有価証券報告書-第89期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/19 14:44
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「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、中国景気の減速傾向が強まる中、米国での堅調な拡大が継続したこともあり、緩やかに回復しました。一方、国内経済は、輸出や生産に一部弱さが見られるものの、堅調な雇用情勢を受けた個人消費の回復や設備投資の増加を背景に緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、足元の経済環境は減速感が顕著となり、経済の先行きは、貿易摩擦の深刻化やその影響の顕在化などにより、景気下振れの懸念があります。
このような環境のもと、当社グループにおきましては、2016年度よりスタートしました第4次中期5ヵ年経営計画の方針(「事業の新陳代謝」や「真のグローバル化」など)に沿った重点施策を進め、事業拡大や事業開発の促進に注力してまいりました。業績面では、電子材料関連の事業が堅調であったものの、2017年12月1日に発生しました富士工場爆発・火災事故により、出版等の印刷インキ用樹脂、製紙用薬品などに影響がありました。また、需要環境の変化や中国の環境規制強化、ナフサ価格上昇による原材料コストの増加も収益に大きく影響しました。
その結果、当連結会計年度の売上高は795億1百万円(前年同期比1.6%減)、営業利益は35億64百万円(同27.1%減)、経常利益は39億50百万円(同24.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、富士工場事故に係る受取保険金21億18百万円を特別利益に計上し、38億90百万円(同25.0%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を一部変更しており、以下の前年同期比については、前年同期の数値を変更後の区分に組替えた数値で比較しております。また、セグメント区分の売上高はセグメント間の内部売上高を含んでおりません。
なお、報告セグメントに含まれないその他事業は、売上高は2億66百万円(前年同期比0.3%増)、セグメント利益は26百万円(同7.2%増)となりました。
製紙薬品事業
製紙業界は、eコマース市場(電子商取引)の世界的な成長に伴い、段ボール原紙など板紙の需要が好調に推移しています。このような環境のもと、当事業におきましては、板紙向け紙力増強剤の需要が増加しましたが、原材料価格の高騰による収益性の大幅な悪化や富士工場事故の影響もあり、売上高は212億95百万円(前年同期比7.3%増)、セグメント利益は3億66百万円(同60.8%減)となりました。
コーティング事業
電機・精密機器関連業界は、車載向け電子部品が堅調である一方、スマートフォン向けは低調でした。また、印刷インキ業界では出版・広告分野で市場の縮小が続いております。このような環境のもと、当事業におきましては、機能性コーティング材料用の光硬化型および熱硬化型樹脂の収益への寄与があったものの、国内の印刷インキ用樹脂は、富士工場事故により生産能力が減少した影響もあり、大幅に販売減となりました。
その結果、売上高は180億49百万円(前年同期比5.7%減)、セグメント利益は10億51百万円(同4.8%減)となりました。
粘接着事業
粘着・接着剤業界は、世界的に紙おむつ向け接着剤の需要増加が継続しており、粘着性付与剤の供給能力も増強されています。このような環境のもと、当事業におきましては、水素化石油樹脂は、生産拠点を置くドイツのコンビナート停止に伴う一時的な稼動率ダウンによる販売減や原材料価格上昇などによる収益性の低下がありました。
その結果、売上高は276億98百万円(前年同期比7.4%減)、セグメント利益は17億51百万円(同29.3%減)となりました。
機能性材料事業
電子工業業界は、スマートフォン市場が減速する一方で、自動車分野やAI、IoTの進展により、半導体や電子部品の需要は増大しました。このような環境のもと、当事業におきましては、スマートフォン関連で減速があったものの、ファインケミカル製品が好調に推移するとともに、精密部品洗浄剤および精密研磨剤が堅調に推移しました。また、第4次中計における「みつける」「そだてる」の促進に注力する中、次世代通信技術「5G」に対応する低誘電ポリイミド樹脂の実績化が進みました。
その結果、売上高は121億92百万円(前年同期比5.0%増)、セグメント利益は6億32百万円(同2.1%増)となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ31億55百万円増加し、921億74百万円となりました。主な要因は、受取手形及び売掛金が12億73百万円、投資その他の資産が19億73百万円減少した一方、現金及び預金が5億90百万円、たな卸資産が16億9百万円、有形固定資産が45億77百万円増加したことによります。
負債は、短期借入金が8億14百万円、繰延税金負債が5億37百万円減少した一方、支払手形及び買掛金が1億35百万円、長期借入金が38億95百万円増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ25億24百万円増加し、358億48百万円となりました。
純資産は、その他有価証券評価差額金が減少した一方、利益剰余金が増加したことにより、前連結会計年度に比べ6億30百万円増加し、563億26百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ5億66百万円増加し、89億70百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、67億28百万円の増加となりました。これは、たな卸資産の増減額(19億62百万円)などにより資金が減少した一方、税金等調整前当期純利益(58億31百万円)、減価償却費(28億70百万円)などにより資金が増加した結果であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、82億8百万円の減少となりました。これは、固定資産の取得による支出(79億96百万円)が主なものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、22億43百万円の増加となりました。これは、借入金の純増加(33億10百万円)および配当金の支払(8億4百万円)が主なものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称数量(トン)前年同期比(%)
製紙薬品事業230,094+8.3
コーティング事業50,369△12.0
粘接着事業89,564△2.1
機能性材料事業10,748+6.4
合計380,775+2.5

(注) その他事業においては、生産をおこなっておりません。
b 受注実績
当社グループは過去の販売実績と将来の予測に基づいて見込生産方式をとっております。
c 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
製紙薬品事業21,295+7.3
コーティング事業18,049△5.7
粘接着事業27,698△7.4
機能性材料事業12,192+5.0
その他事業266+0.3
合計79,501△1.6

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の状況および報告期間に発生した費用・収益、ならびに将来の財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼすような偶発的事項に関して、適切な分析・見積りをおこなっております。
資産の評価方法および引当金の計上方法などの方針は、保守主義の原則に沿って、健全性を優先して適切に定めております。
このように、当社グループでは、必要な流動性の維持、事業活動に十分な資金の確保、健全なバランスシートの維持、および正確な費用収益の対応と真実の利益表示を会計方針としております。
重要な会計方針の具体的な内容については、経理の状況に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
2016年度よりスタートしました第4次中期5ヵ年経営計画の前半は、概ね目標に沿って推移しましたが2017年12月の富士工場爆発・火災事故のみならず、原材料コストや人件費の上昇、特に中国における環境規制等により、事業環境が大きく変化しており、収益性が低下しました。このような環境下ではありますが、第4次中計の基本方針は変更せず、引き続き「SHIFT実現体制」の構築および「事業の新陳代謝」を実践し、収益性向上に努め、新規事業開発である「みつける」「そだてる」を促進していくことで、第4次中計の最終目標の達成を目指します。
第4次中計の重点施策である水素化石油樹脂の共同事業化につきましては、2018年2月に千葉アルコン製造株式会社を設立し、2020年度末のプラント稼働に向け、準備を進めております。同業他社のプラント建設による供給増もありますが、樹脂の主要用途である紙おむつ用のホットメルト接着剤は、新興国の生活水準向上にともない引き続き拡大していくものと見込んでおります。
なお、第4次中計におけるセグメント別の経営目標は以下のとおりであります。
(百万円)
2017年度
(実績)
2018年度
(実績)
2019年度
(予想)
2020年度
(目標)
製紙薬品売上高19,83921,29521,30025,000
セグメント利益9343664401,700
コーティング売上高19,15018,04918,90023,000
セグメント利益1,1051,0511,6901,300
粘接着売上高29,92027,69828,60036,000
セグメント利益2,4771,7511,5602,700
機能性材料売上高11,60712,19212,90016,000
セグメント利益6196327501,100

自己資本利益率(ROE)につきましては、収益性、効率性、健全性のバランスを考慮しながら、2020年度目標として6.5%以上を目指しております。当連結会計年度におけるROEは7.1%でした。引き続き向上を目指して取り組んでまいります。
資本の財源および資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の長期的な資金需要に関しては、金融機関からの長期借入や社債の発行により調達しております。
また、グループ会社の資金調達につきましては、当社において一元管理しております。
なお、当社は格付を取得しており、本報告書提出日時点において、日本格付研究所「A-」となっております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの事業の維持・拡大、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。

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