有価証券報告書-第61期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/25 9:32
【資料】
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【項目】
107項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)基本方針
当社グループは、収益力・人財(材)力・技術力のレベルを高め、継続的発展を遂げる企業を目指すために、「企業価値」および「企業品質」をより高める企業経営をしていきます。
そのために、ニッチな市場のニーズをとらえ、スピード、コスト、クオリティのバランスが高次元で調和している製品の開発を目指し、顧客満足の最大化を目指していきます。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
当社グループの事業展開において、以下を重点的テーマとして取り組んでいきます。
(ライフサイエンス事業)
三井化学株式会社から営業権を承継した無水マレイン酸、フマル酸のビジネスは順調に拡大しています。平成29年11月には、生産設備の譲受も完了し、鹿島事業所としてスタートし、当社の果実酸総合メーカーとしての位置づけはさらに強固なものとなりました。
さらに、平成30年3月「果実酸コンビナート」構想の1st Stepであるリンゴ酸の鹿島新プラント建設に着工し、平成31年7月には完成が予定されています。新プラントではコスト競争力の抜本的な強化を図り、国内唯一のメーカーから、世界No.1のリンゴ酸メーカーに大きく飛躍するよう取り組んでまいります。
平成30年3月には、グローバル企業が要求する国際食品安全マネジメントシステムである「FSSC22000」の認証を取得し、生産面だけでなく、品質面でも、グローバル展開を後押しできる体制を確立しました。
海外においては、中国の100%出資子会社の青島扶桑精製加工有限公司で、従来のクエン酸類の精製に加え、市場の拡大している電子材料向け高純度クエン酸の製造等、高付加価値製品のウエイトを増やします。また、人件費の高騰への対処として、生産設備の自動化によるコスト削減を強力に推進します。
一方、タイ、ベトナムを中心に加工食品市場が拡大している東南アジアにおいては、平成29年4月に完成した東京研究所のテストキッチンを有効活用し、各国の食品や食材に適した食品添加物製剤の開発・製造を進め、同地域でのビジネス拡大を目指します。また、従来の日本、中国、タイでの展開に加え、新たに米国においても100%出資子会社のPMP Fermentation Products, Inc.を通じ、食品添加物製剤等のマーケティングをスタートします。
商品開発におきましては、引き続き一次産業向け製品、食品添加物製剤の開発に加え、果実酸類の高純度品、コーティング品等の高付加価値製品の開発に注力していきます。
今後も、果実酸総合メーカーとしてこれまで蓄積してきた販売チャネル、製造・開発ノウハウを最大限に活用し、さらなる売上および利益の拡大に尽力してまいります。
(電子材料および機能性化学品事業)
平成30年度中に新規超高純度コロイダルシリカ製造設備が2系列完成します。この設備は最新の技術を結集した仕様となっており、これまで以上に高精度に製造条件をコントロールする事が可能となります。これにより益々厳しくなるお客様の品質要求に応える事ができ、また2割から3割の生産能力向上となります。生産能力向上と品質のさらなる安定化により当社超高純度コロイダルシリカ製品は益々お客様に安心して使用して頂けるものと確信いたしております。
研究開発におきましては、従来通りケイ素化学を基軸として多方面への事業展開を推進します。半導体分野では微細化、高集積化が益々進んでおり、それらのニーズに対応すべく、さらに小さな粒子や硬い粒子、表面修飾した粒子等々、製品開発を続けていきます。
半導体研磨以外の新分野への製品開発につきましても、東京研究所に積極的に経営資源を投下し、当社グループのコア技術である超高純度コロイダルシリカの合成技術を活かしたシリカナノパウダー関連で新製品開発を進めています。すでに顧客評価で高い性能を確認できた製品も得られており、数年内に新分野で売上40億円以上を目指します。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、将来の成長に向けた設備投資は不可欠であると考えて、設備投資の採算性を慎重に検討した上で「償却前営業利益」(営業利益に減価償却実施額を加えた金額)を最重要経営指標としています。併せて、総資産回転率等の資産効率、自己資本利益率等の収益性、自己資本比率等の安全性等、複数の指標のバランスを考慮して経営を進めています
(4)経営環境
世界経済は、総じてみると緩やかな回復が続くものと見込まれます。しかし、欧米諸国やアジアにおける経済不確実性による影響、そして中国や新興国における経済成長の鈍化の懸念などは依然残っており、不透明な状況が継続すると想定され、わが国経済もその影響を受けると思われます。