有価証券報告書-第128期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/28 15:10
【資料】
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【項目】
104項目
③ 戦略
<シナリオ分析結果>「4℃シナリオ」
現状を上回る対策が講じられず、2100年までに平均気温が産業革命時期比で3.2~5℃上昇する
・事業リスク(物理リスク)
4℃シナリオでは異常気象による生産設備への影響や原材料の供給停止、停電による工場停止等のリスクがあることが分かりました。これらリスクに対しBCP※4の策定による生産拠点や原材料調達先の分散化、安定電源の確保等の対策を進めています。特に近年、異常気象に起因する台風や豪雨により、重要なライフラインである送電網の寸断による被害が各地で発生しています。当社グループは安定的な電源確保のために、1960年代から主要生産拠点に自家発電設備を順次導入することで、停電による操業停止リスクを回避しています。
その他気温や降水パターンの変化により動植物の生息地域の変化、個体数の減少や死滅が発生するリスクがあります。これらの影響により、植物由来原料の不安定化・価格高騰が発生するほか、化石燃料の枯渇により石油由来原料の供給不安定化や価格高騰も想定されます。当社グループでは使用後溶剤の再資源化(蒸留精製リサイクル等)、複合機の部品や使用後カートリッジ(トナー・ドラム・トナー回収ボトル)の回収とリサイクル、梱包材の削減と薄手化等により、原材料供給不足リスクの低減を図っています。
※4 Business Continuity Planning(事業継続計画)。自然災害やテロ、大規模なシステム障害等の危機的状況が生じた場合に、重要な業務を継続し早期復旧できるように計画しておくこと。
・事業機会
気温の上昇に伴い極端な高温、海洋熱波、大雨、干ばつ、熱帯性低気圧の発生頻度や強度が増します。このような異常気象や、異常気象に伴う生態系や健康への影響に対して、社会が適応するための製品・サービスの需要が高まると予測しています。
『社会インフラの強靭化』
異常気象が頻発する状況において、社会インフラの強靭化は重要な課題の一つです。当社グループは、レンズの高精度加工製造技術を活用し、夜間や荒天時でも河川や海面を監視できる高感度カメラの提供や、高精度画像解析・AI技術を用いた橋梁、堤防等の劣化診断技術により、気候変動への適応に貢献できると考えています。また、災害発生時における自治体の罹災対応プロセスのデジタル化により、自治体業務と住民の早期生活再建支援に貢献するソリューションはその必要性が高まると予測しています。
『医療従事者の負担軽減及び医療アクセスの向上』
気温上昇は人々の健康にも大きな影響を与えます。感染症等想定外の疾病拡大による医療従事者の負担増加や、台風や集中豪雨、熱波の発生頻度の増加により患者や医療従事者の往来が困難になり、医療従事者が少ない国地域において医療崩壊につながる可能性があります。当社グループは、医療IT技術や医用画像診断・AI技術をグローバルで展開することで、医療従事者の負担軽減や遠隔診断等の医療アクセス向上に貢献していきます。
「1.5℃シナリオ」
脱炭素社会に向けた厳しい対策が講じられ、2100年までの気温上昇が産業革命時期比で1.5℃に抑えられる
・事業リスク(移行リスク)
1.5℃シナリオでは、脱炭素社会へ移行する過程で、化石燃料の使用を制限し技術革新を促す政策としての炭素税や、各国・地域の炭素税額格差による産業移転を抑制するための炭素国境調整措置の導入による財務リスクがあります。2022年度に当社グループが直接及び間接排出したCO2は980千トンでした。炭素税価格を2023年度下期に設定した社内炭素価格13,000円/トン-CO2とした場合、2022年度製造段階で排出したCO2は980千トン-CO2であり、約127億円(≒980千トン-CO2×13,000円/トン-CO2)の財務リスクとなります。
当社グループは2021年12月に、CSR計画「SVP2030」の気候変動対応目標を引き上げ、2040年度に自社で使用するエネルギーによるCO2排出量ゼロを目標とし、省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの導入を両輪で推進しています。2022年度に自社で直接排出するCO2排出量については、省エネや再生可能エネルギーの導入により、本目標の基準年である2019年度に対し、10%削減しました。
・事業機会
人為的に排出されるCO2は主にエネルギー起因であるため、エネルギー利用効率を究極的に高め、CO2排出を伴わない自然エネルギー(風力・太陽光・水力等)を主に利用する社会に移行することが予想されます。
『省エネルギー』
社会全体のエネルギー利用効率を高めるためには、まず製品やサービスにおいてエネルギー効率の高い方式が優先して採用されます。当社グループは、データ保存時のCO2排出を削減する大容量磁気テープによるデータアーカイブストレージシステムや、省電力性能を高めた複合機を提供することで、お客様使用先でのCO2削減に貢献しています。
『創エネルギー』
自然エネルギーを利用するために様々なインフラ整備が進みます。そのうち海上も含め世界的に設置拡大が予想される風力発電設備は、高所や遠隔地等点検が困難な環境に設置されるため、設備の劣化診断や点検に対する技術向上が必要となります。当社グループは、撮像技術や精密成型技術を活用した高性能防振・超望遠カメラと、高精度画像解析・AI技術の組み合わせにより、風の強い海岸や洋上等の過酷な環境下でも、風力タービンのブレード欠陥を稼働中に点検診断可能な技術開発を風力エネルギー供給会社と協働で進めており、風力発電設備の普及・安定稼働に貢献していきます。
『蓄エネルギー』
自然エネルギーを利用する場合、電力の供給量が天候・時間・季節により変動するため、電力の安定供給のために蓄エネルギー技術が必須となります。当社グループの分散・塗布技術や素材技術を活かし、従来の液体リチウムイオンバッテリーに対して低コスト・高容量化が期待できる準固体電池の開発を他社と連携して進めることで、電気自動車や定置用蓄電池での実用化に貢献できるものと考えています。
『CO2の回収・固定化』
脱炭素社会に移行する過程では、CO2を排出する化石燃料の使用が避けられない産業においてCO2捕捉や大気中のCO2固定化が必要になります。この領域ではバイオエンジニアリング技術によるCO2を原料とした有用物質のバイオ生産が貢献できると考えています。
『分散型社会に適応したソリューション・サービス』
自然エネルギーとの親和性を高めるためには、大都市への集中型社会から地方への分散型社会へ移行することが求められ、分散型社会での生活や事業活動を支えるソリューションが普及すると考えています。
当社グループが提供している業務プロセスのデジタル化・自動化、ペーパーレス化を促進するソリューション・サービスは、リモートワークやハイブリッドワークといったビジネス面での分散型社会への対応と、省移動・省時間・省スペースによるCO2排出削減の両面で必要となり、今後さらに需要は高まるものと思われます。
また、生活を支える医療の側面では、4℃シナリオと同様、「医療IT、医療画像診断・AI技術活用による医療従事者支援や医療アクセス向上に貢献するソリューション」が地域毎に必要不可欠であり、大きな事業機会になると考えています。メディカルシステム事業(2026年度売上目標7,100億円)を通じて、分散型社会に対応した地域医療への貢献を行っていきます。
当社グループは、今後もコア技術を磨き、レジリエントなエネルギー社会の実現に必要となる様々な製品・サービスの開発を進めていきます。

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