会計年度は売上計上なし)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度比68,978千円増(15.9%増)の503,992千円となりました。これは、創薬事業及び創薬支援事業の売上高が上記理由により増加したこと等によるものであります。
(営業損失)
当連結会計年度の営業損失は、1,144,519千円(前連結会計年度は699,060千円)となりました。これは、売上総利益が増加したものの、主に当社創薬事業における創薬パイプラインの前臨床試験に積極的に先行投資を行ったことにより、研究開発費が前連結会計年度と比較して469,979千円増加(70.1%増)したこと等によるものであります。
(経常損失)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度と比較して5,471千円減少(83.1%減)し、1,115千円となりました。これは主に、補助金収入の減少によるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度と比較して3,203千円減少(16.8%減)し、15,820千円となりました。これは主に、新株予約権発行費の減少と支払利息の増加の差引によるものであります。
その結果、当連結会計年度の経常損失は、1,159,223千円(前連結会計年度は711,496千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度は特別利益の計上はありませんでした(前連結会計年度は計上なし)。
当連結会計年度の特別損失は、47,575千円となりました(前連結会計年度は21,884千円)。これは、創薬事業の固定資産について、減損損失を計上したことによるものであります。
その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、1,210,573千円(前連結会計年度は737,264千円)となりました。
④ 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策
当社グループは、前記「2 事業等のリスク」に記載のとおり、現在2つの創薬パイプラインで前臨床試験を実施するとともに、次期以降において臨床試験を実施する計画としており、引き続き研究開発への先行投資を行ってまいりますが、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しているとともに、現時点で先行投資として実施する研究開発のための十分な資金が必ずしも手許に準備できていないことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象が存在していると判断しております。しかしながら、当社グループの創薬事業におけるマイルストーン収入および導出一時金等の獲得、ならびに創薬支援事業における更なる売上高の上積みを通じた資金確保、さらに現在実施している第16回及び第17回新株予約権を用いた資金調達を行うとともに、必要に応じて新たな資金調達を実施してまいります。そのうえで、先行投資として実施する研究開発はこれらの資金調達の状況をみながら実施することから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
当社はこれら対応策を着実に実行することにより、早期に当該事象を解消するとともに、当社の企業価値を高め、飛躍的な成長につなげてまいります。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。