有価証券報告書-第124期(2023/01/01-2023/12/31)

【提出】
2024/03/26 15:29
【資料】
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【項目】
153項目
(3) 【監査の状況】
① 監査役監査の状況
a.人員構成・経歴
当社の監査役は5名で、2名が社内出身の常勤監査役、残る3名が当社とは特別の利害関係のない社外監査役です。監査役のうち3名は女性で、監査役会における女性比率は60%です。当連結会計年度の監査役会議長は、吉田猛常勤監査役が務めており、吉田猛常勤監査役、後藤靖子社外監査役、野々宮律子社外監査役を財務・会計に関する相当程度の知見を有する監査役として選任しています。吉田猛常勤監査役は、1992年に当社に入社以降、会計および事業管理業務に携わり、2011年に資生堂アメリカズCorp.上級副社長、2014年に監査部長に就任し、2018年に現職に就任しました。後藤靖子社外監査役は、運輸省(現国土交通省)初の女性キャリアとして様々な重職を経験後、事業会社で常務取締役CFO、取締役監査等委員など要職を歴任しています。野々宮律子社外監査役は、米国および日本の会計事務所等での業務経験後、M&Aおよび事業開発等に携わるなど高い財務・会計知識を有するとともにM&A等を含む経営の知識とビジネス経験を有しています。
各監査役の当連結会計年度における取締役会および監査役会への出席状況は以下のとおりです。
役職氏名取締役会監査役会
常勤監査役吉田 猛100%(14回/14回)100%(13回/13回)
常勤監査役宇野 晶子100%(3回/3回)100%(3回/3回)
常勤監査役安野 裕美100%(11回/11回)100%(10回/10回)
社外監査役後藤 靖子100%(14回/14回)100%(13回/13回)
社外監査役野々宮 律子100%(14回/14回)100%(13回/13回)
社外監査役小津 博司100%(14回/14回)100%(13回/13回)

監査役の職務遂行を補佐するために、必要な知識、能力を有する監査役スタッフ3名(2023年12月31日現在)を配置しています。なお、監査役スタッフの人事については、監査役の意見を反映して決定しています。
当社は、社外監査役が期待される役割を十分に発揮できるようにするとともに、有能な人材を招聘できるよう、社外監査役との間で会社法第423条第1項の責任につき、善意でかつ重大な過失がないときは、同法第425条第1項各号の定める額を限度として責任を負担する旨を定めた契約(同法第427条第1項に規定する契約(いわゆる責任限定契約))を締結しています。
なお、当社は、現時点では社外監査役以外の監査役と責任限定契約を締結する必要性がないことから、責任限定契約を締結することができる対象を変更するための定款変更は行っていません。
b.監査役会の活動状況
当社の監査役会は、取締役会開催に先立ち定期的に開催するほかに、必要に応じて開催しています。当連結会計年度は、合計13回開催し、1回あたりの平均所要時間は約1時間30分でした。
監査役会は、法令・定款および監査役会規程の定めるところにより、監査に関する重要な事項について報告を受け、協議を行い、決議を行います。
当連結会計年度における主な「決議事項(含む同意事項)」「協議事項」「報告事項」は以下のとおりです。
決議事項
(含む同意事項)
・監査役会招集者(議長)・常勤監査役・特定監査役の選定
・監査役監査計画・重点監査項目
・監査役関連規程の改訂
・会計監査人の報酬等の同意、会計監査人の再任
・内部統制の整備・運用状況
・監査役会監査報告
・国際会計士倫理基準委員会(IESBA)国際倫理規程改訂に基づく
次年度非保証業務の包括事前了解範囲・個別了解
協議事項・監査役の報酬に関する協議
・監査役会実効性評価
報告事項・監査役監査計画・重点監査項目
・株主総会提出議案の調査結果
・監査役往査結果
・内部監査・リスクマネジメントの対応・推進状況

また、監査役会以外にも重要案件についての議論や監査役間の意見交換の機会として監査役会メンバーミーティングを随時開催しています。当連結会計年度では、機関設計の考え方・内部統制システムの運用状況に関する意見交換、監査部およびリスクマネジメント部とのディスカッションを行いました。
なお、監査役会実効性評価については、監査役会としての実効性の維持・向上を図ることを目的として、以下の評価項目について年間の監査活動を振り返り、監査役会でのディスカッションを経て、評価を実施しました。評価の結果、当連結会計年度において監査役会は、有効に機能しており実効性は認められると結論づけました。
評価項目・監査役会のメンバー構成・規模(人員数、社外人数、多様性等)
・監査役会の運営(開催頻度、開催時間、議題内容、社外監査役支援体制等)
・監査役会のカルチャー(議長のリーダーシップ、相互コミュニケーション、活発な議論等)
・監査役会の役割・機能
・内部統制システムの整備・運用状況の監視
・コーポレートガバナンス・コード対応
・取締役・取締役会との連携
・会計監査人・監査部との連携および三様監査等による監視体制


c.監査役の主な活動
監査役監査基本方針で、監査役は株主の負託を受けた独立の機関として、当社および当社グループの健全で持続的な成長を確保するために、様々なステークホルダーからの信頼に応える良質な企業統治体制を確立する責務を負うと定め、取締役の職務の執行に関して、適法性および妥当性の監査を行っています。
当連結会計年度の重点監査項目および監査の主なポイントは、以下のとおりです。
2023年度 重点監査項目監査の主なポイント
スキンビューティーブランド強化・スキンビューティーポートフォリオの構築とブランドエクイティ強化・シェア拡大
・デジタルを活用したビジネスモデルの進化
・肌研究に基づいたイノベーション強化
・サステナビリティ経営の進化に向けた取り組み
主要地域事業再構築・トランスフォーメーション後の事業基盤強化と、日本の収益基盤の再構築、中国の成長再構築
・新市場展開・新領域の進出
サプライネットワーク・商品原価の低減とサプライチェーン拠点の再編
人財・組織・人事施策の推進・浸透による人財能力・組織能力・生産性の向上
内部統制・ガバナンス他・HQ・地域本社・子会社の内部統制・ガバナンス
・グローバルITガバナンスの確立とFOCUSの導入・定着
・品質保証ガバナンスのグローバル展開と浸透・定着

監査活動の状況は以下のとおりです。
取締役会のほか重要会議および委員会への出席それぞれの分野での豊富な経験と知識を活かし、独立的な視点で必要な助言・提言・意見を述べ、取締役の職務執行状況を確認
Global Strategy Committee、Global Risk Management & Compliance Committee、HQ・SJコンプライアンス委員会等
代表取締役とのミーティング直面している重要な経営課題に対する意見交換や年間の監査活動を踏まえた課題の共有。年2回
エグゼクティブオフィサー、部門長、事業所責任者等との面談・往査・経営環境や事業環境に関する意見交換。国内50回 海外41回
内部監査状況の確認監査役会 年2回
常勤監査役 月次

また、監査役は会計監査人より四半期決算ごとに会計監査の状況について報告を受けるとともに、監査上の主要な検討事項(KAM: Key Audit Matters)については、当社の経営者の重要な判断に伴う財務諸表の領域に大きく影響を及ぼすと考えられる項目を中心に会計監査人と情報共有および意見交換を行いました。
そのほか、内部監査部門を加えた三様監査連絡会を四半期ごとに実施し、それぞれの監査状況について意見交換を実施しました。
② 内部監査の状況
a.内部監査の目的と方針
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の①企業理念 THE SHISEIDO PHILOSOPHYをもとにした統制環境を前提としています。その上で、当社グループの内部監査は、適切な統制活動および改善活動の促進により、持続的な成長と企業価値向上に貢献することを目的としており、監査部制定の「内部監査規程」に基づき、全社的な見地から当社グループの内部統制の整備・運用状況を、「業務の有効性・効率性」「財務報告の信頼性」「関連法規・社内規程の遵守」および「資産の保全」の観点から検証するとともに、リスクマネジメントの妥当性・有効性を評価し、その改善に向けた助言・提言を行っています。
また、上記の目的を達成すべく、当社代表執行役 会長 CEOは、高品質な内部監査を実施できるように必要なリソースを提供し、内部監査機能の活用を通じて、高い倫理感と誠実性をもった組織へさらに進化させていき、ステークホルダーの皆さまに信頼される会社を目指していきます。
b. 組織・人員構成
当連結会計年度において監査部は、代表取締役 会長 CEO直轄の組織であり、毎月、代表取締役 会長 CEOおよび取締役最高財務責任者、ならびに常勤監査役に、また、定期的に取締役会・監査役会に報告していくなど複数のレポートラインを確保しています。
また、財務報告に係る内部統制については、金融商品取引法に基づく内部統制報告制度に従って、監査部が独立した部門としてグループ全体の内部統制の評価を取りまとめ、レビューを実施した上で最終評価を行っています。監査の実施状況および評価結果は、上記と同様に報告しています。
なお、2024年3月の株主総会以降は、監査委員会直轄の組織とすることでより独立性・客観性を担保し、定期的に監査委員会に監査の実施状況およびその結果を報告するとともに、毎月、代表執行役 会長 CEOおよび執行役最高財務責任者に、定期的に取締役会に報告していくなど複数のレポートラインを確保します。また、代表執行役と監査委員会との間で相反する指示・判断があった場合には、監査委員会の意見を優先します。
人員は2023年12月末現在、本社監査部員19名、欧州・米州・アジア・中国に本社所属の拠点監査部員6名(主に現地採用)を配置しています。公認内部監査人(CIA)、公認情報システム監査人(CISA)、公認不正監査士(CFE)、日米の公認会計士等の専門資格を保有するものは概ね5割で、未保有者にも資格取得を奨励するなど、専門性が高く信頼される組織を目指しています。また、部員の当社内部監査の従事期間は平均5~6年と内部監査の経験・知見のあるメンバーとともに、監査部内でスキルマトリクスを作成・確認し、監査部に不足している専門性をもったメンバーを他部門から迎え入れバランスを考慮した人員構成となるようにしています。なお、社内の専門性および人員数の観点からリソースが不足した場合には、必要に応じて外部の専門家を活用しています。
上記ほか、リスクベースに応じ、国内外主要子会社に現地経営者へのレポートラインを有する専任監査部員18名が所属しており、現地の実情に即応できる体制を整備しています。
内部監査業務の品質向上のために、当社では内部監査人協会(The Institute of Internal Auditors)の「内部監査の専門職的実施の国際基準」(IIA基準)をもとに、外部品質評価の実施経験がある複数のCIA保持者による監査の品質評価を内部で実施しており、今後の定期的な外部評価も見据えて、部門運営・業務の継続的改善を行っています。品質向上に向けて、グローバルレベルでの基幹システム統一を機とした監査部門におけるデータ分析能力の向上を進めています。
c.内部監査の主な活動
当連結会計年度の主な組織・機能上の報告・情報交換の実績は以下のとおりです。下記に加えて、「監査役監査の状況」に記載のとおり、会計監査人、監査役、および監査部の間で定期的な情報交換を行うなど相互連携を強化しています。
<監査部との報告・情報交換>
会議名頻度出席者
CEO・CFO報告毎月CEOおよびCFO
取締役会報告年2回取締役および監査役
社外取締役との情報交換適宜(1回)社外取締役
監査役報告(監査役会報告を含む)毎月監査役
社外監査役との情報交換適宜(2回)社外監査役

監査部では、Global Risk Management & Compliance Committeeにおけるリスク認識やその他の当社内外で識別されたリスク情報、対象組織に対する監査の頻度などを総合的に勘案したリスク評価を実施し、監査部の人員を含めたリソースを考慮の上、優先順位をつけて、監査対象組織・テーマを選定し、内部監査を実施しています。その結果、2023年度は25の組織・テーマを対象とした内部監査を実施しました。内部監査実施後は、改善指摘とその対応状況を定期的にフォローアップし、その進捗をCEOに報告しています。
情報セキュリティ、製品の品質などの専門領域は、それぞれグローバルポリシー等を作成し、第一線および第二線での運用を徹底させるとともに、リスクアセスメントを実施し、テクノロジーを活用したオフサイトモニタリングや現地往査によるモニタリングを実施しています。また、国内外主要子会社の専任監査部門が実施する監査の結果について情報共有しています。加えて、各機能部門・子会社監査部門と監査部とで共同監査を企画・実施しています。
今後は、サステナビリティ戦略推進部、DE&I戦略推進部、および地域本社などと協働して、非財務情報の開示充実に対応できる内部統制の整備・運用について保証の観点から貢献します。
③ 会計監査の状況
a. 監査法人の名称
有限責任 あずさ監査法人
b. 会計監査人の継続監査期間
当社は、有限責任あずさ監査法人を2006年6月29日から会計監査人として選定しており、当連結会計年度で18年となります。
c. 業務を実行した公認会計士
服部 將一 (継続監査年数4年)
林 健太郎 (継続監査年数4年)
康 恩実 (継続監査年数3年)
(注) 業務執行社員のローテーションは、有限責任あずさ監査法人が定める方針に沿って適切に実施されています。
有限責任あずさ監査法人の業務執行社員のローテーションは、法令や独立性に関する諸規定および当監査法人(KPMGインターナショナルの方針を含む)の方針において、監査証明業務に関与する最長関与期間に係る規制が設けられています。有限責任あずさ監査法人は、監査補助者も含め、連続関与期間や独立性の観点からローテーション状況の監視を行っています。
d. 監査業務に係る補助者の構成
監査業務に係る業務執行社員以外の人員の構成は、公認会計士21名、試験合格者等8名、その他(税務関連およびIT監査担当等)34名です。
e. 監査法人の選定方針、理由および評価
当社では、監査役会にて、会計監査人の選解任について、取締役最高財務責任者、財務会計・監査等関連部門責任者による評価のほか、各監査役による評価結果をもとに協議し、監査役全員の合意により実施しています。
当社の会計監査人の解任または不再任の決定の方針は以下のとおりです。
当社では、会計監査人が職務上の義務に違反し、または職務を怠り、もしくは会計監査人としてふさわしくない非行があるなど、当社の会計監査人であることにつき当社にとって重大な支障があると判断した場合には、監査役会が会社法第340条の規定により会計監査人を解任します。また、会計監査人が職務を適切に遂行することが困難であると認める場合、または監査の適正性をより高めるために会計監査人の変更が妥当であると判断する場合には、監査役会は執行機関の見解を考慮のうえ、会計監査人の解任または不再任に関する議案の内容を決定し、取締役会は当該決定に基づき、当該議案を株主総会に提出します。
監査役会は第123期事業年度における会計監査人の会計監査について、会計監査人の適正性、品質管理、監査チームの独立性・職業的専門家としての能力、監査計画の適正性、監査役等とのコミュニケーション、監査報酬の状況およびプロセスで評価を実施し、第124期事業年度における会計監査人の再任決議を行いました。
④ 監査報酬の内容等
a. 監査公認会計士等に対する報酬
区分前連結会計年度当連結会計年度
監査証明業務に
基づく報酬(百万円)
非監査業務に
基づく報酬(百万円)
監査証明業務に
基づく報酬(百万円)
非監査業務に
基づく報酬(百万円)
提出会社23412242-
連結子会社44-45-
27812288-

前連結会計年度における提出会社の非監査業務の内容は、IFRS導入アドバイザリー業務および社債発行に係る監査人から引受事務幹事会社への書簡作成業務です。
b. 監査公認会計士等と同一のネットワークに対する報酬 (a.を除く)
区分前連結会計年度当連結会計年度
監査証明業務に
基づく報酬(百万円)
非監査業務に
基づく報酬(百万円)
監査証明業務に
基づく報酬(百万円)
非監査業務に
基づく報酬(百万円)
提出会社----
連結子会社7112679947
7112679947

前連結会計年度における連結子会社の非監査業務の内容は、税務申告アドバイザリー業務等です。
当連結会計年度における連結子会社の非監査業務の内容は、税務申告アドバイザリー業務等です。
c.その他重要な報酬の内容
該当事項はありません。
d.監査報酬の決定方針
監査計画の内容について有効性および効率性の観点で会計監査人と協議の上、会計監査人が必要な監査を十分行うことができる報酬額となっているかどうかを検証し、監査役会の同意を得て決定しています。
e.監査役会による監査報酬の同意理由
監査役会は、代表取締役 会長 CEOが提案した会計監査人の報酬等について、会計監査人の当期の監査業務における監査時間等の実績に加え、次期に予想される追加監査論点に要する時間等の根拠について確認し検討した結果、その妥当性について監査役全員が同意したためです。
⑤その他
当連結会計年度において当社は監査役会設置会社でしたが、2024年3月26日をもって指名委員会等設置会社に移行しました。監査委員会は、5名の監査委員からなり、3名の独立社外取締役および2名の非業務執行の社内取締役が、内部監査部門に監査方針・情報提供等を行い、組織的監査を主導することで実効性の高い監査を推進します。委員長には、法令およびコーポレートガバナンスに精通した弁護士である社外取締役が就任しています。