有価証券報告書-第138期(2025/04/01-2026/03/31)
(2)人的資本
当社では、「住友事業精神」のもとに定めた「人的資本向上の方程式」を人材戦略の中心に位置付けています。
「人的資本向上の方程式」においては、「住友事業精神」「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)」「人材育成」「エンゲージメント」の4つを重点分野とし、事業成長と2029V達成を人的資本の面から支えるため、事業部門と連携しながらグループ・グローバルに施策を実行してまいりました。
2025年度は「中期経営計画2025P」の最終年度となりましたが、各分野における施策・活動が実を結び、次の時代における人的資本向上の土壌も着実に育まれています。本項では、これまでの取り組みの成果について報告します。
(「企業戦略と関連付けた人事戦略」「人的資本向上の方程式」等については55頁 参照)
①取組
a. 住友事業精神
住友事業精神は、当社グループの従業員にとって、すべての事業活動における拠り所であり、判断基準です。
当社グループでは、人材育成の根幹に住友事業精神を据え、新入社員をはじめとする全従業員に対して、動画「私たちの住友事業精神」を用いた定期的な研修を行い、理念の浸透を図っています。
事業環境が目まぐるしく変化する中においても、「萬事入精(ばんじにっせい)」「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」という理念を行動指針として、社会から信頼され、持続的な成長を実現する企業としての発展を目指します。従業員は、何事にも心を込めて一生懸命向き合うことの大切さを胸に刻み、日々の活動に邁進してまいります。
2025年度は、住友事業精神のさらなる認知度・理解度向上を目的として、「住友事業精神一斉教育」を実施いたしました。対象を国内関係会社及び海外関係会社へ大きく拡大し、2024年度に制作した住友事業精神の学習動画視聴と理解度アンケートを展開いたしました。加えて、GMM(Global Management Meeting:グローバル責任者会議)での周知も奏功し、動画視聴及び理解度アンケート回答者数は合計6,313名に達しました。これにより、国内外の多くの従業員にとって、住友事業精神を学ぶ機会となりました。
また、国内関係会社においては、認知度・理解度のさらなる向上を目的に、入社時教育や年1~2回の全社教育、幹部層による教宣活動の定期開催など、各社独自の取り組みが一層活発化しております。
(2025年度住友事業精神一斉教育受講者人数)
なお、2025年度エンゲージメントサーベイにおいては、「基本思想と事業戦略」項目のうち、住友事業精神に関連するスコアが94となり、グローバル製造業の基準値を上回る結果となりました。
今後は、当社グループの強みである住友事業精神の認知度・理解度を更に強化し、持続可能なものとするため、2026年度以降、住友事業精神一斉教育の対象者拡大に加え、理解度アンケートの分析結果から抽出した課題に対する具体的施策を推進してまいります。そして、従業員一人ひとりが住友事業精神を自ら体現し続けることで、その行動が習慣として定着する状態、すなわち住友事業精神に基づく行動変容の実現を目指してまいります。
(エンゲージメントサーベイについては25頁 参照)
b. ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)
人を尊重することは企業活動の根幹です。人権尊重とDE&Iの重要性の理解を深め、日々の行動に活かすことができるよう、Eラーニングを用いてアンコンシャスバイアスやLGBTQについて従業員への教育を行いました。10月には「治療と仕事の両立支援措置の導入」も開始しました。がん治療や不妊治療を受けながら、キャリアを継続し、長く安心して働くことができる環境整備を進めています。2025年度は当社初の女性アスリート社員を採用しました。また、シニア世代の従業員が、今後の人生設計やこれからのキャリアについて考えるセミナーも定期的に開催しています。多様な人材の活躍、幅広い働き方、多様な価値観が共存する現代において、違いを認め合い、誰もが能力を発揮できる職場づくりを目指してまいります。
○ 女性活躍推進
CSR・サステナビリティ委員会では、女性活躍をはじめとするダイバーシティ推進を全社的に強化するため、各部門の上位管理者が参加する「ダイバーシティ分科会」を設置しています。従来は年4回の開催で意見交換が中心でしたが、課題の主体的な把握と施策の検討・実行につなげる体制強化のため、開催頻度を毎月1回へと増やしました。分科会では、各事業部が自組織の状況を踏まえて施策を検討し、自発的にPDCAサイクルを回す取り組みを行っています。また、女性が働きやすい職場づくりを進めるため、女性従業員がプロジェクトリーダーとして参画し、工場内の休憩所等の刷新を行いました。さらに、女性寮の拡充、事業所内託児所「コアラぽっけ」の活用など、女性が安心して就業を続け、キャリア形成に取り組める環境整備を多面的に推進しています。
注) 育児・介護に限定されていた許可要件を撤廃し、より柔軟な働き方に対応できるよう2020年度より対象を拡大しています。
「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (2)従業員の状況 ④多様性に関する指標」も併せてご参照ください。
○ 障がい者雇用の推進
当社グループでは、受入れ職場との対話を通じて、障がいを持つ従業員の適性や障がいの種別(身体、知的、精神)に応じた配置と職務の割り当てを行っています。また、2013年11月に障がい者雇用促進と社会貢献を目的として、特例子会社「住理工ジョイフル」を設立し、障がい者の積極的な雇用確保と適性を活かした就労支援に努めた結果、10年を超える長期就業も実現しています。
これまで当社は、受入体制の基盤整備や管理監督者向け研修、事業所間の情報共有を継続し、障がいへの理解促進と安定的な就労環境の醸成に取り組んできました。こうした継続的施策を基盤として、2025年度は受入前支援相談会や講演会・勉強会の実施、障がい理解資料・動画の活用などを通じて、職場理解の一層の浸透を図りました。また、採用経路の新規開拓に加えて特別支援学校との相互理解の促進を進め、より適性に応じた受入強化を図りました。さらに、職務選択肢の多様化に向けて、農福連携の観点から新たな業務領域を開拓するため、社内での園芸作業(いちご栽培)を試験的に開始しました。こうした継続的な取り組みの結果、2025年度における当社の障がい者雇用率は、法定雇用率を上回る2.70%となりました。
今後は、採用競争の激化などの外部環境の変化を踏まえ、採用エリア拡大や業務領域の拡大、多様な働き方の整備、職場支援員育成などの施策を進め、2029Vで掲げる目標(2029年度3.00%)の達成に向けて取り組みを継続します。
(障がい者雇用率の推移と今後の目標)
厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告及び障害者雇用状況報告」の算出条件に基づく数値
○ グローバル人材の活躍促進
当社グループの全従業員の約8割は海外地域で働いており、多種多様なバックグラウンドを持つ従業員がそれぞれの強みを発揮することで、共創による新たな価値創造を目指しています。
当社では、グローバル人材の活躍を象徴するイベントとしてGMM(Global Management Meeting:グローバル責任者会議)を毎年開催しています。2025年度は7月に愛知県名古屋市で実施し、海外拠点長やローカル幹部従業員ら100名以上が来日しました。会議では2025P及び2029Vの進捗共有に加え、「環境」「人事」「品質」「情報セキュリティ」「コンプライアンス」をテーマとした分科会を通じ、現地実態に根差した議論を行いました。また、日本からは世界11か国で約180名の社員が活躍しており、海外からは技能実習生を受け入れることで、技能伝承と相互理解の深化を図っています。
<参考リンク:当社ホームページ特設サイト>・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/inclusion/
・働きやすい環境に向けた制度や仕組み
https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/improvement/work.html
c. 人材育成
当社グループでは「人材育成にまさる事業戦略なし」との考え方のもと、当社グループの従業員として相応しい人格と知識を持ち、グローバルに活躍できる人材の育成を目指しています。その実現に向け、従業員の各キャリアステージで求められる知識やスキルを習得できる教育コンテンツを拡充し、様々な学習機会を提供しています。
2025年度は、「必要な人が、必要な時に、必要なことを学ぶことができる風土づくり」に向けた第一歩として、「全社横断教育」を実施いたしました。
本施策では、コミュニケーション、問題解決、プレゼンテーション、キャリア形成など、当社で働くすべての従業員の日常業務の質の向上に寄与する、9つのテーマ別研修を企画・展開いたしました。住友理工単体のみならず国内関係会社の従業員も参加可能な形式とすることで、より広範な学習機会を創出いたしました。
その結果、全研修の受講者数は累計約3,000名、新たに創出された研修受講時間は約6,000時間にのぼりました。また、録画アーカイブを公開し、時間や場所にとらわれず学習できる環境を整備いたしました。
本施策を通じて、従業員の学習意欲が高まりつつある傾向が見られます。今後はその流れをさらに加速させるべく、研修コンテンツの一層の拡充を図り、従業員ニーズに沿った学習機会を提供できる仕組みの整備を進めてまいります。
○ 住友理工の全社教育体系
「次世代幹部候補者の選抜型教育」「グローバル人材育成」「各部門の専門教育」「全社共通教育」の4領域からなる全社教育体系を整備し、幅広く従業員に教育を実施しています。2025年度は、2022年から行ってきた教育体系の見直しと最適化、また、次世代教育環境整備に向けた現状分析と洗い出された課題に対する教育機会の提供に注力しました。
<参考リンク:当社ホームページ特設サイト>・人材育成
https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/improvement/upbringing.html
2023年度以降の3カ年における幹部研修受講者数は累計99名となり、幹部候補者の育成を着実に推進しております。2025年度は33名が受講し、各プログラムのさらなる高度化を図りながら、将来の経営を担う人材の継続的な育成に取り組んでおります。選抜型教育として実施している「経営塾MCP」は、13年にわたり活動を継続している中、直近の修了生を対象に「経営塾アルムナイ」イベントを開催し、卒業生同士の縦・横のネットワーク強化を図っております。また、基幹職昇格者研修のフィードバック会には社長が参加し、経営層との直接的な接点を通じて、縦のつながりのさらなる強化を進めております。
「EMP re-co」においては、3年前より社長をはじめとする経営幹部との対話プログラムを実施しております。現経営幹部が、当社の現状や課題認識、将来ビジョン、そして経営幹部として求められる人材像について繰り返し対話を行うことで、未来の経営幹部へ想いを継承しております。これにより、現経営幹部と未来の経営幹部とのつながりを強化するとともに、未来の経営幹部が託された想いに主体的にコミットすることを目的としております。
今後も、多くの役員・関係者が参画する体制を継続し、持続可能な経営基盤を支える幹部人材の育成を一層強化してまいります。
(幹部研修(EMP re-co/経営塾MCP/若手人材育成プログラム)受講者人数)
海外赴任予定者に対する育成施策として実施している海外赴任前教育について、2025年度もプログラムの拡充を進めてまいりました。赴任後は拠点の経営・運営に関わる幅広い知識が求められることから、赴任前の段階で必要な知識を着実に習得できるよう、内容の一層の充実を図っております。
具体的には、実際に海外赴任中の従業員が直面している課題を踏まえ、新たに経理財務研修動画(全5本)、会計不正防止研修、貿易取引の基礎研修、安全・環境研修を公開いたしました。これにより、実務に直結する知識の体系的な習得を可能としています。また、「働く場所を問わず、国内外で活躍できる人材」の育成を目的に、海外赴任前教育プログラムの体系化を実施いたしました。
2026年度以降は、対象を海外赴任予定者にとどめず、海外赴任中の従業員や、将来的に海外でのキャリア形成を志向する国内従業員へと拡大し、それぞれのフェーズに応じたプログラムを展開することで、本教育のさらなる活用促進と高度化を図ってまいります。
○ DX人材の育成
住友理工グループでは、2029Vの実現に向け、DXを単なるIT活用にとどまらず、価値創出及び組織変革を推進するための中核的な経営基盤と位置付けています。その中でも、DX人材の育成は、2025Pにおける重点施策の一つとして継続的に取り組んでいます。
2025年度は、これまでの「教育機会の提供フェーズ」から次の段階として「可視化・学習・実践・変革」を一体的に機能させる人材育成の高度化を推進しました。まず、経済産業省・IPAが定めるデジタルスキル標準に準拠したDX人材アセスメントをグループ全体で実施し、延べ1000人以上が受審しました。これにより、DXコア人材及びDXデータ分析人材のスキルレベルを客観的に可視化し、2025年度の目標として掲げていた「DXコア人材200名」「DXデータ分析人材700名」を達成しました。
あわせて、アセスメント結果を踏まえた個別最適な学習環境の整備を進めました。DXリテラシー向上のためのEラーニング、データ分析並びに生成AI活用に関する専門教育に加え、事務職向けのMicrosoft Office活用講座など、職種・役割に応じた多層的な教育プログラムを展開することで、DX推進を担う中核人材の育成と全社的なデジタル基礎力の底上げを両立させています。
さらに、2025年度は、学習で得た知識を実務につなげる基盤の強化にも注力しました。DX推進企画プロジェクトを中心に、毎週開催している定例連絡会や各種勉強会、イントラサイト及び社内SNSを通じた成功事例の整理・共有を進め、部門横断のネットワーク形成と相互学習を促進しました。これにより、取り組み内容の可視化及び実践事例の共有を進め、DX活動に対する理解の促進と社内浸透を図りました。
また、各部門から選抜されたDX推進人材に対しては、変革マインドセットの醸成や行動変容を促すプログラムを継続的に実施し、事業及び業務の変革を自律的に牽引できる人材の育成を進めました。
今後は、2029Vの実現に向け、育成したDX人材が各部門及び各事業においてDXの実践者・推進者として機能し、データに基づく意思決定や価値共創が日常的に行われる組織風土の定着を図ります。
住友理工グループは、DX人材育成を通じ、社会課題の解決と持続的な企業価値向上を実現していきます。
d. エンゲージメント
2029Vありたい姿「理工のチカラを起点に社会課題の解決に向けてソリューションを提供し続けるリーディングカンパニー」の実現に向けてエンゲージメントを定量的に測定し、会社と各組織における自律的な組織改善に活用するため、2024年度より実施のエンゲージメントサーベイは、2025年度は、住友理工と、国内関係会社13社、海外拠点28拠点で対象者を拡大し、調査を行いました。
当社では総合指標となる「持続可能なエンゲージメント」の項目をKPIとして設定していますが、同項目のスコアは2024年度「63」に対し、2025年度は「83」と改善され、日本基準値よりもやや高い結果となりました。当社が事業運営の基本としている「安全」や「コンプライアンス・誠実性」においては、それぞれ「92」や「87」と強みといえる高いスコアになっており、また、2024年度と比較しサーベイの全項目が改善傾向となっており、なかでもモノづくりを支える技能職のスコアが全体的に高い結果となりました。その一方、直属の部下を持たない管理職においては、「業務体制」や「顧客志向」は他項目と比較して低いスコアとなっており、今後の課題項目であることが明らかになりました。
○ 健康経営
当社グループは、2017年に制定した「住友理工グループ健康経営宣言」に基づき、経営トップを健康経営責任者として、全社一体となって健康経営を推進しています。従業員の健康を重要な経営資源と位置づけ、「従業員及び家族の健康増進活動への支援」「メンタルヘルス対策」「生活習慣病対策」の3点を重点方針としています。2025年度は、高年齢者を対象とした「転倒リスク測定会」や、女性従業員を対象とした「椅子ヨガ」を新たに実施するなど、従業員の年齢・属性及び健康課題に応じた健康増進施策を展開しました。
健康経営で解決したい経営課題は二つあり、一つ目は「従業員の心身両面における健康状態の向上」です。健康経営をグループ共通の取組みとして推進するため、定期的に「国内グループ産業保健連絡会」を開催し、健康経営方針及び健康KPIの共有を行っています。また、2025年度には、グローバルにおける健康経営推進を目的として、7月開催のGMM(Global Management Meeting:グローバル責任者会議)において方針説明を行い、地域ごとに海外拠点との情報交換を開始しました。さらに、2026年4月からの敷地内全面禁煙に向け、段階的な禁煙施策を推進しています。2025年度は、専門家を招いた健康セミナーを開催し、肺年齢測定を実施しました。また、住友理工健康保険組合と連携し、禁煙補助薬やオンライン禁煙プログラムに係る費用補助を行うなど、禁煙支援施策の拡充に取り組んでいます。
二つ目は「従業員の生産性とエンゲージメントの向上」です。毎年4月に実施しているストレスチェックにおいて、高ストレスと判定された職場に対しては、深堀アンケートや個別面談等による人事部門の支援を行っています。あわせて、労務管理講習会の開催や好事例の共有を実施しています。これらの取組みにより、2025年度における高ストレス職場数は2年前と比較して半減し、ワークエンゲージメント指標は0.1ポイント向上しました。また、2025年10月には、当社就業規則に会社と従業員が共に取り組むべき義務として、「エンゲージメント向上」「心身の健康保持増進」を明記し、同年11月には、管理職を対象としてエンゲージメントを高める職場づくりの実践ヒントを学ぶ全社講演会を開催しました。
<参考リンク:当社ホームページ特設サイト>・健康経営
https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/health/
○ 働き方改革
当社では2017年度より働き方改革を推進する活動として「活き生き5活動」を推進してきました。2017年度からの「活き生き5活動」Ver1.0では働きやすさを整える基盤づくり、2023年度からは「活き生き5活動」Ver1.5としてエンゲージメントサーベイを開始する等の活動を行ってきました。そして、2025年においては働きがい溢れる企業風土の醸成を目指して「活き生き5活動」をVer2.0へとシフトさせました。この一環として「SMARTプロジェクト」(当社版イクボス施策)を展開し、SMARTマネージャーの育成やエンゲージメントサーベイ結果を用いた組織改善活動を実施する等、エンゲージメント向上に向けた活動を推し進め、職場ごとに課題を改善する活動を手上げ制で実施しました。2026年度は全社へ横展開しグループ会社も含めて活動を実施し、エンゲージメントと心理的安全性向上のキーパーソンであるリーダー層への継続的なアプローチによる改善に取り組んでおります。
エンゲージメントの高い組織の実現のために、誰もが自分の能力を十分に発揮できるよう、各々の心身の安定を図り、互いにコミュニケーションをとりながら事業を進められる環境づくりとそれらをけん引できる人材の育成を積極的に推進していきます。
(「SMARTプロジェクト」活動概要図)
○ 仕事と介護の両立支援
これまでも仕事と介護の両立ができるよう講演会を実施する等の環境整備を推し進めてまいりました。2025年度は社内アンケートを実施し従業員の介護状況・課題を把握し、より実態に即した両立支援施策として仕事と介護の両立における制度の啓蒙活動の徹底を行いました。また社内アンケートや周知等を通して介護に直面する前の早期の情報提供や、人事部門と相談できる体制も構築致しました。仕事と介護の両立に関するガイドブックの周知の徹底と介護事由による離職ゼロを目標としています。
2025年10月よりがん治療や不妊治療などの治療を続けながら働き続けられるようにするための支援制度の導入を行いました。がん治療では働き方の選択肢の拡大としてフレックスタイム制度、短時間勤務、短時間フレックスタイム制度の導入、治療休暇5日/年付与を導入致しました。また不妊治療も同様に治療休暇として5日/年付与しキャリアを止めることなく当社で長く安心して働くことが出来る環境の整備と健康経営の実現に繋げた取り組みを行っています。
○ 労働時間/長時間労働の是正
当社では適正な労働時間管理と過重労働の防止、安心して健康に働ける職場環境を維持するため、「労働時間管理に関するガイドブック」を作成しました。特に管理職に対しては、部下の労働時間管理を含めた適切なマネジメントを求め、長時間労働の是正に継続的に取り組んでいます。
<長時間労働是正の取り組み>a.経営層が関与したモニタリング体制の構築
高負荷状態にある管理職につき、人事部門から対象者の上司へ要因や対策のヒアリングを実施し、毎月の経営会議で長時間労働者数とあわせて報告しています。
b.「活き生き5活動」Ver2.0に基づく継続的な施策推進
長時間労働の対策を継続し、総合職の月60時間超の時間外労働ゼロを目標に設定いたしました。年次有給休暇の平均取得日数は13日/年以上、かつ総合職は前年比1.5日/年増、技能職・事務職は0.5日/年増を目指して啓発を進めました。総合職の月60時間超の時間外労働ゼロは未達となりましたが、年間総労働時間は前年度と同等に収めることができました。年次有給休暇の平均取得日数は15.9日/年、技能職・事務職は0.5日/年増と目標を達成し、総合職も0.3日/年増と着実に前進しています。2026年度は月60時間超の時間外労働ゼロの達成に向けて、さらに一歩踏み込んだ施策を労使にて検討を進めてまいります。
<参考リンク:当社ホームページ抜粋サイト>・働きやすい環境に向けた制度や仕組み
https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/improvement/work.html
今後もエンゲージメント向上に向けた取組を推進し、2029年度のありたい姿である「住友理工グループ全組織のエンゲージメントが高まり、従業員全員が活躍できる会社」を目指します。
(総労働時間の推移及び年次有給休暇の平均取得日数)
(「活き生き5活動Ver.2.0」活動概要図)
○ 柔軟で強い製造現場づくり
当社で起きている課題に対して、年齢・性別・国籍・障がい者の有無に関わらず、全ての人材が現場で実力を発揮し、安全・環境・コンプライアンス・品質・生産性を支え続ける人づくりを目指しています。主な活動といたしましては、人材確保のために「教員・保護者・生徒向けの工場見学会」「OB/OGによる学校訪問企業説明会」「定着支援パルスサーベイシステムの導入」「海外実習生など外国籍人材へのアプローチ」を実施しています。また、自ら気付き、考え、行動して現場を良くする製造現場の実現を目指すため、①現場を見る力 ②多様性観点から問題を考える力 ③役割に応じた行動成長と定着 ④多様な人材を活かす組織力が必要であり、「内部/外部講師の問題定義によるグループワーク、実技研修の拡充、必要に応じた各階層別研修の実施」を進めています。
②目標及び進捗状況
(注)1.特に記載がない限り、当社グループの数値を示しております。
2.実績値については、住友理工単体となります。2024年度・2025年度の実施率が100%を超えているのは対象者への教育が一巡し2回目の受講者もいるためです。
3.経営幹部プログラム(Executive Management Program)、選抜型教育経営塾(Mirai Create Program)、若手人材育成プログラムなど幹部選抜研修の受講者数を集計しています。
4.2024年度はコア人材とデータ分析人材の分け隔てなく、広く教育機会を提供し、DX人材候補者の発掘と育成に注力しました。
当社では、「住友事業精神」のもとに定めた「人的資本向上の方程式」を人材戦略の中心に位置付けています。
「人的資本向上の方程式」においては、「住友事業精神」「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)」「人材育成」「エンゲージメント」の4つを重点分野とし、事業成長と2029V達成を人的資本の面から支えるため、事業部門と連携しながらグループ・グローバルに施策を実行してまいりました。
2025年度は「中期経営計画2025P」の最終年度となりましたが、各分野における施策・活動が実を結び、次の時代における人的資本向上の土壌も着実に育まれています。本項では、これまでの取り組みの成果について報告します。
(「企業戦略と関連付けた人事戦略」「人的資本向上の方程式」等については55頁 参照)
①取組
a. 住友事業精神
住友事業精神は、当社グループの従業員にとって、すべての事業活動における拠り所であり、判断基準です。
当社グループでは、人材育成の根幹に住友事業精神を据え、新入社員をはじめとする全従業員に対して、動画「私たちの住友事業精神」を用いた定期的な研修を行い、理念の浸透を図っています。
事業環境が目まぐるしく変化する中においても、「萬事入精(ばんじにっせい)」「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」という理念を行動指針として、社会から信頼され、持続的な成長を実現する企業としての発展を目指します。従業員は、何事にも心を込めて一生懸命向き合うことの大切さを胸に刻み、日々の活動に邁進してまいります。
2025年度は、住友事業精神のさらなる認知度・理解度向上を目的として、「住友事業精神一斉教育」を実施いたしました。対象を国内関係会社及び海外関係会社へ大きく拡大し、2024年度に制作した住友事業精神の学習動画視聴と理解度アンケートを展開いたしました。加えて、GMM(Global Management Meeting:グローバル責任者会議)での周知も奏功し、動画視聴及び理解度アンケート回答者数は合計6,313名に達しました。これにより、国内外の多くの従業員にとって、住友事業精神を学ぶ機会となりました。
また、国内関係会社においては、認知度・理解度のさらなる向上を目的に、入社時教育や年1~2回の全社教育、幹部層による教宣活動の定期開催など、各社独自の取り組みが一層活発化しております。
(2025年度住友事業精神一斉教育受講者人数)
| 実施年度 | 住友理工単体 | 国内関係会社 | 海外関係会社 | 合計 |
| 2025年度 | 2,315名 | 554名 | 3,444名 | 6,313名 |
なお、2025年度エンゲージメントサーベイにおいては、「基本思想と事業戦略」項目のうち、住友事業精神に関連するスコアが94となり、グローバル製造業の基準値を上回る結果となりました。
今後は、当社グループの強みである住友事業精神の認知度・理解度を更に強化し、持続可能なものとするため、2026年度以降、住友事業精神一斉教育の対象者拡大に加え、理解度アンケートの分析結果から抽出した課題に対する具体的施策を推進してまいります。そして、従業員一人ひとりが住友事業精神を自ら体現し続けることで、その行動が習慣として定着する状態、すなわち住友事業精神に基づく行動変容の実現を目指してまいります。
(エンゲージメントサーベイについては25頁 参照)
b. ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)
人を尊重することは企業活動の根幹です。人権尊重とDE&Iの重要性の理解を深め、日々の行動に活かすことができるよう、Eラーニングを用いてアンコンシャスバイアスやLGBTQについて従業員への教育を行いました。10月には「治療と仕事の両立支援措置の導入」も開始しました。がん治療や不妊治療を受けながら、キャリアを継続し、長く安心して働くことができる環境整備を進めています。2025年度は当社初の女性アスリート社員を採用しました。また、シニア世代の従業員が、今後の人生設計やこれからのキャリアについて考えるセミナーも定期的に開催しています。多様な人材の活躍、幅広い働き方、多様な価値観が共存する現代において、違いを認め合い、誰もが能力を発揮できる職場づくりを目指してまいります。
○ 女性活躍推進
CSR・サステナビリティ委員会では、女性活躍をはじめとするダイバーシティ推進を全社的に強化するため、各部門の上位管理者が参加する「ダイバーシティ分科会」を設置しています。従来は年4回の開催で意見交換が中心でしたが、課題の主体的な把握と施策の検討・実行につなげる体制強化のため、開催頻度を毎月1回へと増やしました。分科会では、各事業部が自組織の状況を踏まえて施策を検討し、自発的にPDCAサイクルを回す取り組みを行っています。また、女性が働きやすい職場づくりを進めるため、女性従業員がプロジェクトリーダーとして参画し、工場内の休憩所等の刷新を行いました。さらに、女性寮の拡充、事業所内託児所「コアラぽっけ」の活用など、女性が安心して就業を続け、キャリア形成に取り組める環境整備を多面的に推進しています。
| 分類 | 施策例 | |
| 制度整備 | 柔軟な働き方支援 | ・事業所内託児所「コアラぽっけ」設立 [2009~] ・在宅勤務制度導入 [育児介護対象2017~/制限撤廃(注)2020~] ・短時間フレックス勤務制度導入[2017~] ・フレックスコアタイム廃止 [2020~] ・育児時短勤務の対象を小学校6年生まで延長 [2022~] |
| キャリア継続支援 | ・ジョブリターン制度導入[2017~] ・配偶者帯同休職制度の導入 [2019~] | |
| 意欲醸成 | 相互研鑽・ネットワーキング支援 | ・住友電工グループ女性社員ネットワーキング「SWING」フォーラム参画 [2017~] ・社内メンター制度の導入 [2021~2022] |
| 自己研鑽 | ・各種通信教育の補助 ・教育コンテンツの拡充 [IT基礎教育・Eラーニング導入等] | |
| 環境改善 | ・管理職長時間労働への対策推進(社長面談実施等)[2023~] | |
| 風土醸成 | 社内風土醸成 職場理解推進 | ・各種社内研修/外部講師セミナーの実施 ・仕事と介護の両立支援ガイドブック作成[2020~] ・出産・育児支援制度の手引きを刷新[2022~] ・女性活躍推進に特化した階層別教育を実施 [2023~] ・職制向けアンコンシャスバイアス研修動画配信 [2023] ・基幹職昇格試験の審査項目にDE&I推進を追加 [2023~] ・ダイバーシティ講演会の開催[2024~] ・LGBTQガイドブック全従業員への配布[2025] <新規>・治療と仕事の両立支援制度導入[2025~] <新規> |
| 個別育成強化 | ・女性管理職候補者向け研修開始 [2024~] ・ダイバーシティEラーニングの実施[2024~] | |
注) 育児・介護に限定されていた許可要件を撤廃し、より柔軟な働き方に対応できるよう2020年度より対象を拡大しています。
「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (2)従業員の状況 ④多様性に関する指標」も併せてご参照ください。
○ 障がい者雇用の推進
当社グループでは、受入れ職場との対話を通じて、障がいを持つ従業員の適性や障がいの種別(身体、知的、精神)に応じた配置と職務の割り当てを行っています。また、2013年11月に障がい者雇用促進と社会貢献を目的として、特例子会社「住理工ジョイフル」を設立し、障がい者の積極的な雇用確保と適性を活かした就労支援に努めた結果、10年を超える長期就業も実現しています。
これまで当社は、受入体制の基盤整備や管理監督者向け研修、事業所間の情報共有を継続し、障がいへの理解促進と安定的な就労環境の醸成に取り組んできました。こうした継続的施策を基盤として、2025年度は受入前支援相談会や講演会・勉強会の実施、障がい理解資料・動画の活用などを通じて、職場理解の一層の浸透を図りました。また、採用経路の新規開拓に加えて特別支援学校との相互理解の促進を進め、より適性に応じた受入強化を図りました。さらに、職務選択肢の多様化に向けて、農福連携の観点から新たな業務領域を開拓するため、社内での園芸作業(いちご栽培)を試験的に開始しました。こうした継続的な取り組みの結果、2025年度における当社の障がい者雇用率は、法定雇用率を上回る2.70%となりました。
今後は、採用競争の激化などの外部環境の変化を踏まえ、採用エリア拡大や業務領域の拡大、多様な働き方の整備、職場支援員育成などの施策を進め、2029Vで掲げる目標(2029年度3.00%)の達成に向けて取り組みを継続します。
(障がい者雇用率の推移と今後の目標)
厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告及び障害者雇用状況報告」の算出条件に基づく数値
| 分類 | 実績 | 目標 | ||||
| 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2025年度 | 2029年度 | |
| 住友理工(特例子会社含む) | 2.65% | 2.70% | 2.77% | 2.70% | 2.80% | 3.00% |
| 国内グループ会社平均 | 2.54% | 2.54% | 2.63% | 2.67% | 2.70% | 3.00% |
| 法定雇用率 | 2.30% | 2.30% | 2.30% | 2.50% | 2.50% | 2.70% |
| 分類 | 施策例 | |
| 基盤づくり | ・特例子会社「住理工ジョイフル」設立[2013~] ・「障がい者雇用推進会議」発足(部門連係強化)[2018] ・「障がい者雇用推進プロジェクト」開始(グループ会社を含めた活動の実施、支援)[2023~] ・「障がい者雇用促進講演会」開催[2024~] ・「障がい者雇用促進アンケート」の実施と分析[2024] | |
| 採用強化 | ・採用経路の開拓(大卒インターンシップ、コーポレート部門採用)[2020~] 通勤可能エリアの新規学校開拓、就労支援事業所からのキャリア採用[2024~] ・グループ会社への障がい者採用活動支援[2022~] ・採用WEBサイトにおける障がい者雇用のPR強化[2024~] | |
| 定着推進 | ・障がい者受入部門の支援体制強化(ジョブコーチや労務担当がサポート)[2020~] ・現場の管理監督者向けの障がい者受入に関する勉強会開催[2024~] | |
| 職域拡大 | ・特例子会社「住理工ジョイフル」から当社への出向受け入れの拡大[2019~] ・小牧本社・製作所における各部門からの業務切り出し及び支援体制の構築 [2019~] ・農福連携による受入業務・受入人材の拡大[2025~]<新規> | |
○ グローバル人材の活躍促進
当社グループの全従業員の約8割は海外地域で働いており、多種多様なバックグラウンドを持つ従業員がそれぞれの強みを発揮することで、共創による新たな価値創造を目指しています。
当社では、グローバル人材の活躍を象徴するイベントとしてGMM(Global Management Meeting:グローバル責任者会議)を毎年開催しています。2025年度は7月に愛知県名古屋市で実施し、海外拠点長やローカル幹部従業員ら100名以上が来日しました。会議では2025P及び2029Vの進捗共有に加え、「環境」「人事」「品質」「情報セキュリティ」「コンプライアンス」をテーマとした分科会を通じ、現地実態に根差した議論を行いました。また、日本からは世界11か国で約180名の社員が活躍しており、海外からは技能実習生を受け入れることで、技能伝承と相互理解の深化を図っています。
<参考リンク:当社ホームページ特設サイト>・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/inclusion/
・働きやすい環境に向けた制度や仕組み
https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/improvement/work.html
c. 人材育成
当社グループでは「人材育成にまさる事業戦略なし」との考え方のもと、当社グループの従業員として相応しい人格と知識を持ち、グローバルに活躍できる人材の育成を目指しています。その実現に向け、従業員の各キャリアステージで求められる知識やスキルを習得できる教育コンテンツを拡充し、様々な学習機会を提供しています。
2025年度は、「必要な人が、必要な時に、必要なことを学ぶことができる風土づくり」に向けた第一歩として、「全社横断教育」を実施いたしました。
本施策では、コミュニケーション、問題解決、プレゼンテーション、キャリア形成など、当社で働くすべての従業員の日常業務の質の向上に寄与する、9つのテーマ別研修を企画・展開いたしました。住友理工単体のみならず国内関係会社の従業員も参加可能な形式とすることで、より広範な学習機会を創出いたしました。
その結果、全研修の受講者数は累計約3,000名、新たに創出された研修受講時間は約6,000時間にのぼりました。また、録画アーカイブを公開し、時間や場所にとらわれず学習できる環境を整備いたしました。
本施策を通じて、従業員の学習意欲が高まりつつある傾向が見られます。今後はその流れをさらに加速させるべく、研修コンテンツの一層の拡充を図り、従業員ニーズに沿った学習機会を提供できる仕組みの整備を進めてまいります。
○ 住友理工の全社教育体系
「次世代幹部候補者の選抜型教育」「グローバル人材育成」「各部門の専門教育」「全社共通教育」の4領域からなる全社教育体系を整備し、幅広く従業員に教育を実施しています。2025年度は、2022年から行ってきた教育体系の見直しと最適化、また、次世代教育環境整備に向けた現状分析と洗い出された課題に対する教育機会の提供に注力しました。
<参考リンク:当社ホームページ特設サイト>・人材育成
https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/improvement/upbringing.html
2023年度以降の3カ年における幹部研修受講者数は累計99名となり、幹部候補者の育成を着実に推進しております。2025年度は33名が受講し、各プログラムのさらなる高度化を図りながら、将来の経営を担う人材の継続的な育成に取り組んでおります。選抜型教育として実施している「経営塾MCP」は、13年にわたり活動を継続している中、直近の修了生を対象に「経営塾アルムナイ」イベントを開催し、卒業生同士の縦・横のネットワーク強化を図っております。また、基幹職昇格者研修のフィードバック会には社長が参加し、経営層との直接的な接点を通じて、縦のつながりのさらなる強化を進めております。
「EMP re-co」においては、3年前より社長をはじめとする経営幹部との対話プログラムを実施しております。現経営幹部が、当社の現状や課題認識、将来ビジョン、そして経営幹部として求められる人材像について繰り返し対話を行うことで、未来の経営幹部へ想いを継承しております。これにより、現経営幹部と未来の経営幹部とのつながりを強化するとともに、未来の経営幹部が託された想いに主体的にコミットすることを目的としております。
今後も、多くの役員・関係者が参画する体制を継続し、持続可能な経営基盤を支える幹部人材の育成を一層強化してまいります。
(幹部研修(EMP re-co/経営塾MCP/若手人材育成プログラム)受講者人数)
| 実施年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 累計(2023-2025年度) |
| 受講者数 | 33名 | 33名 | 33名 | 99名 |
海外赴任予定者に対する育成施策として実施している海外赴任前教育について、2025年度もプログラムの拡充を進めてまいりました。赴任後は拠点の経営・運営に関わる幅広い知識が求められることから、赴任前の段階で必要な知識を着実に習得できるよう、内容の一層の充実を図っております。
具体的には、実際に海外赴任中の従業員が直面している課題を踏まえ、新たに経理財務研修動画(全5本)、会計不正防止研修、貿易取引の基礎研修、安全・環境研修を公開いたしました。これにより、実務に直結する知識の体系的な習得を可能としています。また、「働く場所を問わず、国内外で活躍できる人材」の育成を目的に、海外赴任前教育プログラムの体系化を実施いたしました。
2026年度以降は、対象を海外赴任予定者にとどめず、海外赴任中の従業員や、将来的に海外でのキャリア形成を志向する国内従業員へと拡大し、それぞれのフェーズに応じたプログラムを展開することで、本教育のさらなる活用促進と高度化を図ってまいります。
○ DX人材の育成
住友理工グループでは、2029Vの実現に向け、DXを単なるIT活用にとどまらず、価値創出及び組織変革を推進するための中核的な経営基盤と位置付けています。その中でも、DX人材の育成は、2025Pにおける重点施策の一つとして継続的に取り組んでいます。
2025年度は、これまでの「教育機会の提供フェーズ」から次の段階として「可視化・学習・実践・変革」を一体的に機能させる人材育成の高度化を推進しました。まず、経済産業省・IPAが定めるデジタルスキル標準に準拠したDX人材アセスメントをグループ全体で実施し、延べ1000人以上が受審しました。これにより、DXコア人材及びDXデータ分析人材のスキルレベルを客観的に可視化し、2025年度の目標として掲げていた「DXコア人材200名」「DXデータ分析人材700名」を達成しました。
あわせて、アセスメント結果を踏まえた個別最適な学習環境の整備を進めました。DXリテラシー向上のためのEラーニング、データ分析並びに生成AI活用に関する専門教育に加え、事務職向けのMicrosoft Office活用講座など、職種・役割に応じた多層的な教育プログラムを展開することで、DX推進を担う中核人材の育成と全社的なデジタル基礎力の底上げを両立させています。
さらに、2025年度は、学習で得た知識を実務につなげる基盤の強化にも注力しました。DX推進企画プロジェクトを中心に、毎週開催している定例連絡会や各種勉強会、イントラサイト及び社内SNSを通じた成功事例の整理・共有を進め、部門横断のネットワーク形成と相互学習を促進しました。これにより、取り組み内容の可視化及び実践事例の共有を進め、DX活動に対する理解の促進と社内浸透を図りました。
また、各部門から選抜されたDX推進人材に対しては、変革マインドセットの醸成や行動変容を促すプログラムを継続的に実施し、事業及び業務の変革を自律的に牽引できる人材の育成を進めました。
今後は、2029Vの実現に向け、育成したDX人材が各部門及び各事業においてDXの実践者・推進者として機能し、データに基づく意思決定や価値共創が日常的に行われる組織風土の定着を図ります。
住友理工グループは、DX人材育成を通じ、社会課題の解決と持続的な企業価値向上を実現していきます。
d. エンゲージメント
2029Vありたい姿「理工のチカラを起点に社会課題の解決に向けてソリューションを提供し続けるリーディングカンパニー」の実現に向けてエンゲージメントを定量的に測定し、会社と各組織における自律的な組織改善に活用するため、2024年度より実施のエンゲージメントサーベイは、2025年度は、住友理工と、国内関係会社13社、海外拠点28拠点で対象者を拡大し、調査を行いました。
当社では総合指標となる「持続可能なエンゲージメント」の項目をKPIとして設定していますが、同項目のスコアは2024年度「63」に対し、2025年度は「83」と改善され、日本基準値よりもやや高い結果となりました。当社が事業運営の基本としている「安全」や「コンプライアンス・誠実性」においては、それぞれ「92」や「87」と強みといえる高いスコアになっており、また、2024年度と比較しサーベイの全項目が改善傾向となっており、なかでもモノづくりを支える技能職のスコアが全体的に高い結果となりました。その一方、直属の部下を持たない管理職においては、「業務体制」や「顧客志向」は他項目と比較して低いスコアとなっており、今後の課題項目であることが明らかになりました。
○ 健康経営
当社グループは、2017年に制定した「住友理工グループ健康経営宣言」に基づき、経営トップを健康経営責任者として、全社一体となって健康経営を推進しています。従業員の健康を重要な経営資源と位置づけ、「従業員及び家族の健康増進活動への支援」「メンタルヘルス対策」「生活習慣病対策」の3点を重点方針としています。2025年度は、高年齢者を対象とした「転倒リスク測定会」や、女性従業員を対象とした「椅子ヨガ」を新たに実施するなど、従業員の年齢・属性及び健康課題に応じた健康増進施策を展開しました。
健康経営で解決したい経営課題は二つあり、一つ目は「従業員の心身両面における健康状態の向上」です。健康経営をグループ共通の取組みとして推進するため、定期的に「国内グループ産業保健連絡会」を開催し、健康経営方針及び健康KPIの共有を行っています。また、2025年度には、グローバルにおける健康経営推進を目的として、7月開催のGMM(Global Management Meeting:グローバル責任者会議)において方針説明を行い、地域ごとに海外拠点との情報交換を開始しました。さらに、2026年4月からの敷地内全面禁煙に向け、段階的な禁煙施策を推進しています。2025年度は、専門家を招いた健康セミナーを開催し、肺年齢測定を実施しました。また、住友理工健康保険組合と連携し、禁煙補助薬やオンライン禁煙プログラムに係る費用補助を行うなど、禁煙支援施策の拡充に取り組んでいます。
二つ目は「従業員の生産性とエンゲージメントの向上」です。毎年4月に実施しているストレスチェックにおいて、高ストレスと判定された職場に対しては、深堀アンケートや個別面談等による人事部門の支援を行っています。あわせて、労務管理講習会の開催や好事例の共有を実施しています。これらの取組みにより、2025年度における高ストレス職場数は2年前と比較して半減し、ワークエンゲージメント指標は0.1ポイント向上しました。また、2025年10月には、当社就業規則に会社と従業員が共に取り組むべき義務として、「エンゲージメント向上」「心身の健康保持増進」を明記し、同年11月には、管理職を対象としてエンゲージメントを高める職場づくりの実践ヒントを学ぶ全社講演会を開催しました。
<参考リンク:当社ホームページ特設サイト>・健康経営
https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/health/
○ 働き方改革
当社では2017年度より働き方改革を推進する活動として「活き生き5活動」を推進してきました。2017年度からの「活き生き5活動」Ver1.0では働きやすさを整える基盤づくり、2023年度からは「活き生き5活動」Ver1.5としてエンゲージメントサーベイを開始する等の活動を行ってきました。そして、2025年においては働きがい溢れる企業風土の醸成を目指して「活き生き5活動」をVer2.0へとシフトさせました。この一環として「SMARTプロジェクト」(当社版イクボス施策)を展開し、SMARTマネージャーの育成やエンゲージメントサーベイ結果を用いた組織改善活動を実施する等、エンゲージメント向上に向けた活動を推し進め、職場ごとに課題を改善する活動を手上げ制で実施しました。2026年度は全社へ横展開しグループ会社も含めて活動を実施し、エンゲージメントと心理的安全性向上のキーパーソンであるリーダー層への継続的なアプローチによる改善に取り組んでおります。
エンゲージメントの高い組織の実現のために、誰もが自分の能力を十分に発揮できるよう、各々の心身の安定を図り、互いにコミュニケーションをとりながら事業を進められる環境づくりとそれらをけん引できる人材の育成を積極的に推進していきます。
(「SMARTプロジェクト」活動概要図)
| 年度 | 目的 | 手段 |
| 2024年度 | SMARTマネージャーの育成 (マネージャーのマインドチェンジ) | ・講演会(心理的安全性、男性育児休業等) ・SMARTマネージャー5箇条の制定 S:Sustainability 持続可能な M:Management マネジメント A:Achievement 成果 R:Relation 関係性 T:Time management ワークとライフの充実 |
| 2025年度 | エンゲージメントサーベイを基にした職場/人事協働での職場改善 | ・アクションプラン策定体験会 マネージャー、メンバー、人事が一体となり職場改善(希望部署対象) |
| 2026~2028年度 | グループ・グローバルでのエンゲージメント向上活動支援 | ・グローバルに情報発信 |
| 2029年度 | 「持続可能なエンゲージメント」スコアがグローバル製造業基準値以上を達成 | ― |
○ 仕事と介護の両立支援
これまでも仕事と介護の両立ができるよう講演会を実施する等の環境整備を推し進めてまいりました。2025年度は社内アンケートを実施し従業員の介護状況・課題を把握し、より実態に即した両立支援施策として仕事と介護の両立における制度の啓蒙活動の徹底を行いました。また社内アンケートや周知等を通して介護に直面する前の早期の情報提供や、人事部門と相談できる体制も構築致しました。仕事と介護の両立に関するガイドブックの周知の徹底と介護事由による離職ゼロを目標としています。
2025年10月よりがん治療や不妊治療などの治療を続けながら働き続けられるようにするための支援制度の導入を行いました。がん治療では働き方の選択肢の拡大としてフレックスタイム制度、短時間勤務、短時間フレックスタイム制度の導入、治療休暇5日/年付与を導入致しました。また不妊治療も同様に治療休暇として5日/年付与しキャリアを止めることなく当社で長く安心して働くことが出来る環境の整備と健康経営の実現に繋げた取り組みを行っています。
○ 労働時間/長時間労働の是正
当社では適正な労働時間管理と過重労働の防止、安心して健康に働ける職場環境を維持するため、「労働時間管理に関するガイドブック」を作成しました。特に管理職に対しては、部下の労働時間管理を含めた適切なマネジメントを求め、長時間労働の是正に継続的に取り組んでいます。
<長時間労働是正の取り組み>a.経営層が関与したモニタリング体制の構築
高負荷状態にある管理職につき、人事部門から対象者の上司へ要因や対策のヒアリングを実施し、毎月の経営会議で長時間労働者数とあわせて報告しています。
b.「活き生き5活動」Ver2.0に基づく継続的な施策推進
長時間労働の対策を継続し、総合職の月60時間超の時間外労働ゼロを目標に設定いたしました。年次有給休暇の平均取得日数は13日/年以上、かつ総合職は前年比1.5日/年増、技能職・事務職は0.5日/年増を目指して啓発を進めました。総合職の月60時間超の時間外労働ゼロは未達となりましたが、年間総労働時間は前年度と同等に収めることができました。年次有給休暇の平均取得日数は15.9日/年、技能職・事務職は0.5日/年増と目標を達成し、総合職も0.3日/年増と着実に前進しています。2026年度は月60時間超の時間外労働ゼロの達成に向けて、さらに一歩踏み込んだ施策を労使にて検討を進めてまいります。
<参考リンク:当社ホームページ抜粋サイト>・働きやすい環境に向けた制度や仕組み
https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/improvement/work.html
今後もエンゲージメント向上に向けた取組を推進し、2029年度のありたい姿である「住友理工グループ全組織のエンゲージメントが高まり、従業員全員が活躍できる会社」を目指します。
(総労働時間の推移及び年次有給休暇の平均取得日数)
| 年度 区分 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
| 年間総労働時間 | 2,146 | 2,142 | 2,120 | 2,100 | 2,066 | 1,934 | 2,028 | 1,964 | 1,980 | 1,982 | 1,982 |
| 休暇取得日数 | 12.5 | 13.1 | 13.5 | 14.2 | 15.4 | 13.4 | 15.2 | 16.0 | 16.4 | 15.8 | 15.9 |
(「活き生き5活動Ver.2.0」活動概要図)
| 項目 | 活動概要(2025年度) |
| 活き生きチャレンジ | 組織の組織改善活動支援 ~SMARTプロジェクト~ |
| ・事業部支援強化 (事業担当人事、SMARTプロジェクト、職場改善) ・表彰制度立ち上げ(エンゲージメント改善事例共有並びに表彰実施) | |
| 活き生きタイム | 長時間労働の対策の継続 |
| ・総労働時間の低減 ・総労働時間低減に向けたインセンティブ強化(生産性指標の活用) | |
| 活き生きライフ | 健康経営 ~グループ産業保健の推進~ |
| ・健康KPIの向上 ・健康経営による企業価値の向上(ホワイト500取得、健康経営風土の醸成) ・グループ産業保健活動の推進 ・敷地内禁煙 | |
| 活き生きワーク | 働きやすい職場、制度整備 ~育児等と仕事の両立制度導入~ |
| ・定年延長制度 ・魅力ある人事制度の構築 ・適正に評価される人事考課運用 ・育児、介護、治療と仕事の両立支援 | |
| 活き生きインフォ | 情報共有 ~GMMを活用したグローバル連携強化~ |
| ・エンゲージメント向上の情報宣伝活動の強化 ・エンゲージメント向上事例をグローバルで共有 |
| 活動 | 活き生き5活動Ver1.0 (2017~2022年度) | 活き生き5活動Ver1.5 (2023~2024年度) | 活き生き5活動Ver2.0 (2025年度~) |
| 課題 | ・2,000時間を超える長時間労働 | ・長時間労働者の低減 ・エンゲージメント数値の見える化 | ・高負荷者の是正 ・エンゲージメント向上 ・グローバル対応 |
| テーマ | ・働きやすい制度、環境整備 | ・エンゲージメント向上に向けた風土、基盤整備 | ・人事との職場改善を希望された職場と共同してエンゲージメント向上 |
| 施策 | ・定時の日の制定 ・総労働時間の低減 ・柔軟な働き方を可能にする制度 | ・経営会議で長時間労働者を報告 ・SMART-PJ 始動 ・エンゲージメントサーベイ導入 | ・経営会議で長時間労働者を報告 ・エンゲージメントサーベイに基づく職場/人事協働での職場改善 |
| 実績 | ・総労働時間の低減達成 2017年度 2,120時間/年 2022年度 1,964時間/年 ・在宅勤務制度 ・コアフレックスタイム制度 ・勤務間インターバル制度 | ・基幹職80時間/月 超過 2023年度103名 2024年度 22名 ・総合職3ヶ月200時間超過者数 2023年度13名 2024年度2名 | ・基幹職80時間/月 超過 2023年度103名 2024年度 22名 2025年度 19名 ・組合員3ヶ月200時間適用者 2023年度 13名 2024年度 2名 2025年度 3名 |
○ 柔軟で強い製造現場づくり
当社で起きている課題に対して、年齢・性別・国籍・障がい者の有無に関わらず、全ての人材が現場で実力を発揮し、安全・環境・コンプライアンス・品質・生産性を支え続ける人づくりを目指しています。主な活動といたしましては、人材確保のために「教員・保護者・生徒向けの工場見学会」「OB/OGによる学校訪問企業説明会」「定着支援パルスサーベイシステムの導入」「海外実習生など外国籍人材へのアプローチ」を実施しています。また、自ら気付き、考え、行動して現場を良くする製造現場の実現を目指すため、①現場を見る力 ②多様性観点から問題を考える力 ③役割に応じた行動成長と定着 ④多様な人材を活かす組織力が必要であり、「内部/外部講師の問題定義によるグループワーク、実技研修の拡充、必要に応じた各階層別研修の実施」を進めています。
②目標及び進捗状況
| 重点領域 | 主な指標 | 実績値 (2023年度) | 実績値 (2024年度) | 実績値 (2025年度) | 目標値 (2025年度) | |
| 住友事業精神 | 幹部理念教育実施率 (注)2 | 500名 (87%) | 601名 (103%) | 1,198名(201%) | 100% (2023-2025年度累計) | |
| ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン | 女性管理職比率 ()内は住友理工単体数値 | 14.7% (7名 1.3%) | 14.7% (13名 2.3%) | 15.1% (13名 2.2%) | 15% (2.5%) | |
| 障がい者雇用率 | 住友理工(特例子会社含む) | 2.70% | 2.77% | 2.70% | 2.80% | |
| 国内グループ会社平均 | 2.54% | 2.63% | 2.67% | 2.70% | ||
| 人材育成 | 幹部研修受講数 (注)3 | 33名 | 66名 | 99名 | 100名 (2023-2025年度累計) | |
| DX人材育成実績 | コア人材 | 2024年度 育成開始 | DX教育受講者2,333人(注)4 | 256名 | 200名 | |
| データ分析人材 | 740名 | 700名 | ||||
| エンゲージメント | 健康経営関連指標 | 当社ホームページ特設サイト参照 | ||||
| 働きがい | 2024年度エンゲージメントサーベイ開始に伴い、「持続的なエンゲージメント」のスコアをKPIに設定。2025年度は、国内関係会社13社、海外関係会社28拠点に拡大。 | |||||
(注)1.特に記載がない限り、当社グループの数値を示しております。
2.実績値については、住友理工単体となります。2024年度・2025年度の実施率が100%を超えているのは対象者への教育が一巡し2回目の受講者もいるためです。
3.経営幹部プログラム(Executive Management Program)、選抜型教育経営塾(Mirai Create Program)、若手人材育成プログラムなど幹部選抜研修の受講者数を集計しています。
4.2024年度はコア人材とデータ分析人材の分け隔てなく、広く教育機会を提供し、DX人材候補者の発掘と育成に注力しました。