有価証券報告書-第132期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、2022年度を最終年度とする中期経営ビジョン「2022年 住友理工グループVision」に基づき「自動車(モビリティ)」「インフラ・住環境」「エレクトロニクス」「ヘルスケア」の4分野に注力し、また、「事業環境が大きな変革期を迎える中で、着実な成長と体質強化を目指す」をVisionのテーマとして、以下の内容を遂行していきます。
<経営戦略>「新事業・新規顧客創出」
① 新事業創出
② グローバル拡販
「モノづくり革新」
① 競争を勝ち抜く強い現場づくり(SRIM 22 Act)
② 技術革新(環境技術)・世界No.1品質
「グローバル経営基盤強化」
① グローバル人材力強化
② グローバルインフラ強化
これらの取り組みにより、「人・社会・地球の安全・快適・環境に貢献する企業」を目指すべき姿として“Global Excellent Manufacturing Company”の実現を追求し続けます。
[成長投資管理と事業採算性管理について]
当社は、成長投資管理の仕組みとして投資採算基準を設定し、事業戦略との両輪で意思決定しています。投資採算基準には、回収年限法とディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法を併用しています。割引率には、加重平均資本コスト(WACC)に国別のカントリー・リスクとWACCスプレッドを上乗せしたハードルレートを用いることにより、中長期的にWACCを上回る成果の確保を目指しています。
また、投資意思決定時の計画に対して未達となっている案件については、戦略的に事業構造改革計画を策定しています。事業環境変化による採算悪化リスクを最小限に抑制し、より高い成長を見込める事業に経営資源を再配分することで、グループ全体の投資効率を高めています。成長投資管理と並行して、赤字拠点を中心に事業採算性を定期的にチェックし、将来の事業性を検討しています。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループを取り巻く環境は、「CASE」、すなわち「C:Connected(つながる)」「A:Autonomous(自動運転)」「S:Shared & Services(シェアリング)」「E:Electric(電動化)」といった自動車業界の大変革に加え、足元では米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大により、世界経済の先行きに対する不透明感が増しています。
このような中、当社グループは、「着実な成長と体質強化」を目指すべきテーマに掲げ、中期経営ビジョン「2022年 住友理工グループVision」のもと、「新事業・新規顧客創出」「モノづくり革新」「グローバル経営基盤強化」を経営戦略の柱として、企業価値向上に取り組んでいます。
当社は近年の費用増加やグローバルな競争激化に伴う収益力低下を踏まえ、収益体質強化への取り組みをグループ内で横断的に進めてきました。また、CASEや新たなトレンドをにらんだ研究開発では、経営資源の最適配分が不可欠です。この一環として、2020年4月には品種別に分かれていた開発センターなどを統合し、新たに「新商品開発センター」を設置しました。この改編により、開発アイテムの優先順位を迅速に見極め、開発のスピードアップと早期事業化を図ります。さらに親会社である住友電気工業㈱との連携をより一層強化し、グループ全体での製品開発を進めていきます。
[自動車用品部門]
自動車業界においては、世界的な新車販売の低迷に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による自動車メーカー及びサプライチェーンの稼働停止などの影響を受け、先行きが非常に不透明な状況が続いています。このような中にあっても、CASEといった技術革新の波は進行し、企業はこれらへの迅速な対応にとどまらず、環境問題をはじめとする社会課題解決への積極的な関与が求められています。
当社グループにおいては、CASEをはじめとする急速な自動車産業の変化の中で、新たなビジネスチャンスが到来するものと考えています。創業以来培ってきたコアコンピタンス「高分子材料技術」「総合評価技術」をもとに、防振ゴム開発で積み重ねてきた振動・騒音制御技術や、ホース開発で磨きをかけてきた流体搬送技術を駆使し、これからの自動車に新たな価値を提供する製品の創出と開発を進めます。
現在、新商品開発センターが主体となって注力しているのは、センシング技術を応用した新製品の開発です。たとえば、圧力分布を検知する「スマートラバー(SR)センサ」は、自動車のステアリングやシートに組み込むことで、呼吸や心拍などの生体情報(バイタルデータ)が得られます。これらを用いて危険回避や安全確保を的確に行うシステム構築をサポートするなど、来たる自動運転時代を勝ち抜くための新たな挑戦を始めています。また、気候変動や海洋汚染など環境保護の機運がますます高まる中で、各国による環境規制政策もより厳格なものとなっています。昨今、自動車の電動化が注目されていますが、当社グループは2030年の自動車生産台数においても、ハイブリッド車を含めた内燃機関車が8割程度を占めると予測しており、ガソリン蒸散の低減に寄与する高性能な燃料ホースなどの開発と拡販に注力しています。さらに、電気自動車(EV)や「究極のエコカー」と言われる燃料電池自動車(FCV)向けの基幹部品をすでに供給しているほか、ネックとされる航続距離問題のソリューションとして、熱マネジメント製品の開発にも、産学連携の枠組みなどをさらに活用しながら取り組んでいきます。
親会社の住友電気工業㈱とは、同社の主力製品であるワイヤーハーネスと、当社の制遮音品や内装品、ホースなどの製品とを組み合わせたシステムの提案に向けて、さらなる協業体制の構築を目指していきます。
一方、当社グループにとって最重要エリアの一つである米国拠点の収益改善は、早急に対処すべき経営課題として認識しています。当社の米国拠点は2017年度下期以降、グローバル競争の激化と、良好な雇用環境を背景とした人手不足から生産性が低下し、損益が悪化しました。以来、生産性改善を進めるため、ローカル人材の育成や工程改善によるロス低減に取り組んだ結果、当期においては黒字に転換しました。また、昨今の市場低迷による影響がある欧州子会社、米国の内需拡大政策やアルゼンチン自動車市場縮小の影響がある中南米子会社、自動車市場低迷により厳しい状況が継続するアジア新興国の子会社においても、引き続き足元の収益改善と中長期的な業容の拡大に向け、収益体質の強化を図っていきます。
次期については、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、業績への影響は避けられない見通しとなっていますが、生産調整や費用削減を継続する一方、新型コロナウイルス収束後の需要回復期にも対応できるよう、より一層最適な生産体制の構築に取り組んでいきます。
[一般産業用品部門・新規事業部門]
当社グループは、主力事業の「自動車(モビリティ)」分野に加えて、「インフラ・住環境」「エレクトロニクス」「ヘルスケア」といった、社会環境基盤の構築に不可欠な分野へも事業展開しています。インフラ整備に欠かせない産業用ホースや鉄道車両用品、地震対策に有効な各種制震システム、機能的で快適なオフィス環境を支える事務機器向け精密部品、そして当社独自技術のSRセンサを生かした各種ヘルスケア製品など、これらはSDGs(持続的な開発目標)にも掲げられる「住み続けられるまちづくり」に貢献する製品群と認識しています。
一般産業用品部門においては、成熟市場の伸び悩みや景気減速による需要減少の影響を最小限にとどめる一方で、新規事業部門では経営資源の限られた現状を踏まえ、社会の要請に応えられるよう投資すべき事業分野を見極めていきます。2019年3月、新規事業部門において、心拍や呼吸など生体情報を同時に計測できる診断用機器「体動センサ」のモニター販売を開始しました。この体動センサは、研究開発者のほか、介護や健康、スポーツなど幅広い分野で好評を得ています。医療機関や研究開発機関、介護施設や企業などへの提供を通じて、ヘルスケア分野での新たな製品開発につなげ、人々の暮らしへのさらなる貢献を目指していきます。
次期については、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞やそれに伴う消費者マインドの低下を受け、顧客での生産調整や事務機器用品の需要減、住宅販売戸数の減少の影響を受けることが予想されます。自動車用品部門同様に、生産調整や費用削減を継続する一方、新型コロナウイルス収束後の需要回復期にも対応できるよう、事業効率化による収益力の向上と事業基盤の強化を図っていきます。
当社は、多くの皆様のご支援とご愛顧により、2019年12月をもって創立90周年を迎えました。私たちはこれまで、モノづくり企業として長年にわたって培ってきたコアコンピタンスを軸に、住友事業精神が謳う「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」を忠実に守りながら、「安全・環境・コンプライアンス-品質(S.E.C.-Q.)」の取り組みを積み重ねてきました。これからも世界中で必要とされる“Global Excellent Manufacturing Company”、すなわち「人・社会・地球の安全・快適・環境に貢献する企業」への成長を目指して、創立100周年に向けた10年も一歩ずつ、着実な歩みを続けていきます。皆様におかれましては、今後とも一層のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
(1) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、2022年度を最終年度とする中期経営ビジョン「2022年 住友理工グループVision」に基づき「自動車(モビリティ)」「インフラ・住環境」「エレクトロニクス」「ヘルスケア」の4分野に注力し、また、「事業環境が大きな変革期を迎える中で、着実な成長と体質強化を目指す」をVisionのテーマとして、以下の内容を遂行していきます。
<経営戦略>「新事業・新規顧客創出」
① 新事業創出
② グローバル拡販
「モノづくり革新」
① 競争を勝ち抜く強い現場づくり(SRIM 22 Act)
② 技術革新(環境技術)・世界No.1品質
「グローバル経営基盤強化」
① グローバル人材力強化
② グローバルインフラ強化
これらの取り組みにより、「人・社会・地球の安全・快適・環境に貢献する企業」を目指すべき姿として“Global Excellent Manufacturing Company”の実現を追求し続けます。
[成長投資管理と事業採算性管理について]
当社は、成長投資管理の仕組みとして投資採算基準を設定し、事業戦略との両輪で意思決定しています。投資採算基準には、回収年限法とディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法を併用しています。割引率には、加重平均資本コスト(WACC)に国別のカントリー・リスクとWACCスプレッドを上乗せしたハードルレートを用いることにより、中長期的にWACCを上回る成果の確保を目指しています。
また、投資意思決定時の計画に対して未達となっている案件については、戦略的に事業構造改革計画を策定しています。事業環境変化による採算悪化リスクを最小限に抑制し、より高い成長を見込める事業に経営資源を再配分することで、グループ全体の投資効率を高めています。成長投資管理と並行して、赤字拠点を中心に事業採算性を定期的にチェックし、将来の事業性を検討しています。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループを取り巻く環境は、「CASE」、すなわち「C:Connected(つながる)」「A:Autonomous(自動運転)」「S:Shared & Services(シェアリング)」「E:Electric(電動化)」といった自動車業界の大変革に加え、足元では米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大により、世界経済の先行きに対する不透明感が増しています。
このような中、当社グループは、「着実な成長と体質強化」を目指すべきテーマに掲げ、中期経営ビジョン「2022年 住友理工グループVision」のもと、「新事業・新規顧客創出」「モノづくり革新」「グローバル経営基盤強化」を経営戦略の柱として、企業価値向上に取り組んでいます。
当社は近年の費用増加やグローバルな競争激化に伴う収益力低下を踏まえ、収益体質強化への取り組みをグループ内で横断的に進めてきました。また、CASEや新たなトレンドをにらんだ研究開発では、経営資源の最適配分が不可欠です。この一環として、2020年4月には品種別に分かれていた開発センターなどを統合し、新たに「新商品開発センター」を設置しました。この改編により、開発アイテムの優先順位を迅速に見極め、開発のスピードアップと早期事業化を図ります。さらに親会社である住友電気工業㈱との連携をより一層強化し、グループ全体での製品開発を進めていきます。
[自動車用品部門]
自動車業界においては、世界的な新車販売の低迷に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による自動車メーカー及びサプライチェーンの稼働停止などの影響を受け、先行きが非常に不透明な状況が続いています。このような中にあっても、CASEといった技術革新の波は進行し、企業はこれらへの迅速な対応にとどまらず、環境問題をはじめとする社会課題解決への積極的な関与が求められています。
当社グループにおいては、CASEをはじめとする急速な自動車産業の変化の中で、新たなビジネスチャンスが到来するものと考えています。創業以来培ってきたコアコンピタンス「高分子材料技術」「総合評価技術」をもとに、防振ゴム開発で積み重ねてきた振動・騒音制御技術や、ホース開発で磨きをかけてきた流体搬送技術を駆使し、これからの自動車に新たな価値を提供する製品の創出と開発を進めます。
現在、新商品開発センターが主体となって注力しているのは、センシング技術を応用した新製品の開発です。たとえば、圧力分布を検知する「スマートラバー(SR)センサ」は、自動車のステアリングやシートに組み込むことで、呼吸や心拍などの生体情報(バイタルデータ)が得られます。これらを用いて危険回避や安全確保を的確に行うシステム構築をサポートするなど、来たる自動運転時代を勝ち抜くための新たな挑戦を始めています。また、気候変動や海洋汚染など環境保護の機運がますます高まる中で、各国による環境規制政策もより厳格なものとなっています。昨今、自動車の電動化が注目されていますが、当社グループは2030年の自動車生産台数においても、ハイブリッド車を含めた内燃機関車が8割程度を占めると予測しており、ガソリン蒸散の低減に寄与する高性能な燃料ホースなどの開発と拡販に注力しています。さらに、電気自動車(EV)や「究極のエコカー」と言われる燃料電池自動車(FCV)向けの基幹部品をすでに供給しているほか、ネックとされる航続距離問題のソリューションとして、熱マネジメント製品の開発にも、産学連携の枠組みなどをさらに活用しながら取り組んでいきます。
親会社の住友電気工業㈱とは、同社の主力製品であるワイヤーハーネスと、当社の制遮音品や内装品、ホースなどの製品とを組み合わせたシステムの提案に向けて、さらなる協業体制の構築を目指していきます。
一方、当社グループにとって最重要エリアの一つである米国拠点の収益改善は、早急に対処すべき経営課題として認識しています。当社の米国拠点は2017年度下期以降、グローバル競争の激化と、良好な雇用環境を背景とした人手不足から生産性が低下し、損益が悪化しました。以来、生産性改善を進めるため、ローカル人材の育成や工程改善によるロス低減に取り組んだ結果、当期においては黒字に転換しました。また、昨今の市場低迷による影響がある欧州子会社、米国の内需拡大政策やアルゼンチン自動車市場縮小の影響がある中南米子会社、自動車市場低迷により厳しい状況が継続するアジア新興国の子会社においても、引き続き足元の収益改善と中長期的な業容の拡大に向け、収益体質の強化を図っていきます。
次期については、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、業績への影響は避けられない見通しとなっていますが、生産調整や費用削減を継続する一方、新型コロナウイルス収束後の需要回復期にも対応できるよう、より一層最適な生産体制の構築に取り組んでいきます。
[一般産業用品部門・新規事業部門]
当社グループは、主力事業の「自動車(モビリティ)」分野に加えて、「インフラ・住環境」「エレクトロニクス」「ヘルスケア」といった、社会環境基盤の構築に不可欠な分野へも事業展開しています。インフラ整備に欠かせない産業用ホースや鉄道車両用品、地震対策に有効な各種制震システム、機能的で快適なオフィス環境を支える事務機器向け精密部品、そして当社独自技術のSRセンサを生かした各種ヘルスケア製品など、これらはSDGs(持続的な開発目標)にも掲げられる「住み続けられるまちづくり」に貢献する製品群と認識しています。
一般産業用品部門においては、成熟市場の伸び悩みや景気減速による需要減少の影響を最小限にとどめる一方で、新規事業部門では経営資源の限られた現状を踏まえ、社会の要請に応えられるよう投資すべき事業分野を見極めていきます。2019年3月、新規事業部門において、心拍や呼吸など生体情報を同時に計測できる診断用機器「体動センサ」のモニター販売を開始しました。この体動センサは、研究開発者のほか、介護や健康、スポーツなど幅広い分野で好評を得ています。医療機関や研究開発機関、介護施設や企業などへの提供を通じて、ヘルスケア分野での新たな製品開発につなげ、人々の暮らしへのさらなる貢献を目指していきます。
次期については、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞やそれに伴う消費者マインドの低下を受け、顧客での生産調整や事務機器用品の需要減、住宅販売戸数の減少の影響を受けることが予想されます。自動車用品部門同様に、生産調整や費用削減を継続する一方、新型コロナウイルス収束後の需要回復期にも対応できるよう、事業効率化による収益力の向上と事業基盤の強化を図っていきます。
当社は、多くの皆様のご支援とご愛顧により、2019年12月をもって創立90周年を迎えました。私たちはこれまで、モノづくり企業として長年にわたって培ってきたコアコンピタンスを軸に、住友事業精神が謳う「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」を忠実に守りながら、「安全・環境・コンプライアンス-品質(S.E.C.-Q.)」の取り組みを積み重ねてきました。これからも世界中で必要とされる“Global Excellent Manufacturing Company”、すなわち「人・社会・地球の安全・快適・環境に貢献する企業」への成長を目指して、創立100周年に向けた10年も一歩ずつ、着実な歩みを続けていきます。皆様におかれましては、今後とも一層のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。