有価証券報告書-第90期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 【人材戦略に関する基本方針等】
当社グループの人的資本に関する基本的な考え方、ガバナンス、戦略、リスク管理ならびに指標及び目標については、前記「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
1.組織・人的資本
① 経営戦略との関連
当社グループは、長期経営ビジョン「TSUMURA VISION “Cho-WA” 2031」において、高度な専門性の深化、安定的かつ高品質な生産体制の確立、グローバル事業の推進、DXを通じた生産性向上を成長戦略の柱として掲げております。これらの戦略はいずれも、高度な専門性を有する人財の確保・育成と、部門を越えた有機的な組織連携を前提とするものであり、組織・人的資本は経営戦略の実行を左右する中核的基盤であると認識しております(当社グループの組織・人的資本に関する基本的な考え方については、前記「サステナビリティに関する考え方及び取組 ②人的資本・多様性への対応」に記載のとおりです)。この認識のもと、当社グループでは、研究開発、生薬栽培・調達、製造、品質管理、販売・啓発・普及といったツムラバリューチェーン上の各機能がそれぞれの専門性を発揮しつつ相互に調和する「漢方薬的組織」の実現を、経営戦略を支える組織像として位置付けております。同組織像は、人と組織の質を高めることで価値創造プロセス全体を強化する考え方であり、組織・人的資本戦略の中核をなすものです。
② 組織・人的資本への依存・影響
当社グループの事業は、医療用漢方製剤を中心とする高い品質水準と信頼性を基盤としており、研究開発、生薬栽培・調達、製造、品質管理、販売・啓発・普及に至る各プロセスであるツムラバリューチェーンにおいて、人による専門的判断と部門間連携への依存度が高いという特性を有しています。こうした特性を踏まえ、当社グループでは、理念浸透を起点として、経営人財の計画的養成、専門人財の育成、リスキル・DX対応力強化、キャリア形成支援、DE&I推進、健康経営等の施策を相互に連動させ、組織全体としての実行力を高める人的資本マネジメントを推進しております。これらの取組みを通じて、人的資本の充足と組織力の向上を図り、経営戦略の確実な遂行および中長期的な企業価値向上につなげていくことを目指しております。
③ 組織・人的資本に関するリスクと機会
(1)主なリスク
当社グループにおける組織・人的資本に関する主なリスクとしては、以下が挙げられます。
・専門性の高い人財の不足や育成の遅れによる、研究開発力・品質保証力の低下
・製造現場における専門人財・基盤人財の早期戦力化の遅れ、ならびにキャリア採用人財の定着不足による、安定供給体制および品質安定性の低下
・組織間連携や対話不足による、戦略実行力・意思決定の質の低下
・人財の多様性や挑戦機会が十分に確保されないことによる、エンゲージメント低下や人財流出
これらのリスクは、事業競争力や事業継続性に影響を及ぼす可能性があるため、人的資本戦略上の重要なマネジメント課題として認識しており、短・中期的には生産体制への影響、中長期的には競争優位性への影響を見据え、重点的に対応を進めています。
(2)機会
一方で、組織・人的資本の高度化は、以下のような機会の創出につながると考えております。
・経営人財・専門人財の計画的育成による、戦略実行力と変革対応力の向上
・専門人財、基盤人財への継続教育による早期戦力化や、キャリア採用人財の定着による生産性向上
・組織開発支援による、「漢方薬的組織」としてのチーム力最大化と持続的な成果創出
・DE&I推進による多様な視点の活用を通じた、意思決定の質向上とイノベーション創出
・キャリア自律支援や健康経営を通じた、エンゲージメント向上と生産性向上
当社グループは、これらの機会を確実に捉えるため、組織・人的資本に関する指標を設定し、進捗状況をモニタリングしながら、施策の継続的な見直し・高度化を図っております。

2.組織・人財戦略及び従業員給与等の方針
(1)組織・人財戦略
当社グループは、長期経営ビジョン「TSUMURA VISION “Cho-WA” 2031」の実現に向け、「”人”の成長なくして、組織の成長なし。組織の成長なくして会社の成長なし。」という原理原則に従い、「人財こそが企業の持続的成長と企業価値向上の原動力である。」という方針に則って、経営戦略の実行を支える組織・人的資本基盤の強化を目的として、経営人財の養成から専門人財の育成、キャリア形成、多様性推進、処遇、健康経営に至るまで、各政策を相互に連動させた組織・人財戦略を推進しております。本戦略は、「漢方薬的組織」の考え方に基づき、自律した人財の確保・育成と機能する組織の開発を両輪として、経営戦略の実行力向上および中長期的な企業価値向上を図るものです。この戦略を具体化するため、人財ポートフォリオに基づき、2031年に向けて必要な人財の質・量を定義するとともに、現状との差分の可視化を進めています。現時点では、特にグローバル事業を担う経営人財およびDX対応力を有する専門人財にギャップがあると認識しており、当該領域を重点分野として、採用・育成・配置の強化を進めています。
①経営人財の計画的養成[経営戦略の実行力強化]
当社グループは、変化の激しい経営環境下においても長期ビジョンを持続的に実現していくため、戦略的思考力と全社視点を備えた経営人財の計画的養成を重要な人財戦略の柱と位置付けています。社内人財養成機関であるツムラアカデミーを中核として、若手・中堅社員を対象とした基礎的育成プログラムから、次世代経営人財を対象とした「経営人財養成講座」まで、段階的かつ体系的な養成を行っています。さらに、長期ビジョンの実現を牽引する次期・次々期経営人財の輩出を目的として、「T-Next」を中核とする仕組みを構築し、選抜・育成・配置・評価を一体で運用することで、経営人財候補者の計画的・継続的な養成を進めています。
②専門人財・基盤人財の育成[事業競争力・品質基盤の強化]
当社グループの事業競争力は、ツムラバリューチェーンにおける生薬調達、生産、品質、研究開発、営業、管理の各機能における高度な専門性と部門間連携によって支えられています。このため、人財育成を単なるスキル付与ではなく、将来の企業価値創造に向けた戦略的投資と位置付け、ツムラアカデミーを中心に、理念浸透、専門性向上、DX対応力強化を目的とした教育・リスキル施策を体系的に実施しています。あわせて、事業戦略の実行に必要な人財の質・量を可視化するため、スキルマップの策定・活用に着手し、採用・配置・育成を一体的に高度化する基盤整備を進めています。
③人財ポートフォリオを起点とした採用戦略[将来成長への備え]
当社グループは、事業戦略の実現に必要な人財の量・質を明確化した人財ポートフォリオを起点として、新卒採用とキャリア採用をバランスよく組み合わせた採用戦略を推進しています。将来の中核人財となる若手人財の安定的な確保に加え、専門性や即戦力を有するキャリア人財の採用を強化することで、短期的な課題解決と中長期的な成長基盤の両立を図っています。また、多様な価値観やバックグラウンドを持つ人財の継続的な確保を目的として、女性の新卒採用比率50%の維持・継続を掲げるなど、多様性を意識した採用活動を行っています。
④自律的なキャリア形成と挑戦機会の提供[組織の活性化]
当社グループは、「漢方薬的組織」づくりと、従業員一人ひとりの主体的なキャリア形成および挑戦を通じた成長支援を、組織活性化に向けた重要な取組みと位置付けています。対話を軸とした「漢方薬的組織ワークショップ」や、ツムラ版セルフキャリアドック制度の一環である「キャリアMeets」を通じ、多様な業務・役割に関する情報提供と対話の場を設けることで、従業員の自律的なキャリア形成を支援しています。さらに、社内公募制度により新たな業務や役割への挑戦機会を提供し、自律的なキャリア選択や必要なスキルの獲得、多様な経験の蓄積につなげています。また、管理職については職務型人事制度を導入し、役割・責任に基づく登用および処遇を通じて、挑戦意欲の高い人財の活躍機会の拡大を図っています。
⑤DE&I推進[意思決定の質とイノベーションの向上]
当社グループは、DE&Iを中長期的な企業価値向上に資する重要な経営課題と位置付けています。2026年度には、これらの取り組みをより一層推進するため、DE&I推進課を新設しました。
性別、年齢、国籍、障がいの有無などに関わらず多様な人財を受け入れ、個性を尊重し合いながら、目的・価値を求心力とした「対話」を重ねることで、社員一人ひとりの潜在能力を引き出すとともに、安心して活躍できる職場環境のもと、チーム全体としても強くある組織づくりを推進しています。
多様な個性が相互に補完し合い、変化を柔軟に受け入れ迅速に対応できる組織を、当社では「漢方薬的組織」と位置付けています。主体的に学び、成長し続けることで組織全体の力を高めるとともに、管理職育成セミナーやキャリア支援プログラムを通じて人財の成長を支援しています。
さらに多様な人財が、それぞれのライフステージや価値観に応じて活躍できるよう、育児・介護支援、フレックスタイム制度、在宅勤務制度など多様な働き方を支える制度を整備することで、意思決定の質向上およびイノベーション創出につなげていきます。
⑥健康経営・エンゲージメント向上[持続的な実行力の確保]
当社グループは、従業員の心身の健康とエンゲージメントを、持続的な事業運営と実行力の基盤と捉えています。健康経営においては、経営トップを健康経営責任者とし、健康経営の中心組織である人事部が社内外の関係者と連携のもと、全社的に健康経営を推進し、ツムラ流「養生」をコンセプトとした各種施策を展開しています。さらに、理念浸透・コーチミーティングを軸とした“対話”の企業文化の醸成を通じて、従業員が安心して能力を発揮できる環境整備を進めています。これらの取組みは、「漢方薬的組織」の実現を通じて、組織全体の実行力向上と中長期的な企業価値向上につながるものと考えています。

(2)従業員給与・処遇等の方針
当社グループは、「”人”の成長なくして、組織の成長なし。組織の成長なくして会社の成長なし。」という原理原則に基づき、人財こそが企業の持続的成長と企業価値向上の原動力であるとの考え方のもと、従業員の貢献と成長に報いる適切な処遇の実現を目指しています。従業員の給与等は、各従業員が担う役割・責任、発揮した能力および成果、ならびに組織への貢献度を踏まえ、公正・公平かつ納得性の高い水準となるよう決定します。具体的には、基本給、賞与、諸手当等により構成し、評価制度と連動した運用を行っています。
また、社員の意識向上と能力発揮を促し、長期的な企業価値向上に向けた一体感を醸成することを目的として、全従業員を対象とした従業員株式交付制度を導入しています。
評価においては、長期経営ビジョンの実現に向けた目標達成や成果に加え、理念の体現や対話を通じた協働、専門性の深化といった行動・能力の発揮も踏まえ、短期的な成果と中長期的な価値創出の両立を図ります。また、外部環境や労働市場、事業環境の変化も踏まえつつ、継続的に制度の見直しを行います。処遇の決定にあたっては、性別、年齢、国籍、雇用形態等にかかわらず人物本位での評価・登用を行い、同一労働同一賃金の趣旨を踏まえた制度運用に努めます。
なお、従業員が安心して能力を発揮できる基盤づくりとして、育児・介護等との両立支援や柔軟な働き方の環境整備、健康経営の推進等に取り組んでおり、これらの方針および具体的施策は前記(1)組織・人財戦略の「⑥健康経営・エンゲージメント向上」において整理しています。
3.人的資本可視化に関する方針
当社グループは、長期経営ビジョン「TSUMURA VISION “Cho-WA” 2031」の実現に向け、組織・人的資本を経営戦略の実行を左右する中核的基盤と位置付けております。この認識のもと、人的資本の状況を継続的かつ多面的に可視化し、経営戦略と組織・人財戦略の連動状況を検証することで、戦略実行力の高度化および中長期的な企業価値向上につなげることを基本方針としています。
人的資本の可視化にあたっては、経営人財、専門人財、基盤人財といった人財区分ごとの特性を踏まえ、量的充足状況のみならず、専門性の深化、組織の実行力、行動変容といった質的側面を重視します。法令に基づく開示指標に加え、組織・人財戦略の各政策と対応付けた任意指標を設定し、定量指標と定性指標を組み合わせてモニタリングを行います。
これらの指標は、単なる進捗管理や情報開示を目的とするものではなく、人財投資の重点配分、育成・配置方針の見直し、組織課題への優先対応等の経営判断に活用します。あわせて、指標の変化を通じて、研究開発力や品質保証力、安定供給体制といった事業成果への波及を検証し、必要に応じて施策の見直し・高度化を図ることで、持続的な価値創造を実現していきます。
4.目指すべき目標
当社グループは、前記「人的資本可視化方針」に基づき、長期経営ビジョンの実現に向けた組織・人財戦略の進捗、経営戦略との連動度、潜在的な課題やリスクを定量・定性の両面から継続的に把握し、施策の見直し・強化につなげています。指標は、法令に基づく開示指標に加え、組織・人財戦略の各政策に紐づく任意指標を設定し、状況の可視化と分析を通じて、戦略実行力の高度化および中長期的な企業価値向上を図る考え方としています。
①指標設計の考え方(経営戦略との連動)
当社グループの指標体系は、以下の考え方に基づき設計しております。
・ 長期経営ビジョンを起点とし、組織・人財戦略の各政策が「実行されているか」「成果につながっているか」を検証できること
・ 単なる活動量ではなく、人財の質・組織の実行力・行動変容を捉える指標を重視すること
・ 定量指標と定性指標を組み合わせ、短期的な進捗と中長期的な価値創出の両立を図ること
・ 経営人財、専門人財、基盤人財といった人財区分ごとの特性を踏まえ、層別に可視化・分析できる指標体系とすること
②法定開示指標(提出会社)
当社グループは、以下の法定指標について、継続的にモニタリングおよび開示を行っております。
・ 管理職に占める女性労働者の割合
・ 男性労働者の育児休業取得率
・ 労働者の男女の賃金の差異
これらの指標は、DE&I推進および公正・公平な人事運営の状況を把握するための基礎的かつ重要な指標として位置付けています。
③任意開示指標(組織・人財戦略との対応)
当社グループでは、法定指標に加え、(1)組織・人財戦略の各政策と対応付けた任意指標を設定しています。
各指標は、組織・人財戦略の進捗把握に加え、事業競争力や品質基盤等への影響を検証するための先行指標として位置付けています。
(1)経営人財の計画的養成(政策①)
・ 次世代経営人財候補者数
・ 経営人財養成プログラム修了者数
・ グローバル経営人財比率
これらの指標を通じて、将来の経営を担う人財の層の厚みおよび計画的育成の進捗を把握しています。
(2)専門人財・基盤人財の育成(政策②)
・ 社員一人当たりの教育費
・ 年間教育時間(人事部、ツムラアカデミー部における実施)
・ リスキル・DX教育の受講状況
人財育成を「戦略的投資」と捉え、専門性・DX対応力の強化が着実に進んでいるかを検証しています。
(3)人財ポートフォリオを起点とした採用(政策③)
・ 新卒採用社員数・キャリア採用社員数
・ 女性採用比率
・ キャリア採用比率
事業戦略に必要な人財の量・質が確保されているかを、中長期視点で確認するための指標としています。
(4)自律的なキャリア形成と挑戦機会(政策④)
・ キャリアMeets参加者数
従業員のキャリア自律および挑戦機会の広がりを捉え、組織の活性化や行動変容の進捗を把握しています。
(5)DE&I推進(政策⑤)
・ 管理職に占める女性労働者の割合
・ 女性執行役員比率
・ 障がい者雇用率
多様な人財の活躍状況を継続的に把握し、意思決定の質向上および組織の持続的競争力強化につなげています。
(6)健康経営・エンゲージメント向上(政策⑥)
・ 男性育児休業取得率・平均取得日数
・ 育児休業取得者復職率
・ エンゲージメントサーベイ結果
・ 理念浸透サーベイ結果
従業員が心身ともに健康で、主体的に能力を発揮できているかを把握するための指標として活用しています。定性指標については、数値の増減のみならず、背景要因や組織ごとの差異を分析し、対話を通じた課題特定と施策改善につなげています。
④指標の活用と今後の考え方
これらの指標を通じて、当社グループは、組織・人財戦略の進捗状況、経営戦略との連動度、潜在的な課題やリスクを継続的に可視化するとともに、人財投資の重点配分、育成・配置方針の見直し、組織課題への優先対応等の経営判断に活用していきます。また、各指標については活動量の把握にとどまらず、離職率、エンゲージメント、生産性、品質指標等のアウトカム指標との関係性を分析し、人的資本施策の有効性の検証および改善に活用するとともに、研究開発力や品質保証力、安定供給体制といった事業成果への波及についても検証しています。これらの分析結果は、組織・人的資本政策委員会等において共有し、施策の見直しや重点投資領域の検討に反映することで、人的資本マネジメントと経営判断との連動を図り、中長期的な企業価値向上につなげていきます。
また、各指標は、組織・人財戦略の進捗把握に加え、事業競争力や品質基盤等への影響を検証するための先行指標として位置付けています。特に、教育投資やキャリア形成支援に関する指標はエンゲージメントや離職率との関係を、DE&Iに関する指標は組織の多様性確保との関係を把握するために活用しています。
当社グループは、こうした人的資本指標の分析と人財ポートフォリオに基づく施策の継続的な高度化を通じて、組織資本・人的資本を起点とした価値創造モデルを進化させ、持続的な成長と企業価値向上につなげていきます。
当社グループの人的資本に関する基本的な考え方、ガバナンス、戦略、リスク管理ならびに指標及び目標については、前記「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
1.組織・人的資本
① 経営戦略との関連
当社グループは、長期経営ビジョン「TSUMURA VISION “Cho-WA” 2031」において、高度な専門性の深化、安定的かつ高品質な生産体制の確立、グローバル事業の推進、DXを通じた生産性向上を成長戦略の柱として掲げております。これらの戦略はいずれも、高度な専門性を有する人財の確保・育成と、部門を越えた有機的な組織連携を前提とするものであり、組織・人的資本は経営戦略の実行を左右する中核的基盤であると認識しております(当社グループの組織・人的資本に関する基本的な考え方については、前記「サステナビリティに関する考え方及び取組 ②人的資本・多様性への対応」に記載のとおりです)。この認識のもと、当社グループでは、研究開発、生薬栽培・調達、製造、品質管理、販売・啓発・普及といったツムラバリューチェーン上の各機能がそれぞれの専門性を発揮しつつ相互に調和する「漢方薬的組織」の実現を、経営戦略を支える組織像として位置付けております。同組織像は、人と組織の質を高めることで価値創造プロセス全体を強化する考え方であり、組織・人的資本戦略の中核をなすものです。
② 組織・人的資本への依存・影響
当社グループの事業は、医療用漢方製剤を中心とする高い品質水準と信頼性を基盤としており、研究開発、生薬栽培・調達、製造、品質管理、販売・啓発・普及に至る各プロセスであるツムラバリューチェーンにおいて、人による専門的判断と部門間連携への依存度が高いという特性を有しています。こうした特性を踏まえ、当社グループでは、理念浸透を起点として、経営人財の計画的養成、専門人財の育成、リスキル・DX対応力強化、キャリア形成支援、DE&I推進、健康経営等の施策を相互に連動させ、組織全体としての実行力を高める人的資本マネジメントを推進しております。これらの取組みを通じて、人的資本の充足と組織力の向上を図り、経営戦略の確実な遂行および中長期的な企業価値向上につなげていくことを目指しております。
③ 組織・人的資本に関するリスクと機会
(1)主なリスク
当社グループにおける組織・人的資本に関する主なリスクとしては、以下が挙げられます。
・専門性の高い人財の不足や育成の遅れによる、研究開発力・品質保証力の低下
・製造現場における専門人財・基盤人財の早期戦力化の遅れ、ならびにキャリア採用人財の定着不足による、安定供給体制および品質安定性の低下
・組織間連携や対話不足による、戦略実行力・意思決定の質の低下
・人財の多様性や挑戦機会が十分に確保されないことによる、エンゲージメント低下や人財流出
これらのリスクは、事業競争力や事業継続性に影響を及ぼす可能性があるため、人的資本戦略上の重要なマネジメント課題として認識しており、短・中期的には生産体制への影響、中長期的には競争優位性への影響を見据え、重点的に対応を進めています。
(2)機会
一方で、組織・人的資本の高度化は、以下のような機会の創出につながると考えております。
・経営人財・専門人財の計画的育成による、戦略実行力と変革対応力の向上
・専門人財、基盤人財への継続教育による早期戦力化や、キャリア採用人財の定着による生産性向上
・組織開発支援による、「漢方薬的組織」としてのチーム力最大化と持続的な成果創出
・DE&I推進による多様な視点の活用を通じた、意思決定の質向上とイノベーション創出
・キャリア自律支援や健康経営を通じた、エンゲージメント向上と生産性向上
当社グループは、これらの機会を確実に捉えるため、組織・人的資本に関する指標を設定し、進捗状況をモニタリングしながら、施策の継続的な見直し・高度化を図っております。

2.組織・人財戦略及び従業員給与等の方針
(1)組織・人財戦略
当社グループは、長期経営ビジョン「TSUMURA VISION “Cho-WA” 2031」の実現に向け、「”人”の成長なくして、組織の成長なし。組織の成長なくして会社の成長なし。」という原理原則に従い、「人財こそが企業の持続的成長と企業価値向上の原動力である。」という方針に則って、経営戦略の実行を支える組織・人的資本基盤の強化を目的として、経営人財の養成から専門人財の育成、キャリア形成、多様性推進、処遇、健康経営に至るまで、各政策を相互に連動させた組織・人財戦略を推進しております。本戦略は、「漢方薬的組織」の考え方に基づき、自律した人財の確保・育成と機能する組織の開発を両輪として、経営戦略の実行力向上および中長期的な企業価値向上を図るものです。この戦略を具体化するため、人財ポートフォリオに基づき、2031年に向けて必要な人財の質・量を定義するとともに、現状との差分の可視化を進めています。現時点では、特にグローバル事業を担う経営人財およびDX対応力を有する専門人財にギャップがあると認識しており、当該領域を重点分野として、採用・育成・配置の強化を進めています。
①経営人財の計画的養成[経営戦略の実行力強化]
当社グループは、変化の激しい経営環境下においても長期ビジョンを持続的に実現していくため、戦略的思考力と全社視点を備えた経営人財の計画的養成を重要な人財戦略の柱と位置付けています。社内人財養成機関であるツムラアカデミーを中核として、若手・中堅社員を対象とした基礎的育成プログラムから、次世代経営人財を対象とした「経営人財養成講座」まで、段階的かつ体系的な養成を行っています。さらに、長期ビジョンの実現を牽引する次期・次々期経営人財の輩出を目的として、「T-Next」を中核とする仕組みを構築し、選抜・育成・配置・評価を一体で運用することで、経営人財候補者の計画的・継続的な養成を進めています。
| (単体) | |||||
| 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | |
| 女性取締役比率(%) | 11.1 | 11.1 | 11.1 | 11.1 | 11.1 |
| 女性執行役員比率(%) | - | 7.1 | 7.1 | 7.1 | 7.7 |
②専門人財・基盤人財の育成[事業競争力・品質基盤の強化]
当社グループの事業競争力は、ツムラバリューチェーンにおける生薬調達、生産、品質、研究開発、営業、管理の各機能における高度な専門性と部門間連携によって支えられています。このため、人財育成を単なるスキル付与ではなく、将来の企業価値創造に向けた戦略的投資と位置付け、ツムラアカデミーを中心に、理念浸透、専門性向上、DX対応力強化を目的とした教育・リスキル施策を体系的に実施しています。あわせて、事業戦略の実行に必要な人財の質・量を可視化するため、スキルマップの策定・活用に着手し、採用・配置・育成を一体的に高度化する基盤整備を進めています。
③人財ポートフォリオを起点とした採用戦略[将来成長への備え]
当社グループは、事業戦略の実現に必要な人財の量・質を明確化した人財ポートフォリオを起点として、新卒採用とキャリア採用をバランスよく組み合わせた採用戦略を推進しています。将来の中核人財となる若手人財の安定的な確保に加え、専門性や即戦力を有するキャリア人財の採用を強化することで、短期的な課題解決と中長期的な成長基盤の両立を図っています。また、多様な価値観やバックグラウンドを持つ人財の継続的な確保を目的として、女性の新卒採用比率50%の維持・継続を掲げるなど、多様性を意識した採用活動を行っています。
| (単体) | ||||||
| 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | ||
| 新卒採用社員数(人) | 男性 | 21 | 21 | 35 | 29 | 40 |
| 女性 | 28 | 24 | 30 | 39 | 33 | |
| キャリア採用社員数(人) | 男性 | 40 | 124 | 121 | 109 | 143 |
| 女性 | 24 | 42 | 46 | 41 | 61 | |
| 平均勤続年数(年) | 18.9 | 18.1 | 17.2 | 16.5 | 15.5 | |
| 新卒3年定着率(%) | 100 | 86.3 | 97.9 | 92.3 | 95.6 | |
| 離職率(%) | 1.44 | 2.67 | 2.78 | 3.05 | 3.13 |
④自律的なキャリア形成と挑戦機会の提供[組織の活性化]
当社グループは、「漢方薬的組織」づくりと、従業員一人ひとりの主体的なキャリア形成および挑戦を通じた成長支援を、組織活性化に向けた重要な取組みと位置付けています。対話を軸とした「漢方薬的組織ワークショップ」や、ツムラ版セルフキャリアドック制度の一環である「キャリアMeets」を通じ、多様な業務・役割に関する情報提供と対話の場を設けることで、従業員の自律的なキャリア形成を支援しています。さらに、社内公募制度により新たな業務や役割への挑戦機会を提供し、自律的なキャリア選択や必要なスキルの獲得、多様な経験の蓄積につなげています。また、管理職については職務型人事制度を導入し、役割・責任に基づく登用および処遇を通じて、挑戦意欲の高い人財の活躍機会の拡大を図っています。
| (単体) | |||||
| 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | |
| 社員一人当たりの教育費(千円) | 124 | 126 | 120 | 115 | 112 |
| 年間教育時間(人事部、ツムラアカデミー部における実施) | 1,702 | 1,575 | 1,334 | 1,324 | 1,307 |
⑤DE&I推進[意思決定の質とイノベーションの向上]
当社グループは、DE&Iを中長期的な企業価値向上に資する重要な経営課題と位置付けています。2026年度には、これらの取り組みをより一層推進するため、DE&I推進課を新設しました。
性別、年齢、国籍、障がいの有無などに関わらず多様な人財を受け入れ、個性を尊重し合いながら、目的・価値を求心力とした「対話」を重ねることで、社員一人ひとりの潜在能力を引き出すとともに、安心して活躍できる職場環境のもと、チーム全体としても強くある組織づくりを推進しています。
多様な個性が相互に補完し合い、変化を柔軟に受け入れ迅速に対応できる組織を、当社では「漢方薬的組織」と位置付けています。主体的に学び、成長し続けることで組織全体の力を高めるとともに、管理職育成セミナーやキャリア支援プログラムを通じて人財の成長を支援しています。
さらに多様な人財が、それぞれのライフステージや価値観に応じて活躍できるよう、育児・介護支援、フレックスタイム制度、在宅勤務制度など多様な働き方を支える制度を整備することで、意思決定の質向上およびイノベーション創出につなげていきます。
| (単体) | ||||||
| 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | ||
| 従業員数(人) | 2,564 | 2,631 | 2,711 | 2,765 | 2,858 | |
| 従業員の女性比率(%) | 23 | 24.3 | 25.3 | 26.2 | 27.7 | |
| 女性管理職比率(%) | 6.3 | 7.4 | 8.4 | 10.1 | 11.8 | |
| 育児休業取得比率(%) | 男性 | 37 | 52 | 57.3 | 74.7 | 61.5 |
| 女性 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | |
| 育児休業平均取得日数(日) | 男性 | 12.3 | 24.6 | 26.5 | 55 | 61.3 |
| 女性 | 121.4 | 119.3 | 232.2 | 189.8 | 146.6 | |
| 育児休業取得者復職率(%) | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | |
| 障がい者雇用率(%) | 2.91 | 2.58 | 2.50 | 2.23 | 2.42 | |
| (注)女性管理職比率については、各年度における4月1日時点の割合を記載しています。 | ||||||
⑥健康経営・エンゲージメント向上[持続的な実行力の確保]
当社グループは、従業員の心身の健康とエンゲージメントを、持続的な事業運営と実行力の基盤と捉えています。健康経営においては、経営トップを健康経営責任者とし、健康経営の中心組織である人事部が社内外の関係者と連携のもと、全社的に健康経営を推進し、ツムラ流「養生」をコンセプトとした各種施策を展開しています。さらに、理念浸透・コーチミーティングを軸とした“対話”の企業文化の醸成を通じて、従業員が安心して能力を発揮できる環境整備を進めています。これらの取組みは、「漢方薬的組織」の実現を通じて、組織全体の実行力向上と中長期的な企業価値向上につながるものと考えています。

| ツムラ健康宣言 |
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(2)従業員給与・処遇等の方針
当社グループは、「”人”の成長なくして、組織の成長なし。組織の成長なくして会社の成長なし。」という原理原則に基づき、人財こそが企業の持続的成長と企業価値向上の原動力であるとの考え方のもと、従業員の貢献と成長に報いる適切な処遇の実現を目指しています。従業員の給与等は、各従業員が担う役割・責任、発揮した能力および成果、ならびに組織への貢献度を踏まえ、公正・公平かつ納得性の高い水準となるよう決定します。具体的には、基本給、賞与、諸手当等により構成し、評価制度と連動した運用を行っています。
また、社員の意識向上と能力発揮を促し、長期的な企業価値向上に向けた一体感を醸成することを目的として、全従業員を対象とした従業員株式交付制度を導入しています。
評価においては、長期経営ビジョンの実現に向けた目標達成や成果に加え、理念の体現や対話を通じた協働、専門性の深化といった行動・能力の発揮も踏まえ、短期的な成果と中長期的な価値創出の両立を図ります。また、外部環境や労働市場、事業環境の変化も踏まえつつ、継続的に制度の見直しを行います。処遇の決定にあたっては、性別、年齢、国籍、雇用形態等にかかわらず人物本位での評価・登用を行い、同一労働同一賃金の趣旨を踏まえた制度運用に努めます。
なお、従業員が安心して能力を発揮できる基盤づくりとして、育児・介護等との両立支援や柔軟な働き方の環境整備、健康経営の推進等に取り組んでおり、これらの方針および具体的施策は前記(1)組織・人財戦略の「⑥健康経営・エンゲージメント向上」において整理しています。
3.人的資本可視化に関する方針
当社グループは、長期経営ビジョン「TSUMURA VISION “Cho-WA” 2031」の実現に向け、組織・人的資本を経営戦略の実行を左右する中核的基盤と位置付けております。この認識のもと、人的資本の状況を継続的かつ多面的に可視化し、経営戦略と組織・人財戦略の連動状況を検証することで、戦略実行力の高度化および中長期的な企業価値向上につなげることを基本方針としています。
人的資本の可視化にあたっては、経営人財、専門人財、基盤人財といった人財区分ごとの特性を踏まえ、量的充足状況のみならず、専門性の深化、組織の実行力、行動変容といった質的側面を重視します。法令に基づく開示指標に加え、組織・人財戦略の各政策と対応付けた任意指標を設定し、定量指標と定性指標を組み合わせてモニタリングを行います。
これらの指標は、単なる進捗管理や情報開示を目的とするものではなく、人財投資の重点配分、育成・配置方針の見直し、組織課題への優先対応等の経営判断に活用します。あわせて、指標の変化を通じて、研究開発力や品質保証力、安定供給体制といった事業成果への波及を検証し、必要に応じて施策の見直し・高度化を図ることで、持続的な価値創造を実現していきます。
4.目指すべき目標
当社グループは、前記「人的資本可視化方針」に基づき、長期経営ビジョンの実現に向けた組織・人財戦略の進捗、経営戦略との連動度、潜在的な課題やリスクを定量・定性の両面から継続的に把握し、施策の見直し・強化につなげています。指標は、法令に基づく開示指標に加え、組織・人財戦略の各政策に紐づく任意指標を設定し、状況の可視化と分析を通じて、戦略実行力の高度化および中長期的な企業価値向上を図る考え方としています。
①指標設計の考え方(経営戦略との連動)
当社グループの指標体系は、以下の考え方に基づき設計しております。
・ 長期経営ビジョンを起点とし、組織・人財戦略の各政策が「実行されているか」「成果につながっているか」を検証できること
・ 単なる活動量ではなく、人財の質・組織の実行力・行動変容を捉える指標を重視すること
・ 定量指標と定性指標を組み合わせ、短期的な進捗と中長期的な価値創出の両立を図ること
・ 経営人財、専門人財、基盤人財といった人財区分ごとの特性を踏まえ、層別に可視化・分析できる指標体系とすること
②法定開示指標(提出会社)
当社グループは、以下の法定指標について、継続的にモニタリングおよび開示を行っております。
・ 管理職に占める女性労働者の割合
・ 男性労働者の育児休業取得率
・ 労働者の男女の賃金の差異
これらの指標は、DE&I推進および公正・公平な人事運営の状況を把握するための基礎的かつ重要な指標として位置付けています。
③任意開示指標(組織・人財戦略との対応)
当社グループでは、法定指標に加え、(1)組織・人財戦略の各政策と対応付けた任意指標を設定しています。
各指標は、組織・人財戦略の進捗把握に加え、事業競争力や品質基盤等への影響を検証するための先行指標として位置付けています。
(1)経営人財の計画的養成(政策①)
・ 次世代経営人財候補者数
・ 経営人財養成プログラム修了者数
・ グローバル経営人財比率
これらの指標を通じて、将来の経営を担う人財の層の厚みおよび計画的育成の進捗を把握しています。
(2)専門人財・基盤人財の育成(政策②)
・ 社員一人当たりの教育費
・ 年間教育時間(人事部、ツムラアカデミー部における実施)
・ リスキル・DX教育の受講状況
人財育成を「戦略的投資」と捉え、専門性・DX対応力の強化が着実に進んでいるかを検証しています。
(3)人財ポートフォリオを起点とした採用(政策③)
・ 新卒採用社員数・キャリア採用社員数
・ 女性採用比率
・ キャリア採用比率
事業戦略に必要な人財の量・質が確保されているかを、中長期視点で確認するための指標としています。
(4)自律的なキャリア形成と挑戦機会(政策④)
・ キャリアMeets参加者数
従業員のキャリア自律および挑戦機会の広がりを捉え、組織の活性化や行動変容の進捗を把握しています。
(5)DE&I推進(政策⑤)
・ 管理職に占める女性労働者の割合
・ 女性執行役員比率
・ 障がい者雇用率
多様な人財の活躍状況を継続的に把握し、意思決定の質向上および組織の持続的競争力強化につなげています。
(6)健康経営・エンゲージメント向上(政策⑥)
・ 男性育児休業取得率・平均取得日数
・ 育児休業取得者復職率
・ エンゲージメントサーベイ結果
・ 理念浸透サーベイ結果
従業員が心身ともに健康で、主体的に能力を発揮できているかを把握するための指標として活用しています。定性指標については、数値の増減のみならず、背景要因や組織ごとの差異を分析し、対話を通じた課題特定と施策改善につなげています。
④指標の活用と今後の考え方
これらの指標を通じて、当社グループは、組織・人財戦略の進捗状況、経営戦略との連動度、潜在的な課題やリスクを継続的に可視化するとともに、人財投資の重点配分、育成・配置方針の見直し、組織課題への優先対応等の経営判断に活用していきます。また、各指標については活動量の把握にとどまらず、離職率、エンゲージメント、生産性、品質指標等のアウトカム指標との関係性を分析し、人的資本施策の有効性の検証および改善に活用するとともに、研究開発力や品質保証力、安定供給体制といった事業成果への波及についても検証しています。これらの分析結果は、組織・人的資本政策委員会等において共有し、施策の見直しや重点投資領域の検討に反映することで、人的資本マネジメントと経営判断との連動を図り、中長期的な企業価値向上につなげていきます。
また、各指標は、組織・人財戦略の進捗把握に加え、事業競争力や品質基盤等への影響を検証するための先行指標として位置付けています。特に、教育投資やキャリア形成支援に関する指標はエンゲージメントや離職率との関係を、DE&Iに関する指標は組織の多様性確保との関係を把握するために活用しています。
当社グループは、こうした人的資本指標の分析と人財ポートフォリオに基づく施策の継続的な高度化を通じて、組織資本・人的資本を起点とした価値創造モデルを進化させ、持続的な成長と企業価値向上につなげていきます。
