有価証券報告書-第18期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

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2021/03/26 10:36
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当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当社は、創薬事業においては、アンメット・メディカル・ニーズの高い未だ有効な治療方法が確立されていない疾患を中心に、特にがん、免疫・炎症疾患を重点領域として画期的な新薬の開発を目指して研究開発に取り組み、また、創薬支援事業においては、新たなキナーゼ阻害薬(*)創製のための製品・サービスを製薬企業等へ提供するため、営業活動に取り組んでおります。
当社の2つのBTK阻害剤ポートフォリオのうち、免疫・炎症疾患を対象として開発を進めているBTK阻害剤AS-0871については、2020年8月にオランダにおいてフェーズ1試験における被験者への投与を開始いたしました。健常人を対象としたフェーズ1試験の単回投与用量漸増試験(SAD)パートにおいて、計画していた投与が2020年中にすべて完了しており、2021年第1四半期に当該試験に関する結果が得られる予定です。
イブルチニブを代表とする第1世代の共有結合型BTK阻害薬耐性の血液がんを治療標的とした次世代BTK阻害剤AS-1763については、臨床試験開始に必要なすべての前臨床試験が2020年中に終了いたしました。2021年2月に、AS-1763のフェーズ1試験のCTA(欧州における臨床試験許認可申請)に関して、オランダ当局および倫理委員会による承認が得られたことから、2021年上期中に当該試験を開始する予定です。AS-1763については、2020年3月に、中華圏(中華人民共和国および台湾)における開発・商業化の権利を中国バイオノバ・ファーマシューティカルズ(以下「バイオノバ社」)に供与する契約を締結し、契約一時金を第1四半期に受領しております。中国においてはバイオノバ社が臨床試験を実施することになり、当社はバイオノバ社が実施したAS-1763に関するより多くの臨床試験データを収集・利用することで、AS-1763の治験を加速できると考えております。当社は、中華圏における今後のAS-1763の開発進捗に伴い、バイオノバ社から最大で約205百万ドル(約215億円)を受け取ることになり、さらに、AS-1763の中華圏における上市後の売上高に応じた最大2桁の料率の段階的ロイヤリティを受け取ります。
当社が創製し、2016年5月にシエラ・オンコロジー社(以下「シエラ社」)に導出したCDC7阻害剤AS-0141については、2020年6月に同剤に関する全権利を当社が再取得いたしました。AS-0141はシエラ社によって米国におけるIND申請(新薬臨床試験開始届)が完了しており、当社はシエラ社が実施したすべての前臨床試験データ、原薬および治験薬等を譲り受けました。他社先行品の臨床試験成績の解析および科学的エビデンスに基づき、より成功確度の高い新たな開発戦略を策定し、2021年上期中に日本国内で臨床試験を開始する準備を進めています。
当社のもう一つの事業の柱である創薬支援事業では、2020年12月期の売上高は1,080,321千円(前年同期比0.1%増)となり、創薬支援事業として過去最高の売上高を達成いたしました。新型コロナウイルスの感染拡大により、顧客である製薬企業等が研究所を閉鎖するなど研究活動が低下した影響は一部でありましたが、期初の売上計画1,036,286千円および12月8日に公表した修正計画1,050,027千円を上回ることができました。2019年6月に締結した米国ギリアド・サイエンシズ社(「以下「ギリアド社」)との新規がん免疫療法の創薬プログラムに関するライセンス契約に関連し、同社による当該プログラムの開発をサポートするため、当社の脂質キナーゼ阻害剤に関する創薬基盤技術を一定期間、独占的に同社に供与することになっており、これに関連した売上が米国における売上を押し上げました。また、プロメガ社のNanoBRETTMテクノロジーを用いた細胞内でのキナーゼ阻害剤の作用を評価する受託試験サービスが国内外で好調でした。
以上の結果、2020年12月期の連結売上高は1,133,346千円(前連結会計年度比64.7%減)となりました。地域別の売上は、連結ベースで国内売上高が277,973千円(前連結会計年度比7.2%増)、海外売上高は855,372千円(前連結会計年度比71.0%減)となりました。損益面につきましては、営業損失が1,057,067千円(前連結会計年度は977,778千円の営業利益)、経常損失は1,077,096千円(前連結会計年度は957,161千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,111,032千円(前連結会計年度は828,289千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。なお、前年同期からの業績の大幅な変動は、ギリアド社との上記ライセンス契約締結に伴い、前連結会計年度に契約一時金2,128,000千円を受領したことが要因です。
各セグメントの状況は次の通りです。
1) 創薬事業
当連結会計年度において、バイオノバ社とAS-1763の中華圏におけるライセンス契約を締結したことにより、契約一時金を受領いたしました。また、前臨床試験や臨床試験への投資により、研究開発費は1,370,678千円(前連結会計年度比15.5%増)となりました。以上の結果、創薬事業の売上高は53,025千円(前連結会計年度期比97.5%減)、営業損失は1,515,809千円(前連結会計年度は577,230千円の営業利益)となりました。
2) 創薬支援事業
キナーゼ(*)タンパク質の販売、アッセイ(*)開発、プロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスおよびセルベースアッセイ(*)サービスの提供等により、創薬支援事業の売上高は1,080,321千円(前連結会計年度比0.1%増)と過去最高の売上高を達成し、営業利益は458,741千円(前連結会計年度比14.5%増)となりました。売上高の内訳は、国内売上が277,973千円(前連結会計年度比7.2%増)、北米地域は658,240千円(前連結会計年度比3.8%増)、欧州地域は70,852千円(前連結会計年度比18.5%減)、その他地域は73,255千円(前連結会計年度比26.1%減)です。
なお、コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が当社に与える影響は、当連結会計年度においては限定的でしたが、今後当社の創薬支援事業の売上及び臨床試験の実施に影響を与える可能性があります。
第15期、第16期、第17期及び第18期のセグメントごとの売上、研究開発費及び営業損益は、以下の通りです。
(単位:千円)
回次第15期(連結)第16期(連結)第17期(連結)第18期(連結)
決算年月2017年12月期2018年12月期2019年12月期2020年12月期
売上高657,516754,6913,207,4231,133,346
創薬支援事業657,516704,6911,079,4231,080,321
創薬事業50,0002,128,00053,025
研究開発費670,8611,140,8411,281,9801,474,452
創薬支援事業24,82656,15594,820103,774
創薬事業646,0351,084,6851,187,1601,370,678
営業利益(△損失)△699,060△1,144,519977,778△1,057,067
創薬支援事業142,804117,468400,547458,741
創薬事業△841,864△1,261,987577,230△1,515,809

(2) 財政状態の状況
当社グループの連結の財政状態の概要につきましては、以下のとおりであります。
当連結会計年度末における総資産は、4,835,356千円となり、前連結会計年度末に比べて541,254千円の減少となりました。その内訳は、現金及び預金の減少615,914千円等であります。
負債は1,011,346千円となり、前連結会計年度末と比べて511,741千円の減少となりました。その内訳は、1年内返済予定の長期借入金の減少109,075千円、前受収益の減少141,423千円、長期借入金の減少161,897千円等であります。
純資産は3,824,010千円となり、前連結会計年度末と比べて29,512千円の減少となりました。その内訳は、株式の発行による資本金及び資本剰余金の増加1,097,658千円、親会社株主に帰属する当期純損失1,111,032千円の計上等であります。
また、自己資本比率は79.0%(前連結会計年度71.5%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ615,914千円減少し、4,299,142千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により減少した資金は1,260,972千円(前年は1,477,773千円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失1,102,487千円の計上、前受収益の減少141,423千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は70,433千円(前年は40,945千円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出64,737千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により増加した資金は724,423千円(前年は2,121,748千円の増加)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出270,972千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,023,423千円によるものであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、キナーゼ阻害薬等を創製するための研究開発ならびにその基盤となる技術である「創薬基盤技術」を強化するための研究開発へ積極的に先行投資し、将来の飛躍的な成長を目指しております。そのための研究開発に係る費用は、創薬支援事業が生み出すキャッシュ・フロー及び創薬事業における導出契約やマイルストーン達成に基づく一時金収入、ならびに資本市場等から調達した資金等により充当しております。
創薬支援事業の業績は黒字を継続し安定的に推移しているものの、創薬事業からの収益は、導出契約の成否、導出先製薬企業等における開発の進捗、導出活動の進捗及び当社の研究開発の進捗等により影響を受け安定的でないことから、当社グループの短期的な損益については赤字となる傾向があります。
しかしながら、当社グループは、中長期的な経営方針に基づき、さらなる成長軌道に乗せ、当社の企業価値を高めるために、積極的に当社創薬事業に先行投資を行い、研究開発を推し進めてまいります。そのための資金を獲得するために、創薬支援事業からの収益力をさらに高めるとともに、当社にとって最適な資金調達方法を検討し、研究開発資金の確保に努めてまいります。
(5) 生産、受注及び販売の状況
1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前年同期比(%)
創薬支援事業1,132,427112.0

(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.創薬事業については、生産を行っていないため記載しておりません。
2) 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前年同期比(%)
創薬支援事業64,00379.7

(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.創薬事業については、商品仕入を行っていないため記載しておりません。
3) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
創薬支援事業897,35362.4214,93354.0
創薬事業53,0252.5
合計950,37826.7214,93354.0

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
創薬支援事業1,080,321100.1
創薬事業53,0252.5
合計1,133,34635.3

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
A社2,435,23075.9456,10340.2

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当社顧客との各種契約においては秘密保持条項が存在するため、一部の社名の公表は控えさせて頂きます。
(6) 経営方針・経営戦略または経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針・経営戦略 ③目標とする経営指標」に記載のとおり、創薬支援事業については、安定的に収益を獲得する基盤事業として、継続的な事業成長と収益基盤の拡大を図るため、売上高、営業利益率の改善を重要な経営指標としております。
当連結会計年度の創薬支援事業は、売上高が過去最高の水準となりました。営業利益率も、自社開発製品・サービスの販売が好調だったため、前連結会計年度比で改善しております。
(7) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成において、損益または資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において過去の実績やその時点での入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。

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